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INTERVIEW

2024.09.21

能動的な取り組みが生んだ、変化と成長の好循環――DIALOGUE+ 3rdアルバム『DIALOGUE+3』リリース記念スペシャル対談 PART4:緒方佑奈・宮原颯希×田淵智也

能動的な取り組みが生んだ、変化と成長の好循環――DIALOGUE+ 3rdアルバム『DIALOGUE+3』リリース記念スペシャル対談 PART4:緒方佑奈・宮原颯希×田淵智也

リード曲決定の裏側について、緒方が田淵に“取材”!?

――さて、続いては『DIALOGUE+3』のリード曲「FU-TSU-TSU-KA I love you」の印象や、歌うときに特に大事にされたことについて緒方さんと宮原さんにお聞きしたいのですが。

宮原 私、この曲がリード曲になるってレコーディングのとき知らなかったんですよ。

緒方 私もそう。知らなかった。

宮原 みんなそうだったのかな?だから私の中では「恋は世界定理と共に」のような甘い恋愛ソングという印象があったうえに、それに沿って「胸きゅん♡」みたいなイメージで歌っていたので、リード曲になってMVも撮って、しかもDIALOGUE+の歴史に触れるようなすごく壮大な楽曲になったことにちょっとギャップはありました。でもたしかに、「捉え方によってはそうなるのか」と思って。だから、たぶんログっ子さんはたぶん最初からMVを観るでしょうしその見方でこの曲に触れると思うんですけど、人によっては別の見え方もする曲なのかな?と今は感じています。

緒方 私も、宮原と結構同じ感覚で……これ、今日田淵さんに聞こうと思って来たまであるんですけど(笑)。

田淵 おっ、なになに?

緒方 私もレコーディング段階ではリード曲だとは知らず、すごく甘くてかわいい歌詞の印象もあって、恋の曲としてかわいくまとめられるような用意をしていったんです。ただ、録る前に何パターンか歌うなかで「ナチュラル寄りに歌うのがいいかも」となって録っていったので、私の中では「この曲が1曲目で、パンチ力大丈夫なのかな?」と思ってしまって。

田淵 おぉ、なるほど……!

緒方 別に嘘はついていないし、自然なかわいさみたいなのもすごく出た曲でもありますけど、例えば『DIALOGUE+2』の「D+ has come」みたいにいきなりゴーン!って殴りに行くような感じではないのでそう思っちゃって……ど、どうですか?(笑)

田淵 なるほど、面白い着眼点ですねぇ……(笑)。

宮原 私も知りたいです(笑)。

田淵 まず、そもそもこの曲でMVを撮ると決まったのが、割と後の時期だったんですよ。曲の収録自体は去年の3月ぐらいに決めていたし、「1曲目に」というイメージもできていた。壮大なものを三部作の三作目にあたるアルバムの1曲目に置くことで、「ひとつのたどり着いた極地みたいなアルバムが始まるんだ」という期待感を持たせたかったんです。しかもそこで歌われるものは、5年以上一生懸命頑張って活動してきたからこそ歌える、ナチュラルな歌であること。そして「これまでありがとう、これからもよろしくね」と最初に宣言することによって、3枚目の壮大さを象徴する……という狙いがありました。

緒方 じゃあ、レコーディング段階では「なんとなくこれだろう」と思って……?

田淵 「リード曲になるぐらいのもの」として作ろうと思ってはいた。でもそのあとにできてくる曲もすごいものばかりで、悩ましかったんだよね。……だから、新曲全部に何かしらのビデオを作ることになったんですよ(笑)。

――なるほど、そういう経緯が!

田淵 それで、MVの撮影日が近づくなかで、さっき話したような意図のもと「FU-TSU-TSU-KA I love you」をリード曲に決めたんです。リード曲として5年後を象徴するいい映像を撮ることで、今までのストーリーが伝わるかなぁと思って……という順序でした。

宮原 そうだったんですね……。

緒方 歌割りを見直したらA・Bメロが全部オーディションで、よく考えてみればリードになりうるヒントみたいなものが散りばめられていたんですよね(笑)。

田淵 そうそう。明言していなかったのは「決まってなかった」からなんだよ。

宮原 へー。……私、「わたしたちのラプソディー」がリード曲だと思ってました(笑)。序盤に「お話のはじまり」っていうフレーズがあるから。

緒方 あー!たしかに!

――曲にも幕開け感みたいなものがありますからね。

宮原 はい。だから「これがリードだ!」と思ってレコーディングしていたんです(笑)。

緒方 でも、それだけ強い曲が揃ったアルバムになったっていうことだよね?

宮原 ね!たしかに。

――それほどの個性の強い曲ばかりなので、緒方さんと宮原さんのその他のお気に入りの曲やおすすめしたい曲も、1曲挙げていただけたらありがたいのですが……。

宮原 私は、今言った「わたしたちのラプソディー」がすごく好きで。クラシックのサンプリングというのも「はっちゃけダイアローグ+クリスマス!」以来で、クラシックに行くというのもすごくおしゃれでかっこいいなと思いましたし。そこに私たちの音楽らしいにぎやかな感じというか、“いろんなことやります!感”も詰まっていて。そのバランスも好きで、お気に入りです。

――しかも、終盤のクロスボーカル部分など、最初に聴いたときには間違いなく驚く曲でもあると思いますし。

宮原 そう、ボーカルがクロスして重なるんですよね!すごく工夫が詰まってる曲だなとも思っているんですけど。

緒方 でも、ライブだとどうなっちゃうんだろう?

宮原 たしかに……頑張ろうね(笑)。

緒方 頑張ろう!(笑)

――歌うときに、力を入れたようなポイントもたくさんありましたか?

宮原 ありました。私、レコーディング順が最初だったので、全部録りまして……。

緒方 えぇ!? 大変!

宮原 で、歌割りも知らなかったから、勝手に「最初のフレーズはソロなんだ!」と勘違いして。「絶対このソロを取る!」と思ってめっちゃ頑張った……んですが、8人でした(笑)。

一同 (笑)

――ソロ独唱で始まったら、それもまたショーのようですし。

宮原 そうそう、かっこいいなと思って……本当に勘違いだったので、そこだけはちょっと残念でしたけど(笑)。

田淵 宮原さんは、いつの間にか“通して歌う力”みたいなものがめちゃめちゃ上がっていたんですよね。それこそ「どのフレーズもいけるんじゃない?」と思うぐらい。以前の彼女には、明確に得意なところと苦手なところがあるのを感じていたんですけど、この曲のときには正直「あら?全部いけるじゃない」と感じたことが、とても印象に残っています。なのでソロで選んだところ以外も……それこそ歌い出しも含めて全部よくて。「こんなに、張り上げて歌うことを恐れなくなったんだ」とも、改めて感じました。

――続いて、緒方さんはいかがですか?

緒方 私は「凍てついて秒速」が、やっぱりすごく印象にも残っています。私たちに定期的に田淵さんが書いてくださった“田淵通信”っていう文章が届くんですけど……。

宮原 “保健だより”みたいなやつだよね。

緒方 そう。そこにお触れ書きみたいな感じで、「この曲はマジで説明不可能な超絶難解曲なので、拍数とかが理解できなくても落ち込まないでください」と書いてあって(笑)。いざ蓋を開けてみたら、この曲だったんです。

――そこまでされていた(笑)。

緒方 実際、拍を取るのが本当に難しい曲で、資料としてもクリック音があるもの・ないものとかいっぱい作っていただいて、やっと仕組みを理解できてからレコーディングに臨んだんですね。そういうふうに練習もたくさんしたことも印象的でしたし、難しい曲ですけどリズムが掴めてうまくハマると「あ、これかも!」みたいな気持ちよさのようなものも感じて。「これが音楽に乗るってことか!」みたいなことをまた理解できたような気がした曲でもあるという意味でも大事な1曲になりました。……ただ、すごく難しいので、この曲もライブでちゃんとできるか不安ではあります(笑)。

田淵 緒方さんが歌割りを取っている部分のうち、1番Bメロの「tick tick カテイシヨウ」というところのリズムを理解してレコーディングで歌えたのが、彼女と稗田(寧々)さんだけだった んですよ。レコーディングではみんな「できた」と思っていたんですけど、出来上がったものを並べて聴いたら、この2人以外に歌割りを振ったらたぶんこの曲は崩壊するような気がして、そこはこの2人に担ってもらっています。それぐらい難しい部分だし、僕のディレクション自体の至らなさもあって、説明することも難しくて。いろいろと試行錯誤をして何回かかかった気はしますけど、それでも「よくこれ、歌いこなしたなぁ」と思いますね。

緒方 よかった、合ってたんだぁ……へへ(笑)。

次ページ:田淵チョイスのベストテイクは、2人の成長が明確に見えるものに

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