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INTERVIEW

2024.09.20

5年間の成長が培った、歌声への信頼――DIALOGUE+ 3rdアルバム『DIALOGUE+3』リリース記念スペシャル対談 PART3:守屋亨香・飯塚麻結×田淵智也

5年間の成長が培った、歌声への信頼――DIALOGUE+ 3rdアルバム『DIALOGUE+3』リリース記念スペシャル対談 PART3:守屋亨香・飯塚麻結×田淵智也

5周年を迎えた今だからこその、リード曲でのナチュラルな歌声

――さて、続いては『DIALOGUE+3』のリード曲「FU-TSU-TSU-KA I love you」について、楽曲の印象や歌う際に大事にされたことなどをお聞きしたいのですが。

飯塚 楽曲が届いたときには、もう……大興奮。かわいすぎて(笑)。

守屋 「わー!」ってなってたよね(笑)。

飯塚 そう、メンバーにLINEしたんですよ。好きな歌詞を一つひとつ送って「これはなに!?かわいすぎる!」みたいに(笑)。でも歌うときには意外と、「かわいらしい曲」という意識よりももうちょっとナチュラルな自分というか。割と普段の私たちが素直に取り組んだり頑張っている様子をイメージして、そういうまっすぐな気持ちで歌っていいのかな?と思いながら歌いました。

――ということは、第一印象からレコーディングに臨むまでに曲の印象がだいぶ変わった。

飯塚 はい。かなり違います。

田淵 まさに今言っていたとおりで、3作目のリード曲兼1曲目として歌うには本人から出てくる言葉や素直なニュアンスが……彼女なら“飯塚麻結”から出てくるナチュラルなところで歌っている必要があったんです。この曲の歌い出しは飯塚さんなんですけど、かわいく作っていないことで「これがアルバム3枚かけて音楽を完成させたユニットの、第一声目だ!」というものになっている。そこに貫禄とかキャリア、あとは成長してきた意味を感じる歌い出しになっているんですよね。あと、実はこの曲以外にも、最近はだいたい「ナチュラルでいいです」というオーダーになってきているんです。それは「ここからは自分たちの言葉で、自分たちの動かし方で人を巻き込んでいく」というフェーズに入るはずだから、アルバム全体が自分のナチュラルな声で伝えられているという必要がある。ここでも彼女はそういう歌にしてくれているんですよ。

――続いて、守屋さんはいかがでしたか?

守屋 私もまゆと一緒で、この曲は結構ナチュラルめにまっすぐ歌う部分が多かったですね。かわいかったり優しい部分もあるんですけど、割と力強い部分もあったりして。ちょっと前だとかわいい曲のときは「よし、まかせろ!」みたいな気持ちになっていたのと同時に、そうじゃない楽曲のときに「ナチュラルさってどういうふうに出せばいいんだろう?」ぐらいの感覚になったんです。でも最近「何も考えずに、“自分”で歌ったらいいんじゃない?」と言われたときにすごくスッと歌えるようになったので、この曲もそういう感じで歌いました。

――最近いろんな曲を歌うなかで培ってきたものが、ここでも自然と出ているんですね。

守屋 はい。それに、実はこのアルバム自体、どの曲も割とあまり作り込まずにレコーディングの日を迎えるようにしていたんです。自分の感覚的に「それがいいんじゃないかな?」という曲が多くて。なので私、練習はたくさんするんですけど、練習の時点でそこまで考えたり作り込んだりしなかった曲が多かったですね。

――『DIALOGUE+1』のとき(https://www.lisani.jp/0000182968/?show_more=1)に、失敗を嫌うところがあるといったお話をされていたので、そこは変化のように思いました。

守屋 あ!……そうなんですよ。スーパーネガティブで……。

田淵 「そうなんですよ」なんだ(笑)。

守屋 あはは(笑)。他の仕事でもそうなんですけど、帰り道で結構大反省会をするのがルーティンなんです。歩きながらずっと「あそこめっちゃよくなかったなぁ」みたいに考えたり……。そこは性格なのでやっぱり変わってないんですけど、でも作り込みすぎるようなことは、あまりなくなったかもしれません。

田淵 みんなそうなんですけど、特に守屋さんは歌に不安がなくなった感じがしますね。高いキーを揺れなく歌えるだけでも相当すごいのに、めちゃくちゃ練習してきてくれるのもあって、テイク数もとにかく少ないんです。そうすると、限られたレコーディング時間の中で本人がこだわりたいところにこだわるための時間が増えて、それだけ自然とクオリティが上がる。その“延長戦”の時間が、彼女のソロの力強さを結構決定づけているんですよ。あと彼女は歌があまり疲れないというか、通して歌ってもへっちゃらな人なうえに、そのほうが良いテイクが出ることが多い。流れで聴くことで「お手本どおりかどうか」よりも「いい表情で歌えているか」を重視できますし、通しで歌える人って結構限られるので、そこは抜群のアドバンテージになる。だから「練習してくれてありがとう」と「その声帯は神に授けられし、宝物だ……!」ということは、いつも伝えるようにしています(笑)。

――そうやってレコーディングされて生まれた新曲のうち、今回もリード曲以外の中から、守屋さんと飯塚さんに特にお気に入りやおすすめの曲をひとつずつお教えいただきたいのですが……。

飯塚 いっぱいあるんですけど、「FU-TSU-TSU-KA I love you」は大好きだけど話したから……「流星群の向こうで」にします。

守屋 おー。

飯塚 普段聴く曲としてはもっとかっこよかったりちょっと荒めの曲が好きなんですけど、この曲は歌割りとか「誰と一緒に歌う」か、その順番も含めて、デビュー曲とか「ぼくらは素敵だ」の頃のDIALOGUE+がよぎるような……メンバーで歌っている流れが聴こえてくるので。5年分の各々の成長も感じられつつ、変わらない私たちの組み合わせのハーモニーみたいなものを耳で感じ取れるところが、すごく大好きです。しかも最後は全員が息を吸うところで終わるので、「えぇ?『透明できれい』も?」って思ったりしますね(笑)。

――歌うときにも、いろいろこだわられたのでしょうか?

飯塚 この曲は最初から「この4人」「この4人」みたいに歌割りが決まっているところも多かったので、そこは一緒に歌う相手や前後の流れをよく考えながらレコーディングできました。

田淵 最初4人で歌ってその後にもう4人で歌うというのは、「ぼくらは素敵だ」と同じ譜割りなんです。そういうものを通して、アルバムの最後に“全員で歌ってる感”みたいなものが出たらいいんじゃないかな、と思ったんですよね。あと、この曲は『3』の中では最後のほうに作ったので、その前にソロが印象的な個性の強い曲が出揃っていた……という理由もあります。

――ちなみにこの曲の飯塚さんパートの中で、田淵さんが特に良かったと思われているものはありますか?

田淵 2番の「ねえ どこに行くんだろな」のソロは、特に良かったですね。これは前にもお話しした気がするんですけど、飯塚さんの歌ってとにかくシンガーの発声をしているので、歌が強いんです。デビューの頃は消耗しないかどうか怖くてあまり高い音を出させたくなかったんですけど、今の彼女の「声が強いし、高いキーも行ける」という歌声は非常に魅力的なので、そこが一番いいところが出るようにしたい。意図的にパワフルに歌える人の歌声をなるべく生かしてあげたいと思っているので、それが発揮されているそのソロは、やっぱりすごく好きですね。他の曲だと、「これは訓練ではない」の2サビのソロとかも。ちなみにそこの、1番は複数人なのに2番はソロというのは初めての試みなんですよ。

飯塚 「2サビ、みんなで歌わなくてもいいじゃん。1番と2番が違っててもよくない?」みたいなお話があって。

田淵 それこそ『2』のとき(https://www.lisani.jp/0000223182/2/?show_more=1)の飯塚さんの「サビでソロを歌い継いでいくような……」という話 がヒントになったんですよね。他にもメンバーとする話は、制作のうえで結構ヒントになっています。

守屋 その「これは訓練ではない」のまゆは、最後のロングトーンもめちゃめちゃいいので、マジで聴いてほしいです!

飯塚 嬉しい……!逆に私は「ユートピア学概論」のスタートのきょんちゃんがすごく好きで。きょんちゃんっていろんなことができるんですけど、「Stand-by now, よっしゃ!」を聴くと毎回「ありがとー!」って思うというか(笑)。「やっぱりきょんちゃんだよなぁ」っていうポイントです!

次ページ:“今のDIALOGUE+”を表す曲は、「王道」と「新しい風」?

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