大きな感謝と愛を、温かなリード曲に詰め込んで――DIALOGUE＋ 3rdアルバム『DIALOGUE＋3』リリース記念スペシャル対談 PART2：稗田寧々・村上まなつ×田淵智也

村上のベストテイクは、ライブでのMCを回収するようなあのパートに

――逆に田淵さんから見た、その他の曲も含めたこのお2人の本作でのベストテイクについてお教えいただけますか？

田淵　そうですね、この2人も良いテイクがいっぱいあるんですけど……でもレコーディングのときに感じる根性みたいなものってテイクにこもりますし、そのやり取りを覚えているという意味では、「FU-TSU-TSU-KA I love you」の1番Bメロの稗田さん？

村上　あー……！

田淵　自分が思い描いてる「こういう『うーんえっと』だったらいいな」という理想形のようなテイクだったので、それはすごい感動しましたし、本人もここはすごく好きだと言っていたのもあってテイクも良かったし……。稗田さんはやっぱり、全体的なアベレージがむちゃくちゃ高いんですよ。だから「困ったときの稗田頼み」みたいなところもあって。「ここで期待を込めて他の子にソロを回すんだけど、そのあとに稗田さんが回収してくれるので、自分が狙ったとこじゃないかもしれないけど稗田さんの輝きは衰えない」という役割を担ってくれるときのソロもすごく好きだし、そのテイクがあることで僕も安心してセレクトができるんですよね。

稗田　ありがとうございます！

田淵　村上さんに関しては、さっきも話題に出た「dialogue＋kawaii」の最後の「出会ってくれて本当にありがとう」。これは今年1月の“DIALOGUE＋ LIVE 2024「LIFE is EASY？」”での彼女のMCを聞いて感動したNeko Hackerのかっさんが引用した部分なんですね。そこを全員で言うという案もあったんですけど、「ここはやっぱり村上さんがひとりで言わないとダメだろ」ということで。自分が一生懸命考えて伝えた言葉を歌でもしっかり回収するということを、絶対聴く側も望むはずですから。でも、それを最初からソロとして振っていなかったのは“最初からそのつもり”でやっても意味がないから。一生懸命臨んだときに期待通りかそれ以上のものが出ているかのほうが大事ですからね。でもそうしたら、ものすごい濃度のある真心のようなものを感じるテイクだったので、「これは選ばなきゃダメだろう」と思って（笑）、セレクトしたのを覚えています。

――そして今回のアルバムは、田淵さんが「一度DIALOGUE＋の音楽を完成させる」と宣言されて生み出された1枚です。そんな本作を経て、今のDIALOGUE＋を表す曲を作るとしたら、稗田さんと村上さんはどういうものがいいと思われますか？

村上　「DIALOGUE＋といえば、こういう曲」というイメージって、結構確立されてきていると思うんです。それこそすごいハイテンポだったり早口パートがあったり、田淵さん独特の言葉まわしがある楽曲だったり……だから“原点に戻る”ではないですけど、「『DIALOGUE＋』を辞書で引いたら、まずこの曲が出てくるわ」ぐらいの曲を1回やるのも楽しそうというか。それこそ私たちの真骨頂ではないですけど、めちゃめちゃいい曲ができるんじゃないでしょうか？

――いろいろな曲を歌われてきた今、改めてド真ん中の曲をもう1回。

村上　はい。いろんなことを経験してきた私たちだからこそ、「同じようなことをやっているだけの曲」にはならない気がしていて。そこに自然と、積み重ねてきたものが出るんじゃないかなと思います。

稗田　私も似た感じで考えていたんですけど、ちょっと違うところがあって……今回のアルバムを通して聴いていると、今まで言われてきていた“らしさ”とまた別に、「でもこういうのも私たちらしいよね」みたいなものが増えているように思うんです。いろんな楽曲を歌ったりライブをたくさん積み重ねてきたことで、手数や可能性みたいなものがすごく広がったから、「“私たちを表現するもの”が1個じゃない」感覚が、私にはすごくあるんですよ。だから私も「自分たちらしさに全部を振った曲」とは思うんですけど、その“DIALOGUE＋らしさ”が1個じゃないから……。

村上　たしかに！言われてみれば、いろんな“らしさ”があるよね。熱いものを伝えるのもDIALOGUE＋らしさだし……。

稗田　温かいものを伝えるのもDIALOGUE＋らしいからね。

――もしそういう曲を実際に制作するとなったら、まずは打ち出したい“らしさ”についての話から始まるのかもしれませんね。

田淵　そうですね。ただ、今のDIALOGUE＋って、「こういうの、DIALOGUE＋っぽいですよね」という曲を僕以外の作家の人たちが作ってくれ続けた一つの集大成だなと思っていて。そういう意味で、やっぱり最初から付き合ってくれてるONIGAWARAや瀬名（航）くんや広川恵一くん、あとは途中から加わってくれた林（直大）くんみたいなすごい仲間に「僕が逆立ちしたら、ちょっと書けるかも」というポイントがもう上書きされちゃってる状態だから、今は「結局僕の強みってなんだっけ？」というところに迷い込んでるかもしれない（笑）。

村上　えぇ!?

稗田　お！逆に……。

田淵　でも「田淵っぽい」をそのままDIALOGUE＋に……となると、やっぱ“超速い”になってくるのかな？僕、なぜかDIALOGUE＋に「大冒険をよろしく」以上に超速い曲が書けないんですよ。他の人に超速い曲を提供したことはあるんですけど……なぜなんでしょうか（笑）。超速い曲には不思議な縁もあるし、もう1回書いてみたいですけどね。

――どんな縁があるんですか？

田淵　楽曲提供をやめようかなと考えていた時期に仲間が指名してくれて、そこで手癖全開で「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪！」という超速い曲を書いたら、それが評価されたうえに実はDIALOGUE＋のオーディションの曲になりまして。その系譜を受けて「はじめてのかくめい！」や「大冒険をよろしく」が生まれたんですけど……今回のアルバムだと「ユートピア学概論」は、もう1回「田淵、いいからこういうの作っとけよ」という曲を狙って作って、自分でもすごく気に入ったものができたんですよ。だからきっとまた「やっぱ自分にできるのはこれしかないしな」という機運が巡ってきて、もっと速い曲を出せるかもしれない……とは思っていますけどね。

稗田　そのときは、ぜひやってみたいです！

●リリース情報
3rdアルバム
『DIALOGUE＋3』
9月18日発売

【きゃにめ限定盤（CD+2BD＋Instrumental CD）】

品番：SCCG-00163
価格：￥8,800（税込）
※フルカラーブックレット(32P)

【初回限定盤（CD+Blu-ray）】

品番：PCCG-02384
価格：￥6,600（税込）
※フルカラーブックレット(32P)

【通常盤（CD only）】

品番：PCCG-02385
価格：￥3,500（税込）

＜CD＞※全形態共通
1.FU-TSU-TSU-KA I love you
作詞・作曲：田淵智也　編曲：Akki
2.everything!
作詞：竹内サティフォ　作曲・編曲：ONIGAWARA
3.ユートピア学概論
作詞・作曲：田淵智也　編曲：瀬尾祥太郎(MONACA)
4.たびのとちゅ
作詞：古屋真　作曲・編曲：星銀乃丈
5.誰かじゃないから
作詞：大胡田なつき　作曲・編曲：成田ハネダ
6.にゃんぼりーdeモッフィー!!
作詞：田淵智也　作曲：瀬名航(SOVA)　編曲：瀬名航(SOVA)、Neko Hacker
7.凍てついて秒速
作詞：田淵智也　作曲・編曲：照井順政
8.これは訓練ではない
作詞・作曲：林直大(SOVA)　編曲：林直大(SOVA)、Nor、堀江晶太
9.イージー？ハード？しかして進めっ！
作詞・作曲：田淵智也　編曲：伊藤翼
10.かすかでたしか
作詞・作曲：田淵智也　編曲：広川恵一（MONACA）
オーケストラアレンジ：滝澤俊輔（TRYTONELABO）
11.dialogue＋kawaii
作詞・作曲・編曲：Neko Hacker
12.わたしたちのラプソディー
作詞：大胡田なつき　作曲：瀬名航(SOVA)　編曲：中山真斗
13.流星群の向こうで
作詞・作曲：田淵智也　編曲：広川恵一(MONACA)

All songs produced by 田淵智也

＜Blu-ray　DISC1＞※初回限定盤・きゃにめ限定盤共通
「FU-TSU-TSU-KA I love you」MV
「FU-TSU-TSU-KA I love you」メイキング
「everything!」MV
「流星群の向こうで」REC MV
LIVE 映像
「ログ×ギグ」セレクション(2024年3月30日開催)

＜Blu-ray　DISC2＞※きゃにめ盤のみ
「DIALOGUE＋BOX THE LIVE!!!! vol.2」セレクション(2024年3月30日開催)
「流星群の向こうで」楽曲制作ドキュメント(ボーカルREC/楽器REC/振り入れ/トラックダウン)

＜Instrumental CD＞※きゃにめ盤のみ
アルバム楽曲のインストゥルメンタル13曲