INTERVIEW
2024.09.18
――ちなみに、新曲の中での田淵さんから見たお2人のベストテイクみたいなものをお聞きしたいのですが。
田淵 まず鷹村さんは、その「流星群の向こうで」のサビのソロですね。今までそんなに「サビで彼女に任せる」ということをやっていなかったんですけど、ここは任せたくなるだけの仕上がりでした。鷹村さんはレコーディングでもできた曲をライブで歌うときにも、本当に毎回頑張っているのでいいテイクが録れるんですけど、他のメンバーと並べて聴くと何かが1個足りない……ということが多かったんです。だから「こういうところでソロ取るタイミングが来たらすげぇ嬉しいな」とずっと思っていたなかで、そのパートの歌声を聴いたときに「来たんじゃない!?」と感じて。実際並べていっても一番良かった……という経緯があったので、ここは僕的にも嬉しいソロでした。
鷹村 こここそ、全部歌った後に私が録り直しをお願いして、「こういうふうにしたい」って伝えたところですよね?
田淵 あー、そうだ!
鷹村 それで何度か録り直しさせてもらったぐらい、こだわらせてもらいました。
田淵 内山さんはどっちにしようかなぁ……よく話に出すのは、「everything!」の落ちサビの「どんな問題?運勢超最悪だけども君に出会えた」で、奇跡のテイクが録れたことで。独特の揺れと、歌詞の世界感にぴったりな“切なさ感”みたいなものを兼ね備えたテイクが、2テイク目に出てきたんですよ。そういう「これ言ってくれたらめちゃくちゃ刺さる」というニュアンスが出たときの内山さんは説得力がすごくて、ピッチとかも直さず純度の高いままお客さんに届けたくなるんですけど、その感覚が特に強かったソロなんです。
――ちなみに、迷われていたもうひとつとは?
田淵 「これは訓練ではない」の1番Aメロの「最新型のイヤホン 逆相で張り付く静寂」ですね。クールめな曲だと内山さんの登場回数ってあまりないんですけど、これはレコーディングのときからすごいハマっていたです。内山さんって、意識して「かっこつける」といい方向に働かないこともあるから、だいたいはあまり作らずに歌ってもらうんですね。でもその中で、ここは曲との温度感に合っているうえに寄り添い過ぎてもいなくて、ちゃんと内山感 が残っている……というすごくバランスのいいソロで。「かっこいいのもいけるじゃん!」と思わせてくれた、いいテイクでした。
――さて、この『DIALOGUE+3』は、田淵さんの「一度DIALOGUE+の音楽を完成させる」という宣言のもと作られたアルバムです。それが完成した今、もし今のDIALOGUE+を表す曲を作るとなったら、内山さんと鷹村さんはどんな曲がふさわしいと思いますか?
内山 なんだろう……?もうほんっとになんとなくニュアンスですけど、「強い」感じ。
鷹村 漠然としてるねぇ(笑)。
内山 ほんとにニュアンス(笑)。物理的な「強い」でもいいですけど、意志の強さみたいな意味合いでもいいし……強くなったよね?私たち。
鷹村 うん。私たち強くなった。
内山 なんだか私、だんだん装備品を手に入れたような気持ちがしているんですよ。DIALOGUE+の活動をしていて。「あ、やっと装備揃ってきた」みたいな気持ちがあって(笑)、全ての装備をちょっといいもので一式揃えられたみたいな感じがあるんです。
田淵 その「強い」を言葉どおりにとらえるなら、まさにそれにぴったりな、今DIALOGUE+に書いている曲の歌詞で「他の声優はこういうこと言わないよな」みたいなものがあって……別に炎上するような内容ではないんですけど(笑)。例えばすごく自信満々なことであったり、「私たちは私たちだ」という“DIALOGUE+にしか言えない言葉”は存在する。それが内山さんの言っていることのように思いますね。
鷹村 私……今回だと例えば「everything!」とかがそうだったんですけど、レコーディングのときには「今のDIALOGUE+にぴったりな曲だ!」と感じても、世に出てログっ子のみんなが聴くときにはもうそこから少し成長しちゃっているから、「ちょっと前の私たちだな」と思うことが多いんですよ。私たちたぶん、新幹線だから(笑)。
田淵 新幹線は速いなぁ(笑)。
鷹村 だから未来を予測して、録るときには「ちょっと無理かな?」みたいな曲だったら、出るときにはリアルタイムで“今の私たち”を届けられるのかな?なんて思うんですけど……あと、これもほんとにほんとに例えばなんですけど!他のアーティストさんだと、「メンバーの誰かが作詞やラップで一部分だけ参加」みたいなことがあるじゃないですか?でも今までDIALOGUE+のメンバーがそういうふうに曲に干渉したことってないので、もしそういうことができたら、そこでも今のDIALOGUE+を表せるように思います。
田淵 いま鷹村さんが言ってくれたようなことこそ、「1回音楽を完成させる」ということの意味だと思うんですよね。これまでは自分たちのストーリーと「DIALOGUE+ってこういうライブをやるよね」というブランディングみたいなものを第一にしてきたんですけど、一度完成させ終わった後って割といろいろなことを自由にできるフェーズに突入するので、「面白そうだからやってみていいんじゃない?」ということを企画モノみたいな形でできるようになってくる気がするんです。ただ、ここから先は「新曲を闇雲に出していく」という必要はないとも思っていて。自分の中でも割と納得のいく形で3部作もできましたし、時代的にもフルアルバムってみんなのユーザー体験にあまり合っていないから、逆にこれからは1曲単位で曲を出していくなかで面白いことができるかもしれないですね。
●リリース情報
3rdアルバム
『DIALOGUE+3』
9月18日発売
【きゃにめ限定盤(CD+2BD+Instrumental CD)】
品番:SCCG-00163
価格:¥8,800(税込)
※フルカラーブックレット(32P)
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:PCCG-02384
価格:¥6,600(税込)
※フルカラーブックレット(32P)
【通常盤(CD only)】
品番:PCCG-02385
価格:¥3,500(税込)
<CD>※全形態共通
1.FU-TSU-TSU-KA I love you
作詞・作曲:田淵智也 編曲:Akki
2.everything!
作詞:竹内サティフォ 作曲・編曲:ONIGAWARA
3.ユートピア学概論
作詞・作曲:田淵智也 編曲:瀬尾祥太郎(MONACA)
4.たびのとちゅ
作詞:古屋真 作曲・編曲:星銀乃丈
5.誰かじゃないから
作詞:大胡田なつき 作曲・編曲:成田ハネダ
6.にゃんぼりーdeモッフィー!!
作詞:田淵智也 作曲:瀬名航(SOVA) 編曲:瀬名航(SOVA)、Neko Hacker
7.凍てついて秒速
作詞:田淵智也 作曲・編曲:照井順政
8.これは訓練ではない
作詞・作曲:林直大(SOVA) 編曲:林直大(SOVA)、Nor、堀江晶太
9.イージー?ハード?しかして進めっ!
作詞・作曲:田淵智也 編曲:伊藤翼
10.かすかでたしか
作詞・作曲:田淵智也 編曲:広川恵一(MONACA)
オーケストラアレンジ:滝澤俊輔(TRYTONELABO)
11.dialogue+kawaii
作詞・作曲・編曲:Neko Hacker
12.わたしたちのラプソディー
作詞:大胡田なつき 作曲:瀬名航(SOVA) 編曲:中山真斗
13.流星群の向こうで
作詞・作曲:田淵智也 編曲:広川恵一(MONACA)
All songs produced by 田淵智也
<Blu-ray DISC1>※初回限定盤・きゃにめ限定盤 共通
「FU-TSU-TSU-KA I love you」MV
「FU-TSU-TSU-KA I love you」メイキング
「everything!」MV
「流星群の向こうで」REC MV
LIVE 映像
「ログ×ギグ」セレクション(2024年3月30日開催)
<Blu-ray DISC2>※きゃにめ盤のみ
「DIALOGUE+BOX THE LIVE!!!! vol.2」セレクション(2024年3月30日開催)
「流星群の向こうで」楽曲制作ドキュメント(ボーカルREC/楽器REC/振り入れ/トラックダウン)
<Instrumental CD>※きゃにめ盤のみ
アルバム楽曲のインストゥルメンタル13曲
DIALOGUE+オフィシャルサイト
https://dialogue-music.jp/
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