――小日向さんと林さんも、最新Singleの表題曲「端程山」はMyGO!!!!!にとって特別になった実感はあるのでしょうか?
林 MyGO!!!!!はテンポの速い楽曲や、自分の中に閉じこもっているような楽曲が多いなか、「端程山」は歌詞に“ひとやすみしよう 荷物をおろして”というフレーズがあるように、ここまで進んできた自分も、先に進む自分も肯定しつつ、でも休憩することも肯定してくれている気がしていて。その意味でひとつ大人になった楽曲だと感じています。
小日向 燈ちゃんの成長を感じられる楽曲だよね。“僕”ではなく“僕ら”と歌っているところもそうだし、最後は“今日までの僕らを褒めてあげよう”で終わるところも、「燈ちゃん、そんな歌詞を書けるようになったんだ……!」と感動してしまって(笑)。
林 たしかに!「名無声(なもなき)」で“「みんな」には なれないみたい ”って歌っていたときからは想像できないよね(笑)。
小日向 私も「端程山」のメロディが大好きで、最近は毎日聴いているくらいなんです。それこそ、この間、上海でMyGO!!!!!のトークショーに出演するため、初めて海外に行ったのですが、飛行機などの地に足をつけていない乗り物が苦手で…。
林 そうだ!MyGO!!!!!メンバーのグループLINEがあるんですけど、(立石)凛から「美香が、飛行機が苦手らしくて全然来ない……」みたいな報告がきて(笑)。
小日向 そう、乗る前から緊張でお腹が痛くなってしまって(苦笑)。
林 出発前に話したときは「飛行機の中で〈ハリー・ポッター〉を観るんだ」って楽しみにしていたのに(笑)。でも、数時間後に美香から「無事に到着しました!」っていう連絡がきて安心しました。
小日向 結局、「ハリー・ポッター」は緊張であまり集中して観られなかったのですが、心を落ち着かせるために「端程山」をずっと聴きながら外を眺めていました。
――「端程山」には精神を安定させる効果があると(笑)。
豊田 ほかにも、MyGO!!!!!の楽曲を聴いて自分の力になることはありますか?
林 “聴いて”だけではなく“演奏していて”にもなるのですが、「音一会(おといちえ)」はやっぱりグッときます。“「ありがとう」”と叫ぶのもいいですし、最後にシンガロングできるパートがあって、ライブではお客さんが一緒に歌ってくれるんですよ。その瞬間は、本当に何にも代えがたい時間で、すごく感動しますし、元気をもらえます。
小日向 わかる!私は「輪符雨(リフレイン)」に力をもらえます。後悔や諦めきれない思いを抱えたままでもいい、「このままでいいんだよ」と肯定してくれる楽曲で。「ガルパ」のストーリ―的に、そよちゃんのことも重ね合わせられますし、私自身も今まで後悔することが多くて、「このままでは前に進めないな……」と落ち込むことが多かったのですが、それさえも肯定してくれるところが自分の心に刺さります。辛いことがあっても前に進みたいときはこの曲を聴くことが多いです。
――「輪符雨」は小日向さんの気持ちに寄り添ってくれる曲なんですね。先ほどのラジオ番組の収録で、林さんがMyGO!!!!!の楽曲の魅力について「誰かの気持ちに寄り添ってくれるところ」といった旨のお話をされていましたが、その意味で「端程山」はどんな気持ちに寄り添う楽曲だと思いますか?
林 私はやっぱり“ひとやすみしよう”という歌詞が大きいと思います。頑張っている人にとっては「頑張れ」という言葉がしんどく感じることもあると思うし、ただ話を聞いてほしい瞬間、ボーッとしている時間を肯定してほしい瞬間というのもあると思っていて。疲れたときにはちゃんと休んだほうがいいし、休んだことで見える景色もきっとある。「端程山」はそういうことを歌ってくれている曲だと思います。
それと私は2番の“僕は少し上を向いて 歩くことができてたのかな”という歌詞がすごく好きで。役者のお仕事をしていると、誰かと比べて気持ちがしんどくなる瞬間がよくあるのですが、それは自分自身に向上心があるからということを、この歌詞が気付かせてくれました。
――ラジオのインタビューでは、7月27日・28日に行われたMyGO!!!!!の6th LIVEの感想を話されていましたが、同ライブで初披露された「端程山」を演奏する際に心がけていることを、リズム隊のお二人に聞いてみたいです。
林 「端程山」は歌詞の内容がしっかりしている分、それに浸ってしまって演奏のダイナミクスをおろそかにしてのっぺりしてしまいがちなので、特に後半にかけての盛り上がりを意識して演奏しています。
小日向 BPMがゆっくりめだと演奏がこじんまりしてしまいがちなのですが、やっぱり「端程山」は壮大な感じを出したい楽曲なので、全体のダイナミクスを意識するのは大切なことで。私は特にドラムの音を聴いて、演奏の雰囲気を作るようにしています。鼓子ちゃんが2番のサビ前の連打するところで、すごくクレッシェンドをつけてくれるので、私もそれに乗っかってサビに向けてギュンと上げることができて。
豊田 そういう意識を持つようになったのは、これまでにライブを重ねてきたからですか?
林 「端程山」に限っての話になると、リハでみんなと合わせたときに、「いい曲なんだけど、なんか“いい曲”だけで終わるよね」という話になったのがきっかけです。6th LIVEでは、ほかにも「輪符雨」と「処救生(こきゅう)」を初披露したのですが、その2曲は特徴的な部分があるなかで、「端程山」は全体の雰囲気を重視するタイプの楽曲なので、「端程山」も印象にしっかり残るものにしたいという思いがありました。
それと「端程山」とは関係なく、演奏の際にダイナミクスをより意識するようになったのは、前回のSingle「回層浮(かいそう)」のときからでした。私は吹奏楽の経験があるので、ダイナミクスを意識することに慣れていたのですが、「回層浮」は全員でそれを意識しないとあの独特の雰囲気を表現することができなくて。それを経ての「端程山」だったので、もう少し印象付ける演奏をしたい、という話になりました
小日向 たしかに。「回層浮」のときに、演奏のダイナミクスについて本当に細かく話し合いをしたんです。それが緩急のある演奏をより意識するきっかけになったと思います。
――今のお話は、バンドとしての演奏技術や熟練度が上がったからこそできるようになったことだと思うのですが、お二人が成長を感じる瞬間は?
林 個人的な話では、スタッフさんから「音にムラが出ないようになった」「スネア、バスドラ、シンバル、そのときどきによってどの部分を強調して演奏すればいいのかわかってきた」と言っていただけたのが嬉しかったです。バンドとしては、みんなで合わせる意識が強くなって、落ち着いて演奏できるようになったこと。6th LIVEの1日目が終わった後、みんなから「クリックが遅く聴こえた」という話が出たんです。それはつまり、自分たちの演奏が走っていたということで、「2日目はもう少し落ち着いて演奏しよう」という話になったんですね。そうやってみんな楽曲を冷静に捉えて演奏できていることに、私は感動しました(笑)。
小日向 私はステージに立つと緊張してしまって、どの音を聴けばいいのかわからなくなることが多かったのですが、ライブを重ねるごとに、それがわかるようになってきました。ライブやリハのときも、耳中の環境を作るのに時間をかけてしまうのですが、6th LIVEの本番では一発OKになりまして。耳中のバランスもだんだん定着してきているところが、自分の中での成長だと感じています。
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