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INTERVIEW

2024.09.06

5つのエレメントをテーマに作り上げられた楽曲で構成されるコンセプトEP「ELEMENTS」が完成!本作に込めた想いを寺島拓篤に聞く

5つのエレメントをテーマに作り上げられた楽曲で構成されるコンセプトEP「ELEMENTS」が完成!本作に込めた想いを寺島拓篤に聞く

最初に出来たのは水のエレメント曲。そして……

――そんな「サマエルとの邂逅」によって導かれていく5つのエレメントの歌ですが、そもそもは「ヒカリハナツ」があったからこそ作った一枚。エレメンツは光を司るこの曲ですが、配信シングルだったもののこのEPにおける役割はどのようなものでしょうか。

寺島 単純に光のエレメントとしてはめただけ、という感覚です。結果、作ってみたら全曲がバラバラの仕上がりになったので、変に埋もれることも悪目立ちすることもなく、ちょうどよくはまっている気がします。

――「ヒカリハナツ」を作ったのはだいぶ前のことでしたが、この曲を作っていたときにはどんな風になっていくと想像していましたか?

寺島 「転スラ」の配信エピソードの、3話限定の主題歌ではあったのですが、個人的には「転スラ」で「Nameless Story」をやらせてもらった身として、次の看板になるような、「寺島拓篤が歌う『転スラ』主題歌としての代表作第二弾!」くらいの看板曲のイメージだったんです。それくらいメジャーな感じがして、中身としても「Nameless Story」を継ぐような内容になって、正直すごくいいものが出来たなという満足感があった楽曲なんです。このEPにはめたことで、その枠から外れて、ちゃんと「光」のエレメントとして独立した形になったのは、面白い生まれ変わり方をしたなと思いました。

――そして風、火、水、土、とそれぞれのエレメントが用意されましたが、それぞれのエレメントをイメージして発注されたのでしょうか。

寺島 様々でした。でも「ヒカリハナツ」があったおかげで大胆な曲作りが出来たというか。「ヒカリハナツ」がもう既にリード曲然としているので、これがあるならほかの曲は思い切ってみてもいいかも、って感覚だったんです。攻めた作り方というか、各エレメントに極端に寄り添った作り方をしてみようと思って。最初に手掛けたのは「すいとうめもり」(水のエレメント曲)だったんですけど、普通に車を運転しながらラジオから流れてきた曲で「こういう曲が欲しいな」とピンときたことがあったんです。そのときまさに演じていた『バーテンダー』という作品のなかに、辛いことやしんどいことも全部合わせて熟成させることが出来るのが大人なんだよ、というメッセージがあったのですが、そういう大人の癒しみたいな曲が書けたらいいなぁ、と思って、お酒とか水とかいろんなものを混ぜてぽっと光が灯る、灯篭流しの水燈をイメージしたんです。疲れているけど、ほっとする感じになる曲を作りたいと思って最初に浮かんだのが「すいとうめもり」だったので、本当に極端なところからEP制作はスタートしました。

――そこからはどのように進んでいったのでしょうか。

寺島 「すいとうめもり」は環境音とかSEのミキシングを用いて制作して欲しい、と話をしたのですが、そこから次の曲はどう進めていこうかなと考えたときに山田マン(作曲家・山田高弘)に曲を書いてもらいたい、という気持ちになったんです。彼の作るメロディは気持ちを軽くしてくれるところがあったり、ぐっとさせるところもあったり、自然と心が動くものを作るんですよね。すごく素敵な曲を作ってくれるなという印象が一番にあったので、「風」をお願いしました。今回、「風のエレメント曲」はどういう立ち位置の曲にしようかと迷ったんです。疾走感もいいし、アップテンポな感じのイメージもありますが、どちらかというとかっこいいものより爽やかで、テーマパークのパレードのようにみんなを引き連れていくようなイメージの楽曲を作れたらいいなと思って。僕の音楽活動は、ファンのみなさんにお返しをしたい、みんなでライブをしたい、その想いに紐づいていくので、みんなで一緒にいこうぜ、と爽やかに歌える曲がいいな、と山田マンにお願いしたら、すごくいい曲があがってきました。さらに平田さんのアレンジがまた僕のイメージを見事に体現してくださっていて、歌っていても楽しくなりますし、EPの幕開けとしてもふさわしい一曲になりました。

――では火のエレメント曲「Back to the 本能路」はいかがですか?

寺島 この曲はコンペで選ばせていただきました。単純に、風の曲がライトで明るい感じだったので、火の曲ではちょっと重めのかっこいい曲をやりたいです、とお伝えしました。4曲くらい候補があったなかの一番初めに聴いたこの曲に決めたのですが、デモを聴いた瞬間に「絶対にこれだ」と即決でした。最終的にすべての曲を聴きましたが、気持ちは変わらず、そのままこの曲に決定しました。ギターのスラップの感じもすごくかっこよくて、ボカンボカンと湧いてくるようなイメージにも繋がったので。歌詞に関しては、今回のボイスドラマでも、「オタクの本能が停滞しているんじゃないの?」みたいなセリフがあったりして、オタクの本能を活性化させるという意味でも爆発力のあるものにしようと思ったら、「火」と「本能」で「本能寺」をもじったものにしようと思いました。かっこいいんだけどちょっと変な歌詞にしたくて、今までやらなかったくらいに大胆な言葉選びをしたような気がします。

――それもさっきおっしゃっていた「大胆な曲作りが出来た」という言葉に繋がっていくんですね。

寺島 繋がります。自分でも「なにこれ(笑)」と思いながら書きましたから。

――実際この「Back to the 本能路」の言葉選びはこれまでの寺島さんの楽曲でも見たことのないような歌詞ですね。

寺島 聴くとかっこいいんだけど、よくよく見ると面白い感じに見えるような作りにしました。

――今までずっとご自身で歌詞を書き続けてきたからこそできた歌詞かもしれないですね。

寺島 そうだと思います。やっぱり積みあげてきたものは大事なんだなと思ったし、積みあげなければ崩せないですし、崩した中からまだやっていなかった新しい組み合わせみたいなものも出来た。めちゃくちゃな作りになっていると思いながらもやっぱりロジカルなところもある。今の寺島が作る歌詞としては非常に面白いものができたなと思っています。

――では土のエレメント曲「明けの地平」はいかがですか?

寺島 どういう曲にしようかと一番悩んだ曲でした。じっくり考えていった結果、乾いた大地の地平線から朝日が昇ってくる景色がパッと浮かんだんです。ひと言で表すのなら「黎明」みたいな、綺麗な曲があったらいいなぁ、と思って作りました。バラードにして、この5曲のなかでもちゃんと際立った存在にできたらいいなと思って、発注をかけましたね。

欲張りになった寺島拓篤を楽しめる『ELEMENTS』

――ジャケットは三輪士郎さんが描かれています。出来上がったものをご覧になってどのような印象でしたか?

寺島 三輪さんとはかつてイラストを描く連載をやらせてもらっていたことがあって、そのときの師匠なんです。今までお仕事を依頼したことはなかったんですけど、好きなイラストレーターさんに自分の絵を描いて欲しいという欲があって、今こそ三輪さんに!と思ってお願いしたら、予想以上に素晴らしいものをあげていただきました。サマエルは「ギザギザの歯」とか「つり目」といったピンポイントなイメージだけをお伝えしたのですが、あがってきたキャラの立ち絵を見て「めっちゃ素敵!」と、スタッフと一緒に感動してましたね。構図に関してはお任せしていたんですが、僕が最初にイメージしたものとほぼ一緒だったので、びっくりしちゃいました。やっぱり曲がりなりにも師匠と弟子なんだなと思うと嬉しかったです。しかも当時の連載の内容なんかも背景に忍ばせてくれているんです。僕と三輪さんにしか出来ない中身になっていることがすごく嬉しくて、めちゃくちゃ感動しました。

――ライブをするために音源を作る寺島さん。久々となるツアー開催。このツアーでは、これまで演じてこられたキャラクターの歌をカバーするとのことですが、いかがですか?

寺島 音楽活動5周年のときにも冬馬と音也の曲をカバーをさせてもらったんですけど、今回声優20周年というところにフォーカスを当てようとなったとき、かかわった作品の楽曲をカバーすることで自分の活動を振り返ってみたいと思ったんですね。歌を表現方法としている人たちを演じる機会に恵まれていて、彼らと対話しながら演じることで、彼らの表現を模索したり、対話する時間が増えていったと思っているんです。ライブをすることにあたって力を借りるのであれば彼らだろうなというメンツと、デビューのきっかけとなった『創聖のアクエリオン』を選出させていただきました。声優20周年というタイミングで、コンセプチュアルなCDを作って、ライブをやると決めたときにこのメンバーがいたということはもう運命ですよね。さだめみたいなものがあったのかな、と感じております。

――これで一気に駆け抜ける2024年。ツアーの意気込みと共に後半戦をどう駆け抜けるかをお聞かせください。

寺島 目の前のことに順番に向き合っていくしかないと思っています。でもファンのみなさまが楽しみにしていてくださることを、みんなが思っている以上に楽しくできるように、一つひとつをやっていけたらいいなと思っています。この「ELEMENTS」というEPから繋がるライブを成功させたいですね。

――最後に『ELEMENTS』をどのように楽しんでもらいたいですか?

寺島 今までよりも欲張りになってしまうのですが、「寺島拓篤でよかったな」と思ってもらえたらいいなと考えています。ようやく僕にも、ちょっとずつポジティブなエネルギーが育ってきて、欲張りな部分も増えてきて、「寺島拓篤」の価値というものを応援してくれたみなさんにちゃんと還元できるよと自信を持てたので、胸を張って言えそうです。何も考えず、このCDの世界に飛び込んでください!絶対に楽しいですよ!


●リリース情報
寺島拓篤 Concept EP
「ELEMENTS」
9月4日発売

【初回限定盤】

価格:¥4,070(税込)
品番:LACA-35113
仕様:7inch紙ジャケット
三輪士郎先生描き下ろしイラストジャケット
動画視聴QRコード付きフォトカード

【通常盤】

価格:¥2,970(税込)
品番:LACA-25113

<CD>
1.ボイスドラマ「サマエルとの邂逅」
2.HAPPINESS is BLOWIN’ !
作詞:寺島拓篤 作曲:山田高弘 編曲:平田祥一郎
3.Back to the 本能路
作詞:寺島拓篤 作曲:SERRA 編曲:hidë
4.すいとうめもり
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:守尾 崇
5.明けの地平
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:春川仁志
6.「ヒカリハナツ」(完全新作アニメーション『転生したらスライムだった件 コリウスの夢』オープニング主題歌)
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:酒井拓也 (Arte Refact)

<ボイスドラマ「サマエルとの邂逅」あらすじ>
仕事部屋で台本や完成パッケージの整理をしている【寺島拓篤】。1冊の台本を開くと突如【サマエル】が現れる。サマエルはこの世界の創造主であり、人間が生み出した数々のフィクションを愛している「オタク」だった。
サマエル曰く、今のこの世界は人々の「欲望」が停滞しており、世界を構築する「元素エネルギー」が弱っているらしい。魂を震わせる音楽の力で世界の活力と調和を取り戻してほしいと話す。自らのファンを元気にするため、世界を活性化させるため、寺島は全国ツアーへ出発する…!

●ライブ情報
TAKUMA TERASHIMA LIVE TOUR 2024 -ELEMENTS-
2024年9月15日(日) 神奈川・横浜ベイホール 16:30開場 / 17:30開演
2024年9月29日(日) 大阪・GORILLA HALL OSAKA 16:30開場 / 17:30開演
2024年10月6日(日) 愛知・Bottom Line 16:30開場 / 17:30開演

関連リンク

寺島拓篤アーティストページ
https://www.lantis.jp/artist/terashimatakuma/

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