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INTERVIEW

2024.09.06

「ステージや表現の場だからこそ出せる自分が好き」矢野妃菜喜、ソロアーティストとしての表現とライブを語る 4thシングル「キミといた夏を」インタビュー

「ステージや表現の場だからこそ出せる自分が好き」矢野妃菜喜、ソロアーティストとしての表現とライブを語る 4thシングル「キミといた夏を」インタビュー

劣等感や葛藤を乗り越えて自分を奮起させるような曲

――カップリング曲のうち「劣等、壊せ」は、重永亮介さん提供によるマイナー調のアップテンポなロックナンバー。こちらも矢野さんが作詞で参加しています(重永亮介との共作)。

矢野 声優はオーディションを受けるのが日常なので、人と比べられたり、悔しい思いをすることが多い業界でもあって。常に「隣の芝生は青い」というような気持ちがありますし、劣等感を感じることも多いのですが、この曲はそういう部分が強く出た楽曲だと思います。元々は「かっこいい曲がほしい」というところから始まったのですが、自分自身を含め、夢を追いかける人たちが必ずぶち当たる葛藤を表現できたらと思って、作らせていただきました。実は、元々重永さんが付けていた曲名は、今よりももう少し強い感じだったんですよ。

――「劣等、壊せ」もかなり強い言葉ですが、それよりもさらに?

矢野 はい。結構「これ大丈夫かな?」というワードだったので、個人的には好きだったのですが、さすがに私も変えたほうがいいかなと思いまして(笑)。その元々の強めな感じを踏まえて、強くてかっこいい感じの曲名にしました。

――歌詞もかなり語気の強いワードが並んでいますよね。始まりから“どうしてお前らは 勝手ばっか言って 人の痛みをわかろうとしない”ですし。

矢野 楽曲のかっこよさに引っ張ってもらった部分もありますが、日頃の鬱憤みたいなものが強めに出てるんじゃないかなと思っていて。普段はなかなか言いづらいこと、口にしないで我慢するようなことが結構出ているかもしれないです。でも、その冒頭のフレーズも、みんな思ってることだと思うんですよ。SNSが普及している時代ならではと言いますか。ただ、ずっと人のことを言っててもしょうがないので、劣等感や葛藤を乗り越えて自分を奮起させるような曲になっています。

――先ほどの「隣の芝生は青い」の話もそうですが、他人と比べてしまう気持ちを乗り越えるという意味では、これも矢野さんが以前に作詞した「ホンモノ」と近いメッセージを感じました。

矢野 たしかにそうですね。そういう感情は常にあるので、それが変化しながら色んな楽曲に入っていたりするのかもしれないです。「ホンモノ」は自分以外のことを思って書いた部分もあるので、必ずしも自分だけではないのですが、「自分はこういう人間なんだよ」というのをわかってほしい気持ちを書いたところがあって。「劣等、壊せ」は、劣等感もありつつ言っていることは前向きと言いますか、そういう感情を昇華していく楽曲なので、ライブで歌うことでまた変化していくのかなと思います。

――歌に関しては、「キミといた夏を」の抜けの良い感じとは全然違う声の作り方をしていて、声優ならではの声の表現の幅広さを感じました。

矢野 この曲の歌は重永さんにディレクションしていただいて、全体的にトーンを下げてかっこいい声で歌うようにしました。ただ、どんどん転調していく曲でもあるので、レコーディングしているうちに体力が無くなっていって……実はこのシングルに入っている3曲は、1日で全部レコーディングしまして。

――えっ!かなりハードなスケジュールだったんですね。

矢野 しかも最後に歌ったのが「劣等、壊せ」だったので、息切れしながら結構限界な感じでレコーディングしていました。

――それが逆に必死さというか、この楽曲の歌のワイルドさに繋がっているのかもしれないですね。

矢野 ライブでどうなっていくのかが楽しみな曲です。そもそも私が歌いきれるのか不安ではありますけど(笑)。

ぶっ飛んだ“タオル曲”が爆誕!矢野妃菜喜の色んな一面

――もう1曲の「ブルジョワタオル」は、ひたすらタオルのことだけを歌う、遊び心たっぷりの“タオル曲”です。

矢野 これは本当に「タオル曲が欲しい」というところから始まっていて。前作の「ポヤポノポ!」(3rdシングルの表題曲)がぶっ飛んだ楽曲だったので、タオル曲もちょっと変な感じの楽曲でもいいかな?って何となく思いながらお願いしたら、想像よりもヤバい曲がきました(笑)。私も「最高じゃん!」となって、レコーディングもとにかく楽しかったです。

――「ポヤポノポ!」はヒゲドライバーさんとYASUHIRO(康寛)さんが作った電波ソングっぽいノリのハイテンションな楽曲でしたが、矢野さんはそういうぶっ飛んだ曲を歌いたい欲があるんですか?

矢野 どうなんでしょう? この曲は、それこそ最初にお話した「ライブで楽しい曲」にしたくて、みんながたくさんコールできる曲になっているのですが、変な曲のほうが「なんでこんなこと叫ばされてるんだろう?」ってなって面白そうじゃないですか。頭のネジをどんどん外して楽しくなっていくのが、ライブの醍醐味でもあると思うので。

――たしかに“バリバリ 今治(タオル)”や“ハスハス(ハスハス)”というコール&レスポンスは意味がわからなすぎて逆に盛り上がりそうです(笑)。気になっていたのですが、今治タオルとはタイアップか何かをしているのですか?

矢野 タイアップではないのですが、今治タオル協会さんには一応確認を取って、OKをいただいています。

――わざわざ確認を取ったんですね(笑)。

矢野 なので、ライブでグッズを作る際は今治タオルで考えています(笑)。この曲が生まれたことによって、グッズタオルの打ち合わせをめちゃくちゃしているんですよ。ふわふわな今治タオルも欲しいですし、そうじゃないタオルも欲しいですし。今までタオルに特別こだわりはなかったのですが、急にタオルに詳しくなってきました。

――楽曲的にもパンキッシュでノリの良いバンドサウンドをベースとしつつ、冒頭の語りをはじめ、色んな展開や工夫が入っていて楽しいです。

矢野 もちろんノレるところも好きなのですが、落ちサビでしっかりと落ちてエモーショナルな感じになったり、構成が練られているところが逆にぶっ飛んでいて大好きです。最初の語りは、声優を軸に活動させていただいているので遊び甲斐のあるところだなと思っていて。レコーディングでは、真面目な語りにしたほうが逆に面白いかなと思って収録したのですが、ライブだったら何でもありじゃないですか。そういう部分でも楽しめる楽曲なので、ライブでやるのが楽しみです。

――しかもこのぶっ飛んだ楽曲を作詞・作曲したのが、あの杉山勝彦さんというのも驚きでした。

矢野 本当ですよね。でも、杉山さんもこの曲をすごく気に入ってくださっていて、ライブでのこの楽曲の使いどころや演出を提案してくださったんですよ。すごく熱く語ってくださって。「ブルジョワタオル」のパートだけ演出をお願いしようかな、と思うくらいでした(笑)。

――今回のシングルを含め、これまでバラエティに富んだ楽曲を届けてきましたが、改めて矢野さんは音楽活動を通してどんな自分を表現していきたいと考えているのでしょうか。

矢野 私は元々、話すことで自分を表現するのが苦手で、性格的にも落ち着いているところがあるのですが、だからこそ音楽の中で自分の素直な感情を表現したり、ライブではっちゃけたりするのは、「自分にはこういう面もあるんだよ」というのを知ってもらえる機会になっていて。そういう普段の自分では出せない部分を表現できればと思いますし、私だけでなく、お客さんも普段は出さない面を出してしまうくらい曲やライブを楽しんでもらいたい、という思いがあります。

――逆に普段は自分の素直な気持ちを伝えるのが苦手な方なんですか?

矢野 言わないことが多いというか、思っていても口に出さないことが多いのかな、とは思います。でも、それこそ歌詞を書き始めたときに、楽曲の中だと素直になれるという発見があって。それは自分の中でも意外だったかもしれないです。それにステージや表現の場だからこそ出せる自分みたいなものが私は好きなので、ライブでもそういうところを出せていけたらいいなと思います。

――11月3日には、今回のシングルを携えてのワンマンライブ“矢野妃菜喜 LIVE 2024 ~キミといた夏を~”の開催が決定しています。

矢野 今まではCDでしか音源を出していなかったのですが、この8月にこれまでの楽曲のサブスク配信がスタートしたこともあって、次のライブはみんなが曲をちゃんと聴いてきた状態になると思うので、さらに一体感のあるライブができるんじゃないかなと思っています。時期は秋になりますが、ライブタイトルは“キミといた夏を”なので、11月なのに暑いと思えるライブにしたいです!


●リリース情報
矢野妃菜喜
4thシングル「キミといた夏を」
2024年9月6日発売


品番:2068210057
価格:¥2,500(税別)

【収録内容】
<CD>
1.キミといた夏を
作詞:矢野妃菜喜、和田アヤナ 作曲・編曲:津波幸平
2.劣等、壊せ
作詞:矢野妃菜喜、重永亮介 作曲・編曲:重永亮介
3.ブルジョワタオル
作詞:杉山勝彦 作曲:杉山勝彦、尾上榛
4.キミといた夏を -Instrumental-
5.劣等、壊せ -Instrumental-
6.ブルジョワタオル -Instrumental-

●ライブ情報
矢野妃菜喜ワンマンライブ
「矢野妃菜喜 LIVE 2024 ~キミといた夏を~」

2024年11月3日(日)
〇昼公演 開場 14:30 / 開演 15:00
〇夜公演 開場 17:30 / 開演 18:00
場所:SUPERNOVA KAWASAKI(神奈川県川崎市幸区大宮町1-13)
チケット価格:¥7,000(税込)
※オールスタンディング ※入場時ドリンク代(¥600)別途必要 ※未就学児入場不可

関連リンク

矢野妃菜喜 公式サイト
https://www.sma.co.jp/s/sma/artist/454#/news/0

矢野妃菜喜 公式X
https://x.com/yano_hinaki35

矢野妃菜喜 公式Instagram
https://www.instagram.com/yano_hinaki35/

矢野妃菜喜 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCJmtKc6vDrqjLpPYPLzz9Ww

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