8月30日、さいたまスーパーアリーナにて“Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-”(以下、アニサマ)のDAY1が開催。毎年夏恒例の世界最大級のアニソンフェスは、初日から大盛り上がり!ニューカマーからレジェンド、さらにはコンテンツ発のアーティストまで、実に多彩なアーティストが星のように様々な輝きを放つステージが作り上げられていた。
TEXT BY 須永兼次
開演前には、“REALITY × アニサマ ~スターVシンガーオーディション~”勝者がオープニングアクトを担当。まずは、おくみずきがクラップなどを先導して観客の盛り上がりを引き出しながら、自作曲「glow veil」をみずみずしく歌唱。続く白鳥ナズナは電波曲寄りのハイテンポのデジタルポップ「天使の”?”です♡」で、キュートな歌唱とパフォーマンスを通じて自身の個性を大観衆に刻みつけていった。
そして、今年のテーマになぞらえて星空をモチーフにしたOP映像が観客の胸をさらに高鳴らせるなか、開幕を飾ったのはスペシャルコラボ「宮田俊哉×オーイシマサヨシ×伊東健人 with UniteUp!」による「勇気100%」。往年の名曲のカバーによって、1曲目から場内は大きなコールも交えて大盛り上がり。落ちサビは宮田がソロ歌唱後にローラースケートに履き替え、華麗にスピンを決めてからセンターステージへとスケーティング。2階ステージに登場したUniteUp!も曲を通してクラップを煽るなど、出演者一丸となってのコラボでロケットスタートを決めてみせ、そのUniteUp!へとバトンが渡る。
彼らはまずアニメ1期のOP「Unite up!」で、フレッシュな歌声と王子様感もある華麗できらびやかなステージを展開。スピンなど、見せ場の一つひとつを磨き上げたパフォーマンスで看板曲をしっかりみせれば、「ユメノトビラ」では3人ずつ3グループに分かれて、トロッコやセンターステージなど観客に近づきパフォーマンス。来年放送予定のアニメ2期を前に、最後まできらめきを振りまいていった。
続く『ガールズバンドクライ』発のバンド・トゲナシトゲアリは、CGアニメを導入に理名(Vo. / 井芹仁菜役)がスポットライトに照らされると、はじまりの曲「名もなき何もかも」からライブスタート。天性のノビを持った突き刺すような鋭い歌声を、テクニカルかつハイスピードな曲とパワフルな演奏に埋もれることなく発していく。それは2曲目に歌った、TVアニメOP曲「雑踏、僕らの街」でも同様。澄みながらもどうしようもない攻撃性を持った“トゲナシトゲアリのボーカル”にふさわしすぎる歌声が、ハイテンポなナンバーや力強い演奏とともに次々心へ突き刺さっていった。
伊東健人は、ソロとしては「My Factor」に“一曲入魂”。センターステージに登場するとクラップを要求したり、サビではワイパーを行なったりと場内に一体感をもたらしながら、適度に肩の力の抜けたパフォーマンスを披露。眼前に広がるペンライトの海に感謝の言葉をかけるなど、歌唱しながらその光景と音にたゆたって、この時間を心ゆくまで楽しんでいった。
そして暗転後、『転生したらスライムだった件』のリムル(CV.岡咲美保)のモノローグを経て客席が“リムル様カラー”の青に染まったところで、MindaRynが登場。同作3期のEDテーマ「Miracle soup」を、この曲ならではの温かさをもって歌唱していく。リズムに合わせて身体を揺らしながらアコギを奏でる姿は、歌唱後に「夢がかなった」と語っていたとおり、幸せにあふれたものだった。また、もうひとつの『転スラ』曲「Like Flames」は、赤い衣装の似合うロックなナンバーに乗せてパワフルに堂々と歌唱。アニソンファンのハートにその歌声、そして“名前”を間違いなく刻んでみせた。
2年連続出演のWho-ya Extendedは、『PSYCHO-PASS』のドミネーター(CV.日髙のり子)の声を受けて、実際に変形するドミネーターを手にして登場すると、それをマイクに持ち替えて「Synthetic Sympathy」で歌唱スタート。ハイトーンかつ澄んだ歌声を響かせて、グリーンに染まった客席を魅了していく。そしてピアノソロに続いて静けさのなか歌い始めた「Prayer」では、サビでは少々激しさを出した楽曲に合わせて歌声も感情をぐっと盛り上げ、さらに大観衆を聴き入らせていった。
そしてゴシックなInterludeとともにAve Mujicaのロゴがスクリーンに映し出されると、ブザーが“開演”をアナウンス。月の映像を背負いながら、まずはドロリス役・佐々木李子(Gt. & Vo.)がアカペラで「Greensleeves」を美しく歌唱すると、Ave Mujicaとしてのはじまりの曲「Ave Mujica」へ。妖しく麗しくもパワフルな歌声と演奏、そして披露直前の各メンバーのセリフでの雰囲気をもって、おそらく初めて生演奏を目にした者も多かったであろう観客の心を惹き込み、アニサマをあっという間に自分たちのカラーへと染め上げてしまう。そこにヘヴィなハイスピードゴシックメタル「Mas?uerade Rhapsody Re?uest」を畳み掛けて心を捉えるAve Mujica。楽曲中盤からアタック強めになり攻撃性がさらに増した歌声も楽曲に非常にマッチしており、来年放送のTVアニメやそれに伴う展開への期待感を高めるパフォーマンスをみせてくれたように思う。
楠木ともりは「眠れない」を歌唱しながら、赤の玉座に腰掛けた姿でセンターステージにゆっくりせり上がって登場。ウィスパーをメインとしたアプローチの歌声を駆使して、サウンドの魅力を歌声の面からさらに引き出す。そしてもう1曲は、青のペンライトで夜空と化した客席を前に歌った「シンゲツ」。「眠れない」とは全く違うヘヴィな曲にエモーショナルさを思い切り乗せに乗せた歌声を力いっぱい叩きつけ、時折声を震わせながら歌唱していく。その一方で、3年ぶりとなるソロでのアニサマを楽しんでいるような表情もにじませていた。
その青の意味合いが“夜空”から“晴れ渡る青空”へと変わったのが、続くMachicoのステージ。彼女は『この素晴らしい世界に祝福を!』の主題歌で勝負。まずは3期OP「Growing Up」に乗せて、青空へと突き抜けゆくような歌声を会場いっぱいに響かせながら、サビの途中にはコールを呼び込んだりと自身が作り上げた空気の中に観客を巻き込んでいく。MCでは2年連続の出演に嬉しさをあふれさせると、2期OP「TOMORROW」では観客のジャンプで客席を大きく揺らし、「fantastic dreamer」をステージ上をゆっくり歩いて笑顔をあふれさせながら歌唱。途中気持ちよさそうに「最高でーす!」とこの瞬間の心情も開放しつつ、最後までパワフルかつ晴れやかに歌いきっていった。
続くでんぱ組.incは、「最Ψ最好調!」で登場。サビでサンバ調に変化するサウンドに乗せてパワフルなダンスとともに場内を巻き込みながら賑やかに盛り上がっていくと、2番などでのソロパートでは歌声にも個性をあふれさせ、グループのみならず一人ひとりの存在もアニサマの歴史の中に刻みつけていく。MCでは卒業した元メンバー・成瀬瑛美を呼び込み、昨年亡くなった彼女たちの大切な友人であるアニソンシンガー・黒崎真音の持ち歌「メモリーズ・ラスト」を歌唱。黒崎のイメージカラー・パープルの光とともに再び一緒のステージに立つ“夢”を叶え、もう1曲「あした地球がこなごなになっても」を、振付の持つストーリー性を生かしながら披露。中盤以降はセンターステージへと移りもう一つの景色も目に焼き付け、“エンディング”を惜しむかのようなゆっくりとしたリフトダウンで、最初で最後の“夢のステージ”を終えた。
そしてドラムの演奏とともに、FIELD OF VIEWが「渇いた叫び」で出番スタート。年月を経ても変わらず爽やかすぎる歌声と、曲間の熱いMCでアニソンファンの心を一気にとらえると、『ドラゴンボールGT』のOP映像を背負って「DAN DAN 心魅かれてく」も歌唱。リリースから30年近くを経てもなお原曲キーのままで、こちらも爽やかな風のような歌声を響かせていくと、サビでは浅岡雄也(Vo.)の先導により大合唱が発生。「子供のころ 大切に想っていた景色(ばしょ)」 に触れて心を熱くした観客も、きっと多かったことだろう。ステージ映像に切り替わった2サビでも、LEDスクリーンに表示された歌詞テロップに合わせて再び大合唱が起こっていた。
その余韻残るなか、今度はモンキー・D・ルフィ(CV:田中真弓)の声がこだまする。そして彼の呼びかけで、青のペンライトにより海のないはずのさいたまに大海原が出現すると、「ダニー、任せたぞ!」の声とともにステージ上にきただにひろしが登場。「ウィーゴー!」からアニメ『ONE PIECE』主題歌を、立て続けに歌唱していく。きただには頭サビから「ウィー“ゴー!”」の声がこだまする場内に向けてとにかくパワフルな歌声を響かせていくと、現在放送中の主題歌「あーーっす!」ではASCA、大橋彩香、MindaRyn、Machico、若井友希の5人をコーラスとして呼び込み歌唱。単体でも聴き応えのある厚くて熱いコーラスをとともに、さらにパワフルで熱い歌声をもって場内のボルテージを上げると、そのまま1st OP「ウィーアー!」へ。ここで、この日の出演アーティストがさらに加わり、“アニサマの一味”がハーモニーも交えて重厚な歌声を発していく。大サビ冒頭は観客にメインボーカルを委ね、ラストも場内が一体となって「ウィーアー!」のコール。観客も含めた会場中のアニサマの仲間たちとともに拳を掲げて心を“ひとつなぎ”にして、最高潮のまま前半を締めくくってみせた。
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