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2024.09.01

ラストでみあが語った「私の幸せのありかはここにあります」――ワンマンライブ“三月のパンタシア SUMMER LIVE 2024 -愛の不可思議-”で改めて紐解くみあにとっての“愛”。

ラストでみあが語った「私の幸せのありかはここにあります」――ワンマンライブ“三月のパンタシア SUMMER LIVE 2024 -愛の不可思議-”で改めて紐解くみあにとっての“愛”。

三月のパンタシアが8月24日に東京・Zepp Shinjukuにて、ワンマンライブ“三月のパンタシア SUMMER LIVE 2024 -愛の不可思議-”を開催した。8月21日にリリースしたばかりの5枚目のオリジナルアルバム『愛の不可思議』を携えたライブで、様々な愛のかたちについて思考を巡らせる、五章立ての構成となっていた。

TEXT BY 永堀アツオ
PHOTOGRAPHY BY 大庭 元

開演時間になると場内が暗転し、バンドメンバーが位置につくと、スクリーンにピンクの大きなハートマークが映し出された。やがて、バンド演奏によるSEに合わせてブルーとホワイトに変化していき、ライブのロゴになったところで、ボーカルのみあが姿を表した。そして、「今日は来てくれてありがとう。君に久々に会えて嬉しいよ。今日は君と話してみたいことがあるんだけど、もう気づいてる?そう、愛について。愛する気持ちって言うと、どんな思いを想像するかな?パッと思い浮かぶのは、なんだか明るくて尊くて、光に満ちたような、そんな感情じゃない?うーんと、例えば、心をキュンとときめかせる、多幸感あふれる相思相愛」という朗読をもって、第一章が始まった。

アップテンポのバンドサウンドに観客がクラップを打ち鳴らして盛り上がった「たべてあげる」では、ささやかな日常にある愛おしさや、求めるだけでなく、与える喜びを知り、「幸福なわがまま」や「あのね。」では、たとえ別れがあったとしても、相手の幸せを願う気持ちが描かれ、「僕らの幸福論」では愛し愛される相手に出会えた奇跡と歓び、一途な愛の尊さを歌った。みあが語っていたとおり、第一章は<多幸感に満ちた相思相愛>の物語が綴られ、場内は温かくハッピーなムードで満たされていた。

そして、「きっと世の中のほとんどは、自分の気持ちを上手く表現できなくて、じたばたしたり、あるいは胸の中にポッと小さく灯る初めて感情に困惑して、1人もがいたり。でもさ、そうやって愛の予感にソワソワして、単純明快な二文字の気持ちを持て余しちゃう、そんな片想いの季節も切ないけど、素敵だよね」と語りかけた第2章では、これぞ三パシ!と言える恋と青春の煌めきと揺れが描かれていた。言えない片思いを抱えた「サイレン」、みずみずしい思いが爽やかに弾ける「いつか天使になって あるいは青い鳥になって アダムとイブになって ありえないなら」、若さゆえの情熱がせっつくように燃え上がり、恋する気持ちが溢れ出しそうになる「四角革命」、スクリーンに花火が上がった代表曲の「青春なんていらないわ」。金井央希(key)、堀江晶太(g)、裕木レオン(ds)、Kei Nakamura(b)、Saku(g)の5人からなる通称“ばんぽし”が疾走感に溢れるアンサンブルを響かせ、みあが切なくメランコリックな歌声でさらにスピードを加速させると、観客はジャンプしながらクラップし、拳と声を上げて応戦。“このまま夏に置き去りでいい”という甘酸っぱい青春のフレーズを共有したフロアのテンションとボルテージは一気に高まり演奏後には大きな歓声も湧き起こった。

「相思相愛や片想いについて話してきたけど、恋愛だけが愛じゃない」という朗読に導かれた第3章は、友人や家族、恩人や大切な人に対する感情の中に存在する“愛”について。まるで独り言のようなポエトリーリーディングから次第に熱を帯びていき、心の叫びへと向かう「薄明」、観客と一緒にみあも拳を掲げて歌った「春嵐」、会場が一体となってタオルと思考をぐるぐると回しながら一緒に横にも揺れた「醒めないで、青春」、場内が眩い光で満ち満ちた「ゴールデンレイ」。時に絶望の淵に追いやられながらも、ゆっくりと顔をあげて、前に進むしかないというポジティブな姿勢が描かれていたが、第4章では一変。朗読では「愛って難解で不可思議だね」とアルバムとライブのタイトルに紐付け、「人の人格すらも揺るがしてしまう。暗い興奮を孕んだ愛について歌ってみようと思います」と語り、「スノーノワール」では執着にも似た想いを言葉を叩きつけるように歌い、「あいらぶゆー」では空虚な“愛してる”を何度も繰り返した。さらに、キュートでチャーミングながらも狂気を潜んだ「完璧彼女」、頭を抱えながら執拗に縋り付くようにパフォーマンスしたドラマチックな「ビタースイート」と、支配欲や独占欲、呪いのようなダークな感情を連発。愛には甘えや嫉妬、自分が見たくない欲望など、ネガティブな感情をさらけ出す面もあることを体現した。

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