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INTERVIEW

2024.09.10

結成20年、メジャーデビュー10年と進み続けるBLUE ENCOUNT。アニメ『ライジングインパクト』主題歌のニューシングル「gifted」に迫る。

結成20年、メジャーデビュー10年と進み続けるBLUE ENCOUNT。アニメ『ライジングインパクト』主題歌のニューシングル「gifted」に迫る。

今年はメジャーデビュー10周年、結成20周年というアニバーサリーイヤー中のBLUE ENCOUNTが、Netflixシリーズ『ライジングインパクト』の主題歌「gifted」をシングルとしてリリースする。アニメの配信と共にシングル発売に先駆けて配信リリースしていた同曲。物語が進むなか、楽曲を噛み締めてきたリスナーへ向けて、シーズン2の放送を前に同曲に込めたBLUE ENCOUNTらしさについて聞く。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

結成20周年の先に見えたBLUE ENCOUNTの“今”

――昨年、結成20周年を迎え、その先へと踏み出したばかり。改めて20年、どんな時間でしたか?

田邊駿一 ずっと遠回りだなと思います。近道というものに憧れて、インディーズの頃だったら同期が先にメジャーを決めていったり、どデカいフェスへの出演が決まったりとか、そういったことでイライラしたりもがいたりしていて。デビューできるとなっても、同じレーベルの中には同じ歳で頑張っている人たちもいて。本当にその都度、自分たちの中では近道も、エレベーターのようなものもなくて、一歩一歩階段を上がっていくような20年だった気もしますが、その先へと踏み出してみたらここまでの20年での一歩一歩の階段が支えになっていて、ちょっとやそっとの圧力には負けないバンドになれているなと思います。

高村佳秀 僕もどちらかといえば寄り道が多かったような、今思えばやらなくても良かったようなこともやってきすぎたなという感覚があります。器用には生てきていないよなと思いますし、きっとこれからも器用には生きられないだろうとも思います。それでもここまで、「あれもやってみよう、これもやってみよう」という精神性を持てていることは素晴らしいと思うので、これからもいい部分、だめな部分を見つめながらやっていきたいなという気持ちです。

江口雄也 僕は色んなことに満足している感覚はあります。聞こえ方によってはよくない意味で捉えられてしまいそうですが、この状況がずっと続けば、それが一番いい形ではあると思うんです。元々は音楽で食べていくことを目標にしていましたし、これが続けば続くほど幸せな人生だと思うので、1日でも長く音楽を続けていきたい、という日々です。

――結成20年、デビュー10年。この10年という時間もまた1つ大きな区切りになるかと思います。実際に「音楽で食べていく」こととなったこの10年はどんなことを感じた時間でしたか?

田邊 デビューしてからは本当に忙しい日々で、願っていた人生だったのでありがたいです。それまではそうなりたくても上手くいかずアルバイトばかりやっている日々だったので。気持ちの面ではメジャーテビュー当時と今は変わらないです。忙しさも仕事量も当時を上回るときもありますが、昔なら慣れていなかったから本当にメンタルが持たないかもしれないと思うような日々の連続だったものも、今では「これが生業になったのだな」と思える時間です。メジャーデビュー当時は忙しさに負けるときのほうが多くて「辞めたい」「地元に帰りたい」と何度も思いました。地元に帰って別の仕事を始めることだってできる、と思いながらやっていたんですけど、今はもう完全に音楽が生業であって、ほかの道はないなと思えるくらいライフワークになったなと思います。

――周りを見る余裕が出た?

田邊 それはあります。だからこそ「それなら何ができるかな」と俯瞰で見られるようになりました。忙しいのなら、自分の心と体に対してどんなケアをしてあげたらいいかな、というアプローチをできるようになった。それはここまでの経験がものを言っていると思います。

――10年前、そこから先をどんなふうに見ていましたか?

高村 デビューしたときには、まだ未来はどうなるかわからないし、どこまでいけるのかもわからない不安のほうが大きかったんですけど、日本武道館公演が決まった辺りで「もっとすごいことになるんじゃないか」というワクワクを初めて体験しました。もちろん現実もありますし、色んなことを経験して、そう甘くない世界だということもわかってくるわけですが。

田邊 わかる。今もそうですが、メジャーデビューがゴールでも正解でも不正解でもない。結局、やったことに対して、ついてきてくれる人がいるかどうかはもちろんですが、どう道を繋いでいくのか。特に僕らがデビューした時代はショーケースのようなものも多かったですし、サーキット系のフェスも多くて、そういったものにたくさん出演させてもらっていたんですね。そこには同時期にデビューした人たちがたくさんいて、常にその人たちと「デビューしたけど、これからどうなる?」みたいな話をしていた気がしますし、今も昔も変わらず、デビューをしたとて契約が続くか、切れるかという現実問題もある。そこにいかに負けないか。インディーズ時代とはまた違う踏ん張り方をしている感覚はありますね。

江口 僕たちの職業はちょっと特殊で、僕らは続けていきたいと自分たちが思っていてもハンドリングできないところで終わりを迎えることだってあると思うし、それが「人気商売」というものだから、常に緊迫感があるんですね。デビューしてから今までずっとそうで。インディーズの頃は飯も食えないような状態だからこそ夢を見ていたし、音楽で飯を食えるようになって以降はずっとそれを感じ続けています。いつ、急に終わりが来てしまうのか、という危機感を抱きながら活動をしています。

――そんな皆さんですが、アニメのタイアップ曲によって、海外のファンとの出会いもあったかと思います。アニメの強さを感じた10年でもあったかと思いますが、いかがですか?

田邊 去年、アメリカのアニメイベントに出演したことで体感したこともあります。海外でどれだけダウンロードされたとか再生されたとか、数字で見えるものってあるんですけど、肌で感じたものとの違いのすごさを感じました。そのイベントも、バンドは僕らだけで。本当は何バンドか出ると思っていたんです。持ち時間も30分くらいかなと思っていたら、蓋をあけてみれば90分!ワンマンじゃん、これ!となって、最初は焦りもあったのですが、実際にステージに立ったら、本当にウェルカムな雰囲気で、なんだったらアニソンよりもアルバム曲で盛り上がったりもして、そこがまた面白かったです。普通に英詞の曲で盛り上がりましたし、MCも英語でやったのですがちゃんと伝わるんですよね。それをリアルに感じられたのが良かったですね。

――さらにドラマ「GTO」の主題歌「POISON」を反町隆史さんと歌われるなど、よりファン層を広げてこられたかと思いますが、実感はありましたか?

田邊 ありました。メディアに露出しているタイミングがツアーをしていたときだったのですが、ある日の奈良の打ち上げ会場で、先にいらっしゃっていたそのお店の常連さんが僕を見て、とてつもない熱量で「君たち、めっちゃいいよ!」と言ってくださって。あの曲をやらなければ交わることのなかった世代の方と交われていることを実感しました。

高村 親からの反応も今までとはひと味違っていました。親世代も見ていた俳優さんと絡んでいる姿を見てもらえることは、今までの中でもトップ3に入るくらい親孝行だったと思いますし、親からの「嬉しかった」というのもここ数年で一番大きかったんじゃないかなと思います。

江口 リバイバルするためにリアレンジをしてほしいというオファーへのプレッシャーはすごかったです。そのプレッシャーの中で好きなようにやらせてもらいましたが、僕はこの期間のSNS上の反応は敢えて見ないようにしていました。きっと賛否あるだろうと思っていましたから。それを見て感情が振られるのは嫌だったので、見ないように意識していました。でも親からの反応はありましたし、いい経験になりました。

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