「学マス」ツアー“初声公演”千秋楽で3人が見せたアイドルたちの個性と成長――“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初声公演-”ライブレポート

新たな魅力をみせるソロ曲やシーズンイベント曲も披露！

ライブは後半戦に突入。会場に波の音が流れ、汗を拭うしぐさから「サマーマ！」の掛け声とともに、この季節にピッタリなサマーソング「キミとセミブルー」を熱唱。ステージ上で繰り広げられる掛け合いも楽しく、2番では歌詞に合わせた先生役と生徒役に扮した振り付けがあるなど、ライブだからこその面白さが随所に盛り込まれたパフォーマンスだ。シーズンイベントの楽曲はテーマ重視になっているため、アイドルの新たな一面がみられるのも特徴で、先ほどのソロ曲とはまた違った姿でみんなを楽しませてくれた。

続いて、初日の名古屋公演で衝撃を与えた、新たなソロ曲を披露。公演によって披露された曲は違っており、本公演では、まずは小鹿が手毬の新曲「Unhappy Light」をしっとりと歌い上げる。アーバンチックでオシャレなこの曲は、「Luna say maybe」や「アイヴイ」が感情むき出しだったのに対して、ちょっといじらしさも見せるかわいい内容。だからこそレコーディングではどうアプローチするか悩んだそうだが、アンニュイさのある歌声も“頭を撫でてほしいの”と照れながら髪をさわる仕草も、小鹿の歌唱力と表現力が存分に発揮されたもの。曲後半には情熱のこもったところもあり、プロデューサーたちは新たな魅力と手毬らしさに酔いしれた。

長月は咲季の新曲「EGO」を披露。タイトルからわかるように、咲季のわがままなかわいさが詰まった曲であり、後ろを向いたところから歩み出てくるスタートも印象的。名古屋公演での初披露以来、2回目の披露だったが、歌の安定感や相手を食ったような笑顔も磨きがかかり、フロア全体を自身のものへと巻き込んでいく。MCでは、間奏の“Don’t worry. Just look at me”や”控えめであれば図々しいぐらいがいい”といった、いかにも咲季らしい歌詞が好きとの話もしてくれた。

ちなみに、新ソロ曲が2曲披露されたのは、“初声公演”全5公演のうち渋谷公演夜の部のみ。この回だけの特別なセットリストになっていたようだ。

本編ラストは、初ライブツアー開催を記念した新曲の中から「Howling over the World」。かっこよさに全振りしたこの曲を、それぞれ個性の違ったかっこよさで見せつける。小鹿の低音の響きに長月と飯田の芯のある高音が重なるところも魅力的で、ステージ上で3人が向かい合うようにして気合いをぶつけ合うと、ラストのロングトーンもバシッと決めていた。

ツアーを記念した新曲はほかにも「がむしゃらに行こう！」「ミラクルナナウ(ﾟ∀ﾟ)！」とあり、公演によってそのいずれかを披露。3曲が全く趣の違うタイプなだけに、本公演では披露されなかったことねの新ソロ曲「ふわふわ」と合わせて、ぜひアーカイブですべて見てもらいたい。

暗転した会場に、まだまだ終わりたくないプロデューサーたちからアンコールの声があがる。その声に応えて再登場した3人は、シーズンイベント第2弾の楽曲「冠菊」を披露。先ほどの「キミとセミブルー」が夏フェスならば、「冠菊」は夏祭り。それでいてロックのかっこよさも織り交ぜており、熱さ全開だ。小鹿のちょっとこぶしを効かせた歌い方や、盆踊りをモチーフにした振り付けなど、曲に合わせたパフォーマンスもキレキレで、本人たちもステージを目一杯楽しんでいるようだった。

そして、歌い終わった3人から、“初声公演”千秋楽ということで公演を通した感想や感謝の気持ちが語られた。

楽曲やゲームでのライブ映像のクオリティの高さ、なにより初めてアイドルとしてライブをすることへのプレッシャーは相当だったようで、ライブに向けて必死にレッスンしてきたこと、仲間やプロデューサーたちの存在が支えになったことなど正直な思いを口にする3人。長月は次の“初心公演”や“初恋公演”に向けて猛練習している仲間たちについても言及し、「みんなにバトンタッチしていきたいと思います」と、センターポジションであり学年首席の咲季を演じる彼女らしい言葉を述べていた。

そんな思いやすべての人への感謝の気持ちを込めて、最後に披露したのは「初」。みんなに手を伸ばして“あなたでよかった”と歌う姿や手を振る笑顔は、本当に感動的だった。そして、すべてを出し尽くした3人はいつもの言葉（「プロデューサーさん、アイマスですよ！アイマス！」）で公演の幕を閉じ、ステージを去っていく……途中で、なにやら相談タイム。最後の最後に「プロデューサーさん！大好きー!!」とありったけの気持ちで叫んで、“初声公演”は大団円を迎えた。

3人の成長をいたるところで感じることが出来た“初声公演”だが、実はもうひとつの成長ポイントとして、名古屋公演では上手く揃わなかった“曲振り”の成長も挙げようと思っていた。しかし、なんと千秋楽公演でも息が合わない場面が。とはいえ、ほかのブランドのライブでも合わないことが結構あるし、逆に微笑ましいシーンになっていたと思う。

そんなところもありつつ、初ライブツアーの完成度としては本当に見事なものであった。もちろん、本人たちには細かな反省点や、次はこうしたいと思えたポイントがたくさんあるだろう。だが、アイドルたちと同様、彼女たちも走り出したばかり。それを考えれば、ライブに向けた成長はものすごいと思うし、5公演の中でもどんどん表現力や幅が増していたのを見て、今後がますます楽しみになった。それに、あの腹筋の美しさや体重を落として体作りをしたこと、前日まで自主的にスタジオを借りてレッスンしていたことなど、すべては彼女たちの努力の賜物であったことも付記しておきたい。

“初心公演”や“初恋公演”は、また違った個性が集まることでどんなステージを見せてくれるのか。公演を重ねるごとに、どう変わっていくのか。さっそく9月1日から“初心公演”がスタートするので、こちらも楽しみにしたい。

“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初声公演-”
2024年8月25日（日）渋谷クラブクアトロ公演夜の部

＜セットリスト＞
M1. 初 / 長月あおい（花海咲季役）、小鹿なお（月村手毬役）、飯田ヒカル（藤田ことね役）
M2. Campus mode!! /長月あおい（花海咲季役）、小鹿なお（月村手毬役）、飯田ヒカル（藤田ことね役）
M3. Fighting My Way /長月あおい（花海咲季役）
M4. Luna say maybe /小鹿なお（月村手毬役）
M5. 世界一可愛い私 /飯田ヒカル（藤田ことね役）
M6. Boom Boom Pow /長月あおい（花海咲季役）
M7. Yellow Big Bang！ /飯田ヒカル（藤田ことね役）
M8. アイヴイ /小鹿なお（月村手毬役）
M9. キミとセミブルー /長月あおい（花海咲季役）、小鹿なお（月村手毬役）、飯田ヒカル（藤田ことね役）
M10. Unhappy Light /小鹿なお（月村手毬役）
M11. EGO /長月あおい（花海咲季役）
M12. Howling over the World /長月あおい（花海咲季役）、小鹿なお（月村手毬役）、飯田ヒカル（藤田ことね役）
EN1. 冠菊 /長月あおい（花海咲季役）、小鹿なお（月村手毬役）、飯田ヒカル（藤田ことね役）
EN2. 初 / 長月あおい（花海咲季役）、小鹿なお（月村手毬役）、飯田ヒカル（藤田ことね役）