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INTERVIEW

2024.08.29

【特集】「学園アイドルマスター」伊藤舞音(倉本千奈役)インタビュー――千奈と共に踏み出した“声優”としての第一歩、駆け上がる「Wonder Scale」

【特集】「学園アイドルマスター」伊藤舞音(倉本千奈役)インタビュー――千奈と共に踏み出した“声優”としての第一歩、駆け上がる「Wonder Scale」

“「ここにいるよ、私」 生まれた日の産声に負けない”で感極まりそうに

――そして、ソロ曲「Wonder Scale」のレコーディングに臨むわけですね。どんなことを意識して歌いましたか?

伊藤 私は千奈ちゃんが“学園最下位”であることをかなり意識していたので、どうやってこの世界観、素晴らしさを表現したらいいのか、すごく考えました。仮歌さんの歌い方が「NHK みんなのうた」のようにきれいで伸びやかだったのも印象的で、千奈ちゃんとしてより良いものにしたい、と思ったんです。ただ、私はキャラクターとしての歌唱が初めてでしたし、私自身ではなく千奈ちゃんとしてどこを大事にしたら表現できるのか、本当に悩みました。

――イントロの壮大なオーケストラの演奏も印象的ですが、仮歌の時点ですでに入っていたのですか?

伊藤 はい。ハープの感じや金管楽器がバーンと入ってくるところ、壮大さは初めて聴いたときから入っていました。

――悩んだ成果といいますか、千奈のかわいい歌声はもちろんですが、それ以上に気持ちが伝わってくる曲だと感じます。レコーディングでは具体的にどんなアプローチをしたのか教えてください。

伊藤 千奈ちゃんの核となる部分を授けてくださった、印象的な言葉があります。それは「この曲はオーケストラで壮大だけれど、“曲に従う”のではなく、あくまで“千奈として曲を引っ張る”くらい自由に歌ってください。それがある種、解離していたとしても、千奈の自由さをたくさん表現して欲しいです」という言葉です。

確かに私は曲を聴いて、どれだけ丁寧に、きれいに歌おうかと考えていました。でもそうではなく、感情の部分をすごく引き出してくださって、たくさんディレクションいただいたのがとても印象的でした。

――その意味では、冒頭の“あのね…”や先ほど話していた“でしょ?”など、セリフ的な部分が思い浮かびますけど、この辺りはすんなりいけましたか?

伊藤 “あのね…”は何度も録りました。曲の掴みですし、千奈ちゃんの無邪気さや明るさをこの3文字に込めないといけなかったので。しかも、リズムに捉われすぎないようにしながら、パッと花が咲くように言葉を入れなくてはいけないのが難しくて、何回も録り直しました。

――ゲーム内の楽曲コミュでの1番下手なバージョン(レベル1)では、“あのね…”もかなり違っていて驚きました。

伊藤 レコーディングは一番歌えている歌唱(レベル3)から作り上げて、そこからレベル1、レベル2と録っていきました。アイドルによって課題は違っていて、例えば(月村)手毬ちゃんや(花海)咲季ちゃんのように最初から実力のある子だったら、逆にレベル1やレベル2はどう表現すればいいか悩むと思うんです。それに比べて、千奈ちゃんはアイドル活動の経験がない子だったので、ディレクションでは「お遊戯会で歌を披露する子供(のように)」と言われました(笑)。最初は“緊張しい”な方向で歌ってみたのですが、それだと内側の表現が多くなってしまったので、千奈ちゃんらしさを保つために「見てください!」とお披露目するような方向性にした結果、レベル1は拙い雰囲気の“あのね…”になりました。

――では、それ以外で特に印象的なフレーズをあげるとしたらどこでしょうか?

伊藤 皆さんにも言っていただくことが多いのですが、落ちサビ前の“「ここにいるよ、私」 生まれた日の産声に負けない”のところです。普段生きていてなかなか言わない言葉だと思うのですが、それを千奈ちゃんとしてどれだけ大切に歌えるかを考えて、感極まりそうになりながら歌った記憶があります。

――YouTubeにアップされているMVのコメント欄でも、“生まれた日の産声”のところに言及している人は多かったですし、ちゃんと伝わっていますね。

伊藤 千奈ちゃんの歌が上手い・下手ではなく、音の処理を丁寧にすることにもすごくこだわられていて。“私”の部分は包み込むような音の処理になっているんです。そういうこだわりも含めて、皆さんに伝わっていてとても嬉しいです。

“こだわり千奈ちゃんオリジナリティ”を入れて、千奈らしさを表現

――「Wonder Scale」の次が「初」だったそうですが、ソロ曲とはまた違うところも多かったと思います。レコーディングはいかがでしたか?

伊藤 「Wonder Scale」から始まった私からすると、「初」は曲調がアイドルソングのような感じでしたから、「どう歌えばいいのかな?」と思いました。冒頭の“行くよ”の高音も、私が最初に持っていったプランでは、千奈ちゃんが学園最下位なことを意識しすぎていたこともあって、「どれだけ拙くすべきか」と考えていたんです。でも、音楽的に「もっと突き抜ける感じで」とディレクションいただき、「Wonder Scale」と違って高音をバッと出すように歌いました。

全体曲ではあるけど個性を出していいともおっしゃっていただいたので、「Wonder Scale」で作り上げた“千奈ちゃんらしさ”を出した箇所もあります。みんなで歌う“Any time 痛快!理解?心外!”のところで、私は“理解”のところだけ“?”を意識して疑問形っぽく歌ったんです。そうしたら、「面白いですね」と言っていただき、そのテイクを採用していただきました。そのくらい自由な発想で、スタッフの皆さんと一緒に考えながら録ったので、「初」も千奈ちゃんらしさを持ちつつ、全体曲として夢に対する強い気持ちやフレッシュさをたくさん込めた歌になりました。

――今回のシングルにはソロ歌唱バージョンがフルで収録されますし、後半部分で特に印象的だったところも教えてください。

伊藤 ラスサビの“きっと誰にも負けないわ”のところは、「誰にも↑」とちょっと上げて歌っています!千奈ちゃんなら、一生懸命に歌ったときに音が切れてしまうんじゃないかと思って、気持ちと勢いを込めてブレスを挟みました。そこも“こだわり千奈ちゃんオリジナリティ”です!!

――下手なバージョンのときもですが、千奈の歌い方は語尾の上げ方に特徴がありますよね。

伊藤 そうですね。千奈ちゃんとして歌うときは、歌詞を素直に表現することや、どこか拙い雰囲気を出すことを意識していて。そのために柔らかい音の処理をしていますし、千奈ちゃん自身が「え〜、そうなっちゃうの?」と感じながら歌っているように疑問符の「?」を語尾につけたり、ビックリマーク(!)をつけたりしています。嬉しいときは嬉しさを、悲しいときは悲しさを、そのまま単語と語尾に込めるといいますか。

――そこも千奈らしいですよね。そして、「Campus mode!!」も本当に「学マス」にピッタリの楽曲ですが、印象はいかがでしたか?

伊藤 事前情報として「難しい曲」とひたすら言われていたので、収録までの期間はすごくドキドキしていて、「難しい……!」と思いながら当日を迎えました(笑)。

――レコーディングは、事前情報通り難しかったですか?

伊藤 難しかったです。千奈ちゃんとして、敬語や「ですわ」ではない口調の歌詞をどう表現すればいいか悩ましくて……。“なんだこれは!?(なんなんだこれは!?)”とか“やだ!それならスカートの裾に注意!”とか、千奈ちゃんならどう歌うかすごく悩みました。ただ、曲自体はすごくはっちゃけているので、千奈ちゃんらしさを出しやすかったです。

それに、「Campus mode!!」は佐藤大地さん(「学マス」アシスタントプロデューサー)に「この曲から特に千奈らしさが伝わるようになりました」と言っていただけた、思い入れの深い楽曲でもあります。ゴールから次のスタートが始まるような曲なので、さらなる千奈ちゃんの明るさを頑張って表現しました。元気なところと柔らかいところの切り替えもすごく楽しかったです。

次ページ:ダンスに関しては、千奈ちゃんと同じスタートラインだと思っています

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