リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2024.08.29

【特集】「学園アイドルマスター」伊藤舞音(倉本千奈役)インタビュー――千奈と共に踏み出した“声優”としての第一歩、駆け上がる「Wonder Scale」

【特集】「学園アイドルマスター」伊藤舞音(倉本千奈役)インタビュー――千奈と共に踏み出した“声優”としての第一歩、駆け上がる「Wonder Scale」

「アイドルマスター」シリーズの6年ぶりの新ブランドとなるアプリゲーム「学園アイドルマスター」(以下、「学マス」)が、5月のサービス開始以降、大ヒットを続けている。ヒットの要因は様々あるが、“アイドルへの挑戦状”をテーマに掲げた楽曲の数々もそのひとつ。近年の音楽シーンを彩る多才なコンポーザーたちが参加した、アイドル作品の枠を超えた楽曲たちは圧倒的なインパクトを残している。リスアニ!では、各アイドルの1stシングルリリースを記念して、楽曲や音楽面にフィーチャーしたキャストインタビューを実施。今回は、生粋のお嬢様だが実力は学園最下位の新入生・倉本千奈役の伊藤舞音に話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 千葉研一

「当たって砕けてもいいから後悔しないように」と挑んだオーディション

――伊藤さんは誕生日が5月16日なのですね。

伊藤舞音 そうなんです!「学マス」のリリース日だったので、最高のプレゼントをいただきました!

――偶然とはいえすごいですね。リリースされてからの周囲の反響はいかがですか?

伊藤 高校生時代の友達からは「千奈ちゃんプロデュースしたよ」とスクリーンショットを添えたメッセージが届きましたし、絵を描いてくれた子もいて。千奈ちゃんへの愛情を一身に受けながら、日々過ごしております。

――では、そんな千奈のことを聞いていきます。まずは単刀直入に、「ですわ」口調にはもう慣れましたか?

伊藤 慣れたと思います!最初はセリフと「ですわ」がうまく馴染まなかったのですが、最近は演出の方にも馴染んできたと言っていただけるようになりました。

――特徴的な口調も含めて、オーディションでは資料やイラストからどんな印象を受け、どうキャラ作りをして臨んだのでしょうか?

伊藤 最初の印象は、「語尾が“ですわ”だ~!」でした(笑)。その特徴を活かせるようにお芝居したいなと思って。オーディション用のシナリオにはコミカルな流れもあったので、(オーディション用の)テープを録るときは、そこをどう面白くするかも意識しながら演じました!

――「ですわ」口調は、アニメやゲームにはよく出てきますから、既存のイメージが浮かんでしまう可能性もあったと思うのですが、千奈はまた違った感じを受けます。

伊藤 そうですね。「ですわ」はちょっと高飛車な感じがあって、相手に「ですわ!」と強く当てることが多いと思うんです。でも、スタジオオーディションのときに「なるべく相手に当てすぎないようにしてください」とディレクションをいただいて。そこはいまでも意識していますし、難しいと思うポイントです。ほかには、コミカルなシーンでのテンポ感についてもご指摘いただきました。あとになって考えると、そのときには千奈ちゃん像が細かく出来上がっていたんだと思います。

倉本千奈

――オーディション当日のこともお聞きしますが、受ける際は率直にどんな気持ちでしたか?

伊藤 作品が「アイドルマスター」シリーズということもあり、後悔しないようにやり切りたいと思いました。いつもならもう少し落ち着いて「いい子にやろう」と意識するのですが、「当たって砕けてもいいから、後悔しないように頑張ろう」と思いながら挑んだのは、いまでも強く記憶に残っています。

――面接もあったそうで、どんなことを聞かれたのですか?

伊藤 ほかのキャストの方も生配信などで話していたように、「自分の強みを教えてください」や「お金と人と仕事、どれが一番大事ですか?」といったことを聞かれました。

――伊藤さんの強みといえば、やはり事務所のプロフィールに趣味・特技として挙げている「歌うこと」でしょうか?

伊藤 歌は、“得意”というよりも“好き”の気持ちが強すぎて、それで特技に書いているのですが、オーディションではその“歌が好き”という気持ちをお伝えしました!そのうえで、家族がきっかけで色んな音楽を聴いているとか、自分のこれまでの経験などをお話させていただきました。

――「お金と人と仕事、どれが一番大事ですか?」という質問にどう答えたのかも教えてください。

伊藤 私はその当時、まだ(声優としての)お仕事をしたことがなかったのですが、人がいなくては仕事ができないのでまずは「人」、そして「仕事」、仕事がなければお金はもらえないので「お金」と回答しました。

ただ、心理テストで「ひとつめに答えたものが建前」みたいな分析があるので、もしかしたらこの質問はそれを確かめるものだったのかもしれないと思って、あとになってすごく焦ったんです。でも、お披露目生配信で、小美野さん(「学マス」メインプロデューサーの小美野日出文)が「ちゃんと会話ができる人とお仕事をしたい」とおっしゃっていたので、自分の意見を言えることが大事だったんだとわかり安心しました。

初めてオーディションに合格した作品が「学マス」でした

――そういったことを経て、見事に千奈役として選ばれたわけですが、合格を聞かされたときのことを教えてください。

伊藤 あの瞬間は忘れられないです。もう夜も近い時間だったのですが、マネージャーさんから「テープオーディションを追加で収録したいから事務所に来てください」と電話がかかってきて。それで事務所に行ったら、社長やマネージャーさんが全員集まっていたので、これはすごくいいことか、クビだろうな……と思ったんです(笑)。ドキドキしながら社長室に入ったら、「舞音ちゃん!千奈ちゃん役、受かったよ!」ってマネージャーさんが言ってくださり、2人で抱き合って泣きました。忘れられない思い出です。

――それは泣きますね。言ってしまえば、そこで人生が変わったわけですから。

伊藤 本当に変わりました。その日から目まぐるしい変化といいますか、新しいことをたくさん学ばせていただき、幸せな悩みがすごく増えました。大変なこともありますが、それも贅沢なことだなと感じながら頑張っています!

――具体的な楽曲のことをお聞きする前に、伊藤さんがどんな曲を聴いて育ったのか、自身の音楽のルーツについても教えてください。

伊藤 それに関しては、両親の影響がとても大きいです。うちの父はオーディオ機器にこだわりがあって、よくレコードを聴いていたんです。オーケストラ、ジャズ、ヒップホップ、歌謡曲など色んなジャンルの曲がずっと流れていて。母はアニメやゲームが好きなので、ゲームのBGMやアニメの曲も流れていましたし、当時流行っていたこともあってボーカロイドの曲も聴いていたので、なんでも聴いて育ちました。

――特定のジャンルやアーティストだけでなく、あれもこれも聴いていたのですね。

伊藤 そうですね。いまでもボーカロイド曲はよく聴きますし、K-POPもかっこよくて激しい曲も聴きます。吹奏楽の演奏を聴くこともあります。

――その中でも、よく聴いていたアーティストを挙げるなら誰でしょうか?

伊藤 たくさんいますが、松田聖子さんは特によく聴いていました。「秘密の花園」というとてもかわいい曲を父がレコードで流していたのを聴いて、「この曲好き!」と自分で調べてみたり、どう上手く歌うか、なんてこともやっていました。ほかにもボーカロイドだと、それこそ「Fighting My Way」を作られたGigaさんの曲も大好きでした。アニメの楽曲は、古いところでいえば『魔法の天使クリィミーマミ』とか……。

――松田聖子さんに『クリィミーマミ』って……実は40代じゃないですよね?(笑)。

伊藤 違います(笑)。母の影響で『クリィミーマミ』や『美少女戦士セーラームーン』を観ていたんです。『セーラームーン』は実写版(TVドラマ)も全部観ました。

――ちなみに『おジャ魔女どれみ』は観ていましたか?

伊藤 『おジャ魔女どれみ』は絵本しか通っていなくて……でも、「Wonder Scale」の歌詞を書いてくださった大森祥子さんが、主題歌(「おジャ魔女カーニバル!!」)の詞を書かれたんですよね?

――そうなんです。「Wonder Scale」もすごい人が作っているなと思いまして。音楽の素養で言えば、何か習っていたとか部活に入っていたことは?

伊藤 歌は習っていませんでしたが、ピアノを小学校の途中から中学校まで習っていて、吹奏楽部ではホルンを吹いていたので、特技に書かせていただいています。

――楽器にもかなり接していたのですね。そんな伊藤さんの初めてのレコーディングについてお聞きしますが、収録はコミュと楽曲でどちらが先でしたか?

伊藤 ほぼ同時で、コミュが先で次の週くらいに歌のレコーディング、という感じでした。

――では、最初のコミュを収録するときに苦労したことや、試行錯誤したことなどをお聞かせください。

伊藤 私自身、「学マス」が初めてオーディションに合格した作品なこともあって、「頑張ろう!」って必死に思っていたんです。でも、そのぶんだけ千奈ちゃんに私の頑張ろうとする気合いが乗ってしまって……。「もう少し肺活量がない感じや、柔らかい感じで、頑張りすぎないように」と最初の収録でディレクションしていただいたのが、すごく印象に残っています。

――やっていくにつれ、自身で最初に考えていた千奈のイメージから変わった部分もあるのでは?

伊藤 私は千奈ちゃんと一緒で運動が得意ではなく、ダンスも苦手だったので、勝手に共感していたんです。ある種、演じやすいと思っていたのですが、千奈ちゃんは私が思っていたより何倍もか弱く繊細で。それでいて、私が日々感じる幸せの何倍も、千奈ちゃんは幸せを大きく摂取して生きているんだなと思って、印象が変わりました。

――お嬢様キャラとはいえ、千奈はとても素直な心を持っていて、ひと言でいえばめちゃくちゃいい子ですよね。

伊藤 そうなんです。本当に素直で、落ち込んでいてもプロデューサーさんに「じゃあこうしましょうか」と言われたら、「はい!そうですわね!」ってすぐにコロっと変わるんです。「ちょろいところがあるので素直に反応して」とのディレクションもありました(笑)。本当に千奈ちゃんは素直でいい子ですし、いつも全身で生きている感じがします。

次ページ:“「ここにいるよ、私」 生まれた日の産声に負けない”で感極まりそうに

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP