INTERVIEW
2024.08.21
TVアニメ『わんだふるぷりきゅあ!』の後期ED主題歌「しあわせえぼりゅ~しょん♡」は、前期ED主題歌「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」の石井あみ&後本萌葉が引き続き歌を担当する。凛々しく透明感のある石井の歌声と、後本の無垢でかわいらしい歌声という、ベクトルの異なる2人の組み合わせによって爆発的な魅力が生まれたが、後期EDテーマはさらに掛け合い感が強く、コンビネーションを感じさせる楽曲となった。本人のキャラクター性も真逆という2人が通じ合いながら作り上げた本作について、石井と後本はどんなことを感じているのだろうか。
INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)
――『わんだふるぷりきゅあ!』(以下、『わんぷり』)の前期に引き続いて、後期もお二人でED主題歌を担当することとなりました。最初に楽曲を受け取ったときのことを教えていただけますか?
後本萌葉 実は「しあわせえぼりゅ~しょん♡」は「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」と同じ日にレコーディングしていて。
――では、まだお互い出会って間もない頃に?
石井あみ そうなんです。
後本 前期は、明るくかわいく、「一緒にいられて嬉しい!」「仲良し!」という感じが前面に出ていた曲だと思うんですけど、後期の「しあわせえぼりゅ~しょん♡」はその先の2人(キュアワンダフル/犬飼こむぎ、キュアフレンディ/犬飼いろはのこと)をすごく想像できたんです。「こうやって成長してきたんだろうな」って。それに、「一緒にいてくれてありがとう」「出会ってくれてありがとう」みたいな、お互いに対する感謝の気持ちも感じました。だから私も「ありがとう」という気持ちを強く込めて歌ってみました。今後、あみちゃんと一緒にお仕事していくなかで、きっとあみちゃんにも同じ気持ちを持つと思ったので。(石井を見て)思ってました?
石井 うん、思ってた♪(笑)。
――(笑)。石井さんは楽曲を受け取ったときにどんな感想を持ちましたか?
石井 まず、『プリキュア』シリーズのED主題歌は前期と後期で歌手が変わることも多いので、「1年間歌えるんだ!」という喜びがありました。しかも、前期と同じ萌葉ちゃんと歌えるのがすごく幸せだったので、そういう気持ちで曲を聴き始めました。そうしたら萌葉ちゃんが言ったみたいに、前期の「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」では一緒にいられて楽しいとハイテンションだった2人が、色んなことを経験しながら、楽しい気持ちがどんどん膨らんで幸せな気持ちに変わっていく、という曲だと捉えられたんです。なので、前期のED主題歌やOP主題歌とのつながりを意識しながら歌いたいとすごく思いました。
あと、「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」ではいろはとこむぎの関係を表現してほしいと言われていたんですけど、「しあわせえぼりゅ~しょん♡」は犬と猫の雰囲気を出していけるように、というディレクションをいただいていて。
――前期と同じく、動物と飼い主との関係を描きつつも、「こむぎ&いろはVer.」「ユキ&まゆVer.」という2つのバージョンで犬と猫での違いも表現していますね。
石井 はい。なので、犬チームの萌葉ちゃんと猫チームの私が歌う、という感じです。ただ、犬とか猫とか関係なく、誰でも何でも仲良くなれるよね、というメッセージもすごく伝わってきました。
――「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」よりもデュエット感が強まっていますが、2人で歌うということで相手を意識した点はありましたか?
石井 萌葉ちゃんは、結構大きいまとまりで音楽を表現するイメージがあるんです。それに比べて私は細かいんです……ひと単語ずつバラバラというか。それに、萌葉ちゃんはそのままで『わんぷり』らしさがあるので、私は私でそのまま細かく細かく読み取る部分を出していったら、2人が重なったときに良いサウンドになるんじゃないかなと考えていました。実際、完成した曲を聴いてもそこが本当にハマっている感じはありました。(後本を見て)どうでしたか?
後本 そうですね。私は最初に歌詞を見たとき、種族や言葉が通じるかどうかは友情とは関係ないということを伝えたいんだな、と思ったんです。だから、あみちゃんの声は私とは全然違うんですけど、あえて自分らしく歌うことを意識していました。そうすることで、違っていても友達になれるというメッセージを込めたいと思いました。
石井 (石井・後本は)プリキュアシンガーの中でも特に真逆な声、と言われたことがあるんです。なのに、合わさるとこんなにも仲良しな感じが出せることに私自身も驚きました。本当にありのままで歌えるというか、合わせようと意識しなくてもそのままでお互いを引き出せるような、そんなマッチ感があると思っていました。あと、実は結構話し合うタイプなんですよ、私たち。
――話し合うというと?
石井 ライブ前もそうですし、それ以外でも「ここはこうしよう」とか話し合うことが多くて。
後本 うんうん。
石井 電話越しに練習するとか、お寿司屋さんで一緒に振付を考えるとか。
――お寿司屋さんで?
石井 ステージのここに立ってからこう動いて……、みたいなことを話しつつ。
後本 お寿司が回ってきたら取って(笑)。
石井 食べて、みたいな(笑)。そういうことが自然とできる関係なんだと思います。
後本 あみちゃんは、最初に会ったときからすごく話しやすかったんですよ。私が何を言っても1回は受け止めて考えてくれるので。だから、お互いの良さを引き出し合えるようなコンビだと思っています。
石井 違っているからこそ無限大な感じ、というか。「しあわせえぼりゅ~しょん♡」は「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」よりもスケールが大きくて、私たちなら世界も変えられるよね、みたいなところを歌詞に感じるんですよね。なので、私たちの気持ちが合わさることで温かみだったり幸せな感じだったりが曲に出てくるかな、と思っています。
――先ほど、後本さんが犬を担当、石井さんが猫を担当、というお話も出ましたが、「こむぎ&いろはVer.」と「ユキ&まゆVer.」では1番のAメロの歌詞が違っていて、前者では後本さんが、後者では石井さんがその箇所を歌われています。
後本 私は、「一緒にいられて嬉しい」「大好き」という、ワンちゃんがキャンキャンとはしゃいでいる感じを出しました。『わんぷり』でも犬チームはなんでも一緒にやる印象で、一緒に手を取り合ってジャンプしそうなイメージが浮かんでいたので、そういう光景を想像しながら、ワンちゃんらしい無邪気さやかわいさが出るといいな、と思いながら歌っていました。
石井 私は猫チームということで、クールに、大人っぽさをイメージしながら歌いました。あとはやっぱり、猫ちゃんといえば素早い、というイメージがあったのでリズムを立てて歌っています。1番のAメロも、猫ちゃんはよくツンデレだと言われるので、基本的にはツンツンした歌い方にしているんですけど、まゆちゃんの名前が出てきたらちょっとデレる、という感じで甘さみたいなものを出していきました。“ニャンてことでShow”にかわいさ成分を足すとか。
――後本さんから見て石井さんの猫感、石井さんから見て後本さんの犬感はいかがでしたか?
後本 「しあわせえぼりゅ~しょん♡」も「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」のときと同じく、私が先に歌わせていただいたんですけど、私はあみちゃんの歌が大好きで、『ひろがるスカイ!プリキュア』の曲もたくさん聴いていたので、ユニゾンでのあみちゃんも、あみちゃんが出す猫っぽさもすごく想像できていました。
石井 そうなんだ。
後本 そうしたら完成した曲を聴いたとき、本当に想像の通りだったんですね。全然声が違うのにスッと入ってくる感じがあるし、私たちってバディ感があるんだな、って思いました。出会ったときから私は、あみちゃんとはもうペアなんだ、という気持ちがすごく強かったです。
石井 そう、ずっと「ペアだよ」って言ってた。
後本 最初から結構ぐいぐい、ぐいぐいと。
石井 でも、そのぐいぐいさがあったから私も楽に話せているのかもしれない。私は萌葉ちゃんが言ってきたことに対してうまく返せないことがあるんですけど、それでも受け入れてくれるという優しさが萌葉ちゃんにはありますね。
後本 いや、逆! 私の押しが強いのに何を言っても、「え? やだ」ではなくて、あみちゃんは絶対に受け入れてくれるから。
石井 (笑)。そういう違いがうまく相手を引き出しているんだと思います。でも実は私、犬側は自分だと思っていたんですよ。普段、先輩方にも甘えるタイプだったから。でも、私は猫側で、「私よりももっと犬な子がいるから」とスタッフの方から言われたんですよ。そのときはまだ萌葉ちゃんと出会う前だったので、「そうなんだ。じゃあ私は猫になりきらなくちゃ」と思いました。
後本 私は自分でも、犬と猫なら犬役だろうと思っていました。
――自覚があったんですね。
後本 ありました。私は声が幼いし、無邪気な感じを出してくれそうだ、ということはレコーディングのときにも言われましたね。
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