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2024.08.20

二度目の約束は、笑顔の花咲く思い出とともに――岡咲美保“Miho Okasaki 2nd LIVE 2024 ~ハッピーメモリー~ supported by animelo”ライブレポート

二度目の約束は、笑顔の花咲く思い出とともに――岡咲美保“Miho Okasaki 2nd LIVE 2024 ~ハッピーメモリー~ supported by animelo”ライブレポート

8月10日、声優・アーティストとして活動する岡咲美保のワンマンライブ“Miho Okasaki 2nd LIVE 2024 ~ハッピーメモリー~ supported by animelo”が東京・文京シビックホール 大ホールにて開催。1stワンマンライブからわずか半年強での開催とは思えない、歌唱・パフォーマンスの両面で目覚ましいレベルアップをみせた、充実の一夜となった。

TEXT BY 須永兼次
PHOTOGRAPHY BY 斉藤明・高須力

最高の夏の思い出作りは、ファンと声掛け合う「ハピメモ」から

まず場内にはリリース直後の最新シングル「ハピメモ」のイントロが流れ始め、1stワンマンと同様にステージ前方の幕がゆっくり上がっていく。そしてステージ上には今回も岡咲のライブバンド“美保のこと支え隊”が……と、肝心の岡咲の姿がステージ上にはない。と思ったのも束の間、なんと下手側の花道に岡咲が登場!歓声や、レクチャー動画で予習バッチリな“みほちゃんず”(=岡咲のファンの総称)のコールに包まれながら、笑顔満開で「ハピネス」を初披露。また、2番では「チェック模様」の歌詞に合わせてスカートの裾をつまんで青のチェック部分を見せたりと、楽しみながら細部まで充実したパフォーマンスを展開してみせた。

それに続いたのは、デビュー曲であり1stワンマンの幕開けを飾った曲でもある「ハピネス」。イントロが流れた瞬間に客席はまたも沸きイエローの輝きに染まると、岡咲も頭サビ後に「みんなー!ぶち上げタイムだー!」とボルテージを上げにかかる。サビではステップも軽やかにダンスをきっちり見せながら、メロ部分ではステージ上を歩いて移動し近くの観客と笑顔でコミュニケーション。ラストはラララのコールと腕振りを通じて場内の一体感を高めると、イントロの破裂音に合わせて跳ねてみせた「MY SPIRAL」でまだまだ“ぶち上げタイム”を続行。揃いに揃った曲中のコールに包まれながら岡咲は、引き続きキュートかつ元気いっぱいで安定感も持った歌声で魅了。1サビ明けには客席へ指先を向けて「くるくるくるくるー」と回しながら、下手から上手へとゆっくり移動してスパイラルのウェーブを巻き起こし、会場全体で楽しむステージを早くも形に。大サビでも指をぐるぐるして観客を盛り上げ、魅力の渦へと巻き込んでいった。

「みんなー、ありがとー!」の言葉から始まったこの日最初のMCでは、冒頭3曲の選曲理由について「夏一番の思い出を作りたくて」と明かす。また“夏のお嬢さん”をコンセプトにした衣装に触れた際には、「まわってー!」の声を受けて即興演奏とともに華麗に回りながら衣装をアピールする一幕も。そして「今日はアツいよね?」との問いかけをきっかけに、扇子を手にしてさらなるブチ上げ曲「アンビリバボーアンセム」をスタート。ライブ序盤にふさわしく、歌詞どおりにファンと会えた嬉しさをパフォーマンスにも込めていく。テンポも速く音数も多い曲ではあるが、それを表情豊かに歌いこなす姿が観客のボルテージをさらに上げていくと、そこからシームレスに続いた「バブルス」では、気持ち良く跳ねるリズムに乗ってポップに歌唱。高音部ではミックスボイスやファルセットを用いて綺麗に聴かせながら、「もっと!」と甘さを出した煽りでさらに熱量を引き出すなど、巧みなステージングをみせていった。

こうして場内の熱気をさらに高めたところで、続いては2ndアルバム『DREAMING』収録曲の初披露を予告。そのうちまず「結ぶ因果率」では、一気に歌声とダンスのラブリーさが増し増しに。歌詞に登場するジャブを繰り出したり遠くへ呼びかけるような振付のある1サビに象徴されるように、歌詞と直接的に連動したダンスも含めてこの曲ならではの表現を提示していく。一方、続く「片想いのサイン」はキュートさが自然と滲み出る程度にセーブされ、ロングトーンの伸びやかさが非常に印象深いみずみずしい歌声に。それが爽やかさを持つこの曲と組み合わさることで、青春を感じる恋する女の子の姿をこの初披露の場でも描き出していく。さらにもう1曲、『DREAMING』の曲順どおりに歌った「Maybeヒロイン」では、サビなどでサイドステップを踏みながら甘さと透明感を兼ね備えた歌声を響かせ魅了し、大サビでは「幸せにしてあげまーす!」と高らかに宣言。まぎれもない“ヒロイン”としてのステージで、後のMCで“恋愛ゾーン”と称されたこの3曲を締め括った。

歌唱後には、「私、どこから登場した?」とステージ両端の花道に言及。そのまま花道へと直接足を運んでステージ上を“トラベル”したところで、「ココロトラベル」からライブ中盤戦へ。今度はブルーに染まった客席を前に、清涼感を持たせた歌声を会場いっぱいに届けていく。サビ最後のロングトーンの伸びの良好さやその広がり、さらには高音のファルセットを美しく響かせるDメロは聴く側に壮大ささえ感じさせ、彼女の歌声の魅力が十二分に引き出されていた印象。何度でも“生で”聴いてほしい歌だと、この日も思わせてくれた。
そして自ら歌詞を手がけた「カレイドスコープ」では、「ペンライトを好きな色に変えてねー!」の呼びかけによって、客席にこの日だけの大きな大きなカレイドスコープが完成する。ステージ上の岡咲も万華鏡のようなサーチライトに照らされながら嬉しさを滲ませ、自身を投影しながら聴く人の心にも寄り添う曲を、ナチュラルさを持ちながら温かみも伴わせて届けていく。それに続いたのは、もう1つの作詞に携わった曲「あと、ちょっと」。1stワンマンでサプライズ披露されたこの曲も、柔らかな微笑みとともに、あのとき宣言した夢に一歩近づいた姿で歌唱。温かさと活力を併せ持った歌声が会場中の人々の心に染み渡ったところで、歌唱後に岡咲は一旦降壇。

ここでハードな演奏と真紅のライティングによるバンドブリッジが雰囲気を一変させると、その最後には衣装チェンジを終えた岡咲が、ステージ中央の階段上ステージに再登場して「マボロシマジック」から後半戦がスタート。白の衣装がライトによって赤く染まった姿は、ヘビーでダークな楽曲のムードに非常によくマッチ。音源以上の鋭さのあった中盤のメロラップや、サビをはじめとする強く打ち出す部分でのパワフルさなど生ならではの表現も心を捉え、ファルセットも交えて綺麗に聴かせた高音部分とのコントラストも良好。大サビでは歌声の迫力が一段と増し、前半とは違う角度からライブの世界に心を引き込んでいく。

それに続くのにふさわしい曲は、やはり「ミラー」だろう。冒頭刺々しさを出したかと思えば、一瞬だけかわいげをみせる部分ではカチリとスイッチを切り替えメリハリはっきりなパフォーマンス。1サビ前には尻下がりのロングトーンで艶っぽさまでも醸し出していく。中盤以降も、歌い回しにリンクしたやさぐれ感があるしゃがみ込み方やラストの「ダサいね」の歌声に生えたトゲなど、この曲ならではの表現が見事にハマっていく。そこから擦れという要素はやや残しつつ、歌声のトーン自体は少々和らぐ新曲「夜ふかしダンス」の初披露へ。“夜ふかし”というコンセプトもあってか、序盤はサウンドにたゆたいながらナチュラルにスーッと言葉を発していく。一方、歌唱中に楽曲へとどんどん没入していったのか、徐々にその歌声には表情が現出。ラストの微笑みボイスにも、この日は楽しさがあふれかけていたように感じられた。

次のページ:思い描いていた景色で、“真の完成”をみた「スターフラワー」

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