REPORT
2024.08.15
どんな場所も彼女流の“遊び場”に変えてしまう、halcaのアコースティックライブシリーズ“live playground”の最新回“halca live playground #005 at Billboard Live”が、7月27日、神奈川県・ビルボードライブ横浜にて開催。halcaオリジナルドリンクや食事を楽しみながら、落ち着いたムードでhalcaらしい楽しいステージを堪能した。その昼公演の模様をレポート!
TEXT BY 阿部美香
PHOTOGRAPHY BY 中村ユタカ
2020年10月をスタート地点に、2021年、2022年とこれまで3回開催してきたhalcaのアコースティックライブシリーズ“live playground”。“playground”とは本来、学校や公園などにある“子ども達が遊ぶ庭”を意味する言葉。そのタイトルどおり、通常のワンマンライブとは趣向を変え、シンプルなアコースティック編成による新アレンジで、halcaとオーディエンスがより距離感近く、フレンドリーに音楽で遊ぶ楽しいライブが繰り広げられてきた。
そんな“live playground”シリーズが、2年ぶりに大阪・東京の2会場、昼夜2公演ずつが開催された。会場は、一流海外アーティストの来日公演も多数行われる世界標準のライブレストラン、ビルボードライブ大阪とビルボードライブ横浜。“live playground”シリーズが東京以外で行われたのも、今回が初めてだ。7月7日のhalcaの誕生日、ビルボードライブ大阪で“halca live playground #004 at Billboard Live”公演を盛況のうちに終え、7月27日は神奈川県・ビルボードライブ横浜にてファイナル公演が行われた。
キラキラとしたエントランスを上がったビルボードライブ横浜のフロアは2階構造。ステージ前のテーブル席、ソファ席からも、3階のカウンター式のカジュアル席からもステージをゆったりと眺められる仕組みだ。アコースティックアレンジになったhalcaナンバーのインストゥルメンタルが場内に流れているのも、いつもよりかしこまった雰囲気。ちょっとオシャレをしたhalcaファンが、レストランメニューを口に運びながら開演を待っている。
MCでも紹介されていたが、今回はビルボードライブらしいhalcaオリジナルカクテルも用意。1つは南国リキュール“パッソア”をベースにパッションフルーツのジュースを合わせた「ナナナナんどもrepriseしちゃう大人のジュース」。もう1種類はカルピスソーダをベースにしたトロピカルな味わいのノンアルコールカクテル「ナナナナんどもrepriseしちゃう子どものジュース」。“7”にこだわるhalcaらしい、ピンク色を基調としたかわいらしいドリンクを、美味しそうに楽しんでいた。
昼公演の開演は14時。BGMが止んで流れてきたのは「告白バンジージャンプ」のアコースティックインストゥルメンタル。客席から湧く手拍子に迎えられて、フロアの後方からhalcaと今回のサポートミュージシャンの2人、川口圭太(g)とジョー(key)がステージに向かう。温かい拍手が起こり、halcaが挨拶する。
「こんにちはー、halcaでーす!ビルボードライブ横浜にようこそでーす!わーい!今日は一緒に楽しい時間を過ごしましょう、最後までよろしくお願いします」
メンバーと目を合わせて、チェアに腰かけ、静かにスタートした1曲目は懐かしいデビュー曲「キミの隣」。ピアノとアコースティックギターが織り成すリズミカルなイントロ。客席をゆっくりと見渡しながら、クラップを煽ったり、サビでは小さくワイパーを促したり。ニコニコと微笑みながら歌うhalcaに導かれるように、客席にも笑顔が広がり、川口のカウントから2曲目の「うそじゃないよ」へ。ボーカリスト・halcaの最大の魅力は、彼女にしか出せない個性的で透き通ったハイトーン。アコースティックバージョンならではの染み入ってくる歌声は、切ない歌詞をより切なく、ハッピーなフレーズをよりハッピーに浮かび上がらせる。
少しだけ、かしこまった雰囲気に包まれたビルボードライブ横浜だが、MCはいつもどおり元気いっぱいだ。この日の衣装も、ビルボードライブという会場に臆せず、ここをいつも通りのみんなとの“遊び場”にしたい!というhalcaのワクワクした気持ちが表れているような、ボーイッシュなスタイルだ。「ずっと短くしてみたいと思っていた」という長かったピンクの髪をショートボブにカット。白いシャツにネクタイ、赤いタータンチェックのハーフパンツの上には、袖に切り込みの入った同じ柄のジャケットを羽織っている。今年5月にフルバンド編成で行われた“LAWSON presents halca live 2024 playloud”ではパンキッシュなファッションに身を包んでいた彼女だが、今日はUKパンク風だ。
デビュー当時のコンベンションライブ以来、ワンマンライブでは初サポートとなるジョーと、halcaバンドのバンマスとしてもお馴染みの川口圭太を改めて紹介し、静かに話を聴いている客席に向かって「今日は初めましてみたいな感じ?みんなもしかして緊張してる?中身はいつものhalcaなので、いつもどおり仲良くしてください!」とニッコリ。そして“live playground”では、いつもhalcaが演奏する楽器を用意しているのが定番。これまで演奏してきたオタマトーンやタンバリン、シェイカーに加えて、今回は新ガジェットとして、スティックで叩くとパーカッションサウンドが鳴るリズムパッドと、小さくカラフルなおもちゃのサックスをお披露目。ジョーの伴奏で「キラキラ星」をスポットライトを浴びて雰囲気たっぷりに演奏し、「色んなオモチャを持ってきて、ビルボードライブさんを“遊び場”にしたいと思います!」と笑う。
次のブロックでは、さっそくそのおもちゃ楽器が大活躍。ジョーと川口がグルービーなアンサンブルを聴かせた「weather through」ではシェイカーでリズムを刻み、アップテンポな「時としてバイオレンス」ではスティックを片手に立ち上がってノリノリでパッドを叩き、ブレイクパートではおもむろにオタマトーンでロングトーンを鳴らして会場を沸かせる。客席の手拍子に乗って、伸び伸びと歌声を響かせたhalcaは、アウトロでオタマトーンをクルクルと回して盛り上げた。
ここでステージにhalcaオリジナルカクテルが運ばれ、サポートメンバーも一緒に全員で乾杯!カクテルのレシピを紹介しながら、「めっちゃ美味しい!」とhalcaも嬉しそうだ。
続いて披露されたのは、カクテルの名前にもなった曲「reprise」。アコースティックになったアレンジと、キーの低いパートではちょっとハスキーなhalcaの歌声が絡み、よりブルージーな雰囲気が漂う。ここからは、しっとりとしたナンバーが続く。夜空に1人思う気持ちを描いたドラマチックな曲調を加速するように、フロア全体を包む込むようにミラーボールが美しく輝いた「瞬く頃」。歌いながらhalcaが見せる切なく苦しげな表情に胸を掴まれる。そして軽やかなイントロが鳴り、「ロマンティックマニフェスト」へ。川口のギターが奏でる美しいハーモニクスをアクセントにして、乙女心を切々と歌い上げた。
「ふーっと一息できたところで、ここからはみんなでまた遊びたいなと思うんです」と、halcaは立ち上がってタンバリンを腰に当て、スティックでパッドを叩いて、ドンドン・パン!と客席と手拍子を練習。「こうやっていると、ある曲が思い浮かぶと思うんですけど」と、halcaのカウントでステージはそのまま「TTL」へ! パワフルなhalcaのボーカル、川口のキレのいいストロークとギターソロ、軽快なジョーのピアノにオーディエンスも大きなクラップで応え、アウトロではhalcaが小さく足を上げてキックをかました。楽しい一体感は次の「Good Luck Waker」でさらに盛り上がる。halcaのボーカルを追いかけるように、客席から「Wow Wow」の声が飛ぶ。オリジナルアレンジはロックなナンバーが続いたこのブロックを締め括ったのは、ビルボードライブ横浜限定のハイテンポな「誰彼スクランブル」。これまでのライブではバンド演奏をバックにド派手に歌われてきたこの曲だが、halcaのシェイカー、ピアノとアコースティックギターだけのアレンジでも、彼女の歌のパワーがビシバシ伝わってくるのが楽しい。ラストはhalcaが両手両脚を大きく広げてポーズ!大きな歓声が送られた。
今回の“live playground”が発表されてから半年、「7月は自分にとってご褒美があるぞ!」とビルボードライブでのステージを楽しみにしていたというhalca。
「周りの人みんなに “おめでとう”と言ってもらえるスペシャルな場所でやらせてもらえて光栄です。自分がいつか、おばあちゃんになって孫ができたときに、“わしゃあ、こんなところでライブしたんだぞ!”と、今日のことを思い出して、ふふっ~!てのけぞりながら自慢すると思います。これからも、そんな語りたくなるような思い出を1つ1つみんなと一緒に増やしていきたいです。これからも応援よろしくお願いします!」
そして「またみんなとここで会えたらいいな!という願いを込めて歌います」と言って、本編ラストに届けたのは「センチメンタルクライシス」。“キミと私 きっといま同じ気持ちだよ”の歌声が、温かく胸に染み込んだ。
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