リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2024.08.21

MindaRyn、2ndアルバム『Across Miles』発売記念インタビュー!タイの大ヒット曲を日本語カバーした理由とは。

MindaRyn、2ndアルバム『Across Miles』発売記念インタビュー!タイの大ヒット曲を日本語カバーした理由とは。

タイ出身のアニソンシンガー・MindaRynの2ndアルバム『Across Miles』が8月21日にリリースされた。TVアニメ『転生したらスライムだった件 第3期』エンディング主題歌第二弾「Miracle soup」を始め、数多くのタイアップ楽曲が名を連ねる本アルバムにはタイで人気の楽曲「Sing Kaung」を日本語カバーした「Void(Japanese Version)」も収録されている。そんな本作に込めた思いについてMindaRynに語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY はるのおと

アルバムのテーマに据えた“connect”

――最近は国外でライブする機会も増えてきていますが、行ってみての印象はいかがですか?

MindaRyn すごく勉強になるし、各地で新しい文化に触れることができ、人間的にも成長できていると感じています。特にこれまで行ったことのなかった国でのライブは学ぶことが多いです。昨年は“Anime Village Jeddah 2023”に参加するためサウジアラビアに行きましたが、そこに住む人たちは私と考え方が大きく違い、「世界は広い」と改めて感じました。

――海外では食文化の違いに驚かされることもあるのでは?

MindaRyn ありますね。特に印象に残ってるのはフィリピンで食べたバナナのスープ。バナナが入っているけど甘くなくて、一緒に豚肉などが入っているんです。私の発想にはない食べ物でしたが、とても美味しかったです。私は元々インドア派ですが、そんなふうに色んな国の文化に触れることで家から出ることが好きになりました。今後はもっと出会いを求めて外の世界に出ていきたいです。

――そんな経験を経て制作された2ndアルバム『Across Miles』ですが、どのようにコンセプトを考えられたのでしょうか?

MindaRyn 今回のアルバムのキーワードとしてまず浮かんだのは“connect”という言葉でした。私はタイ出身で、日本を拠点に活動し、先日は日本の裏側であるブラジルにも行かせていただきました。音楽のおかげで世界中の人々と“connect”させていただいているのを日々感じているので、それをアルバムのテーマにしようと考えました。

――そこから『Across Miles』というタイトルになった経緯は?

MindaRyn 最初はシンプルに“connect”をタイトルにすることも考えました。でももっと考えてみたくて、ほかのアイデアを探ることにしました。そこで出てきたのが『Across Miles』。“connect”と近い意味の“Across”という言葉が使われているし、“Smile”や、私の呼び名である“マイ”が入っている、こだわりのタイトルです。

――本アルバムには3つの新曲が収録されます。6曲目に収録される「searchlight」はどのようなコンセプトで制作したのでしょうか?

MindaRyn タイアップなしの曲なので、私の思いをストレートに出したいと考えていました。その中で、私が感じている悩みや迷いをストレートに伝えたのがこの曲です。普段はハッピーだったり、力強い曲を歌うことが多いですが、私自身はいつも前向きというわけではなく、そういうところをみなさんに見てもらいたいと思ったので。

――作詞・作曲を担当したのは、これまでもMindaRynさんに楽曲を提供されてきたNone Longfieldさんです。

MindaRyn Noneさんには、5thシングル「Way to go」に収録された「Sword of my soul」の編曲をお願いしました。その時に作ってくださったものがすごくフレッシュで魅力的だったので、今回もお願いすることにしました。

――打ち合わせではどういった話をしたのでしょうか?

MindaRyn 最初に話したのはテンポが速くない曲を作りたいということでした。今回のアルバムにはアップテンポの曲が多く収録されるので、それらとの違いを見せたかったんです。そしてNoneさんがまずデモを作ってくれて、それを聴いたときに「走って逃げる女の子」というインスピレーションが浮かんできたんです。暗闇の中を出口を探して彷徨って走る、そんな女の子。その姿は迷いながら夢を追いかけている自分に重なる部分があって、これをテーマに曲を作れば私自身が感じている悩みや迷いを歌に込められると思ったんです。その話をNoneさんに伝えて作り上げてもらったのが今回の楽曲ですね。

――歌う際に意識したことはありますか?

MindaRyn 生きていく中で迷いを感じることは誰にでもあると思います。そんな皆さんの迷いに寄り添いながら、背中を押すように歌うことを意識しました。最初は低めのトーンからスタートし、だんだんと歌声に明るいニュアンスを追加していって。ラストには感謝の気持ちがメッセージに乗るように歌いました。

初のタイ語楽曲日本語カバーに込めた思い

――「searchlight」に続くのが、同じく新曲の「Remaining Story」です。こちらはどういったコンセプトの楽曲ですか?

MindaRyn 「searchlight」と同じく私が持っているネガティブな感情がテーマです。私自身、自分の居場所がどこかわからなくなることがあるんですよ。日本が大好きだけど、自分の国はタイなのでここが100%のホームグラウンドではない。でも、タイにいた時も自分の好きなものは周りと違う気がして、居心地がいいとは思えなかった。そんな私の“いつか自分の居場所だと思える場所に出会いたい”という思いを込めたのがこの曲です。

――そんな思いが、このスピーディな楽曲に込められていたんですね。

MindaRyn 歌っていて楽しいんですが、体感スピードは今までで一番速かったです。だからライブでは皆さんの力を借りて歌うことになると思っています(笑)。

――コールアンドレスポンスもあるし、ライブ映えしそうですね。最近はライブでの披露を見越して歌っているんですか?

MindaRyn 「MindaRyn 1st LIVE“My Journey”」以降、かなり意識するようになりました。せっかく皆さんと一緒に音楽を楽しめる機会だし、最高のアクティビティをプレゼントしたいと思っていますから!

――そして最後の新曲「Void(Japanese Version)」がアルバムを締め括ります。こちらはタイのバンド・Klearの大ヒット曲「Sing Kaung」の日本語カバーとのことですね。

MindaRyn そうなんですよ。私の母国・タイの音楽を日本に届けることで、日本とタイを“connect”させたいと考えて収録しました。元々、私は日本のアニメソングをカバーすることから音楽活動を始めたし、タイの曲をカバーするのも上手くハマると思ったのもあって。

――ちなみにKlearはどういったバンドなのでしょうか?

MindaRyn タイのレジェンドミュージシャンです。最近は楽曲提供などで若いアーティストをバックアップすることが多いかな。彼らの作る音楽はいつも切ない気持ちになるんです。今回の「Sing Kaung」は自信喪失した女の子が自信を取り戻し、周りに感謝できるようになるまでを歌った曲で、タイではバレンタインシーズンになると必ず耳にする定番の曲です。MVもストーリーが魅力的なのでぜひチェックしてほしいです。

――数多いタイの音楽からこの曲を選んだ理由を教えてください。

MindaRyn 曲として好きだというのが一番です。それに、この曲で歌われている内容が自分が今伝えたいメッセージに近かったことも理由の1つです。そもそも私は自分に自信がないんですよ。そんな私も周囲の皆さんに支えてもらうことで音楽活動ができている。それに対する感謝の気持ちを伝えたいという思いをいつも持っていますから。

――特にMindaRynさんの思いとリンクする歌詞はどこでしょう?

MindaRyn ラスサビの“たったひとつの心で今 私を取り戻していく 君を愛してるよ ずっと”という部分です。楽曲全体を通して、最も感謝の気持ちが表れたフレーズだと感じるので、歌うときも強く思いを込めました。

――今回は和訳を編曲もされた渡井翔太さんがされていますが、ご自身でしようとは考えませんでしたか?

MindaRyn この曲はすごくメッセージが素敵なんですよ。そのニュアンスがきちんと伝わるよう渡井さんにお願いしました。私の日本語のレベルでは曲のメッセージを表現できる自信がなかったんです。

――MindaRynさんの日本語力であれば充分に表現できそうですが……。

MindaRyn いや、まだまだですよ。私は理系出身ということもあって言葉に関してはあまり自信がないんです。英語なんて学生時代にFをもらったこともありますし(苦笑)。

次のページ:タイ在住時から憧れていた“アニサマ”の舞台へ

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP