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INTERVIEW

2024.08.09

【特集】「学園アイドルマスター」小鹿なお(月村手毬役)インタビュー――もどかしい日々の先にあった運命的な出会い、ありのままの歌声が繋ぐ2人の関係

【特集】「学園アイドルマスター」小鹿なお(月村手毬役)インタビュー――もどかしい日々の先にあった運命的な出会い、ありのままの歌声が繋ぐ2人の関係

「アイドルマスター」シリーズの6年ぶりの新ブランドとなるアプリゲーム「学園アイドルマスター」(以下、「学マス」)が、5月のサービス開始以降、大ヒットを続けている。ヒットの要因は様々あるが、“アイドルへの挑戦状”をテーマに掲げた楽曲の数々もそのひとつ。近年の音楽シーンを彩る多才なコンポーザーたちが参加した、アイドル作品の枠を超えた楽曲たちは圧倒的なインパクトを残している。リスアニ!では、各アイドルの1stシングルリリースを記念して、楽曲や音楽面にフィーチャーしたキャストインタビューを実施。今回は、中等部ナンバーワンアイドルと呼ばれていた元エリート・月村手毬役の小鹿なおに話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 千葉研一

オーディションの歌唱審査は、音程よりも感情表現を重視

――ゲームがリリースされて以降、手毬の魅力がどんどん増してきましたね。

小鹿なお ありがたいです。リリース前の事前情報だけのときは、手毬はあまり人気がなくて……(笑)。ものすごくストイックでクール、王道の“青のアイドル”といった印象はあったと思いますが、手毬には説明文と紹介PVだけでは伝わり切らない魅力があるんです。リリース後は、手毬の子供っぽいところや、(本心に反して)ちょっと強い言葉を言ってしまうところ、ドヤ顔をしながら自信満々に放つ言葉などが話題になって。皆さんに手毬という女の子の面白さ、魅力が伝わってきたのが実感できて、すごく嬉しいです。

――「甘えん坊」「二面性がある」と学園名簿(公式サイトのプロフィール)にありましたが、想像以上でした。

小鹿 そうなんですよ。思った以上に甘えん坊だったという(笑)。

月村手毬

――そんな手毬を、オーディションではどのように役作りして臨んだのでしょうか?

小鹿 私も皆さんと同じく、第一印象は“クールでストイックな女の子”でした。でも、資料にはそれだけでなく、内面に関して「甘えん坊で寂しがり屋」とも書かれていて。オーディションの原稿も、プロデューサーに対する普段のセリフと、内面のモノローグが半分ずつくらいあったんです。モノローグでは甘えん坊なところを出せるように、しゃべり方を柔らかくするように意識しました。

また、「みんなにキツい言葉をかけてしまうけど、故意にキツくしているわけではない」とも書かれていたので、ただの性格が悪い人にはならないようにしたい、と考えました。とはいえ、内面はそうでも、表面的にはクールでちょっと冷たいイメージを持たれるようにしたかったので、色々なことを意識して臨みました。

――手毬と同じように、小鹿さん自身も子供の頃は見た目で誤解されていたと聞きました。

小鹿 そうなんです。子供の頃は目つきが悪くて、真顔なのににらんでいると思われることがありました。引っ込み思案で、頭の中でぐるぐる考えてしまうことも多かったですし、今でも「あの発言、大丈夫だったかな?」と思うことがあるので、そういった面はかなり似ていると思います。なので手毬を演じるときは、子供の頃の自分を思い返したりすることも結構あります(笑)。

――オーディションでは歌唱審査があったと思いますが、手毬の課題曲は何でしたか?

小鹿 「アイドルマスター ミリオンライブ!」の≡君彩≡(所 恵美、松田亜利沙、矢吹可奈によるユニット)が歌う「ReTale」でした。

――「ミリオンライブ!」の中でも“蒼の系譜”と呼ばれる最上静香のソロ曲ではなく、「ReTale」だったのは興味深いですね。切なさや情感が溢れるこの曲を、手毬としてどう歌ったのでしょうか?

小鹿 オーディションに向けて自分で練習している段階では、表向きのクールな雰囲気を踏まえて、ちゃんと音程を取ってきれいに歌い切ることを意識していたんです。ただ、スタジオーディションで1回テストとして歌ってみたら、「音程を取れることはわかったので、次は音が外れてもいいから、セリフのように手毬として感情表現を思いきりやってください」と要望をいただき。それを受けて、手毬らしい表現や感情の入れ方を自分なりに考えながら、とにかく全力で歌いました。

――演技や歌唱力はもちろんですが、それ以上に手毬をどう表現したかが決め手となったのかもしれないですね。

小鹿 そうだったら嬉しいです。

「手毬には運命しか感じていないです」

――小鹿さん自身のことや音楽遍歴などについてもお聞きします。事務所のプロフィールには「特技:ダンス」と書かれていますし、「学マス」の配信番組では歌とダンスが得意と話していました。部活も含め、何かやられていたのでしょうか?

小鹿 ダンスは、高校生のときにダンス部に所属して頑張っていました。ライブ活動もある作品では、それが強みになるのではないかと思って、プロフィールに書いています(笑)。歌に関しては、特に何かやっていたわけではないです。歌うことは昔からすごく好きなのですが、実は私の普段の歌い方はちょっとアーティスト寄りといいますか、いわゆるキャラソンみたいな歌い方ではなく、歌い上げる感じになってしまいます。ですが、それが手毬のイメージには合っていたようで、「学マス」がリリースされてからも「(手毬の)歌が上手い」と言っていただく機会が多いので、それなら手毬担当としては「特技に入れなくちゃ!」と思って、配信番組では歌も特技とさせていただきました。

――そうだったのですね。公式ラジオ番組「初星学園 音楽部」では、声優を目指して上京するときに親と約束した3年間という期限のギリギリで手毬のオーディションに受かって、人生のターニングポイントになったと話していましたが、自分の歌い方をそう思っていた中で手毬と出会ったのも運命的に感じます。

小鹿 私も手毬には運命しか感じていないです。手毬の曲を歌うにあたって、私は声を一切作っていないんですよ。もちろん、手毬として「ここはこういう表現をいれたい」といったことは考えますが、“手毬っぽく歌う”ことはあまり意識していなくて。手毬として表現したい部分を考えたうえでありのまま歌っているので、本当に運命を感じます。

――すごいですね。そんな小鹿さんはどういった音楽を聴いて育ったのですか?

小鹿 小学生くらいまではアニソンばかり聴いていました。学校から帰ってくる頃に放送されていた夕方帯のアニメの曲が好きで。なかでも、SCANDALさんやSPYAIRさん、ポルノグラフィティさん、シドさんをよく聴いていました。高校生の頃は姉の影響もあって、THE ORAL CIGARETTESさんやUVERworldさん、04 Limited Sazabysさんなどの男性ボーカルのロックバンドが好きになって、カラオケでもそういう曲をずっと歌っていました。

――「初星学園 音楽部」ではBiSHの名前も挙げていました。

小鹿 BiSHさんは高校を卒業後、今の事務所に所属して、さらに色々な音楽を聴くようになってから好きになりました。今はYouTubeなどにたくさんのアーティストがライブ映像をアップしていますので、そういったものを観て影響を受けることも多いです。

――「アイドルマスター」シリーズも好きだったそうで。

小鹿 はい。高校生のときに「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」にハマって、すごくやり込みました。

――当時気になっていたアイドルや、好きだった曲のことを教えて下さい。

小鹿 一番気になっていたアイドルは渋谷 凛ちゃんです。まず見た目がいい(笑)。シルバーのアクセサリーやストレートのロングヘアーが私好みだったので、最初はビジュアルから入ったんです。そこから、アイドルに対して真剣に向き合う姿や歌声の真っ直ぐさに惹かれていき、私も同じ高校生だったこともあって憧れの存在になりました。

当時一番好きだった曲はTriad Primus(渋谷 凛、神谷奈緒、北条加蓮によるユニット)の「Trancing Pulse」です。歌声が気持ちよくて、始まり方が強すぎるというか、「くるくるくる!始まるぞ!」となる感じがものすごく好きで、ゲームでもこの曲をかなりプレイしていました。

――「ミリオンライブ!」の楽曲「アライブファクター」(如月千早、最上静香)もラジオ番組で名前を挙げていましたね。

小鹿 やっぱり“蒼”が好きみたいです(笑)。「アライブファクター」を初めて聴いたときは、ただただ衝撃で、本当に拳で殴られた感じでした。これを3次元のアーティストではなく、「アイドルマスター」という世界の中の女の子たちが歌っているのも衝撃的でしたし、お二人の歌唱力も熱量もものすごくて、こんなにも熱い曲があるんだ!って放心状態になりました。思い返してみると昔から「アイマス」の“蒼の曲”に惹かれていたので、月村手毬にも縁があったんじゃないかなって思います。

――こういう話を聞くと、いわゆる“蒼の系譜”と呼ばれる人たちと、いつか一緒に歌う姿を期待しちゃいます。

小鹿 私もちょっと狙っています(笑)。ご一緒したい気持ちはものすごく強いです!

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