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INTERVIEW

2024.08.09

弾けるきらめきとほのかな切なさが形作る、“夏”の日の思い出――岡咲美保「ハピメモ」リリースインタビュー

弾けるきらめきとほのかな切なさが形作る、“夏”の日の思い出――岡咲美保「ハピメモ」リリースインタビュー

声優・アーティストの岡咲美保が、8月7日に4thシングル「ハピメモ」をリリース。リリース直後・8月10日に開催する2ndワンマンライブ“Miho Okasaki 2nd LIVE 2024 ~ハッピーメモリー~ supported by animelo”に向けて制作した表題曲は、選曲やタイトル決めから自ら携わった意欲作。ライブでの盛り上がりを予感させるのと同時にかすかな切なさも感じさせる、これからの季節に実によくハマるナンバーに仕上がった。そんなこの曲や、ヨシダタクミ(saji)が手がけたカップリング曲「夜ふかしダンス」に歌唱面から込めたこだわりや創意工夫について、岡咲が語る。

INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次

「ハピメモ」の中にある、岡咲がイメージする“夏”とは

――4thシングル「ハピメモ」は、2ndワンマンライブに向けたシングルとなりました。

岡咲美保 「ハピメモ」については、コンペ形式でたくさんいただいた中から自分で曲を選ばせていただき、その後、曲の最初の“Oh! Summer day Oh! ハッピーメモリー”というフレーズから、ライブタイトルと曲名を取らせていただきました。

――コンペにあたっては、岡咲さんからも何かリクエストを出されたんですか?

岡咲 はい。私、夏満開な季節にワンマンライブを開催するのが初めてなんですよ。なので、私もですけど聴いてくれる皆さんが楽しくなれるような……前回の「アンビリバボーアンセム」とはまた違ったテンション感の(笑)、「とにかく盛り上がれる曲」を制作したいというお話はさせていただきました。

――その中で「ハピメモ」を選ぶ決め手になったことは、どんなことだったんでしょう?

岡咲 いつも「一番歌いたいな」という気持ちを大切に選ばせていただいているのですが、たくさんの曲を聴かせていただいたなかで、この曲が一番笑顔になった曲だったんですね。あとは、王道感もありつつ懐かしさも感じて……特に始まりの“Oh! Summer day Oh! ハッピーメモリー”の部分とかに“平成ポップス感”みたいなものや、ちょっぴり切なさも感じたんです。メロディの中に「去るからこそ、煌めいて見える」みたいな刹那的な感じもあるというか……アゲアゲだけじゃないところも“夏”という季節にすごくハマるなと思って、すごく好きな曲です。

――その切なさという要素は、夏が終わりに近づいていくこれからの時期にもピッタリですよね。

岡咲 そうなんです!毎年経験しているのに、夏が終わっていくのってちょっと寂しいものなので……だから今は、ファンのみんなに「8月10日に、私の思い出を作ってください!」と思っています(笑)。

――そんなこの曲、受け取った段階や歌っている際には、どんなイメージや光景が浮かびましたか?

岡咲 自分の中には、2つの意味がある曲なんですよ。歌詞の世界観だけで捉えると、「きっと海が舞台で、思い出作りにお出かけしたのかな」というイメージで。歌詞の中に出てくる「君」は、好きな人だったり友達にあたると思うんです。でも私自身は「この曲を、みんなの前で歌うんだよな」と認識したうえで歌っているし、ライブだったらその「君」は多分ファンのみんなのことになるじゃないですか?そのどちらの意味合いも感じながら、「自分にとって、どっちの感覚も必要だから」という感触で歌っていました。

――それを両立させるというのは、やはり難しさもありましたか?

岡咲 はい。タイアップとはまた違うんですけど……主題歌のときってアニメの世界観と曲自体の世界観があって、その輪が重なっている部分がおいしいなと思うんです。それと似て非なるものではありますけど、今回は初めて「ライブのための曲で、かつ表題曲」というものに取り組んだので、新鮮さもありました。

――その他、レコーディングのときにはどんなことを大事にされたのでしょうか。

岡咲 自分が声の仕事をしているからというのもあると思うんですけど、毎回歌をうたうときには自分の気持ちを持っていくのにプラスして、“声の引き出し”というものをどうしても意識せざるを得ないんですよね。キャラクターソングとは全然違うんですけど、“私の歌声”の中でどの部分を出していくか……みたいな。そういう意味で言うと「ハピメモ」は、かなりハイテンションな引き出しを開けたといいますか。特にデビューした頃にいただいた「ハピネス」や「ペタルズ」みたいなポジティブな曲よりも明るく弾けた、“夏”という季節を意識したからこその歌い方になったのかな、とは思いますね。

――そのうえで、先ほどおっしゃられた冒頭部分のフレーズではややきれいめに歌われて切なさを生かしたりと、巧みに押し引きもされている印象があります。

岡咲 それは、最終的には私自身が楽しんだり、「私が曲から感じたものを、人間らしく表現したいな」という気持ちがあるから出せたものかもしれません。これはあくまで自分の考え方なんですけど、「こうすればこう聴こえる。だからそうすればいいんでしょ?」みたいなものって技術としては大事にしたいと思いつつ、それだけで歌うのもなんだか寂しいような気がして。技術の部分も大事にしながら、「そのときの自分の心の動き」みたいなものを、ちゃんと歌声にも投影したいんです。

――そう取り組まれているからこそ、サビでの歌声がよりいっそう煌めいて聴こえるんだと思うんですよ。

岡咲 わー、嬉しい!でも多分、この曲が本当に完成するのは8月10日だと思うんですよね。もちろん音源は音源で楽しんで夏を過ごしていただきたいですけど、やっぱりライブでこそ、一番の「ハピメモ」をみんなと完成させられるはずなので。追っかけ部分のカッコも多いというのもあって、レコーディングのときから「ライブで完成したらいいなぁ」という気持ちで歌っていました。

――ちなみに少々脱線なのですが、先ほど出た“懐かしさ”という言葉にちなんで岡咲さんにとっての夏のメモリーをお聞きしたいのですが。

岡咲 “夏”と言われると、自分はやっぱり夏休みのイメージが大きいです。なのでこの曲を聴いたときも、「家族と夏休みに沖縄に行ったことがあったなぁ……」とか、歌詞の中にも出てくる海辺をすごく思い出しました。あ、家族で海といえば……。

――何か思い出が?

岡咲 たしか高知の桂浜だったかな?私の母は私以上にハイテンションな人なんですけど(笑)、砂浜に波が打ち寄せてくるのを見て「みほー!これ波の音で何叫んでもバレんよぉー!」って言ってきたんですよ。それで一緒になって……何を叫んだかは忘れたんですけど、海に向かって思いっきり叫んでたんですね。そうしたら、「大丈夫ですか!?」って監視員さんが来ちゃって(笑)。

――事件性があると勘違いされた(笑)。

岡咲 そうなんです(笑)。父はこういうのに乗らないタイプだから母と2人でやっていたので、もしかしたら「お父さんが流されたのか?」みたいに思われたのかもしれません(笑)。

――さて、お話を「ハピメモ」に戻させてください(笑)。今回のMVは、サビ以外の部分は吹き出しに歌詞が表示されるリリックビデオ風のものとなっていますね。

岡咲 そうなんです。縦スクロール漫画風にしていただいて。MVの監督さんも「ハピメモ」から、“青春!”“夏満開!”な部分と一緒に、私と同じように“切なさ”を感じてくださったみたいで。その“過ぎ去りゆくからこそ”みたいなところから、学生や転校というものをテーマにされたんだと思います。

――そのなかでは、初めてとなるエキストラの方との共演もありました。

岡咲 緊張しました……!リップシーンみたいに、音楽と一緒にその世界観に浸りながらのお芝居のときは全然大丈夫なんですけど、今回の制服のシーンではその世界を生きているところに音楽がかぶさっているので……ピアノを弾くシーンの指とか、あと表情筋とかが(笑)、急にカチコチにならないよう頑張らなきゃなぁと思っていました。

――一緒にお芝居されてみて、いかがでしたか?

岡咲 ご一緒した役者さんがお二人とも同世代で、たくさん話しかけてくれたり、リードもしてくださったおかげで、最後のほうには色んな話のできる3人組になれてホッとしました。例えば、屋上でパンを食べるシーンでは音が乗らないのをいいことに好きなお酒について喋ってたり……未成年だと絶対しちゃダメな話題ですけど(笑)。他に色々好きなものや似合いそうな水着の色とか、普通にガールズトークをしていました。もしかしたらメイキングに少し入ってたりするのかな?そういう和気藹々とした感じが、MVの中にも表れていたら嬉しいですね。

次のページ:「夜ふかしダンス」の歌唱には、偶然の巡り合わせが大きなヒントに?

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