――続いて『機動戦艦ナデシコ』のOP「YOU GET TO BURNING」をカバーされました。こちらの曲はいかがでしたか?
森口 オリジナルは松澤由美ちゃんが歌っているのですが、「Anison Days」にゲストで来てくれたときもそうですし、毎年GWに開催している「スーパーロボット魂」や「KING SUPER LIVE 2015」でも何度も聴いていて、「キャッチーでスコーンと入ってくる曲だな」って思っていたのですが、プロデューサーから「森口さんの声でこの曲を聴きたいです」と言っていただいたことをきっかけにカバーしました。歌ってみて、自分のなかでもしっくりきたなって思いました。オリジナル曲を編曲された作曲者でもある大森俊之さんのブラスからの、のけぞりたくなるようなイントロは「アニソンきた!」と心を掴まれるんですよね。それから有森聡美さんの歌詞もすごく好きなんです。“悔しさをこらえて蹴り上げた石ころ 跳ね返ればダイヤモンドにもなる”っていいですよね。悔しくて石ころを蹴って終わるのではなく、それをダイモンドにしてしまう。Aメロから強いメッセージがあって、素晴らしいなと思って挑戦させていただきましたが、歌っている自分も背中を押された1曲でした。
――そして未だに根強い人気を誇る『カードチャプターさくら』のOP「プラチナ」です。
森口 敬愛する菅野よう子さんの曲は「Anison Days」でたくさんカバーさせていただいていて。『GUNDAM SONG COVERS』でも「限りなき旅路」をレコーディングさせていただいていますが、自宅で自主練中も号泣し続けていたくらい好きです。菅野さんのこの「プラチナ」は圧巻だと感じました。緻密なアレンジはもちろん、駆け上がっていくように転調していくところも、本当に爽快な気持ちになる。そして岩里祐穂さんの歌詞と菅野さんのメロディの親和性が本当に素晴らしいと思っていて。岩里さんの不安を解消してくれるような歌詞からも気持ちのいいエネルギーをもらいましたし、菅野さんの曲は別格です。歌っていて「わたし、どこかに飛んでいる!」という気持ちになります。“I’m a dreamer ひそむパワー”って、自分にはそんな力はないのかもしれないけれど、菅野さんの歌をうたっていると、そこへと誘ってくれるような感覚になります。限界のない可能性へと、メロディも歌詞もつれて行ってくれました。
――そんな一曲に続いたのが『鎧伝サムライトルーパー』のEDで、森口さんが歌っていた「BE FREE」です。セルフカバーとしての収録となりました。
森口 当時よりも好きになりました。あの頃、子供のわたしには気づかなかったことがたくさん詰まっていました。「Anison Days」では緊急事態宣言が発令されたコロナ禍のときにカバーをさせてもらったのですが、世界が身動きの取れない緊張感のある時期に“シグナルが赤になる 君は何故か かけ出す…”っていう歌詞を見て、「この曲はこんなに切羽詰まった世界だったのか」とドキッとしたんです。シグナルが赤で走り出すって相当大変な状況で、“邪悪な目をした すべての呪いから Be free君を救けたいよ”って歌う。今まで自分にいろんなことを教えてくれた大切な人が極限状態になっている、そこで助けなきゃどうするっていう愛や、いつどこで誰がどうなるかわからない状況は現代社会に於いてもあるけれど、そんな人間を救えるのも人間なんだって思えたんです。そこまで深く考えてこなくてごめんなさい、と当時の曲に対して謝りたい。やっぱり三浦徳子先生はすごいなって思いました。作曲の茂村泰彦さんには「サムライハート」でもお世話になっていましたが、今回は明星/Akeboshiさんのアイリッシュなアレンジが、この曲の世界観にハマりました。
――そして「ふしぎの海のナディア」のOP「ブルーウォーター」を田ノ岡三郎さんと共に響かせておられます。いかがでしたか?
森口 これは同期の森川美穂ちゃんの曲で、番組に来てくれたときにも一緒に歌わせてもらったのですが、本当に心が解放されていくような、名曲中の名曲だなって思って。カバーアルバム情報解禁時、「早く聴きたい」というファンの方の声が多かったです。作品の世界がヨーロッパをイメージさせることもあって、プロデューサーの方が「アニメの世界を纏ったような音で始まったらどうかな」とアコーディオンを入れるアイディアを出してくださったんです。それなら、と『GUNDAM SONG COVERS』でもお世話になった田ノ岡さんと再びコラボさせていただきました。熱を帯びた音色が心地良かったです。森口博子のカバーはガラリと違う世界観にしたものにも挑戦しますが、この曲はリズムをしっかりと残して、オリジナルのはじけた感じをキープしたいなと思いましたし、ファンの皆さんが「待っていました!」と思ってくれることを大事にしました。
――最後は『シティーハンター2』のED「STILL LOVE HER(失われた風景)」をTM NETWORKの木根尚登さんをお迎えしての豪華コラボレーションで聴かせてくださいます。
森口 わたしのアコースティックライブや番組にゲストに来てくださったときに木根さんと何度もご一緒させてもらった思い入れのある曲です。とにかくTM NETWORKのこの曲は木根さんの切ないブルースハープあってこそだって思っていたので、あの音がないのならカバーする意味はないってくらいに思っていたんです。それで友人でもある木根さんに直接おねだりしたら「いいよ」って、『GUNDAM SONG COVERS 3』に続いて快く受けてくださいました。わたしのキーに合わせて木根さんがハーモニカを買い直してくれたりもして、感謝感激です。これは「失われた風景」というくらい、過去を振り返っている曲。振り返っているけれど、置かれている立場で進んでいかなければいけないって哀愁の中の決意を感じました。TM NETWORKの35周年のライブの映像を見たときに、思わず涙がこぼれました。ファンの皆さんの表情にやられてしまったんです。会場全体で「ラララ」と歌うところがあるのですが、あまりにもファンの皆さんがいいお顔をされていたんです。きっとTM NETWORKの皆さんといろんな時間を歩んできた過去を振り返っているのだろうなぁ、という尊い表情で。自分もファンの皆さんとの歴史とリンクしました。今回のカバーでコーラス部分はその35周年のオマージュで、そのアレンジを取り入れました。このアルバムの最後に入れた理由としても、このアルバムの最後で過去を振り返りながらもわたしたちの道は続いていくよ、というメッセージを込めました。
――今回、リード曲の「想い出がいっぱい」は素敵なMVにもなっています。感想をお願いします。
森口 これは撮影場所にもスタッフの皆さんがこだわってくださいました。本来なら学校の校舎やなつかしさある景色で作っていくのだろうけれど、大人になったみんなが聴くからこそ、それぞれの想い出を想像してもらいたいということで学校に特定しないMVになりました。近未来でありながら光が入ってきて、温かさのある絶妙な空間との出会いと共に、わたしたちの描く大人のアニソンというコンセプトにぴったりのMVとなりました。ちなみに空間から空を切り取ったようなシーンは、わたしから監督にご提案させていただきました。「ここを見上げて、空から光をもらうような映像にして欲しいです」ってお願いしたのですが、そのシーンはまさにレコーディングでわたしが泣いちゃったところだったんです。2コーラスのAメロはいつも泣けちゃうんです。キー合わせで泣いて、レコーディグでも泣いて。歌詞のごとく木漏れ日をもらうようなシーンになったので、自画自賛したいです。
――そしてジャケットのアートワークについても伺います。水着でのお姿がまさに夏のスペシャルなアルバムということを感じさせます。
森口 34年ぶりにビキニに挑戦しました!アニソンをカバーするとなると、アートワークをどうするかということでもワクワクが止まらなくなって。1+1が2じゃないんですよね。いろんなものが掛け合わさって増幅するという。今、わたし、遊び心が爆発中なんです!夏のアルバムだし、どうせなら水着になっちゃおう!と。とにかくサプライズでみんなに驚きと楽しみを届けたいなって思ったんです。近年写真集やグラビアのオファーもあったのですが、私のワガママなボディーがお応えできず、お断りしてきたんです。ただここ数年、ボディーラインがいい感じに締まって、身体からGoサインがでました(笑)。イタズラな身体が暴れています(笑)。
――さらに11月、1月にはライブも控えています。
森口 アルバムはもちろんですし、ガンダムソング、そしてアニソン以外のポップスもお届けするライブにします。『GUNDAM SONG COVERS』の延長線上に『ANISON COVERS』シリーズもあるのですが、カバーしか知らなかった方が「森口さんのアニソンカバー以外にも素敵な曲があるのですね」と知ってくださって、逆も然りだったんです。それぞれのファンの方に楽しんでもらえるライブにします。
――そんなライブやアルバム発売記念のパネル展もありますが、今、『ANISON COVERS 2』を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをお願いします。
森口 コロナが明けて日常が戻ってきて、我慢していたものを取り戻している時期だと思いますが、エンターテインメントとして視覚でもサウンドとしても年齢に関係なく自分の夏を思いっきり楽しむための一枚にしてください。わたしも水着で楽しんじゃいました。ぜひ一緒にこの夏を彩りましょう!
●リリース情報
『ANISON COVERS 2』
8月7日発売
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
※イラストスリーブケース仕様
価格:¥4,000+税
品番:KICS-94160
※水着の袋とじブックレット<初回限定盤Ver.>封入
予約はこちら
https://moriguchi-hiroko.lnk.to/ANISONCOVERS2
【通常盤(CD ONLY)】
価格:¥3,000+税
品番:KICS-4160
※水着の袋とじブックレット<通常盤Ver.>封入
購入はこちら
https://moriguchi-hiroko.lnk.to/ANISONCOVERS2TSUJYO
<CD>
1 「想い出がいっぱい / with 鳥山雄司&神保彰」(『みゆき』EDテーマ)
2 「微笑みの爆弾」(『幽☆遊☆白書』OPテーマ)
3 「おジャ魔女カーニバル!! / with 百田夏菜子(ももいろクローバーZ)」(『おジャ魔女どれみ』OPテーマ)
4 「鳥の詩」(『AIR』OPテーマ)
5 「ゆめいっぱい / with 鳥山雄司&柏木広樹」(『ちびまる子ちゃん』OPテーマ)
6 「YOU GET TO BURNING」(『機動戦艦ナデシコ』OPテーマ)
7 「プラチナ」(『カードキャプターさくら』OPテーマ)
8 「BE FREE」(『鎧伝サムライトルーパー』EDテーマ)
9 「ブルーウォーター / with 田ノ岡三郎」(『ふしぎの海のナディア』OPテーマ)
10 「STILL LOVE HER (失われた風景) / with 木根尚登(TM NETWORK)」(『シティーハンター2』EDテーマ)
<BD>
「想い出がいっぱい / with 鳥山雄司&神保彰」Music Video
「想い出がいっぱい / with 鳥山雄司&神保彰」Making of Music Video
●ライブ情報
森口博子 39(サンキュー)コンサートツアー “ANISON & POPS NIGHT”
2024年11月17日(日)
大阪・森ノ宮ピロティホール
[時間] 開場17:00 / 開演18:00
2025年1月12日(日)
東京・昭和女子大学 人見記念講堂
[時間] 開場16:30 / 開演17:30
チケット料金:全席指定¥9,350(税込) 来場者特典付
CD封入抽選先行:2024年8月6日(火) 18:00 ~ 9月1日(日) 23:59
主催/企画:キングレコード
協力:ノーリーズン
制作:モストプランニング
森口博子 オフィシャルサイト
https://www.mogeshan.net/
森口博子「ANISON COVERS 2」特設サイト
https://cnt.kingrecords.co.jp/ANISONCOVERS2/
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