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INTERVIEW

2024.08.08

【特集】「学園アイドルマスター」長月あおい(花海咲季役)インタビュー――初めてのソロ曲に込めた“絶対に負けられない強い思い”と“心の内の葛藤”

【特集】「学園アイドルマスター」長月あおい(花海咲季役)インタビュー――初めてのソロ曲に込めた“絶対に負けられない強い思い”と“心の内の葛藤”

オーディションの課題曲は、咲季が歌っている姿を鮮明に想像できました

――オーディションは2021年、事務所に所属する前の養成所時代だったそうですが、昔から「アイマス」シリーズが好きということですから、お話をいただいて驚いたのでは?

長月 すごくびっくりしました。オーディションを受け入られること自体が夢のようで嬉しかったです。

――そして今年の3月にキャスト発表、5月にゲームがリリースされて大ヒットを続けています。実感が湧いてきたのは、いつ頃からですか?

長月 ゲームがリリースされて、ちょっとずつ実感が湧いてきている状態ですね。収録は進んでいたのですが、(オーディションに受かってから)リリースまで3年近くありましたから。SNSのトレンドに入ったり、楽曲の再生回数がすごく伸びていたり、電車でプレイしている人を見かけたり、反響をいただいて嬉しい限りです。

花海咲季

――改めてオーディションのこともお聞きします。咲季の資料をいただいた段階で、いわゆるセンターポジションだとわかっていたのですか?

長月 わかっていませんでした。オーディション資料には、どのアイドルでもない仮のイラストが載っていて、てっきりその子がセンターのアイドルだと思っていたんです。それとは別に花海咲季、月村手毬、藤田ことねの資料が届いたときも、咲季のような勝ち気で負けず嫌いな子がまさかセンターポジションのアイドルだとは想像していなくて。オーディションに合格してから聞かされて、すごく驚きました。

――いい意味でこれまでの「アイマス」のセンター像を意識することなく、咲季の役作りをして臨めたわけですね。

長月 そうですね。今までのセンターは天真爛漫やおっとりしたタイプの子が多かったですけど、まったくそういうイメージは持たず自由に咲季を演じられたかなと思います。

――オーディション当日はどういう感じに演じようと?

長月 いただいた台本から、最初はツンデレや高飛車といったタイプの子なのかなと思って演じたんです。でも、音響監督さんに「咲季はとにかく火の玉みたいな女の子だから、熱量の高いお芝居をしてほしい」と言われ、それを表現できるようにその場で頑張りました。

――手応えはいかがでしたか?

長月 「もっと声量を出してください」「自己主張を強く」「世界を大きく捉えてお芝居をしてほしい」とも言われたのですが……自分の中では全然上手くできなくて。その日は悔しい気持ちで、涙を流しながら帰りました。

――ご自身ではそう感じたとしても、刺さるものがあったのでしょうね。そして、「アイマス」のオーディションは歌唱審査もあるとのことで、咲季の課題曲について教えてください。

長月 伊吹 翼ちゃんの「恋のレッスン初級編」でした。先ほどお話ししたように、翼ちゃんのことは元々大好きで曲もよく聴いていたので、それを歌えるのが嬉しかったです。

――現在の咲季のポジションを考えると、「恋のレッスン初級編」は少し意外な気もしますが、オーディションでは知らずに歌ったわけですよね。

長月 そうですね。でも、とてもアイドルらしい曲で、私の中では咲季のイメージにハマったといいますか、咲季が歌っている姿をすごく鮮明に想像できて。こういうアイドルらしい曲を歌う子なんだろうな、と思いながら楽しく歌いました。

――それが良かったのかもしれないですね。ただ、咲季のソロ1曲目「Fighting My Way」はそれとはまったく雰囲気の違う楽曲で。

長月 合格を伝えられた直後に、その場で「Fighting My Way」を聴かせていただいたんです。そうしたら、オーディションのときと全然イメージが違って(笑)。すごくかっこいい曲でワクワクした気持ちもありましたが、ギャップにめちゃくちゃびっくりしました。「自分にこの曲が歌えるのか……?」と不安な気持ちにもなりましたね。

何日もかけて咲季らしい表現を突き詰めた「Fighting My Way」

――今回のシングルに収録される初のソロ曲「Fighting My Way」は正直驚きました。EDMのような曲を歌うにしても、それが1曲目にくるとは思わなくて。

長月 プロデューサー(ファン)の方からも「何年も経って、ちょっと方向性を変えたものを出すときの曲だろ」っていう感想が出ているのを目にしました(笑)。

――ただ、「学マス」の楽曲が“アイドルへの挑戦状”をテーマに掲げていることを考えれば、まさに象徴的な曲なのかなと。曲の印象はいかがでしたか?

長月 本当に花海咲季を象徴する曲というか、強いところも弱いところもすべてが詰まっていて。これ以上ふさわしい楽曲がない、咲季そのものみたいな楽曲だと感じました。

――ちなみに、こういったタイプの曲に馴染みはあったのですか?

長月 いえ、なかったです。私はジャパニーズアイドルしか聴いてこなかったので、引き出しも全然なくて。咲季はなんでもそつなくこなすタイプの女の子で、首席で初星学園に入学しているので、比較的なんでも歌えると思うんです。でも、その咲季の実力に自分が追いついていなくて、家で練習をしてもとにかく難しかったのを覚えています。それに、オーディションの課題曲が翼ちゃんの曲だったこともあって、咲季が「Fighting My Way」を歌っているイメージを、まだ自分の中に持てなかったんですね。

――人によっては最初に全体曲の「初」をレコーディングしたそうですが、長月さんはソロ曲を先に?

長月 はい。「Fighting My Way」が先でした。

――それならなおさら右も左もわからなかったと思いますが、難易度の高いこの曲をどのようにレコーディングしていったのですか?

長月 とにかく、すごい時間をかけていただきました。本番のレコーディングの前に、スタッフさんに何回もレッスンをしていただき、その上で何日かかけてレコーディングしたんです。レッスン初日に歌ったときは、本当に聴くに耐えないほどで……。「学マス」では成長過程で歌が変わるので、その一番下手なバージョンとしてその音源を使ってもいいのではないか、と声があがったほどでした(苦笑)。今聴くと恥ずかしくなりますし、スタッフさんにはたくさんの手間をかけてしまったなと思っています。

――時間をかけたとはいえ、あの完成度に仕上げたのはすごいですよ。

長月 ありがとうございます。スタッフさんと一緒に「この歌詞は咲季だったらこういう気持ちで歌うんじゃないか」「ここにこういう表現を乗せられたら咲季っぽいよね」などと、時間をかけてたくさん話し合って曲を完成させていった結果だと思います。

――この挑戦的な楽曲を作り上げたのは、作詞がHIROMIさんで、作曲・編曲がGigaさん。Gigaさんはレコーディングに来てくれたそうですね。

長月 はい。スタッフさんと試行錯誤して固めていき、ちょっとずつ歌えるようになったあとではありましたが、立ち会っていただきました。

――Gigaさんからは、どのようなことを言われましたか?

長月 2番の冒頭部分とか、仮歌ではかっこよく歌われていたところを、セリフっぽくというか咲季らしい表現を強めに乗せて歌ったんですね。それがGigaさんは予想外だったそうで、すごく褒めてくださいました。

――全部だとは思いますが、特に気に入っているフレーズを挙げるならどこでしょうか?

長月 ラスサビの“君がいれば 何度も立ち上がるわ”というフレーズですね。咲季は何度折れても立ち上がる不屈のアイドルだと思っているので、咲季を象徴しているすごくエモいポイントだと感じています。ここの“君”はプロデューサーであり妹の“(花海)佑芽”でもあり、“応援してくれるファン”でもあると個人的に感じているので、注目していただけたら嬉しいです。

――そういう意味では、ゲームで親愛度コミュを後半まで見て、改めてこの曲を聴いて欲しいですよね。

長月 私も「Fighting My Way」のレコーディングが終わってから、コミュのシナリオを最後まで読んで、歌詞が腑に落ちたというか。アニメの終盤でオープニングの歌詞が伏線回収されるみたいな気持ちになりました(笑)。

――ラストの“Ram pam pam para pum pum pa”も印象的なフレーズです。ここはレコーディングしていく中で生まれたそうですね。

長月 そうなんですよ。もともとは仮歌さんのアドリブが入っていて、メロディも音も歌詞も違っていました。どうしたら咲季らしい魅力の出るパートになるか、スタッフさんやGigaさんと一緒に試行錯誤し、アドリブで歌うなど何パターンも録ってみて最終的に“Ram pam pam para pum pum pa”に固まったんです。すごく気に入っているフレーズですね。

――調べてみても“Ram pam pam para pum pum pa”の意味はわからなかったのですが、なにか意味はあるのですか?

長月 意味は特にないと思います(笑)。実は、歌詞が付くよりも前の音源で、Gigaさんがハミングのような感じで“Ram pam pam para pum pum pa”に近いフレーズを入れていたんですね。それを真似して歌ってみたら「いいじゃん!」となって。ネットでは「何語でこういう意味が込められているんじゃないか」と考察してくださっている方もいますが、特に意味もなく生まれた、なんでもないフレーズです(笑)。でも、この曲を「ぷんぷんぱ(pum pum pa)」と呼んでいる方もいますし、象徴的なフレーズになったのかなと思います。

――謎が解けました(笑)。ほかにも、歌詞の行間での息遣い、吐息なども印象的でした。こういったところも難しかったですか?

長月 初星コミュの台本は途中までいただいていましたが、収録はまだでしたから、自分の中で花海咲季という人物像が完全に固まっている段階では正直なかったんです。なので、吐息もそうですし、セリフっぽいところも強気で余裕っぽくみせるといいますか、その時点で思った咲季を出せるように頑張りました。

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