INTERVIEW
2024.08.03
ソロワークのスタートから約1年。ロックバンド、ポップスメーカー、ボカロPなど、CHiCOが様々なアーティスト/クリエイターの楽曲を惜しみなく網羅した1stフルアルバム『CONTiNUE』は、CHiCOの新たな扉を開く1枚となった。CHiCOが“脱力系ボーカル”に挑戦したと語る「Goin Goin」は、新進気鋭のボカロP・ひびね。とコラボレーション。CHiCOとひびね。が楽曲制作のバックストーリーを初クロストーク!
【CHiCO、1stアルバム『CONTiNUE』発売記念】
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INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香
――『CONTiNUE』収録の「Goin Goin」は、ひびね。さんの作詞・作曲・編曲。CHiCOさんへの楽曲提供は初めてとなりますね。
CHiCO はい。『CONTiNUE』を作るにあたって、色々なジャンルの作家さんとご一緒しようというコンセプトがありまして。ぜひボカロPの方にも参加していただきたいと話していたときに、若い新人ボカロPがいるよとマネージャーさんが紹介してくれたのが、ひびね。さんでした。YouTubeチャンネルを拝見したら、本当に色んなジャンルの曲をお洒落に作られている方なので、CHiCOにどんな楽曲を書いてくれるんだろう?と、楽しみでした。
――ひびね。さんは、CHiCOさんにはどういう印象がありましたか?
ひびね。 例えば『銀魂』の主題歌だったり、シンプルにいちファンとしてめちゃくちゃ聴いていましたね。
CHiCO ひびね。さんはボーカルレコーディングにも来てくれたんですけど、そのときに新しい曲を聴かせてくれたじゃないですか、EDMな。それもすごくかっこ良くて、多才な方だなと思いました。でも結構見た目は……。
ひびね。 チャラいですよね(笑)。
CHiCO あはは!確かに。ちょっと怖めのロックバンドの人!っていう感じで(笑)。
――元々バンドマンだったんですか?
ひびね。 そうですね。中学生くらいにボカロやアニメにハマって、だんだん曲を作り出して、高校に入ってバンド活動を始めました。でもバンドも長続きしなかったところで、高校時代は、ちょうどボカロPが増えてきた時期。じゃあ僕も1人で曲を作って歌ってみようか!と、ネットで曲を公開するようになったんです。“暁月”というユニットも組んでいて、それと同時に正式にボカロPを始めたので、そちらの活動歴はまだ1年くらいです。
――ひびね。さんは、CHiCOさんと実際にお会いした印象はどうでした?
ひびね。 僕、ずっと関西在住なので、CHiCOさんに初めてご挨拶させてもらったのは、今年2月のZepp Osaka Baysideのライブのときだったんです。画面越しだと「THE FIRST TAKE」で歌っているところは拝見していましたけど、ライブに行くまではイラストのCHiCOさんの印象が強かったので、実際にお会いしたときは「わ、本物だ!」というのがまず会って、きれいなお姉さまだなぁと。
CHiCO えっ……!?
ひびね。 ずっと聴いてきた歌を目の前で歌ってくれて、お話もできて、感慨深かったです。ライブも、バンドマンとして本当にかっこ良かった。パフォーマンスも歌唱力も音源以上にすごかったし、MCもプロフェッショナルで。
CHiCO そんなに!?誰かに言わされてないですか?(笑)。
ひびね。 ないです、ないです(笑)。ほんとに全部すごかったです。
CHiCO 嬉しい……。そう言ってもらえると、10年間歌い続けてこられて良かったなって思います。私もそういうふうに見てもらえるようになったのかと思うと、照れくさいですね(苦笑)。
――そんなCHiCOさんに、アルバムで曲を書くことが決まったときは、どう思われましたか?
ひびね。 僕の根本はロックやシティポップなんですけど、この1年、ボカロPやユニット活動の“暁月”を始めてからは色んな楽曲に挑戦したくて、12ヵ月、毎月1曲ずつ曲を書いてアップするという実験を続けてきたんです。そんなときにこのお話をいただいたので、すごくいいタイミングだなと思いました。
CHiCO 私も、ひびね。さんのような新しい風を吹かせてくれる方に参加してもらうのは、ありがたいことだと思っていました。
――具体的に「Goin Goin」は、どう考えながら作っていったんですか?
ひびね。 正直、方向性はすごく悩みました。CHiCO with HoneyWorksのときのような元気なイメージとは違うテイストを、というリクエストはいただいていたんですけど、やっぱりCHiCOさんが歌うなら、ちょっとロックなギターを入れたバンドサウンドにしようかな?と思ったんです。でも、『CONTiNUE』の参加アーティストを見るとロックバンドの方々も多かったので、そこで勝負しても負けてしまう。実は「Goin Goin」の前に、2曲ほど今とは別のテイストの曲も作ったんですけど、ちょっと違うなとなりまして。
CHiCO そうだったんですね!
ひびね。 はい。せっかくならほかの誰とも被らなくて、かつキャッチーな曲を作りたかったので、また別の曲を……と、今の「Goin Goin」になりました。
CHiCO たしかに「Goin Goin」は、他とは全然違う雰囲気の曲ですよね。どこに一番苦労しましたか?
ひびね。 歌詞ですね。いつもはそんなに苦労しないんですけど、やっぱりCHiCOさんに歌ってもらう曲だというのがあったのかな。レコーディングの2日前にはもう徹夜して。ギリギリまで粘らせてもらいました(苦笑)。ざっくり言うと、「Goin Goin」は自分自身と対峙している曲なんですけど、僕の思っていることも入れつつ、みんなは自分のことをどう考えているだろう?と、四六時中悩みながら歌詞を書きました。
――そんな「Goin Goin」のレコーディング当日の様子を聞かせてもらえますか?ひびね。さんからは、歌い方についてCHiCOさんにはどういうリクエストを?
ひびね。 この曲は、淡々と歌う感じにしてもらいたかったので、全体的にテンションを落とすというか、流れる感じで歌ってみてほしいですと言った記憶があります。何パーセントのテンションで歌ってください、みたいなこととか。
CHiCO そう、パーセンテージは言われましたね。音楽ディレクターさんとも「今は何パーセント出してます?」「50パーセントですかね?」「もっと下げられますか?」みたいなやり取りをしました(笑)。
――理科の実験みたいですね(笑)。
CHiCO 最終的には……30~40パーセントくらいに収まったかな(笑)。あと、あんまり口を広げずに脱力する感じで、というのも難しくて。どう脱力感を出せばいいのか、やったことがないからよくわからなかったので、ひびね。さんも含めてみんなで話し合って、擦り合わせていきました。
ひびね。 この曲はキーのレンジが広いので、歌いにくいところもありましたよね?
CHiCO あ、そういう話出ましたよね。ライブでたくさんの曲を歌っていると、だんだん低い声が出なくなってくるから、キーを少し高くしておいたほうがいいのかな?という。でもそうすると、元々高い音のパートが苦しくなっちゃうから、オリジナルキーのままにしようとなったんですよね。
ひびね。 実は、音域はあえて広くしていたんです。ボカロっぽくしたかったので。レコーディングしているCHiCOさんを見ていて、キーがちょっとキツそうかな?と思ったのですが、サビはオクターブ上のコーラスまですごく上手く歌われていて、すごいな!と思いながら聴いていました。
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