INTERVIEW
2024.08.02
CHiCOファン待望のソロ1stアルバム『CONTiNUE』は、豪華アーティスト/クリエイターとのさまざまな楽曲コラボレーションが話題。そのリリースを記念して、参加アーティストとのクロストークを短期連載でお届け。トークセッション第3弾は、ボカロPとしても活動するなど動画SNSを中心に活躍するサウンドクリエイター・tepe。CHiCOと共に、作詞・作曲・編曲を担当した「HiGHLiGHT」の裏側を語り合う。
【CHiCO、1stアルバム『CONTiNUE』発売記念】
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INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香
――今回の『CONTiNUE』には「HiGHLiGHT」を楽曲提供、作詞・作曲・編曲を担当されたtepeさんですが、DECO*27さん作詞・作曲の「エース」でもアレンジを担当されています。ボーカリストとしてのCHiCOさんに、どんな印象をお持ちでしたか?
tepe こんなかっこいい曲を歌える方だったんだ!という驚きがありました。CHiCO with HoneyWorksのときは、僕の中で結構ポップでかわいいイメージが強かったんですけど、「エース」のあのパワフルに歌い上げる感じがすごく似合っていました。DECO*27さんの元の曲の時点でとてもかっこいい路線だったので、それを存分に引き出せるアレンジを仕上げたつもりだったんですが、CHiCOさんの歌が入ったときに、それに全然負けてなかった。「あ、こっちの方向もイケるんだ!」と、ちょっと印象が変わりましたね。
――では、次は1曲丸ごとtepeさんにお願いします、というオファーに対しても「やってやるぞ!」と。
tepe はい、もちろん。とてもありがたいなと思いました。
CHiCO 「エース」でご一緒させてもらったというきっかけがありましたし、そのときに作曲もされるというお話も聞いていたので、じゃあ次はアルバムなどでご一緒できたらいいですね!という話は元々していたんです。で、いざ『CONTiNUE』を作るにあたって誰にお声がけしようか?というときに、tepeさんだ!って。
tepe 嬉しいですね。
CHiCO それに私、tepeさんのギターも大好きで。すごくかっこ良いんですよ。tepeさんのYouTubeチャンネルにもご自身の楽曲のほかに、ギターを弾いていらっしゃるショート動画がたくさん上がっているんです。
tepe ありがとうございます。元々僕は福岡でバンドをやっていて、上京してからもずっとバンド畑だったんです。「エース」でもバキバキに弾かせてもらいました(笑)。
――そして「HiGHLiGHT」の制作に入られたわけですが、曲のテーマはどう決まっていきましたか。
tepe CHiCOさんとスタッフさんと打ち合わせをさせてもらったときに出てきたのが、“ボカロっぽさ”と“青春っぽさ”のギター曲というようなキーワードがあったと思います。
CHiCO そうなんです。音楽的には言葉遊び要素もあるボカロテイストの中毒性も欲しいし、歌詞には、いつまでも青春を忘れないでいたい気持ちも描いて欲しいし……と、すごくわがままを言わせていただいて。
tepe 正直、これは大変そうだぞ!と思いました(笑)。
CHiCO そうですよね!(笑)。
tepe どちらかに振り切るんじゃなく、どちらのいいところもミックスするには、難しい要素かなと思ったんですが……すごく楽しく作れました。「HiGHLiGHT」も特に歌詞は、ああでもない、こうでもないと試行錯誤したので、そこも楽しかったです。
――CHiCOさんに伺ったんですが、「HiGHLiGHT」の歌詞を書くうえで、tepeさんはCHiCOさんの過去のインタビュー記事も色々と読まれたそうですね。
tepe はい。もちろんインタビューだけでその人となりを全部わかることができるか?というと、決してそうではないと思うんですが、歌ってくれるCHiCOさんが、どういう考え方をする人なのかを知りたくて。インタビューを読み漁ったり、CHiCOさんの歌を聴き込みながら制作していました。自分が出す曲なら、僕が思っていることを歌にすればいいですけど、CHiCOさんが歌う歌は、嘘になっちゃいけないですからね。
CHiCO そこまで考えてくださって!そのインタビュー記事が反映されたフレーズとかってあるんですか?
tepe 内容を深くは覚えていないんですけど、あるインタビューでCHiCOさんが、等身大ってどういうことなんだろうという話と、詩的な歌詞について話していらっしゃったんですね。そこからめちゃくちゃインスピレーションを受けて、「HiGHLiGHT」の始まりは詩的な言葉で入るようにしました。等身大についての葛藤も、CHiCOさんの人生に当てはまる大事な言葉だと思えたので、歌詞に“等身大ってなんだっけ ただ好きで歌っているだけ”というフレーズを入れさせてもらいました。
――2人で話し合ったわけではなくて。
CHiCO そうなんです。全部tepeさんが、私の言いたいことを汲み取ってくださったんです。私が直接リクエストした“青春”も組み込んでくださっていて、歌詞にも本当に共感できたし、自分のことを歌っている気持ちになりました。
tepe “青春”というキーワードは、ミーティングのときに10代の青春というよりも、大人になってからの青春を歌いたいという話がありまして。そこを汲み取ったうえでいかにも青春!という爽やかロックよりも、大人っぽさのある曲調を意識してEDMっぽいノリを強くしたんです。
――CHiCOさんもEDMがお好きだそうですが、曲調もリクエストされたんですか?
CHiCO しましたっけ……?
tepe いや……。
CHiCO 私も定かじゃないんですけど、kzさんのようなクラブミュージック的な楽曲も大好きなので、自分の曲を誰かに書いてもらうことになったら、いつかEDM入れたいなと思ってたんです。だからtepeさんにもお伝えしてたものだと思ってました(笑)。
tepe あははは、なかったと思います(笑)。ただ、ピコピコした電子サウンドが欲しい、みたいな話はいただいていたので、そこからの発想はあったのかな。
CHiCO なるほど!さっきtepeさんが汲み取ったとおっしゃってくれた中に、“詩的な歌詞”というのもありましたが、1番のAメロの“南南西の風が立った”というフレーズから始まる情景描写も、私にはとても新鮮でした。こう……想像力を掻き立てられる感じが素敵で。ほかにも打ち合わせでは、推し活って青春だよねとか、ゲームでチームを組んで同じ目標を倒すのを頑張るのも青春だよね、とか……(笑)。
tepe はいはい、ありましたね(笑)。でも、そのCHiCOさんの推し活の話が、“好きなこと好きな人 追いかけることありのままで”だったり“ずっと青いままでいけ”というフレーズにも結びついたんですよ。やっぱり、そういう自分のありのままで輝いている瞬間が「HiGHLiGHT」だと思うんですね、人生の。
CHiCO そういうところも全部、tepeさんが私のことを推し量って書いてくださったので……本当にありがたいです!
――レコーディングではtepeさんからもボーカルディレクションがあったと伺っていますが、特に印象的だったのは?
CHiCO すごく素敵な歌詞なんですけど、歌うのが大変だったのは、サビの最後のほうの“これが青い春じゃないなら もういらないなってくらい光って”というところで。いただいた仮歌ではなんなく歌っていたので、その言葉の流れとか滑らかさがとても耳障りが良くて、すごく素敵だなと思う反面、リズムが難しすぎて。
tepe あー、そうでした。
CHiCO なので、本番では最初はゆっくり。だんだんテンポを速めて歌ってみて、慣れたところで「よしイケる、じゃあ録りましょう!」ってやりましたよね?
tepe 僕は……難しいと思わず作っちゃっていたんです。
CHiCO なんと!(笑)。
tepe あとになってから、ここって難しいよな、苦労するよなって気づきました(苦笑)。
CHiCO 多分、tepeさんの中に色んなメロディ構成の引き出しがありすぎて、そう感じなかったのかも。
tepe そうかもですね。あと、ギターを弾くときに色々なリズム練習をするので、自分では気づきにくいのかもしれないですね。
CHiCO なるほど!いつもtepeさんは、1曲をどんな順番で作っていくんですか?
tepe 曲によって変わりますけど、「HiGHLiGHT」は歌詞とメロディとがほぼ同時進行でしたね。なんとなくのサビをまず作って、そこから逆算する感じでAメロ、Bメロを作っていって、もう一度サビとか間奏に戻って、もっと盛り上げられるようにと、修正していく感じでした。
――確かに途中には、EDMでいうところのビルドアップ(Bメロ)からのドロップ(サビ)の展開も、かっこ良く強調されていますね。
tepe はい。僕はライブが好きなので、ライブで歌って盛り上がる曲は、かなり意識しましたね。なので、お客さんも一緒に歌えるパートも作りましたし。
CHiCO 全体的にテンポも速いし、2番のBメロは早口のラップ調のパートがありますけど、それも意識して書かれたんですか?
tepe そこまで意識したわけではないんですけど、僕はラップも好きなんです。でもこの曲でちゃんとラップにしてしまうのも違うので、ちょっとメロディアスで早口というボカロっぽさを、そこでイメージした感じですね。僕が気に入っているパートもまさに、2番のBメロの“話したくない暗い黒い時代 未来なんてどこにもない”からのパートで。そこからどんどん気持ちも曲調もアガっていく感じが、僕の中ではお気に入りです。
CHiCO たしかにそうですよね。私もボカロ曲はたくさん聴くんですけど、実際に自分でボカロっぽく歌う引き出しは今までなかったんです。でもこの曲が、新しい一歩になったというか。次にそういう曲がきても、臨機応変に対応できるようになれたので、感謝です。
tepe 良かったです、そう言ってもらえて。
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