アニソン界のレジェンド、GOD OF GOD。JAM Project降臨。ステージの上に立つ5人の姿に会場の熱気は天井を破るのではというほどの高まりへと上昇する。第一声から大歓声に負けない層の厚いボーカルの波動がフロアを震撼させる。1曲目は「THE HERO !! ~怒れる拳に火をつけろ~」。TVアニメ『ワンパンマン』のOP主題歌であるアグレッシブな1曲は、アニメ映像をバックに力強く響いていった。深紅に染まったフロアに影山ヒロノブの、遠藤正明の、きただにひろしの、奥井雅美の、福山芳樹のボーカルが轟いていく。畳みかけるように5色のユニゾンから始まったのはドラマ「勇者ヨシヒコと導かれし七人」のOPテーマ「The Brave」だ。フロアからは合唱が起き、メロディアスなユニゾンとドラマチックな歌唱が生み出す旋風は会場を席捲していった。「こんばんはー!JAM Projectです!」と絶叫。「何が嬉しいって、去年(“アニメ縛りフェス”に)呼んでくれなかったうちらを、今年は仲間として、友達として声をかけてくれて、ありがとう!FLOW!」と遠藤が笑顔を見せると「ベテラン、頑張っちゃいます!」ときただにも声を上げ、「最後まで頑張ります!」と奥井も大きく手を振った。「ここに来れて嬉しいです!皆さん、知らない曲もあるかもしれませんが、だいたい手を挙げて叫んでいればなんとかなります!」と福山。最後は影山。「俺たちは4年前、ここ(ぴあアリーナMM)で歌ったんですけど、そのときは無観客だったんです。なので、今日はめちゃめちゃアガってるぜー!短い時間だけど、全力でいくよー!」と声を轟かせ、次の楽曲へ。イントロから大歓声が沸くと、TV特撮ドラマ「牙狼」のOPテーマ「牙狼~SAVIOR IN THE DARK~」が響く。雄壮なメロディが5人のスーパーボーカリストによって紡ぎ出されると、拳を突き上げたオーディエンスも共に歌う。こうして心を1つにして、作品への、アーティストへの想いを込めて合唱できるのはアニソンの魅力の1つと言えるだろう。全編を通して声を重ねるぴあアリーナMM。その景色は無観客のときとはまったく異なっており、熱気が大きな塊となっていくのを感じさせた。そして、続く「SEVENTH EXPLOSION」が圧倒的なパワー感を持って響く。2009年にリリースされた『SEVENTH EXPLOSION~JAM Project BEST COLLECTION VII~』に収録されたリード曲。リリースから15年を経てもなお力強さが増す1曲。福山のハイトーンが掻き鳴らされるエレキギターの音を食らうように響いたのが印象的だった。「みんな、楽しんでくれてるかな?多分、昨日今日通して、俺たちがダントツの最年長ユニットだと思いますけど、やっぱりこういうとこでやるのはめちゃくちゃ嬉しい。気持ちいいです。なので、今回、声を掛けてくれたFLOWには心から感謝してます!」と影山。「これまで先輩から後輩まで見てきましたが、やっぱりこういうイベントは誰かがやろうと言わなければできないんですよ。だからFLOWは最高です。実行力がないとできないから」と目を細める。そしてライブは影山の代名詞でもある『スーパーロボット大戦』シリーズの「VICTORY」へ。ゴシック様式を思わせるイントロから強烈なまでのボーカルが放たれると、続いたのは「GONG」。ストリングスの音色とパワフルなビートでドラマチックに、ダイナミックに響いた1曲のあとには、KEIGO、KOHSHIがステージに呼び込まれ、スペシャルコラボレーションで「SKILL」を披露。ボーカリストが7人!ステージ上に端から端まで居並ぶと、ボーカリストたちが自身の声を轟かせる。会場に集うすべての人での大合唱で響かせる序盤、そして“Motto! Motto!”と叫び、高く高くジャンプして、“FLOW THE FESTIVAL 2024”にマグマのようなアニソン熱を刻み付けた。
転換の時間の音出しでのリハーサルからフロアのテンションをアゲにアゲていたのはCreepy Nuts。名塚佳織の声でのアーティスト名が呼ばれた瞬間、会場は歓迎の声に包まれる。姿を現した2人へ「松永―!」「R―!」と声が飛ぶと、フロアを見渡した彼らは徐に音を放つ。ダンサブルなビートにクラップが重なり、御利益不可避なラップで紡ぐ「ビリケン」にペンライトの光は揺れる。今や国内フェスに登場していない場所はないのでは、というほど求められる熱いパフォーマンス。「飛び跳ねろ、横浜―!」の声にオーディエンスのステップはますます高くなっていく。「横浜、声、聴かせてくれますかー?」とR-指定。「ウォーーー!」と上がる声を受け取ると、共に歌いながらライブは「堕天」へ。TVアニメ『よふかしのうた』のOP主題歌であるこの曲は、軽快なビートと共に華やぐピアノの音色とホーンの音がソウルフルに響く。都会的で洒落たトラックとDJ松永のスクラッチがまさに“よふかし”感を出し、深夜に集う者たちの夜遊びの世界へとフロアを連れていく。「ぴあアリーナMM、今日は声出すのも飛ぶのも合法なので、出し惜しみしないでくださーい!」とR-指定が声を上げると、オーディエンスは両手を挙げて全力で応える。TVアニメ『ニンジャスレイヤー フロムアニメイション スペシャルエディシヨン版』のEDテーマにもなった「合法的トビ方ノススメ」。本能的なリリックと共に軽やかに響くトラックを堪能するオーディエンスに、R-指定が「ぴあアリーナMM、後ろから前、端から端まで全員両手を挙げてくださーい!」と言うやいなや、両手を揺らすフロアに向けてヒリヒリするようなスリリングさを孕むラップを浴びせた。「色んなスタイルがあるなかで我々もこうして呼んでいただきました。FLOWさん、ありがとうございます!こんな錚々たるメンツのなかで、我々マイクとターンテーブルのスタイルでやってきているCreepy Nutsです」と自己紹介をすると、まさしくヒップホップの“顔役”であると歌い上げる「顔役」。自身の生き様を刻むような「生業」のあとには「こいつが“世界一の指先”を持つ男!DJ松永―!」とR-指定の紹介を受け、DJ松永のDJプレイが繰り広げられる。フロアに歓声が溢れると、そのままライブはFLOWのメンバーも口をそろえて「生で見るのが楽しみ!」と言っていた「Bling-Bang-Bang-Born」に。TVアニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』のOPテーマで、今や日本を飛び出し、世界中でムーブメントを起こすスマッシュヒットチューンを、卓越したスクラッチとマシンガンのように畳みかけるラップ、さらに大合唱とで紡ぐ。「Bling-Bang-Bang-Born♪」と踊るオーディエンスの姿が印象的だった。曲が終わると、会場から「松永ー!」と強めの声が飛ぶ。「怒ってる人がおる」と苦笑する2人だったが、そこで気づく。以前ラジオ番組の企画でFLOWのKOHSHIのサングラスを奪ったことを。「そういうのを経て実際にオファーを受けて“FLOW THE FESTIVAL”に出演している俺たちって、のびしろしかないんじゃないでしょうか」と言うと、ステージでは軽妙ビートのご機嫌チューン「のびしろ」が響く。TVアニメ『よふかしのうた』のEDテーマ「よふかしのうた」では会場一体で歌声を奏で、一面ピースな空間となっていく。真夜中のダンスフロアと化したぴあアリーナMMに大人たちの子守唄が響き渡り、「oh yeah!」と声が上がった。最後はよふかしの先にある朝を彷彿とさせる「二度寝」が鳴り出す。ドラマ「不適切にもほどがある!」の主題歌としても知られるアッパーダンスチューンで会場を揺らして、Creepy NutsはFLOW THE FESTIVAL 2024にその熱を刻み付けた。
いよいよ2日目。大トリとして登場したFLOW。曲名がコールされた瞬間の大歓声と大合唱、そして一斉に緑色に染められたフロア。TVアニメ『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』のOP主題歌「風ノ唄」だ。ケルティックなサウンドとFLOWのロックが混ざり合った1曲がアニメの映像と共に悠久の風を思わせたあとには、劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』の劇中歌「HERO ~希望の歌~」へとライブが繋がる。緑の光に包まれていた会場は一気にオレンジになり、TAKEのギターソロも神龍さながらに天井へと駆け昇っていく。作品がライブとシンクロする様はFLOWが国内外で常に体現していること。“FLOW THE FESTIVAL 2024”でその真骨頂を感じさせた。このステージの前にJAM Projectとのコラボを見せていたKEIGOとKOHSHI。「神々たちの覇気にヤラれそうになった」とKEIGO。KOHSHIも「今、HP 2くらいでステージに立っています」と話すと、会場から笑いが起きる。そんなFLOWは、前日のBACK-ONに続いてこの日もシークレットゲストを呼び込む。『NARUTO』の主題歌仲間でもあるCHiCOだ。最近レコーディングしたばかりという彼女のアルバム収録曲でFLOWと作ったコラボソング「我物語」を披露。TAKEが曲を書き、歌詞は共に書いたという骨太サウンドに3色のボーカルのコントラストが相まって、力強く轟き、CHiCO×FLOWを見せつけた。この日のフェスを見守っていたエウレカに届けとばかりにTVアニメ『交響詩篇エウレカセブン』の主題歌がアニメ映像と共に続く。「DAYS」でエウレカの髪の色を緑色に染まっていたフロアは、『エウレカセブンAO』のOPテーマ「ブレイブルー」で青く染まる。
続けてTVアニメ『デュラララ!!×2 結』のOPテーマ「Steppin’ out」では、この日のサブステージでキレあるダンスパフォーマンスで会場を沸かせたO-MENZが登場し、物語の治安の悪さを彷彿とさせた。TVアニメ『バックアロウ』のEDテーマ「United Sparrows」が響くと、共に歌うオーディエンスとの一体感に胸が熱くなる。「フェスを立ち上げさせてもらって、主催のフェスは1年生なもので、本当に右も左もわからずにいましたが、みんなの顔を見ていたらやって良かったと思います」とKEIGO。さらにここで「俺たちの最高の盟友、同期」と前置きをして呼び込まれたのはORANGE RANGE!ステージに登場した彼らと共にスペシャルコラボレーションはFLOW×ORANGE RANGEでの「デイドリーム ビリーヴァー」。アニメ『15周年 コードギアス 反逆のルルーシュR2』のOPテーマである豪華共演でのアグレッシヴナンバーで会場を興奮のるつぼへの叩き込むと、さらにコラボステージが。続いたのはきただにひろしをゲストに国民的TVアニメ『ONE PIECE』の主題歌「ウィーアー!」をぴあアリーナMM全員で歌い上げ、冒険へと飛び出すと、ステージにはDJ台が登場。「なんか出てきたー!?うそでしょー!?」と声を上げるKOHSHI。そのまま呼び込まれたCreepy Nutsと共にファイティングドリーマーズ!『NARUTO-ナルト-』のOPテーマにしてFLOWの代名詞的一曲である「GO!!!」を歌い上げた。大トリFLOWのステージは、初日の1曲目「GOLD」で幕を閉じる。IWASAKIとGOT’Sの紡ぐビートの上を滑空するように歌い上げるKOHSHIは最後に「やったー!」と叫んだ。そんなフェスのラストはこの日の出演者を呼び込んで、「最後、ここにいる皆さんと一緒に締めてもいいですかー?」とKEIGO。「この曲しかないでしょー!天国に旅立ってしまった最高のマンガ家に贈ります」と言うと、影山ヒロノブを中心に「CHA-LA HEAD-CHA-LA」を元気玉を込めて歌う。アニソン界のレジェンドが長年歌い続ける1曲を、ご本人と共に歌えるなんて。ステージのアーティストもフロアのオーディエンスも熱く僥倖な瞬間を、このフェスの最後の最後に堪能。フェス1年生“FLOW THE FESTIVAL 2024”は最高の時間という記憶の刻んで幕を閉じた。
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