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REPORT

2024.07.09

過去最多曲数を通じて示した、5周年の輝ける「現在地」――“5th Anniversary Tour DIALOGUE+学概論”東京公演レポート

過去最多曲数を通じて示した、5周年の輝ける「現在地」――“5th Anniversary Tour DIALOGUE+学概論”東京公演レポート

6月23日、声優アーティストユニット・DIALOGUE+がTOKYO DOME CITY HALLにて“5th Anniversary Tour DIALOGUE+学概論”の東京公演を開催。結成5周年を記念した東名兵ツアーのファイナルとなった本公演は、開催時点の集大成であった過去最大規模のワンマンライブ“LIFE is EASY?”から楽曲を大幅に入れ替えてきたにもかかわらず、今のDIALOGUE+のもつ多彩な魅力に余すことなく触れることのできる、まさにタイトルどおり「概論」そのものだった。

TEXT BY 須永兼次
PHOTOGRAPHY BY 金子弘

DIALOGUE+の魅力を肌で学べる“講義”、いざ開講!

ステージの上方に“校章”が据えられてこのツアーならではの雰囲気を醸し出すなか、メンバーによるライブルール確認、続けて「開会を、宣言します!」の言葉が影ナレで届けられると、その言葉どおりに「かいかいせんげん!」からライブスタート。曲に乗せてキラッキラの笑顔で各メンバーがこの日にかける想いをメッセージとしておくると、内山悠里菜によって発表された最初のカリキュラム「挨拶は元気よく!」に沿って、デビュー曲「はじめてのかくめい!2023」から“DIALOGUE+学概論”が開講する。そのお題目どおり、楽曲序盤に「Hello」も「nice to meet you」も盛り込まれたこの曲で、まずはエネルギッシュさを全開にしたパフォーマンスでごあいさつ。落ちサビでリズムに合わせて体を揺らす部分では、すでに気持ちが相当入っていたのか村上まなつが体を思い切り揺らしてその高ぶりを示す。また、その村上と守屋亨香のWセンター曲「20xxMUEの光」では守屋がのっけからキュートさを振りまきまくれば、村上は天真爛漫なステージングを展開。その遊びっぷりに引き出されてか、守屋のパフォーマンスも尻上がりにキュートさを増していく。Wセンター以外の6人も、サビで細かいジャンプをしながらのフォーメーション移動やペアダンスなど、運動量の多いこの曲を隙なくみせきっていく。

曲明けには、飯塚麻結が「Anniversaryですので、気合いを入れて過去最大曲数やりたいと思います!」と宣言。次なるカリキュラムを「いつだって私たちは最強である!」と案内して「シュガーロケット」の披露へ。案内どおり、1サビ中盤のソロ歌唱時に前に出た守屋の自然と視線を惹きつける存在感や、2-Bメロ緒方佑奈の視線の配り方に至るまで堂々としたソロ、落ちサビのソロパートを逆光の中カッコよく歌う飯塚の姿など曲中には“最強”が点在。同時に、1サビ明けの間奏でハーモニーを響かせながらしなやかな動きでも魅せていく8人の姿が、この日のDIALOGUE+には美しさも大きなファクターであるようにも感じさせると、宮原颯希と内山のソロダンスに続いてスタートした「チャンバワンバfancy!!」からは、しばしの間“最強”なキュートさを展開。特に内山は、1サビ中盤で笑顔で跳ねたり楽しさをにじませながら、8人の行進の先頭に立つように歌うDメロ「てってれてのほいで」でたまらないかわいさを感じさせてくれる。その直前部分や楽曲ラストのフレーズで鮮烈に飛び込んでくる稗田寧々の歌声も、パート自体にピタッとハマったうえに、ただ甘いだけで楽曲を終わらせないための重要な要素として機能する。そして楽曲最後のセリフを担当する鷹村彩花が、それを「ジャイアントハイランドバナナ鬼盛りホイップマシマシのパンケーキ忘れた!」とアレンジして「パンケーキいいな」へと繋げていく。この曲でも引き続き最強のキュートさをお届けしていくと、バンドセッションと村上主導のコーレスでログっ子のテンションをさらに上げ、「人生イージー?2023」を通じてステージ上から8人が精一杯のエールをおくる。そこにコールを返す場内のログっ子からの声も含めて、リリースから3年以上の時を経てこの曲が、最強のエールソングへと成長したように感じさせられた。そしてラストのかき回しに突入……するかと思いきや、不意に演奏が止まってステージが真紅に染まり、「僕らが愚かだなんて誰が言った」へ。同時に全員の表情は一気にシリアスにスイッチし、ダンスも硬質な力強さが前面に出たものへとガラリと変化。特にDメロ明けの間奏部分ではコンビネーションもピッタリな圧倒的なダンスパフォーマンスで、違ったアングルからの最強さを発揮し、観客をのみこんでいく。ラストは後奏部分を延長して、ギターソロ響くなかセンターに飯塚が、続いて緒方が立ってそれぞれソロダンスで魅せ、8人揃ってのダンスへと展開して締めくくった。
その緒方が次に提示したカリキュラムは「ときに全力で、ときに美しく」。それを体現するのが、次のナンバー「誰かじゃないから」だ。この曲ではフォーメーション移動しながら腕を上下させる動きを揃えたり、追っかけなどで巧みなボーカルワークをみせたりと、言葉どおりに美しく魅せる曲に。温かな感情を伝えるための魅せる力も、今のDIALOGUE+の魅力のひとつ――そんなことを感じさせる1曲になったように思う。

 

 

  

歌唱後、暗転を経て始まったギターのソロ演奏に乗せて、スポットライトを浴びた稗田が「めっちゃオンリーユー」のサビを伸びやかに歌唱。後半部分を村上にリレーして2人のハーモニーで締めくくると、守屋から「かわいいと思ったら、素直に言う!」と提示された4つ目のカリキュラムが、その「めっちゃオンリーユー」からスタート。その後も8人のキュートさあふれる歌声とパフォーマンスがログっ子を魅了すると、甘々な内山のソロパートが幕開けを飾る「恋は世界定理と共に」へ。続く稗田のソロのみずみずしいかわいげや2-Bメロでの飯塚の普段以上にキュートさを増させた歌声が楽曲自体かわいさをさらに引き出すのと同時に、サビで8人が作り上げるきれいなLove-you-go-roundには、ひとつ前のカリキュラムにも通ずる美しさという要素も。

後奏のあと、キーボードをメインとしたこの曲のアレンジに乗せて鷹村、続いて宮原が今度はセリフでキュンとさせると、センターでしゃがんだ内山の絞り出すようなウィスパーによる「接近して…どうしよっか?」のセリフがぐっと胸をとらえ、そのフレーズを歌詞に含む「やばきゅん♡シューベルト」へ。直前のセリフのような想いが盛り込まれつつも、テンポ速めでサウンドとしてはアグレッシブな部類に入る楽曲だけあって、パフォーマンスは再びエネルギッシュなものに。大サビの後半ではリズムに合わせて振付に乗せて腕を大きく振り上げた稗田が観客を思いっきり乗せ、ラストのフェイクもカッコよくキメると、後奏が徐々にテンポアップして自己紹介ソング「ダイアローグ+インビテーション!」へ突入。イントロでの守屋の力強い煽りとコールの呼びかけに再点火されたログっ子からのコールが、場内に響きに響いて一気に盛り上がりをみせたところで、ツアーのタイトルチューン「ユートピア学概論」がスタート。この曲も引き続き、キーポイントになったのは守屋。ただハイトーンなだけではなくまっすぐに飛んでくる歌声が、この曲の冒頭においてとにかく鮮烈で印象に残るうえに、楽曲自体にもさらに勢いをつけてくれているかのよう。また、1サビのソロで歌いながら大の字ジャンプする稗田からも、直前からのボルテージの高まりが伝わってくる。加えて2-Aメロでは、緒方がセリフ直前にスマホを掲げるポーズをしたところで、またも突然演奏がストップ。ここではポージングしたまま緒方がメンバーに「もう一段階かわいい表情」を求め、それに呼応したログっ子の「かわいい」の声を呼び込むコミュニケーションも楽しむ一幕も。ラストは飯塚の「最後はみんなで!」のシャウトに続きログっ子みんなで腕を振って一体感を生み、怒涛の勢いで第4カリキュラムを終えたのだった。

さて、ライブ終盤を前に、ここでDIALOGUE+にしては珍しい長めのMCパートがスタート。ライブ翌日・6月24日に結成5周年を迎えるのを前に、この5年間を振り返っていく。そのなかで内山は、「半年ぐらいお仕事を休んでいた時期を経て、メンバーのことが好きすぎて、みんながいるから帰ってこれた」と吐露。さらに「すごく悩んでいた時期、さっぴ(=宮原)から心配する電話があって、気づいてくれたことが嬉しかった」とも明かす。その宮原は最近のトピックとして「初めて8人だけでごはんに行った 」こと、そこで「思いのほかみんなの心の内を聞けてよかった」と続けていた。

そんなMC後、鷹村が提示した5つ目のカリキュラムは「友達や仲間を大切に」。そして夕焼け空のようなオレンジのライティングに包まれた8人は、「夕空航路」で暖かく柔らかな歌声を重ね、楽曲が形作る世界を表現していく。直前のMCで語られたエピソードも相まって、この曲は心をさらにじんわりと温めてくれるものとなり、落ちサビから美しく重ねられたハーモニーからは改めて8人の絆を感じることもできた。その温かさを引き継いたのが、「フレンドファンファーレ」。歌声はもちろんのこと、落ちサビ直前での村上の「もうちょっとだけ、話そっか」のセリフが本当に優しく寄り添ってくれるもので、心を軽くしてくれる。一方で、テンポの割に実はダンス自体は激しめなこの曲。そのリズムに乗ったダンスを魅せながら美しくハーモニーを響かせていく8人の姿も、また素晴らしいものだった。

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