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INTERVIEW

2024.06.19

伊藤美来が感じる、弦巻こころの成長とハロハピの絆――ハロー、ハッピーワールド!新作ミニAlbum『どうしたってカーニバル!』インタビュー

伊藤美来が感じる、弦巻こころの成長とハロハピの絆――ハロー、ハッピーワールド!新作ミニAlbum『どうしたってカーニバル!』インタビュー

次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」およびスマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(以下、「ガルパ」)に登場するバンドのなかでも随一の個性と自由奔放ぶりが光る、世界を笑顔にするために結成されたガールズバンド、ハロー、ハッピーワールド!。その象徴にしてボーカルの弦巻こころ役を演じるのが、伊藤美来だ。「ガルパ」のサービス開始から7年、規格外のキャラクターであるこころと常に向き合ってきた彼女は、こころのポジティブなパワーに影響されて自分自身も変化したという。そんな伊藤がハロハピの今を詰め込んだミニAlbum『どうしたってカーニバル!』とそこに収められた楽曲たちをどのように受け止め、表現したのか。伊藤美来と弦巻こころ、共に歩んできた7年が育んだ絆に迫る。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子

弦巻こころとハロハピの楽曲に元気づけられてきた7年

――今の伊藤さんにとって“弦巻こころ”はどんな存在ですか?

伊藤美来 私の今までのキャリアの中でなくてはならない、私の人生においてもすごく大きな存在です。こころを演じているからこそ頑張れたことがたくさんあったし、ハロハピに助けられたことが何度もあって。この7年、「バンドリ!」や「ガルパ」を通して色んな経験をさせていただきましたし、こころに色んなことを教えてもらったので、今もこころを演じ続けられていることをとても嬉しく思います。

――こころのどんな部分に支えられてきたのでしょうか。

伊藤 それこそ初めてこころに出会った頃は、あまりにも常人離れした感性の持ち主だったので、こころの考えていることがわからなくて、お芝居するにあたっても、私の中にない引き出しを想像しながら演じていく感じだったのですが、7年演じてきたことで、こころの性格やマインドがスッと入ってくるくらい染みついてきました。当時は私もデビューから数年目で、迷ったりネガティブになることも多かったのが、こころと出会って一緒に過ごす中で、私自身の考え方をポジティブに変えてくれたところがあります。「つらいな」と思ったときにもハロハピの楽曲を聴いて、こころに元気づけられることが多くて。今でもすごく助けられています。

――自分自身の性格や考え方にも影響を受けたんですね。

伊藤 かなり引っ張られたと思います。考えなくていいことは考えなくなりましたし……それがいいことか悪いことかはよくわからないですけど(笑)。それこそ、こころとして初めて1人でステージに立つとなったときも、私の中でライブは歌詞からダンスまで全部完璧でないとダメだと思っていたのですが、ハロハピのライブはすごく自由度が高くて、「伊藤さんの思うパフォーマンスで大丈夫です」と任せてもらえたんです。それでこころならどうするかを考えた結果、「こころは事前に何も考えないんだろうな」と思って(笑)。そうしたら心がすごく軽くなって、何の緊張もせずにステージに立つことができたし、「そのときにやりたいことをすればいいんだ!」という気持ちでライブができたんです。こころはそれだけ強いパワーのあるキャラクターだと思います。

――今はこころの考えや言動に共感できるようになった?

伊藤 そうですね。私自身、こころに引っ張られて考え方や目の向け方がポジティブに変わっていったので。まあ今でも理解できない部分はたくさんありますが(笑)、でも「こころならそう思うよね」というのを理解して演技に落とし込めるようになった感じはあります。

――こころの成長についてはどのように捉えていますか?

伊藤 こころも変わりましたね。最初は宇宙人みたいな存在でしたけど、最近はやっと人間に近づいてきて(笑)。最初の頃は「楽しいのが一番だし、私が楽しければみんなも楽しい!」という考えで周りを引っ張っていくところがあったと思うのですが、ハロハピと過ごしていくなかで、メンバー同士が無くてはならない存在になっていって、みんなで作っていくことの楽しさや大切さをやっとわかるようになって。今は「1人ではなくてハロハピだから楽しいことができる」という考え方になってきたように思います。

――ハロハピのバンドストーリー3章では、そういった部分が特にフォーカスされていましたね。

伊藤 はい。ハピネール王国のお話しは、私自身も「こころがこんなにも“悲しい”とか“寂しい”と思う日が来たのね……良かった」って親みたいな目線になってしまいました(笑)。多分、こころは普通の子たちが普通に感じることを今まで全部すっ飛ばしてきたので、「普通に考えればわかるじゃん!」と思うようなことも、こころの中では一つ一つ、ゆっくりと知っていく感情だったんだろうなって思います。

――そういったこころの成長に応じて、演じ方や向き合い方にも変化があったのではないでしょうか。

伊藤 周りの変化に引っ張られることなく、基本的な軸はブレないように、というのは特に意識しています。ただそのなかでも、こころが自分自身の気持ちに向き合っているときは、普段よりも丁寧に演じています。そういうときのこころは、本当にわからない気持ちを探っていて、こころなりに「ちゃんと知りたい」と思って内に問いかけていると思うんです。なので「これは何だろう?」と探っている雰囲気を大事にするようになりました。

――逆に言うと、最初の頃はそういった心の機微のようなものをあまり意識することなく演じていたと。

伊藤 人と会話のキャッチボールができないというか、ただボールを投げているだけという感じだったので(笑)。なので最初の頃は「どうやって演じればいいんだろう?」と思うことも多かったです。こころは“3バカ”と呼ばれるくらいハチャメチャだけど、それでも愛されるキャラになるためにはどうすればいいのか、彼女の大物感をどう表現すればいいのか。色々なことを考えながら演じていました。

――たしかに“3バカ”とはいえ、ただバカなわけではないですからね。

伊藤 こころ的には何でもない言葉が、色んな人に響いて、周りを笑顔にしていくのが、ハロハピの物語の軸にあるので、“いいことを言っていない感”を出すのが大切だと思っています。私は「いいセリフだなあ」って思うんですけど、それをサラッと、いつも通りに言えるこころであってほしいので、そういう匙加減は意識しています。

――どんな局面においても一定の感情で表現しなければいけないというのは、かなり特殊な役柄ですよね。

伊藤 最初は“陽の感情のみでアタックしていく”みたいな感じでした(笑)。なので、最近のハロハピのストーリーやこころの成長を、ユーザーの皆さんがどれだけ受け入れてくれるのか、毎回ドキドキしながらストーリーが公開されるのを見守っています。きっとすべてを陽の感情で返すこころが好きな方もいると思うので。こころ自身が成長していく姿を一緒に見てもらえたら嬉しいなと思います。

――これまでのお話は主に会話劇での演技について意識していることでしたが、こころとして歌う際に心がけていることはありますか?

伊藤 大きな括りとしては、最初の楽曲「えがおのオーケストラっ!」(2017年)のときからずっと変わらなくて、とにかく声に跳ね感と明るさを入れて、常に口角を上げて体を動かしながら歌うことを心がけています。1曲を歌うなかでずっと明るさを持続するというのは意外と難しくて、ちょっとブルーな歌詞があったとしても、その言葉すらも笑顔のパワーに変えるような歌声がこころなんです。なのでニコニコしているこころを想像できるような歌い方をずっと意識しています。

――実際、ハロハピの楽曲はどれも笑顔を感じさせてくれるのがすごくて、それを実現できているのは、伊藤さんが元来持っている声質の力もあるように思います。こころの声や歌はご自身の声帯的に出しやすいものなのでしょうか。

伊藤 最初は「やりすぎたかも……!」と思いました(笑)。順番的にゲームのキャラクターボイスを録るよりも先に「えがおのオーケストラっ!」のレコーディングがあったので、それが(こころの声の)ベースが決まるタイミングということで、私もすごく気合いをいれてスタジオに行ったんです。そこで事前にいただいた資料をもとに“弦巻こころの声”を想像して歌ったのですが、私の中に「こころはこう歌ってほしい」というものがありすぎて、ちょっと自分のイメージよりも脚色しすぎた感じになってしまったんです。でも、スタッフさんが「いいですね!もっとニュアンスを付けて、音が外れてもいいので楽しさを優先してください!」と言ってくださって、私も嬉しくなって楽しく歌ったのはいいものの、終わった後に「あれ?もしかして今後もずっとこのテンション感で歌うということ?」ってなりました(笑)。でも、そこからカバーも含めてたくさんこころとして歌わせていただくなかで、こころのベースみたいなものを作ることができて。最近はこころが私の喉にいることを感じますし、これが長年培ってきたものなんだなあと思います。

――余談ですが「きゅうくらりん」のカバー、めちゃくちゃ良かったです。あの楽曲をこころの声音で歌えるのはすごいなと思って。

伊藤 嬉しい!「きゅうくらりん」は本当に激ムズだったので。でもハロハピにぴったりのかわいい楽曲でした。

――ハロハピというバンド自体の音楽性やキャラクターの魅力はどのように感じていますか?

伊藤 聴いていて最初から最後まで自然と笑顔になれるような、ポップで元気なサウンドが特徴だと思います。あとDJのミッシェルがメンバーにいるので、音的にも遊びが多くて、カバー曲もいっそう面白くて賑やかな感じになることが多くて。ジャンル的にも自由で何でもありなんですよね。それこそ新曲(「サンバロハッピ~!」)のサンバもそうですし、ポップスはもちろんロックやジャズもあって。エモーショナルな楽曲もみんなで歌うとハロハピ感が出るし、どんなジャンルでもいけるので、おもちゃ箱みたいでいいなあと思います。

――ハロハピはみんなで歌う楽曲もあったりしますよね。

伊藤 そうですね。最初はこころがメインで歌って、他のみんなはコーラスをやってくれている感じでしたけど、やっぱりみんなで歌った方が賑やかだし、楽しさも倍増するというのは、ハロハピのストーリーとも繋がっていて。最近はがっつりみんなで歌う曲も登場しているので、絆が深まっていることを感じます。

――こころとハロハピのメンバーとの関係性については、どのように見ていますか?

伊藤 みんな成長して、それぞれの良さを持ち寄っているように思います。(北沢)はぐみもすごく成長したし、美咲は相変わらずこころにあーだこーだ言ってますけど(笑)、絆がすごく深まっていますし、美咲自身の成長もあって。(瀬田)薫さんは変わらず薫さんだけど、そのなかで自分の感じたことをストレートに伝えてくれたり、みんなを見守ってくれたりしていて。今はすごくいいバランスの一体感を感じます。

――あの中にいると(松原)花音と美咲の常識人組は大変そうだなあと思いますけどね。

伊藤 本当に。ただ、かのちゃん先輩(花音)もこっち側(こころ・薫・はぐみの“3バカ”側)に来がちなので、美咲がいなかったらどうなっていたことか(笑)。いつもこころの鼻歌と歌詞をまとめて楽曲を作ってくれるし、美咲がいるからこそバンドが成り立っていることを理解してくれて良かったなと思います。

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