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INTERVIEW

2024.06.07

なすお☆が『死神坊ちゃんと黒メイド』に再び捧げた超ポップナンバー。「シネマティックパレード」に込めたかわいさ・怖さと作品愛

なすお☆が『死神坊ちゃんと黒メイド』に再び捧げた超ポップナンバー。「シネマティックパレード」に込めたかわいさ・怖さと作品愛

物語性の高いオリジナル楽曲や、独特の視点からのカバー曲を動画で発表し、チャンネル登録者数60万人、総再生回数は3億回を突破するYouTubeシンガー・なすお☆。現在はアニソンシンガーとしても活躍中だが、TVアニメ『死神坊ちゃんと黒メイド』では第2期EDテーマ「星屑レクイエム」に続き、現在放送中の第3期でOP主題歌「シネマティックパレード」を担当。大好きなダークメルヘン要素も存分に忍ばせた「シネマティックパレード」の制作秘話(ネタバレあり!?)を、たっぷりと語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香

「シネマティックパレード」は「星屑レクイエム」とのリンクもたくさん!

――新曲「シネマティックパレード」は、TVアニメ『死神坊ちゃんと黒メイド(第3期)』のOPテーマということで、第2期EDテーマ「星屑レクイエム」に続いてのコラボレーションになりました。

なすお☆ はい。まさかの2期連続で、私もびっくりでした。シリーズでは第2期から途中参加させてもらった感じでしたから、「私、坊ちゃんとアリスの邪魔してない?」って不安もあったんですが、お話が完結する第3期までご一緒させていただけることが、すごく嬉しかったです。あと、この曲が“「あなたになら食べられてもいいわ」”というフレーズから始まるんですけど、ファンの方から「なすお☆ちゃんになら食べられてもいい!」ってコメントをたくさんもらいまして……ほんと、「キミらこそ、かわいいヤツらだな!」って(笑)。

――そんな「シネマティックパレード」は前作「星屑レクイエム」と同じく、作詞がなすお☆さん、作曲がまどくん。「星屑レクイエム」と「シネマティックパレード」には歌詞のフレーズなどのリンクも多めに盛りこんだそうですが、そのアイデアも2人で?

なすお☆ せっかく続けて担当させていただけるんだから、「星屑レクイエム」でも評判の良かった“タンタカ タンタカ タカタッタン!”の掛け声とかは絶対残したいね、と、まどくんも曲を作り始めたときに言っていて。「分かる!」みたいな(笑)。曲調がまったく違うからこそ、あそこが残ってるんや!みたいな感じがあるといいねっていう話から始まりましたね。

あと、『死神坊ちゃんと黒メイド』は第3期で作品自体が完結に向かっていくんですが、結構シリアスだったり戦いがあったりと、今までにない感じのシーンが増えてくる。その反面、合間合間ではやっぱり坊ちゃんとアリスとのほっこりする場面もちゃんと描かれているので、その緩急やギャップみたいなものを、曲でも作っていきたかったんです。なので曲としての展開も激しくなったし、急にちょっとブラックな雰囲気になったり、歌詞にもちょっと怖いワードを入れてみようと思いました。

――昨年、なすお☆さんが発表された「もし、シンデレラに“ストーカー”がいたら…」をテーマにした「死ンデルラ」や、「もし白雪姫が転生したら」をテーマにしたピノキオピー楽曲の替え歌カバー「転生林檎」にも通じる“童話”モチーフの世界観も、すごく反映されているなと感じました。

なすお☆ そうですね。童話や絵本の世界観が、昔からめちゃくちゃ好きなんです。『死神坊ちゃんと黒メイド』も、私が特に好きな、ちょっと怖い要素がある童話の世界観に近くて。歌詞にも、童話やおとぎ話の世界を感じてもらいたかったです。

――『死神坊ちゃんと黒メイド』のヒロインである「アリス」も、『不思議の国のアリス』と同じ名前ですしね。

なすお☆ そう!『不思議の国のアリス』もめっちゃ大好きなんです。

――だからですかね、「シネマティックパレード」の歌詞にある“メイド in Wonderland!”や“eat me! drink me!”のフレーズは、すごく『不思議の国のアリス』っぽい。

なすお☆ はい、もう我慢できなくてこっそり。私の中では隠してたつもりだったんですけど。

――あ、ネタバレになっちゃいましたか?

なすお☆ あはは(笑)、でもそういうところは、色々と探してほしいなって思います。曲を聴くだけじゃ分からないかもしれないけど、歌詞をちゃんと読んだときに、「これってもしやこういうことになるよね?」っていう。

――なすお☆さんのYouTube動画も、“意味が分かると怖い〇〇”な曲がいっぱいありますもんね。

なすお☆ そうですね。そういう遊びや妄想は大好きなので、曲はみんなへの挑戦状みたいなつもりですね。だから作詞はすごく楽しいです。

アリスの想いに寄り添った重要なフレーズ

――もちろん、『死神坊ちゃんと黒メイド』の物語を意識したワードもたくさん盛り込まれていますが、例の印象的なフレーズ“「あなたになら食べられてもいいわ」”は、どこから生まれたものですか?

なすお☆ 劇中で、アリスが大好きな坊ちゃんにグイグイ迫っていく感じを、どう言葉で表現しようかな?と、まどくんと一緒に考えていたんです。で、最終的に出てきたのが……食べちゃう、ということ。好きすぎて“食べたい”わけじゃなくて、“食べられてもいい”というのが、アリスが身も心も坊ちゃんに捧げてる感じや、純粋に好き!という感情にも繋がるなと思って、すごく大きなキーワードになりました。

――ちなみに、なすお☆さんにもそういう気持ち、あります?

なすお☆ 食べられてもいいというよりは、かわいくて食べちゃいたくなる方のタイプですね、私は(笑)。

――他にも、“ガラス越し”や“世界中の星が廻る夜”、“女神様”といったワードは「星屑レクイエム」から引き継がれているイメージですし。“近くて遠い ひとりとひとり”というフレーズも『死神坊ちゃんと黒メイド』らしいです。

なすお☆ そうですね。「星屑レクイエム」もそうでしたけど、このお話って、坊ちゃんとアリスだけじゃなく、他に登場するカップルもみんな“近くて遠い ひとりとひとり”なので、そんなみんなのことも、やっぱり表現したかったんです。好き同士なのにすごく切ない関係が、第3期でも続いているし、坊ちゃんたちの過去のことも、どんどん明らかになっていく。なので、歌詞の言葉にも過去形のところがあったり、希望は持ちたいけど、まだ希望になっていない切なさみたいなものは、すごく散りばめてあります。読みほどいていただけたら嬉しいです。

次ページ:すべて違うニュアンスにこだわって歌った“「あなたになら食べられてもいいわ」”

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