REPORT
2024.05.18
デビュー5周年を超えて、今も成長著しいhalcaが、5月4日、東京・新宿ReNYにて約1年ぶりのワンマンライブ“LAWSON presents halca live 2024 playloud”を開催。ライブタイトルどおり、フルバンド編成によるパワー全開の“ラウド”なナンバーを、オーディエンスと声を“ラウド”に重ね、“すごいhalca”を見せつけた怒涛のステージをレポート!
PHOTOGRAPHY BY 中村ユタカ
TEXT BY 阿部美香
約1年ぶりのフルバンド編成によるワンマンライブ“LAWSON presents halca live 2024 playloud”は、タイトルが発表された時点から、楽しみで仕方がなかった。今年「Good Luck Waker」のリリースインタビューで〈playloud〉に込めた意味を聞いた時、「ラウドというくらいなので、激しい曲もありますし、歌声をラウドに響かせたいライブ」だと宣言していたhalca。今まで以上にパワーアップした「もっとすごいhalcaをお見せできると思います!」と、自信満々の表情で、ひときわ大きな声で語ってくれていたhalca。その言葉に嘘偽りはなかった!
5月4日、東京・新宿ReNY。ステージの前に広がる半円形のフロアは、開演30分前からすでに熱が充満していた。バックドロップにはお馴染みの羽の生えたhalcaのネームロゴが飾られ、ステージ後方にはバンドセットが堂々と鎮座している。昨年4月~5月にかけて行われた初のフルバンドワンマン〈nolca solca culca〉ツアーの熱気溢れるステージを思い出しながら、彼女が言っていた「もっとすごいhalca」が、どんな激しいライブを繰り広げてくれるのだろうと期待が高まる。
開演の18時。バチバチとライトが点滅し、ギミカルでノイジーなBGMが流れてくる。ステージ下手から浅倉高昭(b)、白井アキト(key)、早川誠一郎(ds)、そして最後にバンマスの川口圭太(g)がファンの声援に応えながらポジションに着く。1年前の“nolca solca culca”ツアーでチームワーク抜群のプレイを披露してた“nolca solca yalca”バンドの再臨だ。BGMのリズムに合わせて真っ赤なライトに照らされたバンドがオーディエンスを煽ると、白いペンライトが光るフロアから「Oi Oi Oi!」と雄叫びが挙がる。一気に熱くなるステージ。下手から、いつものライブとはまったく違う雰囲気の不敵な表情を浮かべたhalcaが姿を現すと、ひときわ大きな声援が起こる。
沸き立つ客席を前にして、ここで初めてニコリと笑顔を見せたhalcaが放ったのは「キュンとさせてあげるよ」。見れば衣装もいつものモードでキュートなhalcaとは全く違う。ピンクの髪をお団子ヘアにまとめ上げ、トップスはヘビーメタルバンドを彷彿とさせる黒地にピンクのおどろおどろしいロゴマークが入ったライブTを、地肌が見えるクロップド丈でパンキッシュにアレンジ。チェーンに短いプリーツの飾りがついたブラックのパンツ姿は、いかにもロックだ!未体験の“ラウド”なライブが始まることを予感させる。マイクを客席に向けてコールを煽り、サビでは左脚を大きく前に挙げてキック! くるりと1回転してポーズを決めると、そのまま曲は今日のライブにこそふさわしい「時としてバイオレンス」へ。“天誅 ドロップキックを!”と歌ってバイオレントに足を振り上げるhalcaのハイトーンを、鋭いサウンドでバンドが支える。
「ゴールデンウィークで、みんな楽しいこと計画してるなかで、こんなにたくさんの人が集まってくれるなんてほんとに嬉しいです!ありがとうございます!序盤から飛ばし気味ですけど、もっともっといっちゃっていいかな?」
新宿ReNYのジャンプだけは禁止というルールを改めて確認し、「みんな、今日は一緒に思い切り楽しもー!ジャンプ禁止で“サーセン”!!」とごめんなさいのポーズを決めた、次のナンバーのフレーズをオチャメに盛りこんだhalcaらしいMCにもニヤッとしてしまう。スタートしたのはライブ初披露となる新曲「IN THE BRAIN」。halcaの頭の中をのぞき見るようなキャッチーな歌詞が休みなく降り注ぐポップロックチューンに、全員の「センキューセンキュー」の声がのり、halcaがのびのびとフェイクを決める。そしてキーボードの浮遊感のあるメロも印象的な「LOVEして」へ。お立ち台に上がり、楽しいマイムを交えて歌うhalcaに掛け声が飛ぶ。そしてネクストソング「告白バンジージャンプ」のピアノのイントロが流れると、客席から待ってました!の歓声とクラップが巻き起こる。思い切り飛びたくても飛べないファンの代わりに、halcaが手足を振り上げ、ピョンピョンとステージを跳ね回る。
「まだまだ行くよ!」とかわいい声で煽るhalcaだが、その表情はシリアス。ここからはパワフルなhalcaロックの時間だ。赤いライトが交錯するなか、クールな低音ボーカルでムードを反転させる「もういいや。」がスタート。早川のラウドなドラム、うねりをあげる浅倉のベースライン、白井のシャープなシンセサイザーとアグレッシブな川口の硬派なギター。ハードさに磨きをかけた“playloud”の名にふさわしいバンドの熱いプレイに、激しく頭を振り、halcaは高々と天を指さす。ラウドなかき回しから、野太い「A・WA・WA・WA」のリフへ。再び巻き起こる大歓声!拳を上げ、大声で「Hi,Hi,Hi」と連呼するオーディエンス。川口の鋭いアルペジオがHOTな風を吹き上げる。「もういいや。」のクールな表情から一変、halcaがニコリと笑い、右手を振り上げジャンプ。浅倉のメロディックなベースメロが鮮やかに光り、早川のツインペダルが火を吹いてドカドカと高速で曲をドライブ。halcaは“キミの前じゃ心臓がバクバクの A・WA・WA・WA”と歌いながら、フロアのオーディエンスを指さし、ファンとの愛を確かめ合った。
「みんなの熱気がすごく伝わってきます!」と頬を上気させ、一言ずつhalcaがコメントしながら、1年ぶりに“nolca solca yalca”バンドのメンバーを紹介。川口の珍しい形のギターの値段を聞いたりと、アットホームなトークにファンも声援で参加する。最後に「ボーカル・halcaでーす!」と誇らしげにコールし、「次の曲聴いてください」と語って、ピアノの音色に深く息を吸い込む。放たれたのは「センチメンタルクライシス」だ。いつもならかわいい振付をパフォーマンスしながら歌うこの曲なのだが、今日はロックなライブを意識してか、振付なしの“playloud”仕様に。生バンドならではのドライブ感が、キュートなhalcaの歌声をスケールアップし、新鮮なステージを繰り広げた。続いて、こちらもフルバンドだからこそ魅力が倍増する曲「BUZZER BEATER」へ。昨年の〈nolca solca culca〉ツアー、渋谷・Spotify O-WESTでのファイナルには、楽曲提供者のthe peggies・北澤ゆうほとコラボしていたことを思い出す。ロックの疾走感とhalcaらしいポップスの魅力を詰め込み、どこか切ないメロディを軽やかに歌い上げる。
「センチメンタルクライシス」から始まったこのブロックは、まさに“センチメンタル”で切なさを感じる曲調のナンバーが、様々なグラデーションを描いていく。「BUZZER BEATER」から切なさを引き継いだのは「be your XXX」。手を握り締め、哀しい表情を浮かべながらhalcaが熱唱する。ここまで続いてきた切ない想いは、恋心の始まりに気づく、次の「瞬く頃」で希望へと向かう。スポットライトに照らされ、柔らかな歌声を聴かせるhalca。星空を思わせるミラーボールの煌めきが、フロアを温かく包み込み、芽生えた恋心は続く爽やかな「恋愛ミリフィルム」で笑顔を取り戻す。“君がいい もう君じゃなきゃ 今はただ君を焼き付けたい”のフレーズこそ、ここに集ったファンがhalcaに言いたいメッセージ。そして、halcaがライブという場でファンに伝えたい大切な気持ちだったに違いない。
たくさんの声が、halcaとバンドメンバーの名を呼ぶ。「(曲が)しっとりしていても、音源で聴くより結構音数多いでしょ?ヒーヒー言いながらみんなで練習してました(笑)」という裏話が、オーディエンスの笑顔を誘う。そして「ここからは、このライブのタイトルの通り、みんなでplayloudしていきたいと思います。みんなお歌の練習してきましたか?」と告げて、ネクストブロックへ。「みんなー!一緒に歌おうー!」とシャウトし、こちらもライブ初披露となる最新曲「Good Luck Waker」のタイトルをコール!少しノスタルジーを感じる曲調に合わせて笑顔で左右に手を振ると、オーディエンスもフリを合わせて「Oh Oh~」と合唱。フロアの1人1人の顔が見える明るい照明の下で共有した息ぴったりのワイパーとシンガロングとクラップ。このうえない幸せな風景が新宿ReNYに刻まれた。
ハートフルな景色の後は、パワフルな曲が続く。早川のドラムに合わせて、オーディエンスが両手で♪ドンドンチャとリズムを刻むと、halcaが「みんな勝手に手を叩いて1つになってて、すごいな!」とニコニコしながら芝居がかった声でしゃべり出す。まるでサッカースタジアムにいるかのような一体感に、「これはオマージュです!最大級のリスペクトを込めて、このビートを使わせていただいてます!」と、ステージにひざまずいてユーモラスにエクスキューズし、halcaの「行くよー!」の声から「TTL」へ。ドライブ感抜群のロックンロールナンバーにますますフロアのラウドな掛け声が大きくなる。halcaが元気に足を振り上げ、ラストは指を“L”の形に突き出してトゥルーな“ラブ”を届けた。その勢いを途切らせることなく放たれたのは、全員がフリを合わせた「放課後のリバティ」。腕をぐるぐる振り回してオーディエンスを煽るhalcaを、激しいバンドのサウンドが追い掛けていた。
「ゴールデンウィークで一番熱いですかー?」と問いかけるhalcaを、ラウドなフロアの声が包む。去年のツアーを振り返り「ほぼ1年後にライブができることもめったにない」と喜びながら、「みんなでこうやって集まれる日を願いつつ、それを掴み取れるようにこれからも頑張りますので、応援よろしくお願いします!」と感謝を伝える。そして大きな声で「ラストスパート、行くよー!」とコールして、大歓声が挙がったイントロは「曖昧グラデーション」! 頭を揺らして激しくパフォーマンスするhalcaを、フロアの大きな掛け声が揺さぶる。放心したような顔で歌い終えた彼女を逃すまいと、激しいクラップと共に始まったのは「Distortionary」。ハードでスピーディな楽曲の応酬に、誰もが声と心を奪われていく。そのスピードは「誰彼スクランブル」でさらに駆け上がり、フロアのすべてのスペースから矢継ぎ早にラウドなコールが飛んでくる。ステージを駆け回って歌いながらバンドメンバーとコンタクトし、間奏では大きく両手を広げて天を仰いだhalca。オーディエンスのコールを全身で浴び、跳ね回りながらまたも高々とキックを放つ。
「本当にありがとー! 次が最後の曲です! またみんなで会おうね!」
右手の小指を立てて約束を交わし、本編ラストを飾ったのは懐かしいあの曲「HORiZON」。フロアのみんなを指さして、愛しい想いを歌うhalcaを熱狂が包み込んだ。
SHARE