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INTERVIEW

2024.05.11

【連載】音楽原作プロジェクト「響界メトロ」第5回:加藤冴人、RUCCAが語る「F協和音 feat. イツカ(CV:秋奈),カナタ(CV:わかばやし)」

【連載】音楽原作プロジェクト「響界メトロ」第5回:加藤冴人、RUCCAが語る「F協和音 feat. イツカ(CV:秋奈),カナタ(CV:わかばやし)」

声優・歌い手×ボカロP×ストーリーがクロスする音楽原作プロジェクト「響界メトロ」。暗闇を走る鉄の鋼‟メトロ”を舞台にそれぞれの運命が動き出す。物語を膨らますのは、7つのサウンド、歌詞、歌声、MV、ショートボイスストーリー。メインキャラクターは、ある願いを叶えるため結成されたリンネ(CV:内田真礼)・イツカ(CV:秋奈)・セツナ(CV:konoco)・カナタ(CV:わかばやし)によるボーカルグループ・Qlover。そのすべてに触れた時、初めて、物語の解<カイ>が見えてくる――。

第5回目にあたる今回は、メールインタビューを実施!今回は、「F協和音 feat. イツカ(CV:秋奈),カナタ(CV:わかばやし)」に迫る。同曲の作曲及び編曲を手がけた加藤冴人と作詞を手がけたRUCCAに楽曲制作の背景やこだわりについて話を聞いた。

■【連載】リスアニ!×音楽原作プロジェクト「響界メトロ」クリエイターの音が響く物語を徹底解剖!

【連載】リスアニ!×音楽原作プロジェクト「響界メトロ」クリエイターの音が響く物語を徹底解剖!

INTERVIEW & TEXT BY 小町碧音

加藤冴人 メールインタビュー

加藤冴人

加藤冴人

――廣澤優也さんからどのようなオファーがあり楽曲制作に取り掛かることになったのでしょうか?

加藤冴人 新規でプロジェクトを立ち上げて製作を始めるお話は時折聞かせていただくことがありまして、今回も同じような流れでお話を聞いてイメージに沿った楽曲制作が出来そう、ということでお話をいただきました。担当させていただくシナリオと楽曲のイメージを共有されて、なるほどなと思いました。今回は楽曲のみならず著名なクリエイターの方々ばかりの中に自分がご一緒にさせていただいて大丈夫かなという不安は結構ありました。

――「F協和音」のお話をいただいたときに受けた「響界メトロ」の第一印象について教えてください。

加藤 各シナリオにそれぞれの楽曲があるものってそんなに多くないですし、またクリエイターがそれぞれ担当する物語が異なるのも多様性があって新鮮かなと。理解とイメージを深めながら没入できる手法として、とても面白みがあるプロジェクトだなと感じました。公開を進めていく度に全体を通しての考察なんかも色々と捗りそうで楽しみが多くなる作品になりそうな印象でした。

――普段は作詞も担当される加藤さん目線から、今回のRUCCAさんの歌詞に対する気づきや発見を教えてください。

加藤 普段は歌詞を先に書いてそれにメロディを付けていくのですが、今回も実はRUCCAさんの作詞の前段階で使わない前提の仮歌詞を自分で書いて曲を作っていました。そしてそこへ新たにRUCCAさんの歌詞を流し込んで作ったんです。そこで見えてくるのは自分のイメージしていた歌詞の付け方とはまた違って、言葉を切る場所が違ったり別のメロディのように聞こえたりと、新しいものが築かれていく感覚がありました。言葉選びや文章センスはもちろんですが、物語に対する切り込み方がユニークでとても勉強にもなります。素晴らしい歌詞を付けていただいたなと思います。

――普段の楽曲制作と比べて、シナリオを読んでから作曲、編曲に取り掛かる工程についての感想を教えてください。

加藤 シナリオに登場する場面やセリフを想定して基本的な構成をまず作り、メロディ作りはそのあとになりました。普段の制作よりセクションと物語のシーンとのリンクはより細かく設定しながら進めていました。そして RUCCAさんの本番の歌詞での場面構成を編曲で調整しながらまとめていく、という感じでした。作ったオケを再生しながら、シナリオ読んで違和感があれば変更するみたいなこともやっていましたね。

――作曲、編曲で、こだわったところについて教えてください。

加藤 曲中多くのセクションに入っているピアノのフレーズは拘って作った箇所かなと思っています。繰り返しのフレーズはずっとまったく同じではなく、コード進行によって少しずつ変化を付けています。ループしていく情景を背にして走り続ける様子を伝えたかったので。

――「F協和音」の好きな歌詞を教えてください。

加藤 “僕らの嘆き声を嗤うABC”ですね。ここのメロディにどんな歌詞を当ててくるのかな、というのもあって流石のアイデアだなと思いました。

――今回はどのようなモチーフを参考に作曲、編曲を手がけていきましたか?

加藤 まず最初に物語の内容的に退廃的なイメージをベースにしたいと考えました。そのうえでそこに物語終盤へと向かうイメージとして疾走感を加えた形です。

――シナリオをある程度楽曲で伝えるうえで作曲、編曲において工夫したのはどのようなことですか?

加藤 歌詞で伝える内容の中で大事な部分は強調して、よりリスナーの方まで届きやすいように意識しています。また、あまり楽器など音色を増やすとわかりづらくなるかなと感じていたので、同じ楽器の中でのフレージングや弾き方で表現するように決めて組み立てていったのは良かったかなと思います。

――RUCCAさんの作詞、さらには秋奈さん、わかばやしさんの歌声が乗って楽曲が完成したとき、加藤さんが作曲、編曲時点でイメージしていた物語を膨らませるような要素等はありましたか?

加藤 印象的な歌詞をしっかり重要なポイントで嵌めていただいていたので、より映える楽曲に仕上がっていました。歌に関しては当たり前ではありますが、歌の表現、そして声優さんの演技というのも歌にしっかり入っていて、ただ上手いだけじゃない表現の多さが楽曲の深みや味を付加してくれていました。「F協和音」はデュエットなので、2人の表現方法の違いが物語中の掛け合いしているような想像を掻き立てるものになっていました。

――今回お仕事をするなかで楽しかったことはどのような部分にありましたか?

加藤 シナリオから楽曲制作、ボイスストーリー、MVの公開だったので作らせていただいた楽曲がどういうふうに実際アウトプットとして観られているのかや、プロジェクト通しての見え方なんかもわかってとても面白かったです。廣澤さんからのお話も、近いところにいる方ではありますが、直接関わることがなかったのでそれも楽しかったし、貴重な経験をさせていただき感謝しています。

RUCCA メールインタビュー

RUCCA

RUCCA

――今回の楽曲「F協和音」からどのようなイメージを感じましたか?

RUCCA デモ曲をいただいた瞬間、良い意味で「焦燥感や葛藤に満ちた楽曲だな」と感じたのを覚えています。でも、そういった仄暗い闇の中だからこそ、きちんと「一抹の希望」を演出できるだろうと直感したのも確かです。加藤冴人さんが持つ「どこか切なくも美しいメロディ」だからこそ、導かれるように浮かんだフレーズがたくさんあると思います。

――作詞においてこだわったところを教えてください。

RUCCA 「何かがおかしい」「絶対に世界を変えてやる」という登場人物の想いが育った、物語終盤での楽曲だったので、ストーリーがある種の地殻変動のように動く瞬間を演出することが命題でもありました。「響界メトロ」シリーズの歌詞を通じてお話している「説明臭くさせない」というルールこそありましたが、魅力的なメロディ群に触発されて、力強くまとめられたかと思います。その象徴は、ラストサビにある“身勝手に生きなきゃ ×××(F〇ck my life)”というフレーズですかね。「誰かに利用されるのではなく、死ぬことさえ覚悟して、自由に生きる」そんな強いメッセージが表現された1曲です。

――歌詞の中の、いるに聴こえる“リドゥ”が気になりました。“リドゥ”に込められたものはなんですか?

RUCCA 確かに、サビの該当箇所は、「解き明かしている」「取り戻している」とも空耳で聞こえますね。これはあえて狙ったわけではなく偶然の産物なのですが、日本語と英語を織り交ぜながら歌う「J-POP」の良い一面かもしれません。色々な捉え方ができるなかで、解釈が無限に増えるのが日本曲の歌詞の良さだとも思います。実際のところは、英語の<Redo>で、<やり直す>の意味ではありますが、カタカナ表記にすることで、この世界の登場人物たちにおける「呪文のような」、「合言葉のような」、「願いのような」、そんな様々な意味での響きに聞こえてくれることを狙って、リフレインさせています。


●配信情報
「F協和音 feat. イツカ(CV:秋奈),カナタ(CV:わかばやし)」
Streaming & Download
https://lnk.to/DisSonance_

F協和音 feat. イツカ(CV:秋奈),カナタ(CV:わかばやし)【Music Video】

Lyrics: RUCCA
Compose: 加藤冴人(LOVE ANNEX)
Arrangement: 加藤冴人(LOVE ANNEX)
Sound Produce: 廣澤優也(APDREAM/HANO)
Illustration: SOLANI
Movie Direction: すこっち
Movie: kotose
Logo Design: 4pe

▼リリース情報
https://kyoukaimetro.jp/music/fkyowaon/

●作品情報
『響界メトロ -SOUNDary LINE-』

<INFORMATION>
「ボーカル」✕「ボカロP」✕「ストーリー」
「声優」「歌い手」と「ボカロP」のタッグでおくる音楽原作プロジェクト。
感覚を研ぎ澄ませ、楽曲のストーリーを読み解いた先に待っているものとは。
新進気鋭のクリエイターの音が響く物語世界へようこそ。

関連リンク

公式HP
https://kyoukaimetro.jp/

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Twitter
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