XAIと鈴木このみによるラウドロックユニット・She is Legend が、2ndアルバム『春眠旅団』を2024年3月27日(水)にリリース。「死にゆく季節のきみへ」(Vocal:やなぎなぎ)のカバー「死にゆく季節でぼくは」をはじめとするドラマチックRPG「ヘブンバーンズレッド」の世界を彩った楽曲に加え、タイトルトラック「春眠旅団」を含む計13曲を収録。麻枝 准が作詞・作曲・プロデュースを手がけた楽曲たちは、時に切なく、時に激しく、今回のアルバムもShe is Legendの魅力がたっぷり詰まった1枚となった。その楽曲たちをレビューしていく。5月11日からは2ndツアー「She is Legend Zepp Tour 2024 “We are 春眠旅団”」もスタートするので、アルバムと合わせてこちらも注目したい。
TEXT BY 千葉研一
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
シーレジェの魅力全開なタイトルトラック。麻枝が紡ぐ爽やかさと切なさが織りなす見事なコンビネーションを、月歌と可憐のボーカルを担当するXAIと鈴木このみが抜群の歌唱力と表現力で歌い上げる。少ししゃくりを入れたり、声を震わせたりと、想いがそのまま音になったような2人の歌声はツインボーカルならではの柔軟性や緩急をみせ、カレン(Ayumu)のスクリームも刺激的なアクセント。曲後半に“教えて”と2人が突き上げるロングトーンはまさに想いがギュッと込められた珠玉の響きで、胸が締め付けられる熱い1曲だ。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI) /朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
Chorus:和泉ユキ(CV.前川涼子)/逢川めぐみ(CV.伊波杏樹) /東城つかさ(CV.天海由梨奈) /國見タマ(CV.古賀 葵)
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
熱く滾るビート、スクリーム、疾走感溢れるボーカルが心を揺さぶり、Bメロのメロディラインで高揚させていきながら迎えるサビでの月歌と可憐による小刻みな掛け合いは激アツ。“小さい頃は無敵だった”から始まる31A(月歌たちが所属する部隊)全員でのコーラスとクラップも感動的な瞬間で、“LaLaLaLa…”はシーレジェでなければ出せないコーラス&スクリームの共演となっている。この曲の初出はストーリーイベント「Peace of Cradle」。“りさママ”こと室伏理沙と31Dをフィーチャーした内容だが、曲自体は31Aのライブシーンで流れる。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
メインストーリー第四章後編クリア後にプレイ可能なストーリーイベント「断章Ⅱ」で流れるこの曲は、第四章後編のメインテーマといえる「死にゆく季節のきみへ」の歌詞を変更したカバーバージョン。イントロの美しいピアノから涙を誘う名曲で、サビのキャッチーなメロディや想い溢れる歌声が至極の響きを放つ。「死にゆく季節のきみへ」では“サヨナラを言うために ぼくらは出会ったんだ”だった歌詞が「死にゆく季節でぼくは」では“さよならを言うために出会ったなんて嘘だ”になっているのが象徴するように、“きみ”と“ぼく”が「死にゆく季節でぼくは」ではどう描かれているか、聴き比べて感じ取ってもらいたい。ラストフレーズの“ふたり並んで”を2人が一緒に歌うのも、ゲームをプレイした人なら鳥肌モノだろう。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI) /朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
Chorus:和泉ユキ(CV.前川涼子)/逢川めぐみ(CV.伊波杏樹)/東城つかさ(CV.天海由梨奈)/國見タマ(CV.古賀 葵)
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
メロディラインだけを追えばポップチューンのロックだが、描かれる内容が心に刺さる1曲。ソロから始まり、サビでは2人の歌声の応酬にクラップが重なり、ラストは31Aみんなのコーラスで締める――そうやって1人からみんなへと変わっていく展開は非常に熱い。1サビと2サビでメロディがまったく違うなど、フルで味わうとまた異なる趣をみせるのも特徴的だ。この曲が流れるストーリーイベント「Letters on The Back」は31Aメインの物語ではないが、楽曲の根底にある“ひとりじゃない”という想いは、イベントで描かれた内容を彷彿とさせる。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
ストーリーイベント「小さき帝と穏やかな朝食」において、メインで登場する柳美音が仕える丸山奏多も楽しみにしていた31Aのライブで披露。冒頭のシャウトでぶち上げると、2人の美声が心地良いメロディにマッチして響いていく。Aメロは月歌、Bメロは可憐、サビ前半は月歌→可憐、サビ後半は2人がリフレインして繋いでいくのは、こちらのテンションもどんどん上がっていくかのよう。Dメロの高音で2人の特徴の違いが出ているのも聴きどころで、ラストフレーズで可憐が思いの丈をぶつけるように突き上げる歌声は余韻も美しい。瞬間的な破壊力よりも聴けば聴くほどハマっていく楽曲だろう。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
Chorus:和泉ユキ(CV.前川涼子)/逢川めぐみ(CV.伊波杏樹)/東城つかさ(CV.天海由梨奈)/國見タマ(CV.古賀 葵)
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
2ndアルバムの中で、タイトルのイメージとのギャップに最も驚くのはストーリーイベント「美人温泉物語 湯けむり千紫万紅」で流れるこの曲だろう。曲調や歌い方がコロコロ変化する楽しい楽曲であり、犬や猫の鳴き声、31Aメンバーの掛け声、コーラス&クラップが入り混じり、ラストはシャウト&鳴き声からオルゴールで締めるカオスな内容なのだ。歌詞も面白い表現のオンパレードで、作中で描かれたようにメンバーが歌詞を持ち寄って作ったと思うと面白さがさらに増す。リアルライブでは犬と猫のポーズがキュートなので、振り付けにも注目したい。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
Chorus:和泉ユキ(CV.前川涼子)/逢川めぐみ(CV.伊波杏樹)/東城つかさ(CV.天海由梨奈)/國見タマ(CV.古賀 葵)
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
情感たっぷりな歌い出しから始まるのが印象的な「How’s everything」。2人のちょっと憂いを帯びた歌い方や、ただ叫ぶだけではない想いを絞り出すスクリームも、小笠原緋雨の過去が描かれるストーリーイベント「緋に染まる袖時雨」の目線で聴くとまた違った趣と感慨深さがある。みんなのコーラスを交えたBメロでテンションを上げていくと、サビでの音の配列が独特で格好良く、ほかにはない引き込まれ感も強い。朝倉の気合の「ふっ!」の息もポイントの1つだ。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
ストーリーイベント「罪と罰と愛と」で流れる「Autumn Howl」は、心をギュッと掴むような澄んだ歌声に切なさが同居したバラード。イベントで流れるシーンも熱く、ストーリーを知っていると内容にさらなる意味を感じる1曲だ。冒頭の月歌の美声に酔いしれていたかと思えば、ラウドなシャウトでハッとさせられ、2番ではメロディが変化していく展開などメリハリも魅力的であり、雰囲気そのものが四季のように変わっていく。ラストの震えるようなハミングも胸を熱くさせる。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
1音1音が美しいピアノのイントロから、疾走感のあるメロディで紡がれるノスタルジックロック。メロディラインの軽快さとは裏腹に、そこに描かれている戻ることのできないあの夏、あの放課後は涙を誘う。2サビやラスサビで静寂からパッとハリのある声を突き上げるシーン、Dメロでの声を震わせるように響かせる高音はこちらの心も震わせてくる素晴らしさだ。この曲が流れるストーリーイベント「君に読む憧れ」に登場する31Cのメンバーにもよく似合う1曲で、ゲームをプレイしたユーザーからの人気も高い。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
ギターにのせたカレンのスクリームが語るように訴えかけ、普段とは異なる雰囲気を漂わせて始まるのは、メインストーリーの最新話である第五章前編で登場する「World We Changed」。低音を活かした音の運びも印象的で、2人のボーカルが押し寄せてくる聴けば聴くほどハマるタイプの楽曲だ。後半はサビ前にこれまでとは違うパートを挟んで心をドキッとさせると、ラスサビの転調でさらに高揚感を高めていき、2人の声色にもまた違った輝きが生まれる。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:MANYO
同じくメインストーリー第五章で流れる「陽のさす向こうへ」は、本アルバム唯一の月歌ソロ歌唱曲。ピアノの伴奏にのせたハミングも美しい追憶のミドルバラードだ。暖かく織りなす月歌のボイスはときに声を震わせ、想いが溢れて泣いているかのようで、高らかな歌声にのせた気持ちが心を突き刺してくる。曲名で使われている単語に込められた想い、誰に向けて歌った楽曲なのかは第五章前半をプレイすればわかり、プレイ前後で受ける印象も昇華するだろう。プレイ後は涙を拭くものの用意をおすすめする。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
2人の軌跡であり奇跡を綴った楽曲は、やや物悲しさもありつつ、2人の声にはここまで辿り着いた充足感が満ちている。サビでの“ああきみはきみでひとりでぼくはぼくだけであり”といったテンポの良い言葉の羅列は癖になる魅力があり、サビのラストで2人の声が重なるのも素敵なポイント。メインストーリー第四章後編でこの曲を31A全員で披露する意味、“きみは生きてるだけで美しい”などの歌詞に込められた想い――それはとても大きなものであるからこそ、楽曲としての良さはもちろん、ゲームのストーリーと合わせて堪能してもらいたい。
Vocal:茅森月歌(Vo.XAI)/朝倉可憐(Vo.鈴木このみ)
Scream:カレン(Ayumu[Serenity In Murder])
作詞・作曲:麻枝 准
編曲:吉田 穣
アルバムラストを締めるのは、ストーリーイベント「きみはこの夏のFairy、ぼくはその姿を瞳の奥にRec.」の楽曲「さよならの速度」。ギターのイントロから月歌のハミング、暖かな歌声が流れると、気持ちの高まりと呼応するようにリズムがチェンジ。サビでのハイテンポな盛り上がりは、熱い想いを感じさせてくれる。緩急をつけたメロディと歌声で魅了したラストに流れる、フェードアウトしていくギターの余韻も素敵な瞬間。作中の3Dライブでは途中から陽が沈む演出があり、最高のエンディングだ。
●リリース情報
2nd アルバム
『春眠旅団』
2024年3月27日(水)リリース
【初回生産限定盤】
価格:¥5,720(税込)
品番:KSLA-0213
※レコードサイズジャケット仕様
【通常盤】
価格:¥3,850(税込)
品番:KSLA-0214
1.春眠旅団
2.Heartbreak Syndrome
3.死にゆく季節でぼくは
4.Long Long Spell
5.Popcorn N’ Roses
6.Thank you for playing~あなたに出会えてよかった~
7.How’s everything
8.Autumn Howl
9.放課後のメロディ
10.World We Changed
11.陽のさす向こうへ
12.起死廻生
13.さよならの速度
●ライブ情報
She is Legend Zepp Tour 2024 “We are 春眠旅団”
5月11日(土) 東京 Zepp Haneda(TOKYO)
開場17:00/開演18:00
5月19日(日) 大阪 Zepp Osaka Bayside
開場16:00/開演17:00
6月9日(日) 北海道 Zepp Sapporo
開場16:00/開演17:00
6月16日(日) 愛知 Zepp Nagoya
開場16:00/開演17:00
6月22日(土) 福岡 Zepp Fukuoka
開場16:00/開演17:00
詳細は、以下の公式HPをご確認ください。
She is Legend Zepp Tour 2024 “We are 春眠旅団” ライブ特設サイト
https://she-is-legend.com/shunmin_zepp/
©WFS Developed by WRIGHT FLYER STUDIOS ©VISUAL ARTS/Key
She is Legend 公式サイト
https://www.she-is-legend.com/
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