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INTERVIEW

2024.04.05

LiSAが“アナタ”への願いを届ける、大切な“ことば”を詰め込んだ「りさのことば」――制作秘話、夢の始まりの場所・沖縄での撮影について語る

LiSAが“アナタ”への願いを届ける、大切な“ことば”を詰め込んだ「りさのことば」――制作秘話、夢の始まりの場所・沖縄での撮影について語る

LiSAのオリジナルブックシリーズ『xLiSAxBOOKx』プロデュースによる最新刊『りさのことば』は、LiSAがデビュー前からずっと書き続けているオフィシャルブログ「今日もいい日だっ」からの引用をメインに、彼女がアーティスト活動を通じて大切に伝えてきた「ことば」が散りばめられた、ファン必携の1冊だ。LiSAの“始まりの場所”である沖縄での撮り下ろしフォト、デビューから今までのプライベートフォト、最新ツアーのライブフォトなど、貴重な写真も盛りだくさんな「りさのことば」。その制作秘話を、LiSA本人が語ってくれた。

INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香

「ブログや歌詞を書くときは、絶対に自分に嘘を吐かない」

――LiSAさんのブログのメッセージを書籍化しようという企画は、スタッフサイドからの提案だったそうですね。

LiSA はい。主に今、皆さんに読んでいただいている「今日もいい日だっ」ブログの文章から、すごく丁寧に言葉を拾い上げてくださいました。私がずっと大事にしてきたブログの言葉を、スタッフの皆さんも同じように、これはすごく大事なものなんじゃないか、ぜひ本にして残しておきたい、と思ってくれた。だからこの本の企画をいただいて、すごく嬉しかったですね。

――今はSNSでもファンに想いを伝えているLiSAさんですが、ブログで書いてきたことには、また特別な想いがありそうですね。

LiSA ありますね。元々私がブログを始めたのは、自分の言葉で気持ちを発信する練習場所みたいにしたかったからなんですよ。私にとっては歌詞も同じなんですけど……もしリアルな友達に、面と向かって熱い話とか、自分のドロッとした気持ちを話したくても、引かれたらどうしよう?って思うんですよね。それでその子との関係が変わってしまったり、何かが壊れてしまう気がするから……できなくて。だから自分にしか考えられない、自分にしか見えない景色みたいなものについては、ブログに書いたり、歌詞にしてきたんです。私にとってブログや歌詞の言葉は人前では口にできないけど、魂から出てきた言葉。私、歌詞やブログを書いてると、結構こう……泣きながらのことが多いんですよ(苦笑)。本当の自分の気持ちを話そうとすると、なぜか泣いちゃうんですよね。

――ライブのMCもそうですよね。

LiSA そう!子どもの頃からそうなんですよ(笑)。言葉に気持ちが入り込むと、涙が出てくる。同じ事がブログや歌詞でも起きるんですよね。だからブログや歌詞を書くときは、絶対に自分に嘘を吐かないって決めてるし、自分のカッコ悪い部分もあえて言葉にする。

――まさに魂の言葉ですね。

LiSA 表面的に取り繕った言葉じゃなくて、自分が誰にも見せたくないところを見せているのが、私にとっての歌詞だしブログでもある。だから共感してくれる人がいて、同じ気持ちになって読んでくれるのかな、とも思うんです。私はそういう行為を“血を流す”って呼ぶんですけど(苦笑)、自分の血を込めた大事なブログの言葉たちをこうして本にしたいと言ってもらえたことで、私にとっても「りさのことば」は大切な宝物になりました。

今も昔も変わらないLiSAの紡ぐ“ことば”

――ブログはいつから書き始めたんですか?

LiSA 2008年からなので、岐阜から上京してきてすぐですね。

――「りさのことば」のサブタイトルは「~なにかになりたかったあの日から~」ですが、まさにそういう“あの日”ですね。ソロデビュー、そしてLiSAさんのデビューのきっかけになったGirls Dead Monster(以下、ガルデモ)、TVアニメ『Angel Beats!』ともまだ出会っていない。

LiSA そう、そうなんです。もう16年前だなんて、びっくりですよね(笑)。今も続いている「今日もいい日だっ」は2010年からしかアーカイブはないんですけど、それでも丸々13年分は残ってるじゃないですか。そこから「りさのことば」のために集めていただいた言葉が、本当にたくさんありました。もちろん私もそれに全部目を通して良いなと思ったものをセレクトしつつ、今の自分の言葉も加えてもらって、まとめていただいたんです。よくこんなに集めてくれました!と驚きました(笑)。

――この「りさのことば」に掲載されているメッセージは、あえて時代順には並べていないそうですが、書いている内容は今のLiSAさんとまったく変わらないことにも驚きました。

LiSA ですよね(笑)!自分でもそう思いました。思ってることを全部をさらけ出してはいるんですけど……子どもの頃から私、自分の言葉には責任を持って喋りたい子だったんです。でも上品な言葉遣いもできないし、今よりずっと口も悪かったから、人前に出す言葉には自信がなかった。それは、ガルデモで歌うようになってからも変わらなくて、ライブのMCもとにかく苦手でしたね。だから、ブログは自分の想いを人にうまく伝えられるようになることを学ぶ場でもあったと思います。

――今、“昔の自分”を読み返してどう感じます?

LiSA いやぁ、恥ずかしいです(苦笑)。今はもう大人だから、若いなぁ、ヤンチャなこと言ってるなって思いますね。でも、ひとつ気づいたんですけど、やっぱり言ってることは今と何にも変わっていないんですよ。嘘を吐かず、言葉を大事にしながらやってきた自分を誇りに思います。あと、言葉遣いだったり文章の雰囲気を見ると、いつ頃のLiSAかわかるのが面白いですね。漢字が多いとあとのほうかな?とか(笑)。昔の文章は、ひらがなが多いんですよ。語尾も「っ」って元気に終わってるし。

――それは意識していたんですか?

LiSA ボキャブラリーがなかったというのもあるんですけど“親しみやすさ”みたいなものは、大事にしていましたね。今でもそうですけど、もしすごく悲しいことがあっても、ちゃんと悲しい顔ができないっていうか……人に心配させすぎないようにしたいから、そういうときだけ、言い方はちょっとごまかしちゃうんです。ブログは日記でありながら、“LiSAとしての作品”にもしたいと思っていたので、本当のことを言ったり書いたりはしているけど、ポップでいたいんです。特に昔はその気持ちが強かったから、「りさのことば」を読んで、このときは大変だったけど、こんなふうに書いてたんだなと、改めて思ったりしましたね。

ブログの言葉やライブのMCで語られたフレーズが歌詞に

――「りさのことば」を開くと、LiSAさんが「アナタへ」と題した前書きがあり、そのなかに《ここから歌詞になったり、MC になったり、音になって届けた“ことば”たちも たくさんあります。》と書かれています。確かに、LiSAさんの曲で歌われているフレーズもたくさん登場しているんですよね。

LiSA はい。ここに出てくる言葉たちは、私自身との対話だから、自分で言葉にして頭の中を整理していたり、やっと気づく気持ちみたいなのがあるんですね。それを、あとから歌詞にしていたこともたくさんあります。

――ブログが自分との対話だとすると、自分に向けて書いている感覚ですか?

LiSA 自分に向けて……いや、それで言うと誰にも向けていないですね。元々私の人間性的に、ブログのタイトルのように「今日もいい日だ」って毎日思える人間じゃないんですよ(苦笑)。どっちかというと、「今日はコレができなかったな、これもダメだったな、こんなこと言っちゃったな」って後悔することのほうが多くて、「だから明日は頑張ろう!」みたいな感じで。「今日もいい日だ」は、そんな私への母からの教え。自分を認めることや自分を褒めてあげることが苦手だからこそ、後悔したこともたくさん書くけど、最後には前を向ける言葉を自分に添えて「今日もいい日だ」で締め括ろう!って決めたんです。そういうクセを付けるために、公開して書いていたのがブログなんですね。それでLiSAってこういう人なんだ!ということを知ってもらえる場所、共感してくれた人が自然に訪れてくれる場所になったらいいなって思っていましたね。

――「りさのことば」には抜粋されたものが載っていますが、言葉の断片からでもLiSAさんの想いや人柄が確かに伝わってきますよね。リスアニ!からの提案としては、ぜひ読んだ皆さんに歌詞になった言葉や、ライブのMCで語られている言葉のルーツを、この中から探してもらいたい。いつも我々が受け取っている想いを、昔からLiSAさんはこうやって言ってくれてたんだということが理解できると、嬉しいですから。

LiSA 確かにそうですね。「りさのことば」を作ってもらえたこともそうだし、今みんなに読んでもらえることの意味がありますよね。私も、そう読んでもらえたら嬉しいです。

次ページ:大切な思い出の地を巡った撮影エピソード

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