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INTERVIEW

2024.04.03

Afterglowと美竹 蘭に出会って7年――佐倉綾音が語る成長と変化、これから見たい景色とは?Afterglow ミニAlbum『忘れらんない日々のこと』インタビュー

Afterglowと美竹 蘭に出会って7年――佐倉綾音が語る成長と変化、これから見たい景色とは?Afterglow ミニAlbum『忘れらんない日々のこと』インタビュー

じん提供曲や今のAfterglowのストーリーを反映した楽曲たち

――今回のミニAlbum『忘れらんない日々のこと』には、直近のストーリーイベントに合わせて作られた楽曲が多く収録されています。佐倉さんが特に印象に残っている楽曲やイベントについて、お話をお聞かせください。

佐倉 それこそバンド解散の話題が出たときの「That’s why I’m here.」(メドレーライブイベント「互いの音、空の果て」楽曲)は、レコーディングのときのことをとてもよく覚えています。歌詞を見たら結構ネガティブな曲で、これを蘭として歌うのがきつかったんですよね。“勝手に燃え尽きて 勝手に終わらせないで お願い”という歌詞は、どちらかと言うと解散を持ち出した蘭以外のメンバー、このシナリオだと(青葉)モカの気持ちに近いのでは……と感じましたし、“歌わせてあたしたちを”も、どんな気持ちで歌えばいいのか全然分からなくて……。蘭は基本ダウナーなので、ポジティブで熱い楽曲を歌うときは「もう少し笑顔のニュアンスで歌ってみましょう」と言われることが多いのですが、この頃の楽曲はいくらネガティブに歌っても「明るくしましょう」というディレクションが全然なくて。言われないとそれはそれで寂しい気持ちになっていました(笑)。

――「That’s why I’m here.」は佐倉さんの歌の組み立ても素晴らしいなと感じていて。特に終盤、“あたしがずっと 守るからきっと”での力強い歌声から“…こっちを見て”での強烈なハイトーン、そして最後は“受け止めてよ あたしを”をやや力の抜けた歌い口で聴かせるところは、1つの物語のようにも感じました。

佐倉 この部分は私も印象的です!ここはTK(from 凛として時雨)さんが提供してくださった「独創収差」(2022年)で手に入れた蘭の歌い方なんですよね。スタッフさんと相談しながら「この蘭もアリ」とOKをいただいた蘭の歌い方を、「That’s why I’m here.」のこの部分でも使いたいと思って、テストのときに一度歌ってみたんです。案の定、作家さんに気付かれたんですけど、蘭は「独創収差」でこういう歌い方を手に入れてるはずなのでこれでいきたいです、というお話をして、この歌い方でいくことになりました。

――歌い方を習得したか否か、という部分も踏まえてレコーディングを組み立てているんですね。

佐倉 そこは明らかに蘭と私の成長で、蘭が手に入れると私も手に入れるし、私が手に入れると蘭も手に入れる、そういう意味ではやっぱり運命共同体になっているところがあるんだと思います。今、お話ししながら思い出しましたけど、この曲のサビの“君しかいらない この夕焼けだけでいい”のところを歌うのが本当につらかったんですよ。こんな言葉を言わせてしまったことや、Afterglowのメンバーそれぞれの気持ちを考えてしまうと、「うわーっ……」ってなってしまって……歌ってはうなだれて、そこから気持ちを立て直すことの連続だったので、この曲の叫びの部分は「しんどいなあ」という気持ちをぶつけるように歌っていました(笑)。

――そのほかに印象に残っている楽曲はありますか?

佐倉 「ペトリコール・オベーション」はまずタイトルがかっこ良すぎるなと思いましたね。思わず意味を調べました(笑)。「Made My Day」はどちらかと言うとポジティブめな曲ですし、「IGNITE GLOW」は激アツ曲なので、そう考えると色とりどりで色んな感情が入っている作品になりましたね。

――「IGNITE GLOW」はRoseliaとの2マンライブが実現したミッションライブイベント「天穹の誇りに刻みし烈光」で実装された楽曲で、Afterglowの楽曲の中でもかなり激しくて情熱的な曲調です。

佐倉 ストーリーではAfterglowが負けてしまうけど、ちゃんと燃え尽きている感じが楽曲に出ていますよね。いつも楽曲をいただくと歌詞を先に見るのですが、「IGNITE GLOW」は歌詞を見ただけで絶対にかっこいい曲だと確信しました(笑)。Roseliaをバチバチに意識している感じが歌詞からも伝わってきて、とても良かったです。

――佐倉さんのボーカルもシリアスな中低音から鮮烈な高音までキマっていてバチバチ感があります。

佐倉 この歌詞に負けないように歌うのは難しいなと思ったのを覚えています。あんまり女子が作る曲ではない感じがして。でも、Roseliaはずっと、こういうかっこいい歌詞に負けないように歌い続けているんだろうなと思うと、私も蘭も負けていられないという気持ちが生まれました。

――その一方で「ペトリコール・オベーション」はピアノ主体の爽やかな疾走感が肝になっていますが、やはり曲調によって歌のアプローチも変わるものでしょうか。

佐倉 そうですね。どの楽曲も別日に録っていますし、楽曲に対するアプローチは違ってくると思います。ただ、まとめて聴いてみると、やっぱり蘭が歌っているからAfterglowらしさがあるんだなと感じますね。いまだにAfterglowの楽曲を聴くと「蘭はこんなふうに歌うんだな」と、他人事みたいに感じることが多いんです。レコーディングのときはいつもがむしゃらで、あまり細かい計算をし過ぎずAfterglowの楽曲に立ち向かっているというのもあって、(音源を)聴くたびに自分の想定外の音が出ている感じがするし、それを自分で楽しんでいる部分もあります。

――その「がむしゃら感」というのも、Afterglowや蘭の歌にとって大切な要素かもしれないですね。

佐倉 多分、余裕があって計算ずくで歌うのは、Roseliaや他の子たちがやっていると思うので。蘭は基本的にいつも自分の精一杯、全力でやってちょうどいいのかなと。

――そして今回のミニAlbumには、ボカロPのじんさんが提供された「燦々」も収録されています。

佐倉 私は「燦々」がMVも含めて大好きなんです。じんさんとは、たまたま別の作品(TVアニメ『カミエラビ』)でもご一緒していて、レコーディングの際にリモートでご挨拶させていただいたとき、Afterglowのことをすごく好きでいてくださっていることを知って。「カードゲームの大会でAfterglowのスリーブを使っている」というお話しを聞いて「ガチじゃん!」と思いました(笑)。「Afterglowにこんな歌を歌ってほしい」という想いを込めて書いてくださったみたいで、じんさんの中ではちょっと夏祭りっぽい、和な雰囲気のAfterglowを聴いてみたかったというお話しでした。たしかに漢字の言葉遊びが多い曲なんですよね。Afterglowらしさと、Afterglowのことを好きな人がまだ見ぬAfterglowを開拓しようとしている感じが楽曲からとても伝わってきて。ifの世界観のAfterglowが描かれるMVもコラボ曲ならではだと思いますし、MVも含めて思い出深い曲です。

――エモーショナルなメロディが炸裂した高速ロックで、じんさん節が詰まっていますよね。

佐倉 でも、それがちゃんとAfterglowにマッチしているんですよね。きっと元々じんさんの書かれる曲とAfterglowの親和性も高いのだと思います。私が今までたくさんボカロ曲のカバーをしてさんざん鍛えられてきたのは、この曲を歌うためだったのかなと思うくらいでした(笑)。(Afterglowの)みんなもたくさん一緒に歌ってくれる曲なので、とても元気が出ます。

次ページ:佐倉綾音が蘭と過ごした“忘れらんない日々のこと”

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