REPORT
2024.03.16
「アイドルマスター シャイニーカラーズ」のライブイベント「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 6thLIVE TOUR Come and Unite! Brilliant Blooms」大阪公演DAY2が2024年3月3日、大阪府・大阪城ホールにて開催された。
DAY2にはイルミネーションスターズより櫻木真乃役の関根瞳、八宮めぐる役の峯田茉優、アンティーカより月岡恋鐘役の礒部花凜、田中摩美々役の菅沼千紗、白瀬咲耶役の八巻アンナ、三峰結華役の希水しお、幽谷霧子役の結名美月、放課後クライマックスガールズより小宮果穂役の河野ひより、園田智代子役の白石晴香、西城樹里役の永井真里子、杜野凛世役の丸岡和佳奈、有栖川夏葉役の涼本あきほ、アルストロメリアより大崎甘奈役の黒木ほの香、大崎甜花役の前川涼子、桑山千雪役の芝崎典子、ストレイライトより芹沢あさひ役の田中有紀、黛冬優子役の幸村恵理、和泉愛依役の北原沙弥香、ノクチルより浅倉透役の和久井優、樋口円香役の土屋李央、福丸小糸役の田嶌紗蘭、市川雛菜役の岡咲美保、シーズより七草にちか役の紫月杏朱彩、緋田美琴役の山根綺、コメティックより斑鳩ルカ役の川口莉奈、鈴木羽那役の三川華月、郁田はるき役の小澤麗那が出演した。
TEXT BY 中里キリ
開演前にはデビ太郎とダンサーズがメインステージに登場し、「シャイニーエクササイズ」のサウンドと音声に乗せたエクササイズタイムを実演。ちょこまかとした動きでキレのあるダンスを繰り広げるデビ太郎とともに、アイドルたちに励まされながら超満員の観衆が準備運動を行なった。
おなじみの協賛企業紹介&コールを経て、おだやかで美しいオーバーチュアと共に開演の映像演出が上映された。大阪公演は“Brilliant Blooms”を冠していることもあり、色とりどりの花をモチーフにした演出が目立つ。メインステージには六段の多面スクリーンが設定されており、視界を埋め尽くす光と色の洪水が壮観だ。
やがてステージ各所にアイドルたちが登場。メインスクリーンの光を背景に、影絵のように踊るアイドルたちのシルエットが幻想的だ。トロピカルで心浮き立つアレンジを施した「Spread the Wings!! (Come and Unite! Ver.)」でライブはスタート。DAY2から出演の田中有紀、白石晴香に自然に目が行く。「シャニマス」はじまりの楽曲もアレンジ次第でまったく違うテイストになるのが面白い。
ユニット曲のトップバッターとなったのは、放課後クライマックスガールズの「クライマックスアイランド」。ナンバリングライブでは初のフルメンバー披露。「シャニマス」の切り込み隊長が、初手からクライマックスの盛り上がりで空気を作っていく。お祭りをモチーフにした衣装で、挑みかかったり、整列してパレードをしたりと動きのある振付が楽しい。食べ物の名前を連呼するパートで、白石はもちろん“チョコパ”を担当。そして“タイ焼き”の代わりにご当地の“たこ焼き”を歌う遊び心を見せていた。チームダンスも5人が揃ってパワーアップしており、千手観音ムーブからのキメポーズは背後に爆発を背負った戦隊のような勢いがあった。
シーズは「SWEETEST BITE」を披露。緑色のライトに照らされて、センターステージに白と黒をまとったふたりが現れると空気がガラリと変わる。ボーカル、ダンスともに圧倒的なパフォーマンスを繰り広げながら、山根が見せる鮮やかな笑顔。紫月も余裕のある笑みをたたえており、改めてふたりのポテンシャルの高さを見せつけてくる。台詞パートでは、紫月がにちかとして吹っ切れて「思いっきりやりまーす!!」と宣言。山根の抑えたテンションの台詞は、美琴からプロデューサーへの深い信頼を感じさせた。
アルストロメリアは「Love Letter」を歌唱。「CANVAS」シリーズの楽曲で、ナンバリングライブでは初お披露目だ。メインステージに並んだ3人は、客席に背を向けて登場。順番にくるりと振り返ってのキメポーズが鮮烈だ。テンポのいいドラムとうねるようなキュートなボーカルのマッチングが気持ちいい。技巧的なサウンドだが、そこに乗せられたメッセージと込められた想いは驚くほどまっすぐでストレートだ。台詞パートでは「甜花のこと、ちゃんと見ててね」と約束の小指をつきだす前川の姿が驚くほどキュート。ラブソングだけあって、台詞に込められた想いも情熱的だ。芝崎の投げキッスからの3人のキメポーズが絵画のように絵になっていた。
ストレイライトは「Imitation Ghost」を披露。DAY2は田中有紀が参加し、完全体のストレイライトとして登場だ。ゆらりとしたイントロダンスから、観客を見据える田中の眼差しが静かに深い。DAY1は冬優子と愛依の仲間だけどライバル、という側面にフォーカスしたものだったが、そのラストにゲーム内のシナリオイベント「VS」について言及していたことで、今度は3人のライバル関係を連想させるという重層的な構造になっている。フォーメーションダンスも絶好調で、ひざまずいた2人の膝に足を乗せる幸村の振付がドキッとするほど鮮烈だ。台詞パートでは自分の内なる熱量に戸惑うあさひや、入り込んだ冬優子の魔性、クールモードであでやかに微笑む愛依の姿が印象的だった。
イルミネーションスターズの関根瞳と峯田茉優はセンターステージに登場すると「BRIGHTEST WHITE」を歌唱。イントロの鍵盤打楽器の調べと共に、微笑んだ関根が楽器をかき鳴らす動きを見せる。ステージにぱっと光が灯るとふたりの動きが大きく雄大になり、表情と全身で感情を伝えてくる。近藤玲奈のボーカル音源とともに歌っているのだが、峯田が近藤のパートで大きく口を動かして、一緒に“歌って”いるのがなんだかグッとくる。台詞パートはプロデューサーとの信頼関係と、一緒にキラキラのステージを作り上げていく決意が感じられた。「無限の輝きが、みんなに届きますように!!」という関根の祈りが、今までの真乃にないぐらい力強い意志に満ちていたのが記憶に残った。
ノクチルは「夢が夢じゃなくなるその日まで」を披露。歌い出しの岡咲の髪型がツインテールになっていて、ちょっとした変化で2日間を楽しませようとしているのが嬉しい。衣装に各メンバーごとのカラーが入って個性の色が出てきたノクチルだが、歌詞でもそれぞれの夢に自覚的になって、夢が現実にグラデーションで変わっていく様子が瑞々しく描かれている。台詞パートでいつも通りの樋口節を響かせた土屋の、かすかに微笑んでいるように見えなくもない表情感が絶妙だ。和久井の「手、伸ばして。プロデューサーも」の言葉がこの場でのことのようであり、一緒に夢に手を伸ばしてほしいという意味にも感じられた。
コメティックは「くだらないや」を歌唱した。立ち位置を入れ替えながらのフォーメーションダンスから、スクリーンにノイズが走った瞬間に3人のスイッチがガチンと入るのを感じる。楽曲ごとにセンターがかわるコメティックで、この曲ははるきの個性を真ん中に置いたもの。小澤麗那の浮遊感のある自由な歌声がステージを牽引していく。3人の手元では、CoMETIK PRODUCE Accessoryがそれぞれの輝きを放っている。台詞パートでは「コメティックと踊らにゃ損♪」とキュートにキメた三川が、岡山弁で言い直すくだりがとても魅力的。「そこにあるのはかりそめのハート? 頭空っぽにして、私たちに見せてね」というはるきの台詞が謎めいていて、落ちサビの小澤の歌唱がいつも以上に情感に満ちていた。
アンティーカは「Unsung Heroes」を披露。物語性の強い「CANVAS」楽曲をナンバリングライブ初解禁だ。騎士のような衣装とのマッチングも最高で、この衣装と合わせるために披露をここまで引っ張ったのかと思えるほど。冒頭のフォーメーションダンスから、深みのある歌声が伝承の世界へと聴くものをいざなっていく。徐々に物語は破滅へと向かい、語り部たちの歌声も熱量を帯びていく。まるでミュージカルのようなオリジナルな世界観で、表現力勝負になった時に希水の突き抜けた感情表現が生きてくる。摩美々の「別に忘れられてもいいんですけど。プロデューサーがちゃんと覚えていてくれれば」との台詞がグッと来る。恋鐘の「歴史ば作るばい!」との高らかな宣言とともに、ステージ上の物語はクライマックスに雪崩れ込んでいった。
MCでは山根がミルクボーイ調の声掛けを見せたり、大阪のご当地感のあるやりとりも。岡咲がステージと客席の近さに驚いていた。三川は本公演のテーマについて、「みんな集まって気持ちをひとつにをテーマに、一緒に歌って一緒に踊って、一緒に汗をかけるようなライブにしていきたいと思ってます」と伝えていた。
ここからは、3チームに分かれてのパフォーマンスのコーナー。CD「COLORFUL FE@THERS」のチーム分けに、コメティックのメンバーを割り振ったスペシャル編成だ。トップバッターはTeam.Stellaの関根瞳、礒部花凜、河野ひより、白石晴香、黒木ほの香、田中有紀、土屋李央、山根綺に三川華月を加えたチームで「We can go now!」を披露。DAY2のTeam.Stellaは白石と田中が加わって、さらに華やかになった。おなじみの「イ・ル・ミ・ネ!」のコール部分は「お・お・さ・か!」や「た・こ・や・き!」に替えて、大観衆も声をひとつにしていた。観客サイドも準備万端! という感じで待っているのが2DAYSの良さだ。
Team.Lunaの菅沼千紗、希水しお、結名美月、丸岡和佳奈、前川涼子、北原沙弥香、田嶌紗蘭に川口莉奈を加えたチームは「SOLAR WAY」を歌唱した。センターステージからサイドに伸びる花道上で互い違いの方を向いて歌うと、会場のどこがセンターでどこが前なのかわからなくなる。Team.Lunaのメンバーが楽しそうに明るく元気な楽曲を歌っているのが新鮮で、特にアンティーカ組が普段にない曲調を楽しんでいるように見える。北原のダンスが一際大きくダイナミックに見えるのと、川口の(ルカとして)ノリノリではないけどちゃんと踊るダンスの対比も興味深かった。
Team.Solの峯田茉優、八巻アンナ、永井真里子、涼本あきほ、芝崎典子、幸村恵理、和久井優、岡咲美保、紫月杏朱彩に小澤麗那を加えたチームは「相合学舎」を披露。紫月の“はぁ 休み時間の度 昨日切った髪 見せにくるのやめない?”に岡咲が“まあ いいじゃん ちょっと聴いて?”と返すのがパラレルな同級生感があって楽しい。幸村の歌唱に対して笑いかける八巻の表情が本当に優しかったり、チーム歌唱ならではのシーンが目白押しだ。峯田と永井のパワーがチームを牽引していたり、岡咲と小澤の早口ラップ対決? だったりも見どころだった。
ここでメインステージにDJブースが生えてくる。DAY2のDJを担当するのは紫月杏朱彩! DJにちかのシルエットに、会場では早くも緑のライトが揺れる。「ノンストップメドレーを一緒に楽しんでくださーい!」と元気いっぱいに煽ったところから、いきなり「千夜アリア」を持ってくるのがなかなか癖の強いセトリだ。歌唱メンバーは原曲の八巻アンナと、永井真里子、北原沙弥香、和久井優の4人。永井の真剣でクールな眼差しが、祭衣装とのギャップもあって印象的。イケメン寄りのアイドル4人が歌い踊る様は宝塚(歌劇団)のようだ。永井と八巻、北原と和久井の背中合わせの歌唱なども見ものだった。
紫月とにちかのDJスタイルは、激しく煽るよりも音に身をゆだねて楽しむ感じ。「千夜アリア」組も紫月の周りに集まって、縦ノリで盛り上がりを見せる。
続く楽曲は、急カーブをきって河野ひよりと田中有紀の「SNOW FLAKES MEMORIES」。やはりつなぎの癖が強い。つないだ手をぶんぶんと振りながら登場したふたりは、雪の日に一緒に遊びまわっているようだ。能天気に楽しそうに歌う田中が新鮮だと思っていると、花道ではふたりによるエア雪合戦がスタート。果穂の雪玉をさらりとかわすあさひの姿が目に浮かぶやりとりだ。センターステージに集まって“寄り添いたくなっちゃうもんね”と歌って手をつなぐふたりの姿が本当に楽しそうで、見ているだけで幸せな気持ちになってしまった。
「SWEET♡STEP」は関根瞳、峯田茉優のイルミネ組と、菅沼千紗、希水しお、結名美月のアンティーカ組という組み合わせ。やはり新鮮味があるのはアンティーカ組で、優しい微笑みでおだやかに歌う結名や“イクジナシ ここにいます”や“大好き”を歌う菅沼(摩美々)が新鮮でとてもいい。後から聞いたところ、実はイルミネ組もこれが初歌唱だったとのことだ。紫月もDJにちかとして上段で楽しそうに音楽を楽しんでいるのが印象的だった。
ここでDJにちかは一旦ブースを離れ、何とステージに登場。いつの間にかノリノリで「ホムラインビテーション」に参加していた。同曲はストレイライトとシーズが、日清食品の日清炎メシのアンバサダーとして歌唱したもので、“HOMURA-GIRLS”5人がついにステージに集結した。やはりセンターに田中がいる説得力は大きく、並びのバランスがよく感じる。歌割りも両ユニットに最適化されているだけあって、田中の“コチュジャンと牛3種の唐辛子がいいんだ!”からの幸村の「あーもうパッケージ見るだけで…!」の台詞の流れなどは、やっぱりこの組み合わせじゃなくちゃとなる。落ちサビ前には並び立った2人が至近距離で指先を絡みあわせる場面もあった。スクリーンには炎が燃え盛り、全身全霊で馬鹿をやるからこその爽快さすら感じるステージだった。
忙しくDJブースに戻った紫月は「abyss of conflict」のイントロが流れる中、スタンバイして客席を煽る。やがてサイドステージに登場したのはノクチルの4人。もっとも透明度の高いユニットに敢えて混沌を歌わせる采配だ。歌い出しは和久井が担当、毛色が違う楽曲を歌う時には、やはりボーカルの基礎力の高さがものを言う。技を感じたのは、そこに入っていく岡咲がどこかホラーなテイストを漂わせていたことで、佇まいで見せる演技の冴えだ。田嶌の特異なボーカルは楽曲を自分の側に引き寄せる力があるが、“その目を睨んだ”で二本指を突き出す姿には迫力がある。歌い上げにピタリとハマる土屋の存在感。そしてユニットとして楽曲に寄り添っていくほど、さわやかな笑顔で歌い続ける和久井の存在の揺るがなさが異彩を放っていた。深海のノクチルという、新たな魅力が垣間見えた気がした。
続いては、白石晴香、丸岡和佳奈、小澤麗那による「VERY BERRY LOVE」。カメラをまっすぐに見つめながら、女の子の恋の魔法を歌う白石の瞳には、吸い込まれそうな引力がある。丸岡の歌唱は流麗でありながらあでやかで。そしてこの曲の浮遊感のあるリズムと、小澤とはるきのマッチングの良さを見つけたのはDJにちかのお手柄で、はるきの一人の女の子としてのキュートさをビビッドに描き出していた。
DJにちかのDJタイムの締めは、ストレイライトによる「今しかない瞬間を」。ノクチルの楽曲をカバーだ。肩が触れ合う距離感で3人が登場すると、優しく歌う北原に笑顔を向ける田中と幸村の眼差しが柔らかい。“ほら心は弾んでいるよ”と歌う田中の歌声が歌詞のままに弾んでいて、普段との感情の入れ方の違いが面白い。二度と来ない、今しかない瞬間を。毎回のライブでのパフォーマンスを少しでも進化させ、変化させ続けるストレイライトというユニットに、不思議なぐらいぴったりくるフレーズだった。
DJにちかのDJタイムはここまで。アイドル好きのにちからしい、文脈を感じる構成だった。
コメティックは「ハナムケのハナタバ」を歌唱。「シャニソン」発の最新楽曲を初披露だ。センターは三川華月で、歌い出しの想いを込めたロングソロはこれまでのコメティック曲とはかなりカラーが違うものだ。普段のパワフルなボーカルとはテイストの違う流麗な歌声を響かせた川口だったが、見せ所はラップパート。とても深い心情がこもったラップで、ルカの内面につながるヒントがあるようにも感じた。小澤は“なんで別れはくるの? このままじゃいけないの?”のフレーズに込められた痛切な感情が印象的。落ちサビで小澤が「ブルーとオレンジ」と彼方を指さした先の客席には、青とオレンジの光が灯っていた。
放課後クライマックスガールズは、「シャニソン」発楽曲から「裸足じゃイラレナイ」を初披露。河野の気持ちのこもった歌い上げから楽曲の世界に入ると、“今じゃ一番の 親友と呼んでる”のフレーズで涼本と永井が見つめあって親指を立てあうのがあまりにもエモーショナル。スクリーンでは日差しに照らされた清涼な水面が揺れる。間奏では円陣を組んだ5人が親指を立てあって、遊びまわるように楽し気に廻る。君が迷っている時にずっとここにいる、という優しい約束からの、永井の「負けるなガンバレ!」の声があまりにも熱い。ラストの“靴紐 ムゲン エガケ”のフレーズに合わせて、頬にふたつの輪を寄せて“∞”を形作るキメがキュートだった。
ラストブロックは、アンティーカの「とある英雄たちの物語」からスタート。アンティーカはナンバリングライブでの「CANVAS」未披露楽曲をまとめてDAY2にぶつけてきた。歌い出しの“Yes yes yes my lord”のリフレインに、会場が唱和する声が重なっていく。悲劇の色もある楽曲だが、メンバーが挑戦的と言ってもいい笑顔を浮かべているのが印象に残る。フォーメーションダンスを交えながら、その歌声は高らかで誇り高く。ラップパートでは希水の狂気をはらんだ歌声が場を切り裂き、菅沼の、八巻の歌声の力が真っ向からぶつかっていく。結末に向けて転がり落ちていく物語を、低く強く響くマイロードを呼ぶ声が支える。クライマックスでは、礒部の剣が八巻を貫きながらの慟哭の歌声が響き渡った。美しくも哀しい騎士たちの歌劇だった。
コメティックは「無自覚アプリオリ」を披露。この曲のイントロとともに3人が踊り出した時の会場の期待感たるや。アンティーカとコメティックという“強い”流れは「シャニマス」ライブのひとつの柱になっている。三川と小澤の表現がより大きく、幅のあるものになったことで、川口という強烈な個性とのバランスが良くなった気がする。川口のがなりもいつも以上に気合のノリがよく、どこか楽しそうだ。3人を照らし出すライトは眩く、時にハレーションのように視界を白に塗りつぶす。そこからノイズをまとって現れるカラーレスの個性たち。川口が歌い上げる“うんざりしてんだよ”のテンションが最高潮に突き抜けていた。
ストレイライトは「Start up Stand up」を歌唱した。初披露から半年足らず、“デスボイスによるコール”という難題へのプロデューサーたちの適応具合も問われるところだ。イントロに合わせ、センターステージと花道に広く広がった3人が攻撃的なダンスワークで見せる。歌唱する3人の表情は凛として鋭い。3人の全霊のパフォーマンスに会場も巨大なコールで応え、“Make it”の唱和で最高潮に達する。呼び込みとレスポンスのコミュニケーションを続けると、田中が讃えるように手を叩いていたのがプロデューサーたちへの合格のしるし。アウトロの圧巻のダンスと、スモークの中振り返ってのキメがあまりにも鮮やかだった。
アルストロメリアは「メッセージ」をナンバリングライブで初披露。ハードな楽曲が続いた流れから、ステージが暖かな光に包まれるような優しい色合いに変わる。桜色のスクリーンとアイドルたち。歌い踊る3人の姿があまりにもキュートで幸せすぎる光景だ。テクニカルなメロディラインに乗せて、まっすぐな感謝と“あなた”への想いを届けていく。間奏、順番にキューピッドの矢を弓につがえて、観客のひとりひとりに向けて放っていく。いたずらっぽい所作に、会場中からハートを撃ちぬかれた音が聞こえるようだ。撫でて、撫でられ、想い届けて。全身からメッセージを伝えるアルストロメリアだった。
イルミネーションスターズより関根瞳と峯田茉優は、「スマイルシンフォニア」を披露した。呼吸を合わせてすぅっと息を吸った気配と共に、歌い出しのアカペラの美しい響きあいが空間を満たしていく。黄色、ピンク、青のライトと3つのスポットがステージを鮮やかに照らし出した。峯田が「みんな、一緒に歌ってー!」と力強く呼びかけると、冒頭から会場は大合唱。早くもクライマックスのテンションだ。3つの歌声が響きあい、絡み合って美しいハーモニーを奏でていく。スクリーンでは黄金に輝く音符たちが五線譜を流れて交響曲となる。落ちサビでは峯田の力強い歌声がもっともっと輝けると訴えているようだった。ラストは再び、城ホール全員での大合唱が高らかに響き渡った。
放課後クライマックスガールズは「ひめくりモザイク」を歌唱した。日記帳のまっさらなページをめくるようなエフェクトと共に、5人がイェーイ! と元気いっぱいにステージに飛び出す。“手をとりあって”のフレーズでは永井と涼本が手を取り合って指先を絡めるのだが、永井の柔らかい笑顔が信頼と親愛の気持ちを伝えてくる。二番では河野と白石が手をつなぐのだが、ぶんぶんと揺らす感じが仲良し! という感じでかわいく、ニュアンスの違いがいい。モザイクの向こうにあるものを一緒に確かめに行く5人は明るい光に満ちていて、未来への希望を感じさせる時間だった。
ノクチルは「青とオレンジ」を披露。ナンバリングライブでははじめての歌唱だ。一日が終わり、空が夕景に主役を譲るまでを美しく歌い描くと、徐々に歌声は疾走感を増していく。スクリーンの黄金の光に照らされながら、笑ってまた明日と歌う和久井の歌唱の安定感。永遠でないからこそ美しいかけがえのない時間を歌いながら、田嶌と岡咲の後輩組が手のひらを重ねながら楽しそうにくるくると廻る。青春の違った色合いを切り取った「ひめくりモザイク」から「青とオレンジ」の流れには明確な意図を感じる並びだった。
ユニットのトリを務めたのはシーズ。「White Story」のナンバリングライブ初披露だ。どこかメランコリックなイントロに合わせて、舞うようにダンスで魅せるふたり。ラテンポップなサウンドとともに、歌声は徐々に熱く情熱的に。ダンスの情感が豊かだ。背中合わせのソロで高らかにそれぞれの色を歌う。衣装の白と黒のコントラストが印象的で、表情のニュアンスも微妙に違うふたりがともにひとつの音楽を奏でる。“Blend colors on canvas. We’ll make a brighter day. ”の響きが、歌い継いできた「CANVAS」シリーズのラストを包み込むようだった。
本編のラストナンバーは、イルミネーションスターズ、アンティーカ、放課後クライマックスガールズ、アルストロメリアの初期4ユニットによる「ツバサグラビティ」。4月からTV放送がはじまるアニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」の開幕を告げるオープニングテーマだ。眩い光と羽根に満たされたステージで、始まりのユニット衣装に身を包んだ4組が歌い踊る。アニメのオープニング映像を見るとまたステージの見え方が変わる感じで、この曲もこれからTVアニメの放送と一緒に育っていくのだろう。
アンコール前の今後の予定の告知では、「シャニマス」ポップアップストアがタワーレコード各店で開催されることや、SMILE BASE CAFEとのコラボカフェの開催、「シャニマス」とよみうりランドのコラボ開催(4月)などを発表。コラボカフェ用のウサ耳をつけた放クラ5人のグラフィックに大歓声が起こっていた。
夏のライブスケジュールとして、「THE IDOLM@STER SHINY COLORS LIVE FUN!! -Beyond the Blue sky- 」の開催が告知された。開催日時は2024年7月27日・28日で、会場は横浜アリーナ。
そして最大の衝撃を持って迎えられたのが、アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ 2nd season」が2024年秋TV放送決定の報だ。ストレイライトとノクチルを中心としたアニメの完全新規映像とともに発表されると、会場は大歓声に包まれた。今回も放送に先駆けて、7月から10月にかけて劇場先行上映が行なわれることが合わせて発表された。
アニメ2期発表の熱が冷めやらぬ中、ステージにはライブTシャツに着替えたアイドルたちがタオルを手に登場。楽曲は前日に続いて「太陽キッス」で、ユニットを越えて盛り上がるタオル曲としてすっかりなじんできた感じだ。ユニット単位の歌唱を歌い継ぎながら、広大なステージいっぱいに広がったアイドルたちの笑顔の華が咲いていた。
続いては、ユニット曲→全体曲運用のシリーズとして、アルストロメリアの「Bloomy!」を全員で歌唱。大阪公演のサブタイトル“Brilliant Blooms”を締めくくる楽曲として登場だ。歌い出しのソロをアルストロメリアの3人が甘く歌いあげると、全員の歌声が唱和していく。フリームーブで、花道で弾みまわるようにはしゃぎながら歌うアルスト(主に黒木)の姿が新鮮でいい。ステージと観客、特にサイドステージとスタンド席の距離がべらぼうに近く、視線と笑顔を交わしながらライブを締めくくっていく。今日も塩対応気味のルカ(川口)だったが、“キミといっしょなら なにも怖くないよ”のフレーズで三川と小澤が挟むように顔を覗き込むと、川口が三川の肩にラフに手を触れたりと、少しずつ距離が縮まっている様子を感じさせた。ラストは各ユニットが思い思いのハートを形作ってキメていた。
アンコールMCでは、各ユニットから感謝の言葉が伝えられた。ノクチルが「今日はほんまに「おおきに!!」」と大阪弁で声を揃えたり、ストレイライトの田中が「──わたしが勝つのに」のあさひの台詞を引用して呟いたり。イルミネからは、翌日が誕生日の灯織に向けて誕生祝の言葉が贈られていた。
大阪公演のラストナンバーは、トロピカルなアレンジを加えた「Let’s get a chance」のCome and Unite! Ver.だ。2日間の最後の曲だが、次のワクワクにつながる感じを残すのはツアーライブならではだ。メインステージでユニットごとに寄っていくカメラワークでは、関根を抱きしめに行く峯田の表情が信頼の深さを感じさせた。アレンジされたWow wowの声の明るく高らかな歌唱が少しカラッとした湿度の低い感じで、花咲く祭りを楽しく締めくくっていた。
最後はもちろん、関根が音頭を取っての「プロデューサーさん、これからもアイマスですよ、アイマス!」で締め。ラストには次公演「Fantastic Fireworks」のイメージビジュアルが公開され、ツアーは次なる地、横浜へと向かう。
THE IDOLM@STER SHINY COLORS 6thLIVE TOUR Come and Unite! Brilliant Blooms DAY2
2024.3.3. 大阪府・大阪城ホール
<セットリスト>
M01:シャイニーエクササイズ(シャイニーカラーズ)
M02:Spread the Wings!! (Come and Unite! Ver.)(シャイニーカラーズ)
M03:クライマックスアイランド(放課後クライマックスガールズ/河野ひより、白石晴香、永井真里子、丸岡和佳奈、涼本あきほ)
M04:SWEETEST BITE(シーズ/紫月杏朱彩、山根綺)
M05:Love Letter(アルストロメリア/黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子)
M06:Imitation Ghost(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)
M07:BRIGHTEST WHITE(イルミネーションスターズ/関根瞳、峯田茉優)
M08:夢が夢じゃなくなるその日まで(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)
M09:くだらないや(コメティック/川口莉奈、三川華月、小澤麗那)
M10:Unsung Heroes(アンティーカ/礒部花凜、菅沼千紗、八巻アンナ、希水しお、結名美月)
M11:We can go now!(Team.Stella)
M12:SOLAR WAY(Team.Luna)
M13:相合学舎(Team.Sol)
M14:千夜アリア(八巻アンナ、永井真里子、北原沙弥香、和久井優 + DJにちか)
M15:SNOW FLAKES MEMORIES(河野ひより、田中有紀 + DJにちか)
M16:SWEET♡STEP(関根瞳、峯田茉優、菅沼千紗、希水しお、結名美月 + DJにちか)
M17:ホムラインビテーション(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香、シーズ/紫月杏朱彩、山根綺)
M18:abyss of conflict(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保 + DJにちか)
M19:VERY BERRY LOVE(白石晴香、丸岡和佳奈、小澤麗那 + DJにちか)
M20:今しかない瞬間を(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)
M21:ハナムケのハナタバ(コメティック/川口莉奈、三川華月、小澤麗那)
M22:裸足じゃイラレナイ(放課後クライマックスガールズ/河野ひより、白石晴香、永井真里子、丸岡和佳奈、涼本あきほ)
M23:とある英雄たちの物語(アンティーカ/礒部花凜、菅沼千紗、八巻アンナ、希水しお、結名美月)
M24:無自覚アプリオリ(コメティック/川口莉奈、三川華月、小澤麗那)
M25:Start up Stand up(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)
M26:メッセージ(アルストロメリア/黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子)
M27:スマイルシンフォニア(イルミネーションスターズ/関根瞳、峯田茉優)
M28:ひめくりモザイク(放課後クライマックスガールズ/河野ひより、白石晴香、永井真里子、丸岡和佳奈、涼本あきほ)
M29:青とオレンジ(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)
M30:White Story(シーズ/紫月杏朱彩、山根綺)
M31:ツバサグラビティ(シャイニーカラーズ)
-encore-
M32:太陽キッス(シャイニーカラーズ)
M33:Bloomy!(シャイニーカラーズ)
M34:Let’s get a chance (Come and Unite! Ver.)(シャイニーカラーズ)
THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式サイト
https://shinycolors.idolmaster.jp/
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