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2024.03.11

ASCA、夢の舞台で圧巻のステージを披露!ワンマンライブ“ASCA Zepp LIVE 2024 -Departure-”を振り返る

ASCA、夢の舞台で圧巻のステージを披露!ワンマンライブ“ASCA Zepp LIVE 2024 -Departure-”を振り返る

ASCA、2024年最初のワンマンライブ“ASCA Zepp LIVE 2024 -Departure-”が、2月27日、東京・Zepp Shinjukuにて開催された。Zepp会場での単独公演は、ASCAがかねてより目標にしていたことの1つ。デビュー6周年を迎えるなか、ようやく辿り着いた夢のステージで、彼女はその場に居合わせたすべての人々の記憶に焼き付いて離れない“歌声”と、己のシンガーとしての生き様を見せてくれた。

PHOTOGRAPHY BY 草刈雅之
TEXT BY 北野 創

夢のステージで響き渡らせた魂の歌声、熱狂のパフォーマンス

“Departure(=出発)”というサブタイトルが付けられた今回のライブ。オープニングムービーでは空港ターミナルのフライト情報の案内板をイメージした映像が流され、これからASCAのライブに旅立つ気分を盛り上げてくれる。会場に集った社員(ASCAのファンの呼称)一同の歓声を浴びながらステージ中央まで歩を進めた彼女は、白いスポットライトに照らし出されるなか、自身のデビュー曲「KOE」を歌い始める。「KOE」のジャケットを思わせるネイビーのコートに身を包み、バックバンドのAS課によるエモーショナルな演奏を背にしながら、その荒波の中で孤高を感じさせる歌声を届ける彼女。「KOE」は毎回聴くたびに違った表情を見せてくれるが、この日は内に秘めた激情をそっと置くようなイメージが浮かんだ。

そこからバンマスの重永亮介(key)が弾く印象的なピアノのイントロに導かれて、2曲目「PLEDGE」へ。両手を広げて凪のように穏やかでしっとりとした歌を響かせるAメロ、客席からのクラップも加わって勢いを増していくBメロ、陰影に富んだボーカルを爆発させるサビと、ドラマチックに加速していく声の力強さに引っ張られるように、会場の熱気も一気に上がっていく。同曲の詞曲を手がけたSaku(Gt)の演奏にも熱が入る。さらに重永提供の「凛」に繋げ、鋭く凛としたパフォーマンスに客席は声を上げて熱狂。冒頭から1st~3rdシングルまでの表題曲を順に披露する流れには、ASCAがこの公演にかける想いの強さを感じずにはいられない。

「本日はご搭乗いただき誠にありがとうございます」とキャビンアテンダントよろしく華麗に挨拶して社員たちをリードするASCAは、「まずはこの曲で私と君の絆を証明していきたいと思います」と告げると、自身が作詞に関わったアップチューン「CHAIN」を披露(作詞は重永との共作)。羽織っていた衣装を脱ぎ去って、白い衣装に早着替えした彼女がパワフルな歌声でファンに“もう二度と離さない”と歌いかけ、掴んだ絆をさらに確かなものにしていく。そこから間髪入れずに西川貴教+ASCA名義の楽曲「天秤-Libra-」に突入。スクリーンには同楽曲のMVが大きく映し出され、西川の音声と映像の存在感に拮抗するように、ASCAも白熱のステージングで会場を盛り上げる。西川の歌唱パートの際には会場にマイクを向けて「歌え!」と煽り、歌の難度的にかなりハードルの高い要求にも関わらず、社員も全力で応えていた。

続けて「まだまだ叫べますか!」とASCAが呼び掛け、いつもとは違うアレンジを加えた前奏から放たれたのが、今や彼女のライブには欠かせない「Howling」。“Wow, wow”などみんなで一緒に叫べるパートがたっぷり含まれているのみならず、Bメロ部分で観客が肩を組んでヘドバンするのが恒例となっており、ASCA社長とAS課、そして社員が一丸となって熱狂的な空間を作り上げていく。ラストの“運命のその先へ 進み続けろ”の箇所でまっすぐ指さしながら歌って先導するASCAの姿が頼もしかった。

ニューアルバムからの新曲初披露!新たなASCAの世界

熱い楽曲が続いた後はクールダウン。ここでASCAは、3月13日にリリースされたニューアルバム『VIVID』より、彼女がリスペクトする3組のアーティストたちに楽曲提供を受けた通称“恋愛三部作”と呼ばれる新曲のなかから、阿部真央が書き下ろしたバラード「あなたが居ないこの世界でも」をライブ初披露する。白いライトに照らされて佇むようにステージに立つASCA。ピアノの伴奏が静粛な雰囲気を演出するなか、彼女は切なく、寂しげな歌を紡いでいく。感情表現はあくまで抑えめ。淡々とした、でもだからこそ、余計に伝わってくる空虚な想い。喪失感。教会音楽のような神々しささえ感じさせる、そのアプローチは、彼女の新しい武器となることだろう。

それに続いて「雲雀」が歌われたのも美しい流れだった。梶浦由記のペンによる繊細かつ美麗なメロディと歌詞を、ASCAは優しさや温かさを感じさせる歌声でしっとりと表現する。ライトも先ほどの冷たさを感じさせる白とは異なり、暖色系の色あいで柔らかな世界観を演出。穏やかな微笑みを浮かべながら歌うASCAの表情も印象的だった。そこから一転、「Zepp Shinjukuをクラブにしちゃいたいと思います!」と呼び掛けて歌われたのは、EDM調の「Stellar」。フロアの観客もバンドメンバーもリズムに乗ってジャンプしながら盛り上がる。さらにASCA楽曲の中でも随一のファンキーなナンバー「眠くて眠くて本当に無理です。」では、グッズなどにもなっているASCAのオリジナルキャラクター(?)・アスゴンの映像がステージを彩るなか、会場はクラップで一体に。そして「新曲持ってきました!」とニューアルバムのリード曲「VIVID WORLD」を初披露。歌詞に“派手にいきましょ”というフレーズがあるように、バンドの演奏も照明もハデハデで、まさにヴィヴィッドな世界がZepp Shinjukuに広がる。社員たちも“Shout it out!”と声を上げて、ライブというかけがえのない瞬間を楽しんでいた。

その後のMCはランニングの話に。昨年の“イナズマロック フェス”で西川貴教と同じステージに立つにあたり、体力作りのためにランニングを始めたという彼女。そのときは3kmを走っていたそうだが、Zeppライブに向けて10km走れるようになることを目標に掲げていたという。そしてライブの1週間にその目標を達成。「ということは私は今、体力オバケなわけ。ついてこれるの?」と客席を煽って火を付けると、ここで阿部真央提供のアグレッシブなロックチューン「NO FAKE」を投下。バンドメンバーの紹介を挿みつつ(この日は重永、Saku、ベースのokamu.というイツメンに加えて、ドラマーの田辺貴広がASCAライブに初参加していた)、ASCAのすべてを解放するような歌声と会場が一体となった“No fake”の大合唱で燃え上がる。

「みんなの本気、見せてくれますか?」「それでは一緒にギラついていきましょう」との呼びかけに続いては、ライブ曲に育っている「Real Dawn」を披露。ミラーボールが回転して光がギラつく空間の中で、オーディエンスは合唱したり手をワイパーのように振ったりして最高の景色を作り上げる。ASCAもフロアを前後に分けてコール&レスポンスを行って社員たちとの交流を楽しみつつ、ラストはスナネコのポーズを決めて締め。そして「この曲がラストです。一緒に笑い合いましょう!」と告げて、現時点での最新シングル「私が笑う理由は」を歌唱。ASCAがグッズのタオルを手にすると、社員たちも同じくタオルを握って振り、まるで花畑のように華やかな光景が広がる。ASCAは曲中で「君のおかげでまた夢を叶えることができました」「また君と笑い合えるようにこれからも歌い続けていきます」と宣言して深くお辞儀すると、自身が作詞した歌詞の最後の一節“私が笑う本当の理由は 他の誰でもない 君でした やっと会えたね”を笑顔で歌い上げて、ライブ本編を締め括った。

次ページ:「まだまだここは夢の続き」――ASCAが歌い続ける理由

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