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INTERVIEW

2024.03.03

ざきのすけ。の豊かな音楽性、音楽的ルーツの両方を体感できる作品に――TVアニメ『七つの大罪 黙示録の四騎士』EDテーマ「未完成」リリースインタビュー

ざきのすけ。の豊かな音楽性、音楽的ルーツの両方を体感できる作品に――TVアニメ『七つの大罪 黙示録の四騎士』EDテーマ「未完成」リリースインタビュー

昨年5月にメジャーデビューを果たした“ざきのすけ。”のニューシングル「未完成」は、TVアニメ『七つの大罪 黙示録の四騎士』EDテーマ。葛藤や苦しみを抱えながら、自らの道を進む意思を描いたミディアムバラードだ。さらにダンサブルな「Twinkle」、EGO-WRAPPIN’の名曲「色彩のブルース」のカバーを収録。ざきのすけ。の豊かな音楽性を反映した本作について、彼自身の言葉で語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之

自分の理想に近づいていくストーリーを描いた「未完成」

――メジャー2ndシングル「未完成」の表題曲は、TVアニメ『七つの大罪 黙示録の四騎士』EDテーマ。楽曲制作はいかがでしたか?

ざきのすけ。 僕は作詞とボーカルを担当しているんですが、原作を読ませてもらったときに、迫力のあるバトルシーンはもちろん、登場キャラクターたちが抱えている葛藤をすごく感じて。自分の感情とリンクするところも多くあったし、そこに重ねて歌詞を書けたらなと思っていました。僕はずっと1人で音楽をやっていたんですが、1人ではどうしても成し遂げられないことがある。今は関わってくれる人がいて、それが強みになる一方、新たな悩みも出てきてるんですよね。

――ざきのすけ。さん自身の現状とアニメの世界観や物語が繋がっていた、と。

ざきのすけ。 はい。歌詞を書くときはまず大まかなストーリーラインを作るんですよ。「未完成」もそうだったんですけど、ほぼ書き終わったときに元々のストーリ―ライン自体に疑問が浮かんで、全部最初から書き直したんです。それを5回くらい繰り返して……かなり苦戦したんですけど、この歌詞が出来たときに「原作を読んだときに感じたザワザワは、これで表現できた」と思いました。

――特に“僕自身が 誰かの光であるために”というフレーズはすごく印象的ですね。

ざきのすけ。 ありがとうございます。その歌詞はかなり僕自身の感情に寄っていて、“光”は僕の中で音楽の象徴なんです。ずっと音楽に救われてきたし、それを届ける立場になったときに「悩んでいる人、葛藤を抱えている人に寄り添えたらいいな」という気持ちが強くなって。「未完成」も自分が発した光で誰が救われたらなと思いながら制作していました。

――音楽がなければ、もっと生きづらかった?

ざきのすけ。 そうだと思います。高校生までは勉強をステータスにしていたんですよ。スポーツも苦手だったし、親や友達から褒めてもらえるのが勉強しかなくて。でも、いわゆる進学校に入ったときに、自分より頭がいい人たちがたくさんいて、そこで挫折を経験したんですよね。そのあとに音楽を始めて、そっちのコミュニティで「おまえ、すごいな」みたいなことを言ってもらえるようになって。勉強やスポーツはしっかり順位が決まってしまうけれど、音楽はナンバーワンよりオンリーワンというところもあるじゃないですか。ほかの人と比べるのではなくて、いかに自分の色出すかが大事なので。

――確かに。歌詞にもできるだけ自分の経験や感情を込めたいと思ってますか?

ざきのすけ。 それはすごく強いですね。完全なフィクションで歌詞を書くことはあまりなくて、僕自身の感情を土台にしてメタファー的に別のストーリーを入れるというか。その割合は曲によって違うんですけど、基本は自分の感情だと思ってます。

――なるほど。「未完成」というタイトルについては?

ざきのすけ。 “光”を軸にして考えていたんですが、少しずつ自分の理想に近づいていく歌詞のストーリーを含めて、“未完成”というワードが一番しっくりきたんです。アニメの登場人物たちも、自分の信念を形にするまでの過程にいますからね。

――確かにそうですね。「未完成」のボーカルレコーディングで意識した部分は?

ざきのすけ。 「未完成は」これまでにあまり歌ったことがないタイプの曲だったんですよ。今までは声を張って、叫びに近いような声色で歌うことが多かったんですけど、「未完成」はバラードだし、サビではファルセットも使っています。先ほど言ったように作詞にかなり時間を割いたので、歌詞に対する愛着もすごく強かったんです。そのぶん、自分の心の動きや揺れ方みたいなものも表現できたのかなと。聴いている人に寄り添うような歌い方もできたし、自分の中で新しいボーカルの表現が得られた感覚もありますね。

――もちろん、この先のざきのすけ。さんのライブでも歌われるでしょうし。

ざきのすけ。 そのことも意識していました。そのためには自分の気持ちをしっかり乗せることが大事だなと。自分で曲を作るときは割と理論的なことを重視するんですが、歌は真逆と言いますか、かなり感情的に歌うことが多いです。プロの声楽家の方が聴いたら「その歌い方、何!?」って怒られるかもしれないけど(笑)、気持ちに任せて歌っていますね。

――それが歌の説得力に繋がっているんだと思います。作曲者としても得られた部分、気づいたところがあったのでは?

ざきのすけ。 ものすごくありますね。自分の曲は4つとか8つのコードをループさせて作ることが多くて。どちらかというと洋楽っぽい作り方なんですけど、「未完成」はすごくJ-POPらしいコード進行なんですよ。J-POPを聴いているときに感じる切なさって何だろう?と考えてきたんですけど、「未完成」を作ったことで「これからもしれないな」と少しわかった気がします。今後の制作にも良い影響があると思いますね。

――TVアニメ『七つの大罪 黙示録の四騎士』のファンの皆さんの反応についてはどう捉えていますか?

ざきのすけ。 もう、すごく気になってます(笑)。もちろん作品に寄り添った楽曲なんですが、アニメを観ながらこの曲を聴いてくれた人が、僕が原作を読んだときのようにその人自身と何かしら共通する部分に気づいてくれたらいいなと思っていて。良い意味でアニメだけで完結しない曲になったらいいなと。

――ちなみにざきのすけ。さん自身が好きなアニメ作品は?

ざきのすけ。 バトル系のアニメは意外と通ってなくて、いわゆる鬱アニメを観ることが多いですね。『メイドインアビス』や『ドロヘドロ』『ベルセルク』もそうですけど、ダークな世界観で、心の奥底を掻き回されるような感覚になるアニメに惹かれるというか。これはちょっとドMっぽい発言かもしれないけど(笑)、落ち込んだときのほうが歌詞とかが浮かんでくるタイプなんです。なので、自分から積極的に鬱アニメを摂取してるところもありますね。

――ダークな鬱アニメが楽曲制作にも効果があるんですね。アニメソングについては?

ざきのすけ。 小さい頃はFLOWさんの『NARUTO』の主題歌をよく聴いてましたね。親と兄が好きで、車の中でずっとかかっていたんですよ。でも、僕自身は割と好んでダークな曲を聴くことが多いかもしれないです。

次ページ:カップリング曲「Twinkle」/EGO-WRAPPIN’「色彩のブルース」カバーに迫る

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