INTERVIEW
2024.02.28
「週刊少年ジャンプ」にて連載中の漫画「アンデッドアンラック」がTVアニメ化。今年1月より放送開始した第2クールのOPテーマを担当しているのは、クリエイター同士を結び作品を生み出すプラットフォーム・MECRE(メクル)で、ボカロP・jon-YAKITORYの楽曲「ONI」のボーカルを務めたボーカリスト・シユイだ。
今回、ボカロP・DECO*27が書き下ろした「ラブコール」は、エネルギッシュで疾走感溢れるアッパーチューン。歌声だけでなく、言葉や表情からも力強さが溢れ、未来へ向かって突き進む彼女の決意が伝わるインタビューとなった。
INTERVIEW & TEXT BY 小町碧音
――2024年が始まってからの生活はどうですか?
シユイ 年が明けてすぐに、これまでとはまったく異なる形式のライブ(ライブイベント“LAWSON premium event MiCLOVER FES. 2024”)があって。同じ事務所の先輩と仲間たちと一緒にステージを創り上げる経験をしました。そこから、「今年も頑張るぞ!」という気持ちになりましたね。
――そして、1月からはTVアニメ『アンデッドアンアック』の第2クールのOPテーマを担当されていますね。新宿駅の地下通路では、アニメに合わせてサイネージがジャックされていて印象的でした。
シユイ これまでにもアニメのEDテーマを担当したことはあるのですが、OPテーマは今回が初めてで。新宿駅でのプロモーションを目にしたとき、OPテーマを担当することの重大さから作品を背負うという実感が湧いてきて……身が引き締まる思いでした。
――1月20日に公開されたノンクレジットオープニング映像を初めて観たときの感想も聞かせてください。
シユイ あの映像は、アニメが初めて放送される直前に上がってきたんですね。そのとき、私は別のラジオ出演を直前に控えていたので急いでスタッフのみんなと確認しました。ビリーが投げたケーキをタチアナちゃんが“やる気じゃん”のところでパクンと食べるシーンが特に印象的で。その瞬間が曲の「ラブコール」と完璧に合っていて、音ハメがされているんですよね。こんなに音に合わせてくれているんだ……!と感動しました。
――ちなみに、『アンデッドアンラック』で好きなキャラは?
シユイ うーん……難しいですね。みんな個性豊かで1人1人別のベクトルで大好きですし、活躍の場もそれぞれ平等にあると思うので、回ごとに好きなキャラが変わっていくみたいな感じです。私はメガネキャラを好きになることが多いんですよ。でも今回はメガネキャラがいないので、ジュイスが好きですね。仮面を脱いでもかっこよくて。しかもミステリアスで、同性にもモテるタイプだと思います!
――シユイさんは、普段から漫画などは読むほうですか?
シユイ もちろん漫画も読みます!アンデラを読んでからジャンプ+の太っ腹さに気がついたので、読みまくりたいです。それまでの普段はどちらかというと、映画や小説など幅広く娯楽を楽しんでいる感じです。中でも小説は1日に1冊くらいのペースで読んでいて、特に山本文緒さんの作品に興味があります。女性が書く細やかな心の機微や波、人の心を如実に表現している印象が強いので、山本さんの小説はよく読みますね。
――以前から「妄想感傷代償連盟」「乙女解剖」など、DECO*27さんの楽曲を歌っていたシユイさんにとって、今回DECO*27さんから曲を書き下ろしてもらうことは嬉しかったのではないでしょうか。
シユイ 正直、「本当に私で大丈夫ですか?何か間違ってはいませんか!?」という驚きがありました。もちろん嬉しいですけど、その嬉しさ以上に「マジですか?」という信じられない感覚が強かったです。
――デモを聴いた時の第一印象は?
シユイ 楽しそうだな、と思いました。ぎゅっと詰まったDECO*27さんらしい歌詞とオリジナルの言葉選びが特徴的で、すべてに意味が詰め込まれている感じがして、1つ1つの言葉に歌をのせるのがすごく楽しかったです。
――アニメのテーマやストーリーを彷彿とさせる言葉が散りばめられていますよね。
シユイ はい、それからこの曲に関しては、音の雰囲気もいつものシユイの曲のイメージとは少し違っていて。いつもは爽やかな印象が強いですけど、この曲は本当に熱い。少年漫画っぽいアツさ、のようなものを纏った楽曲だと感じました。
――メジャーデビュー曲「君よ 気高くあれ」や今回の「ラブコール」は、ボカロシーンを牽引してきた名だたるクリエイター陣による作品です。ファンの方にも喜んでいただけましたか?
シユイ そうですね。オープニングで「ラブコール」が流れたときに、そこで初めて楽曲を手がけたのがDECO*27さんだと気づいたファンの方が意外と多かったんですね。DECO*27さんとのコラボに対する反応が特に強くて、その組み合わせに対して‟激アツ”という感想が目立っていたと思います。昨年1月のレコーディングで初めてお会いしたんですけど、ご本人はすごくストイックな方で、その職人気質からコンスタントに楽曲を生み出せているんだろうなと思いました。
――レコーディングが1年も前のことだったとは、驚きです。もうそんなに時間が経ったんですね。
シユイ なので、「ラブコール」はいつリリースされるのかな、早くみんなに聴いてほしいなってずっと思っていました(笑)。今、曲を聴くと、「1年前の自分が歌っている」感じが強いというか……当時はまだライブの経験もなく、エネルギーを発散できる場所が特になかったので、私の歌には内向的な雰囲気が漂っていたんですよね。でも、その内向きのエネルギーが集まって、最終的に大きな爆発力としてごっそり出てきたんだと思います。
――DECO*27さんとのレコーディングで、特にストイックだったと感じた部分はありますか?
シユイ ディレクションに関しては、例えば“段々と熱くなる”という歌詞があるんですけど、“段々”を徐々に盛り上げてほしいと言われて。DECO*27さんは、歌詞の意味を大切にされていて、歌詞で遊ぼうとする気持ちが強い方なんだなぁと感じましたね。基本的には私にお任せのスタンスで、歌ったら「めっちゃ良いね!」と盛り上げたり褒めてくださったりと、とても楽しく、終始笑ってばかりいたレコーディングでした。
――「ラブコール」はラストスパートにかけて、さらなる盛り上がりを見せる曲ですが、歌ってみてどうでしたか。
シユイ 確かに最後のほうはサビが長く続いて、音がずっと上がっていく感じなんです。特に“狂気に染まればいいんじゃね”というセクション。最初は裏声かオクターブ下で歌っていたんですけど、DECO*27さんのディレクションを受けて、頑張って高い声で歌ってみたんです。出来たときには、「私、頑張ればできるんだ!」と感じました(笑)。キーが高くて言葉が詰まる感じで、生きることそのものの挑戦だったと思います。
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