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INTERVIEW

2024.02.25

三者三様のアーティスト&クリエイター道、アニソン業界への想いを盟友たちが語る――セルフカバーアルバム『産地直送Vol.01』草野華余子×田淵智也×堀江晶太 スペシャル鼎談

三者三様のアーティスト&クリエイター道、アニソン業界への想いを盟友たちが語る――セルフカバーアルバム『産地直送Vol.01』草野華余子×田淵智也×堀江晶太 スペシャル鼎談

楽曲を提供し始めてから10年が経ったのを機にセルフカバーアルバム『産地直送 vol.1』をリリースした草野華余子。東京・大阪で“産地直送 vol.1”ライブを終え、2月25日に再度東京で祝いの祭りである“産地直送プレミアム~人生四十周年大収穫祭~”を控えた彼女と、草野が「盟友」と称し、数々の楽曲で仕事を共にしてきたクリエイターの田淵智也堀江晶太を迎えてのトークセッションを行った。話題は、『産地直送 vol.1』の中にも見出せる素晴らしき競演から始まり、交錯しながら進んできた三者三葉のアーティスト&クリエイター道、そして今後の音楽人生も踏まえた想いへと流れていく。濃厚で濃密で、芳醇かつ新鮮、そして熱すぎる鼎談をここに。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)
PHOTOGRAPHY BY 堀内彩香

草野華余子がシンガーであると感じさせる楽曲と歌

――LiSAさんに「DOCTOR」を提供するなど、作曲家人生をスタートさせた2013年から数えて10年を経た2023年、セルフカバーアルバムをリリースされました。早速ですが、自身の曲を歌ってみての感想を教えていただけますか?

草野華余子 「曲、難し!」と思いました(笑)。uijinやARCANA(PROJECT)ちゃんの曲は複数人で歌唱していますし、西川貴教さんや鈴木このみちゃんという歌唱力に定評のある方に提供させていただいた曲もあるので、息継ぎもない、レンジも広い、「これ、(“産地直送”)ライブでやるの?」ってゾッとしました。でも今が一番、自分の歌手人生で上手く歌えるんですよね。2ヵ月くらい前から走り込みもして、コンディションの良い状態でレコーディングもライブを迎えられました。

――アルバムに参加もされ、原曲も知っている田淵さんと堀江さんから見て、今回のアルバムを聴いての感想は?

草野 わ。緊張する。

田淵智也 華余子さんのこれまでを知っているからこそ、1人の人生を追体験するような30分でした。作曲家でありながら仮歌を自分で歌ったりボーカルディレクションを自ら行ったり、アーティストだからこそできることの積み重ねが“草野華余子”というブランドを作ってきたと思うんですよね。華余子さんが提供した曲って、聴くとすぐわかるし。早押しクイズで「草野華余子はボーカルディレクションをした?」「Yes!」みたいな(笑)。だから、本人が歌唱した曲を聴くと「やっぱりこれをやろうとしてたよね」って答え合わせが得られた感覚もありました。あと、抽象的なところを省いて具体的に言うと「歌上手い!」って思いましたね。

草野 その言葉、墓石に刻みます。

堀江晶太 僕も似たところがありますけど、華余子さんの濃厚な楽曲を改めて華余子さんの歌で聴くと「やっぱりこの人はここに戻ってくるんだな」と感じられて、歌うことが根幹にある人ということを改めて認識できました。それは「歌心」とも言えるところですけど、楽曲に自分らしさを明確に込められているし、どういう感情があるか、どういう表現をするかというイメージが曲からすぐに浮かんできます。あと、華余子さんは今のトレンドに対してアンテナを張っている人ですけど、良い意味でそのインプットが楽曲に反映されないところがあって、変わらずに華余子節の効いた音楽にできているところが武器だと思うんですよ。だからこのアルバムも制作時期に違いがあるけれども並べて聴ける。普通は10年経ったらもう少し音楽性が変わると思うんですけど。

草野 サウンドやビートは時代で変わるべきものですけど、旋律には普遍性があると思っていて。私はやっぱり歌謡曲が好きだし、今、アキストゼネコというアイドルのプロデュースをしていても、トラックがK-POP寄りだろうがブリティッシュポップサウンドだろうが旋律だけは絶対歌謡曲にする、というコンセプトを明確に持っているんですね。なので、そこが伝わっているならすごく嬉しいです。

――『産地直送 vol.1』の中にはお三方が仕事を共にした楽曲もあります。ぜひ個別に振り返っていただきたいのですが、まずはA.B.C-Zに提供された「火花アディクション」からお願いします。堀江さんが原曲でも今回のカバーでも編曲を手がけられていますね。

草野 晶太君には、初めて私がアレンジをお願いしたとき、曲を組み立てるときの土台を教えてもらったと言っても過言ではなくて。自分のベースを一緒に作ってくれた人にこの曲は任せようと思っていました。原曲では、A.B.C-Zさんが歌うということで先方のプロデューサーから間引かれた部分もあるんです。ドラムの打数とかなんですけど、そこを今回はフルテンで戻してもらいましたね。

堀江 方針は、華余子さんがやりたかったであろうグルーヴに近づき直す、というところで、リズムを16分音符で割って感じるビートにしています。ただ、歌うには少し難しいし、聴く側にもある程度のノリを要求する曲だとは思いますね。

草野 裏拍のオープンハイハットとか、原曲より16分の要素が増えていますけど実は16分を打っていないんですよ。そこに晶太君と私のポイントがあって。16分を感じているボーカルがビートにないところを補佐するトラックにする、というところを前もって話し合っていました。ただ、私はもう少し細かくゴーストを入れる方向で考えていましたけど、「華余子さんは自分でリズム出して歌えるから」ということでそこが抜かれて。要は、「歌で16分の細かいリズムや裏は出してくれ」ってバトンを晶太君から渡されました。だからカラオケに入ったらみんなに歌ってほしい。めっちゃ難しいから。

堀江 (『産地直送 vol.1』の)ライブでも苦労したからね。

草野 そうそう。どこにアクセントを置くかをバンドメンバーと共有できていないと難しい曲。

田淵 それってリズム感を要求されるところだ。

堀江 だから原曲はロック調だったけど、アコースティック寄りのアレンジになっていて、リズムそのものの解釈が変わった曲だとは感じています。

草野 トラックや歌のリズムといった細かいところを楽しんでほしいですね。

草野華余子

草野華余子

――堀江さんはプレイヤーとしても草野さんに絶大なる信頼を得ていますが、今回も編曲としてクレジットされている以外で参加した楽曲はありましたか?

草野 あります、あります。

堀江 5曲目の「ignition」と6曲目の「COLORFUL BOX」がそうですね。

草野 晶太君がギターやベースを弾いてくれるだけで楽曲の生命力が8割増になるんですよ。

田淵 どこにでもいるよね。

堀江 基本的に楽器が好きなので。「ignition」について言えば、自分は原曲でアレンジさせてもらっていて。

草野 なので、それを私の手元に戻してもらった形になりますね。

堀江 だからDNAだけをお渡しする感覚がありましたね。「COLORFUL BOX」もエレキギターとアコギで参加しています。

草野 ベースは黒須(克彦)さんが弾いてくれて、編曲は半田 翼くんにお願いして。ポップスをわかっている方に集まっていただいたのが大きいですね。私の歌唱だけではこうはならなかったです。ちょっと跳ねているので、簡単な8ビートと捉えるとベタッとしてしまうんですよね。あの、私と田淵さんと堀江君って、絶対ほかのアレンジャーやプロデューサーよりうるさい。というか細かい。

田淵堀江 (笑)。

草野 シンコペーション警察だし、裏拍警察だし。

堀江 自分が2人のアレンジをするときはすごく感じますね。

田淵 あるよね、「シンコペーションなくなっちゃったよ」とか。

草野 「ここがすごいミソなのに」とか思う。

田淵 思うよね。作曲家の仕事がどこまでなのかは人によって変わるんでしょうけど、僕は明確にBPMとドラムパターンなんですよね。

草野 わかります。

田淵 そこも込みの作曲をしているので、シンコペーションの箇所を(アレンジャーが)変えるならそういうメロディーに最初からします、と思っていて。誰しも、編曲を人に投げたとしても変えてほしくない部分があるだろうけど、華余子さんの場合はノリとかの部分じゃないかな。

草野 そうですね。自分ではキーやテンポをギリギリまで攻めて作ってる感覚があって。例えば、開放弦を使わずに閉塞感のあるコードで曲を書いたのにあとからキーを下げられるとか、当初予定していた楽曲から離れることも確かにあります。でも、晶太君にお願いすると、このキーである意味、このテンポである意図を汲んでくれるんですよ。だから信頼しているところはありますね。

今の自分を再確認できる関係

――7曲目の「たゆたえ、七色」は、作詞:田淵智也、作曲:草野華余子、編曲:草野華余子・堀江晶太、とお三方が揃い踏みした楽曲です。

堀江 これは元々の話からしたほうがいいと思うんですけど。

草野 そうね。『白い砂のアクアトープ』は、私にOP/EDを任せてもらえるというありがたいお話で。そのなかでOP/EDに関して私は、世界観の違う歌詞にしたほうが良いと思っていたんですね。表と裏のように。ただし、陰と陽があったら私は陰の曲を書くほうが得意なので。だから、「私よりも作品に似合う歌詞を書ける方がいるので」と話をして、『アクアトープ』のチームに田淵さんを連れていったらみんなが大喜びしていました(笑)。アレンジャーも、オープニングが晶太君、エンディングが中山真人さんというのも、水面のきらびやかな世界なら晶太君、海の底なら中山さん、という意図からの配置だったんですよ。あとこの曲、書く前になぜか田淵さんに相談して、2人で会議をしていました。プロデューサーでもないのに。

――田淵さんに相談したかったのはなぜですか?

草野 私は(P.A.WORKS制作の)『凪のあすから』って作品がベスト5に入るくらい好きで。何回も観直しているし、ED主題歌の「アクアテラリウム」(歌:やなぎなぎ)はずーっと寝る前に子守唄代わりに聴いていたんですよ。そんなP.A.WORKSさんにご指名いただけるとは思っておらず。(P.A.WORKS制作の)「COLORFUL BOX」はコンペだったんですよね。だから、めちゃくちゃ緊張していて、田淵さんにしゃべることで脳の中身を整理したいと思っていました。

――どういった話をされたんですか?

草野 色んな曲を聴きながら2人でアイデアを出しあいましたね。例えば、拍子を変えるとかサビで全音転調するとか、かなりのヒントをもらいました。テーマは音符で波を表現するというところで、海岸通りを走り抜けるところは8ビートで表現して、サビは大きな海原を表現するために3拍子としているんですね。アウトロでは8分の6拍子に戻しているんですけど、3拍子を細かくすることで水しぶきが弾ける瞬間を描くというコンセプトでした。そうやって組み上げて、あとは(田淵に歌詞を)「お願いします!」って(笑)。『アクアトープ』でP.A.WORKSさんが描きたい方向性ってはっきりしていて、要は「多様性」というところなんですけど、「周りに誰がいようが海の中の生き物はただ海でたゆたっている」「そこにあるものとしてすべてを受けいれる」といったテーマを監督やチームの皆さんから聞いていたので、そういった「自由さ」みたいなところを曲にも込めたいと思っていました。だから、田淵さんに相談しつつ、共有させてもらったというところですね。

堀江 そこの「自由さ」という意味ではオリジナルよりも濃厚になっていて、ビートや音符に依存しない瞬間の多いリアレンジになっているんですよ。だから、より華余子さんのイメージに染まった楽曲になったと思います。

草野 アニメサイズの89秒にはビートを入れるとして。でも、ビートがあると機械的というか都会っぽいじゃないですか?そこは「海」を強く意識させたかったので打楽器をまったく入れないアレンジにしました。そこから先、楽器が入ってからのコーディネートは晶太君や、(オーケストラプログラミングを担当した)うたたね(歌菜)ちゃんにお願いしています。

堀江 僕がギターで入ったときは、うたたねさんが歌の感じが見えるくらいまで組んでくれていたので、乗っかる感じで弾けば良かったので楽でしたね。でも、ヘッドフォンで聴くと狭まるからスピーカーで鳴らして録音していて。クリック音を聞かず、一定のビートを無視する方向でやったのが良かったとは思います。

堀江晶太

堀江晶太

――田淵さんは当時、歌詞についてはどのような意識でしたか?

田淵 アニメに提供する楽曲は作品の片隅で輝くものであれ、という意識を常に持っているんですけど、華余子さんと会議したときに出てきた「多様性」というワードは僕も執着したいポイントだったんですよね。人それぞれが自分らしく、なんて当たり前の言葉ではあるんですけど、自分に合ったやり方で生きていける世の中を作りたいし、その方が人は育つと感じていたし、自分が色々な本を読みながらそういうことを勉強している最中だったので、これが想いを込めるチャンスだと思って書いたのを覚えています。とはいえ、説明しすぎる歌詞ってダメなので。絵があってストーリーがあって、主人公がいてセリフがあって……というアニメの場合、そこに説教臭い歌詞が乗る隙間はないんですよね。

――情報量がそこに十分ある、と。

田淵 だから脚本を読み込みましたね。ただ、絵を思い浮かべながら脚本を読むのが自分は不得手で。オリジナル作品なので原作マンガがあるわけでもないし。でも、水族館や海が舞台ということで、89秒の(オープニング)部分は裸足で走っている主人公たちみたいな絵を先回りして想像し、そこに合う言葉を乗せていくことから始めました。ただ、この曲で面白いのは2番からアレンジでも本気出しているところで。

草野 それは本当にそう。

田淵 だから歌詞も89秒の間は絵を後押しして、2番から自分の書きたいことを書きました。特に露骨なのがサビで。

――“居場所は絶対にあるでしょう”という。

草野 今回のアレンジや歌って、すでに歌詞がある上での作業だったわけじゃないですか?良い意味で言葉にめっちゃ引きずられましたね。

田淵 原曲では、ステルス的に盛り込むことで自分の主張を世の中に残すつもりだったんですよ。でも今回のアレンジを聴いていたら、そこの解像度がすごく上がっていて。聴きながらそこはすごく感じましたね。

草野 歌についても、リリースイベントでもライブでも歌ってきた曲なのに、今回歌ったときは、ただそこにあればいい、というテーマが当時よりも体に染み入る感覚がありました。“過去や今は 生きてく答えにしなくてもいい”というところは「余白」を感じさせるし、「未来」という言葉が入っていないところがミソですよね。すごく好きな一節です。

田淵 ありがとうございます

堀江 僕はいつも、自分のターニングポイントを聞かれたときに、「Rising Hope」(作詞:LiSA・田淵智也、作曲:田淵智也、編曲:堀江晶太)と言ってるんですけど、収録曲の中にも実は1曲あって。それが「たゆたえ、七色」なんですね。それこそ「Rising Hope」で自分らしいアレンジワークやサウンドメイクができたことから仕事の発注が急激に増えて、ありがたかったんですけど徐々に体がついていかなくもなって……、というときに華余子さんからとどいたのが「たゆたえ」でした。正直、「どうしようかな」と思ったんですよ。表現が難しいんですけど、夢だった作曲家になれたとは言えるくらいに作品数を残せてはいたから、音楽を辞めはしなくとも無理して向き合う必要はないかな、と考えていた時期だったので。でも曲を聴いたらめちゃくちゃ良くて。

草野 晶太君がこの曲は本気で褒めてくれたから、なんか、すごく胸を張れましたね。

堀江 制作陣のラインナップを見て、いつものメンバーであるがゆえに「いつもの感じ」かと思っていたし、「華余子さんがめっちゃ頑張ったメロディーってこんな感じだろう」と予想していたのに、それを裏切るメロディーだったので請けようと決めました。恩人のような曲ですね。あのとき、「お!」って思える曲じゃなかったら華余子さんの曲は終わりにしていたかもしれない。

田淵 自分も思い出したんですけど、『ガールフレンド(仮)』に提供した「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪!」という曲があって。その曲を作る前にちょうどQ-MHzを結成していて。なので楽曲提供の仕事はそっちで楽しく請けられるから、メインで提供していたLiSAとか内田真礼とか以外の新規仕事は断ってもいいかと思い始めた頃だったんです。あと、THE KEBABSという別のバンドも始めていたし。でも、「もしも自分がまだアニソン業界でできることがあるとしたら……」と思いながら書いた曲なんですよね。それは「楽曲の中で何度もメロディーでぶん殴る」ってことなんですけど。だから、自分でも超気に入っている曲だし、自分の楽曲のファンにも喜んでもらえたんじゃないかと思うんですけど、ただ、1年くらい経つと誰にも聴かれなくなるんですよね。

草野 キャラソンとカップリング曲の悲しみ。

田淵 その矢先にDIALOGUE+の話をいただきました。8人組ユニットをスタートさせるつもりなんだけどオーディションはまだ、ただデビューは決まっているから曲を田淵に書いてもらいたい、というもので。最初はQ-MHzでやろうかと思ったんですけど、「今の自分がやるとしたらこういう曲が書けますよ」という気持ちで「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪!」を渡したらオーディションの曲にしてもらえて、そこで受かった8人がDIALOGUE+となったんですね。その後、音楽プロデューサーをやらせてもらったり、最近はユニットの活動全体を統括するプロデューサーとしてやらせてもらっているんですけど、新しくて楽しい音楽の人生をまたゲットできた、という感覚はあるので、あの曲が書けた人生でよかったなと思います。

田淵智也

田淵智也

――草野さんには、現状を打破した瞬間となる楽曲はありましたか?

草野 私はずっとマルチトラックレコーダー(MTR)で作曲していて、生きる化石と呼ばれていたんですけど(笑)、2014年にパソコンで作曲を始めることにして初めて作ったのが「Thrill, Risk, Heartless」(LiSA)だったんですよ。

――これまた田淵さんが作詞で堀江さんが編曲、そしてLiSAさんに提供という。

草野 あの曲は作り込みすぎてデモ段階で40トラック以上あったものを堀江君がソリッドな形でそぎ落としてくれたんですけど、どんなタイアップ曲よりも個人的な思い入れは強いんですよね。やっぱりコンペに受かったり受からなかったりという時期だったので、あの曲を選んでもらえたのはすごく嬉しくかったです。「すごいの書けたやろ」って自信を持てた2015年だったんですよね。

――聞けば聞くほど、お三方が仕事以上に影響を与え合っている関係を感じ取れますね。

堀江 確かに、よく会うわけではないけど。

草野 そう、落ち込んだり考えて込んだりしたときに、ふと同じことを考えている同士でふらっと集まって、ちょっとお茶したり酒飲んだり、というのは定期的にある気がします。

田淵 制作で交わったときに「嫌われたくない」スイッチが入る関係だと思っていて。というか「認められたいスイッチ」か(笑)。それってクリエイターの原動力としてすごく良い刺激になるんですよね。自分のやり方もわかってきた、ネームバリューもついた、代表曲もある、となったとき、昔の仲間から依頼って「今の自分は大丈夫だろうか」という確認作業になるんですよね。久々に会ったこの人にまだ認められる自分でいたい、と思えるし、それを再確認できる曲でありたいという緊張感を持ちながらの作業になるとは思いますね。

次ページ:曲が書きたいというクリエイターの熱量が報われる業界に

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