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2024.02.26

“あの日のふたりはあまりに無敵だった” ――伝説を残した初のライブツアー「She is Legend Live Tour 2023 “Extreme Flag”」ファイナル公演レポート

“あの日のふたりはあまりに無敵だった” ――伝説を残した初のライブツアー「She is Legend Live Tour 2023 “Extreme Flag”」ファイナル公演レポート

XAIと鈴木このみ、唯一無二の歌声を持つ2人のシンガーを擁するラウドロックユニット、She is Legend。彼女たちの“伝説”の始まりを告げる初のライブツアー「She is Legend Live Tour 2023 “Extreme Flag”」のファイナル公演が、1月21日、東京・豊洲PITで開催された。

ドラマチックRPG「ヘブンバーンズレッド」(以下、へブバン)において誕生し、麻枝 准が全楽曲の作詞・作曲・プロデュースを手がける本ユニット。2023年にライブ活動を活発化させ、7月には“リスアニ!LIVE SPECIAL EDITIONナツヤスミ”に出演、9月からは本ツアーで全国9都市を巡り、各地のライブハウスを熱狂させた。そのフィナーレを飾る本公演、会場に駆け付けた約3,000人のファンと、配信を通じて観ていたファンを前に、この日の2人は無敵のステージを見せてくれた。

TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY Takashi Konuma

She is Legendがみんなにとっての相棒のような存在になれるように

会場はオールスタンディングで満杯、始まる前から異様な熱気に包まれており、いかにShe is Legendが求められているのかが肌でも実感できるほど。やがて照明が暗転すると、ついにライブがスタート。まずはライトによって赤々と染まったステージに、バンドメンバーが1人ずつ登壇してスタンバイし前奏を奏で始めると、大きなフラッグを持ったXAIと鈴木このみが登場。「豊洲PIT、盛り上がる準備はできていますか?」(XAI)、「私たちにとって、これが初めてのツアーファイナルです。一緒に迎えてくれますか?」(鈴木)と呼び掛けて、客席から大きな歓声を引き出す。会場全体が気合いを入れたところで、彼女たちが1曲目に披露したのは「Dance! Dance! Dance!」。疾走感とタフさを兼ね備えたライブの鉄板曲だ。She is Legendの最大の特色といえばツインボーカル。2人のヒロイックな歌声が相乗効果を生んで、会場のボルテージは初っ端から最高潮に達する。

そしてイントロが奏でられた瞬間に客席が熱く沸いた「Burn My Soul」、冒頭の“Wow Wow”のパートから大合唱が巻き起こった「War Alive~時にはやぶれかぶれに~」と定番曲を畳みかけ、後者の間奏で2人は羽織っていたジャケットを脱ぎ捨てて、さらに熱く迫る。その後のMCで満員御礼の会場を見渡して「すごすぎ!」と喜ぶ2人。「ここからもっともっと盛り上がっていける曲をやりますか」(XAI)と告げると、「Muramasa Blade!」を披露。「セイ!ハ!」という声に合わせて正拳突きのようなアクションを行うこの楽曲、客席からの声と2人の動きがシンクロして一体感が生み出されていく。

ラストは「ハ!」とポージングしてきめると、続いてセンチメンタルなミディアムナンバー「過眠症」へ。サビでのエモーショナルな歌い口や、リバーブが強めにかかったギターサウンドが、ノスタルジックな気持ちを呼び起こしてくれる。かと思えば、ゴリゴリのラウドロック「オーバーキル」を投下して、会場を熱狂の渦に。さらに、感情が激しく波打つようにテンポや曲調が変化する「シガチョコ」、起伏の激しいなシンセサウンドや2人のワチャワチャした絡み合い(とネコっぽい振付)が観る者のテンションも上げてくれる「Thank you for playing~あなたに出会えてよかった~」と、起伏に富んだ楽曲を連発。乱高下するサウンドと歌の波状攻撃で感情を大いに揺さぶってくれた。

歌い終えて「本当にあなたに出会えて良かった気持ちでいます!」と笑顔を見せる鈴木。XAIも「Thank you for playing~あなたに出会えてよかった~」での、手をワイパーのように振る動きを約3,000人と一緒にできたことを喜ぶ。そして、She is Legendのファンネームが「レジェンダー」に決まったことを報告すると、次の曲「放課後のメロディ」へ。熱さと切なさの両方を湛えたメロディ、胸を締め付けるような歌詞、サビで2人が向き合いながら歌を交わし合うパートなど、あらゆる要素が楽曲をドラマチックに盛り上げていく。そこから「Long Long Spell」へと繋げ、荒々しくもエモーショナルなバンドの演奏を背にしながら、2人は凛とした歌声を会場の隅々まで届ける。客席のペンライトは大半が青く染まり、広がるのは切なくも爽快な景色。ラストの“La la la la la”と歌うパートでは無邪気な子供のような表情を見せ、高揚と郷愁が入り交ざったような不思議な感情が風のように吹き抜けていった。

続く「How’s everything」も激しいだけではない、童心やピュアな感情を連れてきてくれるナンバー。さらに「さよならの速度」ではセンチメンタルなギターサウンドが牽引するAメロから、“負けないぜ”というフレーズを合図にスピードアップしてサビへと突入していく楽曲構成、その加速度に比例して力強さを増していく2人の歌声と観客のクラップ、レーザー演出による壮大な景色が一体となって、壮大で感動的な瞬間を生み出した。

ここで鈴木が一旦ステージからはけて、XAIが自身の想いを語り始める。シンガーとしてデビューした当初、自分の歌が必要とされているのか確信が持てず、不安を抱えていたという彼女。そんなときに麻枝から声をかけられてShe is Legendに参加するなかで、自分を信じて新しいことにチャレンジする気持ちを思い出すことができたと語る。「She is Legendは、私にとって相棒であり、ホームになってくれました」「こうしてShe is Legendの音楽を愛してくれた皆さん1人1人が、私たちにそういう場所を作ってくれたと思っています」と感謝し、深々とお辞儀するXAI。そして、今度はShe is Legendがみんなにとっての相棒のような存在になれるように、今後も成長しながら活動していくことを力強く約束した彼女は、そんな想いのすべてを込めるように、次の曲「贅沢な感情」を1人で歌唱する。スモークが立ち込めるステージ上で、1番ではピアノのオケのみをバックに、1つ1つの言葉を大切に届けていく。そこから徐々にほかの楽器隊も加わり、サウンドが色づいていくなか、XAIのボーカルも感情を解き放つようにパワーを増していく。ラストはニュアンス豊かに歌い上げてみせ、「大切な曲を今日こうして歌えて、本当に幸せです」と喜びを噛み締めた。

そして「ここからラスト2曲になります!」(XAI)と告げると、朝倉可燐とリンクするかのように黄色のフードパーカー風タオルを被った鈴木がステージに舞い戻ってきて、スクリームパートを皮切りに「Heartbreak Syndrome」を披露。よりエクストリームに、よりエモーショナルに、どこまでも高まっていく2人に当てられるように、会場の熱気もさらに上昇していく。そしてライブ本編のラストナンバーは「ありふれたBattle Song~いつも戦闘は面倒だ~」。サビで背中合わせになり、客席に向けて指を差しながら扇動するように歌う2人。オーディエンスも「ゆーけー!」と声を上げて共に進軍する。熱狂の美酒に誰もが酔いしれるなか、最後はジャンプで締め括った。

次ページ:豊洲PITに打ち立てた“Extreme Flag”という名の“伝説”

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