尾道を舞台にしたTVアニメ『ぽんのみち』のOPテーマ「ポンポポポン」を歌うのは、元・乃木坂46のメンバーで、現在はタレント活動をしながら麻雀のプロリーグであるMリーグに参加するプロ雀士、中田花奈。アニメに出演するキャストたちによる「ぽんのみちオールスターズ」もコールに参加し、賑やかな楽曲に仕上がっている。今回は、麻雀の面白さを語ってもらいつつ、楽曲についても解説してもらった。
INTERVIEW & TEXT & PHOTOGRAPHY BY 塚越淳一
――主題歌のお話が届いたときは、どう思いましたか?
中田花奈 アイドルを卒業して当時2年くらい経っているなかで、また歌うお仕事ができると思っていなかったので、びっくりしましたね。とても嬉しかったです。
――しかも、TVアニメ『ぽんのみち』は麻雀アニメなんですよね。
中田 そうなんです、麻雀をやってきていて良かったなと思いました。これまでもたくさん麻雀を題材にしたアニメや漫画作品はありましたが、久々に麻雀作品がアニメ化されるのは嬉しいです。この作品キッカケで麻雀を始める人が増えたら嬉しいなって思います。
――『ぽんのみち』はガッツリ麻雀を描くアニメではなさそう……ですよね?
中田 そうかもしれない(笑)。でも麻雀のルールの説明はしてくれているので、興味を持つきっかけにはなるのかなぁ、と。
――麻雀は人が集まってやるゲームなので、雀荘がたまり場になるという『ぽんのみち』の設定は、すごくいいなと思いました。
中田 麻雀はコミュニケーションのきっかけになるし、人と集まる楽しさが麻雀にはあるので、雀荘という場所が舞台になって物語が進んでいくのはすごく素敵ですよね。
――中田さんも人と集まって遊ぶ楽しさに惹かれて、麻雀にハマっていったのですか?
中田 そうですね。元々事務所のスタッフさんやマネージャーさんに、麻雀の番組が決まって練習したいから一緒に打ってください!とお願いして、お仕事終わりに一緒に麻雀を打ったりしていたところから好きになったんです。そこから麻雀の番組に出たときに、普段の仕事では会わない、色んな方にお会いすることができたりもして。加賀まりこさんが、私のお店(麻雀カフェchun.)に来てくださったこともあるんですけど、そういう出会いも麻雀をやっていなかったらなかったことなので、やっていて良かったです。
――実際に麻雀カフェchun.という、みんなで麻雀を楽しむ場所を作ってみていかがですか?
中田 これはお店を始めてから気づいたことなんですけど、常連さんたちは元々私を知ってくださっていた方が多いのですが、麻雀を全然やっていなかった人もたくさんいたんです。でも、そういう人たちが老若男女、麻雀を通して仲良くなるんですよね。年齢とか世代が違っていても仲良くなれるというのが、麻雀のすごく良いところだなって思いました。
――以前は賭け事や薄暗いイメージもあったんですけど、純粋に麻雀って面白いんですよね。
中田 私の世代だとMリーグも始まっていたりするので、Mリーグで麻雀のゲーム性に惹かれて、みたいな方たちも多くて。だからだんだん麻雀の見方も変わってきているのかもしれないですね。『ぽんのみち』も、こんなにかわいい子たちが卓を囲んでいますけど、そういう時代になってきているのかなって思います。
――Mリーグでも、中田さん含めた女流雀士が4人卓を囲んでいる試合がありましたからね。すごく華やかだなぁと思いました。
中田 そう言ってもらえてありがたいです。女流のプロの方はMリーグ以外にもすごく多いんですよ。
――実際競技麻雀となると必要なこと以外はしゃべらないですが、普段遊ぶときはしゃべっていいものですしね。
中田 そうですね!私も普段は「ロン」って言われたら「えー!」って言ったりしますから(笑)。それに、会話しなくてもいいというのも良いところなんです。普段は会話が続かないとしんどかったりするけど、麻雀中はそういう部分も問題がないので。
――友達同士で急にしゃべらなくなったりすると、ちょっと気になったりしますよね(笑)。
中田 怪しいぞ!もう役が出来上がってるのかな?って考えたりしますね(笑)。そういう人の癖を読むのも楽しいし、その人の人となりを知れたりするんです。
――本当に色んな楽しみ方ができますよね。『ぽんのみち』のように、暇だから麻雀で遊ぶっていうのでもいい気がしますし。
中田 学生さんとかって、そういう理由で麻雀を始める方も多い気がします。特にやることないから麻雀をして、それで永遠に時間が潰せちゃうゲームというのがすごいんです。
――ずっと楽しめる麻雀のゲーム性の高さ、面白さってどこにあると思いますか?
中田 運の要素が強いというのがありつつ、勉強をしていくともっと強くなれるというところなのかなと思います。1回勝負でなければ、大体強い人がちゃんと勝つんですよ。そこがやっぱり魅力で。あとは、そのときの流行りとかもあったりするんです。こういう手牌の進行が今の流行りだよね、みたいな。同じゲームなのに流行りって何?と思うかもしれないけど、そうやってどんどん進化しているのが面白いところだなって思います。
――勉強はどういうことをするのですか?
中田 たくさんあるんですけど、戦術本もありますし、勉強会がプロ雀士の中ではあるんです。手牌を見せて、この状況だったら何を切るかとか。局面によって判断って毎回違うし、何回勉強会をしても同じような状況にはなかなか出会えないので、考え方を身に着けていく作業というか。それももうものすごく長い時間をかけてやっているんですけど、まだまだ学ぶことがあって本当に楽しいです。
――奥深いんですね。運の要素がありつつ、そこに技術や読み合い、時には騙しし合いがあるという。本当に一生飽きないゲームだと思います。そんな麻雀の用語がたっぷり盛り込まれた楽曲が、中田花奈 feat. ぽんのみちオールスターズの「ポンポポポン」ですね。
中田 麻雀用語って結構難しい言葉が多くて、麻雀をやっていないと知らないような言葉が色々あるんですね。それをこの曲を聴いて気軽に覚えてくれたらいいなって思いました。子供の頃に、ミニモニ。さんの「ロックンロール県庁所在地~おぼえちゃいなシリーズ~」という曲があったんですけど、そんな感じで「この用語、聞いたことある!」ってなってくれたらいいなと思います。
――でも、意外と普段使ってる言葉があったりもするんですよね。「国士無双」の無双とか。
中田 アンパイ(安牌)とかもみんなよく言いますけど、麻雀用語ですよね。意外とそういう馴染みある言葉もあるんですよね。
――メンツ(面子)とかオーラスとかもそうですよね。曲を聴いたときはどう思いましたか?
中田 麻雀用語がたくさん出てくる面白い曲が届いたな!という感じでした。乃木坂46の頃は、こういうコミカルな歌って歌ったことがなかったんです。だからこういう曲を歌うことが私自身初めてだったので、乃木坂46時代よりアイドルしてる!って思いました(笑)。ずっとポンポン言っているし、ほとんど麻雀用語の歌詞だったので面白かったです。それに明るくてテンポも良い、ノれる曲だったので、私もなるべく笑顔で歌おう、声が明るくなるように歌おうというのは意識しました。みんなでコールできるところも多いんですよね。
――掛け声のところをアニメのキャスト(ぽんのみちオールスターズ)が歌うというのは、聞いていたのですか?
中田 それは聞いていました。同じタイミングで一緒にレコーディングをする、ということではなかったので、皆さんの声が入った完成版を聴くのが楽しみでした。
――声を明るくなるように歌うという話でしたが、実際レコーディングではどんなディレクションがありましたか?例えば“泣きたくなくても”などは、歌詞に合わせてニュアンスを入れて歌っている感じだったのですが。
中田 そこは何パターンか録って、そこからどれを使うのかを決めていく流れだったんですけど、本当に泣きそうに歌ってみてとか、ウィスパーで歌ってみてとか、色々試しながら録っていきました。でも、感情を付けて本当に泣きそうに歌ったり、歌っぽくないくらい感情を入れて楽しそうに歌ったりしたほうが、ポップで良いのかなと思いましたね。
――そういうところがアニメの曲っぽさでもありますからね。
中田 そう思いました、私アニメの主題歌を歌っているんだ!って感じられたんですよ。私としてもレコーディングが久々だったので、どうしようかと悩んでいたんですけど、スタッフさんが優しくて、何とか録り切ることができました。
――かなり中毒性のある、何度でも聴ける曲に仕上がっていたと思います。
中田 なんというか、ぽんのみちオールスターズの声が入った出来上がりを聴いたときは、曲が出来上がっている!って感じがして……すごく嬉しかったです。
――ぽんのみちオールスターズの掛け声を実際に聞いてみていかがでしたか?
中田 実は私自身も掛け声の“「ポン!」「チー!」”とかは何パターンか歌っているんです(※CDには中田花奈 Solo ver.も収録)。それも楽しかったんですけど、自分だけじゃないからこそ曲として厚みも出たし、皆さんがキャラクターの声で歌われているので、すごく豪華だな!って思いました。
――気になったコーラスはありましたか?
中田 やっぱり気になるのは“「チョンボ?」”でした。やっぱり感情が出やすいですからね、がっかりするので(笑)。
――あと“「はい、ロン!」”もドキッとする言葉ですよね。言われたら負けですから。
中田 確かに、そうですね(笑)。ポンとかチーよりも、イヤですね。一番言われたくない(笑)。
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