――2曲目は草野華余子さんから提供を受けた楽曲です。
May’n 『蒼の鼓動』でご一緒したとき「May’nに歌ってほしいストックがあるから」と送られてきた曲なんです。私と出会う前に書いた曲みたいですね。華余子さんはシェリルになる前から私のことを知っていて、1stミニアルバム『メイン☆ストリート』も聴いていたと言っていただきました。
――すごく情感に満ちたメロディで、May’nさんへの愛に溢れていますが、どのような歌詞をつけようと思いましたか?
May’n どういう歌詞にしようかと思ったとき、すごく美しいメロディだけど悲しい情景が浮かぶ曲だと思ったんですね。そんな中で、私の大切な親友が別れを経験した話を側で聞いていたという自分の経験もあって、別れの歌を書いてみました。親友は旦那さんと急に別れることになったとき、眠っている旦那さんに向かって、色んな言葉をかけていたんですけど、やっぱり返ってこないから不安になるんですよね。だけど私は、旦那さんにその気持ちというかパワーが届いていたからこそ最期まで頑張っていれたんじゃないかと思っているんですね。それも伝えていたんですけど。「なんで僕、起きれないんだろう」って多分旦那さんは思ってたんじゃないと私は思うんです。「声かけてくれてるな」「なんでこんなに眠っているんだろ」って。なので、声をかけてもらっている側の気持ちを書きたい、あのときの気持ちに寄り添いたい、という思いがありました。だから、聴いた人全員に響く曲というよりは、限られた人の気持ちがゴールするような曲であったらいいなって思っています。ただ、親友が女の子だからと言って、女性に限定しないように悲しい別れを経験したことがある人に「貴方の歌だよ」と言ってあげられるように、男女を感じさせない言葉選びにはこだわっています。
――悲しい別れを経験した人に対して、代弁するような想いで。
May’n 音楽って次元を超えていろんなものを届けられると思っているんですよ。だからこの曲が答えの出ない問いかけをも抱きしめてあげられる、そんな存在になれたら……、という思いで歌詞を書きました。ライブをしていると楽曲の主人公が憑依してくるような感覚があるんですが、この曲も誰かの代わりに私が想いを届けるような感覚で歌詞を書きました。
――レコーディングは草野さんがディレクションされたそうですね。
May’n はい。華余子さんはご自身もボーカリストなので、歌い手が出したいニュアンスやメロディへの乗せ方を大事にしてくださるんですよね。私も歌詞を書いているときから「こう歌いたい」というところはすごくありました。なので、音程の正確さも大事なところではありますが、「ここは音程よりもニュアンスだよね」「タイミングがちょっとずれているけど想いが伝わるよね」というポイントが同じだったのでレコーディングはスムーズというか、私は歌詞の主人公として想いが届くように歌い華余子さんが「最高」と言ってくれて終わる、そんな楽しいレコーディングでした。
――特に心を込めた箇所を教えてもらえますか?
May’n それはタイトルに関わってくるんですけど…。私はどんなときも「エンド」が嫌で。だから終わりが来ることが一番嫌なんだよ、という歌にしたかったんですね。ドラマを見ていて、最高にハッピーだったと感じるときもあるんですが、好きな作品であればあるほど終わってほしくないと思うんですよ。なので、お別れするときも「ハッピーエンドだったよね」「幸せな毎日をありがとう」なんて絶対言えないと思いました。「なんで終わっちゃうんだよ」という思うタイプなので、たとえハッピーエンドだとしても続きがある歌にしたくて。
――「、」をつけた、と。
May’n サビを2回繰り返したところでハッピーエンドにしようと言いかけるんですけど、でもやっぱり終わるのは嫌なんだというラストサビになっています。心を初めて解放するんですね。そこは強い想いを持って歌詞を書きましたし、歌っていてもすごく思いが乗る場所でしたね。
――楽曲が完成し、草野さんの反応はいかがでしたか? 温めていた楽曲をMay’nさんに歌ってもらうという、夢叶ったわけですが。
May’n 昨日たまたまLINEをしていたんですけど、「あの曲っていつSNSで書けるの?」「みんなはいつ聴けるの?」みたいなことを言っていて。
――自信満々ですね。
May’n 華余子さんも強い思いで作ってくださったと思います。「蒼の鼓動」は華余子さんが歌詞も曲もすべて作ってくださったんですけど、自分で書いた歌詞のように想いを乗せて歌うことができました。ただ、今回は私が作詞したことでよりクリエイティブなディスカッションがすごくあったというか。華余子さんは作詞家としても先輩なので例えば、わかりやすい言葉になるようなアドバイスもくれましたし、私もそこにプロとしてのテクニックを感じたんですけど、今回は抽象的な歌でありたいし、個人的なちっちゃい歌にもしたいという強い気持ちがあったのでそこは主張しました。アレンジでも「こういう音があると盛り上がりすぎちゃうと思うから」とか、どういう曲にしたいか細かくやり取りをさせてもらいました。華余子さんも一緒に音楽を作れた感じがしてすごく楽しかったと言ってくれましたし、本当にありがたかったですね。
――そして新曲の3曲目にして、アルバムの最後を飾るのは加藤裕介さんと組まれた「カラフルスコープ」。
May’n 最後の曲を作ろうという意識は正直なくて、自分の想いを力強く宣言できるような曲をこのアルバムに残しておきたいと思って作詞作曲することにしたんです。ただ私は、ライブでも盛り上がるし、「これからもライブや音楽を楽しんでいこう!」という前向きな楽曲を作りたかったんですけど、自分の中ではミディアム調やバラードに近いナンバーを作る方が得意なんですよね。そこでお力を借りようと加藤さんにお声がけさせていただきました。だからこちらも明るく「Yeah!」みたいな曲を作るつもりだったのが予定よりも想いが乗りすぎてしまって…。でも曲が出来上がってみたら、この曲で締めるのが『Prismverse』らしいアルバムになるな、と思って最後の曲にしました。
――自身で作詞作曲する曲に込めようと思った強い想いは「To the Prismverse」で書いてしまったということでした。「カラフルスコープ」ではさらに深く自分の思いを掘り下げる作業が必要だった感覚でしょうか?
May’n そうですね。音楽を通して「これからもよろしくね」みたいな信念や決意を書こうと思っていたんですけど、「To the Prismverse」で引き出してもらったので。歌詞を書こうとしても同じ言葉が浮かんでしまう、という葛藤はありました。でも「To the Prismverse」はトラック的に宇宙的なサウンドになったので、より地に足をつけた「ボーカリストMay’nとしての宣言」を書きたい気持ちでした。それと、OPENREC.tvでやっているレギュラー生配信番組『アイ・マイ・ミー・マイン・May’n!』で「アルバムを作ってるんだけどどういう歌詞を書けばいいかな?」って話をしたんですよ。
――ど真ん中ど直球ですね(笑)。
May’n あまりにも浮かばなくて(笑)。部員たちと、どういう歌詞が好きか、どういう歌詞がいいと思うのか話していたら、「私たちの曲が欲しい」みたいなコメントを書いてくれた人がいたんですよ。私は最初、私と部員のことを歌った曲はいっぱいあるし、他の部員も「あったよね」と言ってくれたんですが、実は今までも、「WE ARE」のようにみんなとのことを書いた曲はあったんですが、あくまでも僕と君、私とあなた、という曲ばかりなんですよ。そこに気づいたら、すごくいいヒントだと盛り上がって。そのとき「私たち」という人称(代名詞)を使おうと決めました。
――これまでにMay’nとファンを書いた曲はあったけれども、視点がMay’nさんなんですね。
May’n みんなと同じステージで同じ方向を向いているのではなく、みんなの中心にいる私であり、みんなのちょっとだけ前にいる私だったんですね。
――部員ならではの慧眼ですね。ファン=部員と、May’n=部長という関係を発展させた曲にもなりますから。
May’n あ!そうですね。でも本当に気づきませんでした。書いたことがない視点だからすごく苦労して、つい「私」で書いてしまいそうになるんですよ。そこを「いや!」って感じで踏ん張って。私、君、私たちと変化するのもやめました。だから、最初から最後まで「私」は入れずに「わたしたち」だけにしています。私たちみんな一緒になって頑張っていこうよ、みたいな曲は初めてだと思います。
――視点が決まってからはスムーズでしたか?
May’n そこからも、どういう歌詞にしようかすごく迷いました。でも『Prismverse』の世界観に万華鏡がすごく合いそうだという話からライブパンフレットの撮影で三河ガラス工芸美術館に行ったんです。そこにある「スフィア」という巨大万華鏡の中にいたら、「この世界観こそ自分の音楽人生だな」って思ったんですよね。振り返ればカラフルな音楽を歩んでいて。イメージカラーである青にしても色々な青を作ってきたし、オレンジもあるし、「キミシニタモウコトナカレ」は赤で、シェリルはピンク、と万華鏡の中でいろんな色を思い浮かべていたら、これからも色んな色に変わっていきたいということが景色として浮かんできました。万華鏡のような音楽であり続けたい、というテーマに辿り着いたとき歌詞がぶわっと浮かんできました。で、その撮影中に下書きを一気に書いて、家に帰ってから清書しましたね。
――また新録曲では他に、Bonus Trackとして「AMICITIA -2024 ver.-」が収録されます。こちらはアルバム『PEACE of SMILE』(初回限定盤C)付属のディスク2にのみ収録された楽曲でした。とはいえ、なぜ今、みんなに聴いてほしいということになったのでしょうか?
May’n それこそ、“リスアニ!LIVE 2019”のFRIDAY STAGEで「AMICITIA」を歌ったことがきっかけですね。タイアップ曲でもなく配信もされてない曲を、しかもワンマンライブ以外で歌うのはチャレンジなことだと思うんですけど、「私がライブで伝えたいことを絶対届けられる!」という自信があったんですよね。実際に好意的な反響もすごくいただけたんですけど、そうなるとやっぱりライブでしか聴けない曲ということがすごく残念で。『リスアニ!LIVE 2019』で歌ったあと、もっとたくさんの人に聴いてもらわなきゃいけない楽曲だって思ったんです。
――改めて。『Prismverse』はどんなアルバムになったと感じていますか?
May’n すごく色んな曲をお届けできたとは思います。長年、みんなのMay’nテーマになる歌を届けられるような、「音楽ジャンルはMay’nだよね」と言ってもらえるような、そんなアーティストでありたいと思いながら活動してきました。でも、今回のアルバムが一番胸を張ってMay’nらしいアルバムができたと言えますね。アグレッシブなロックも幻想的な曲もあるし、等身大な気持ちを歌ったり部員しか知らない姿を見せたりもしているんですけど、すべてが自分らしいと思えるような1枚になっていますし、それってすごく大きなことだと思っています。音楽を欲張りに楽しんでいきたいと言い続けてきたんですけど、より力強い自分の言葉で伝えられたアルバムだと思います。
――新曲で手を携えた、D&Hさんと加藤さんと草野さんだけではなく、May’nさんとの繋がりや関わり、ルーツが集結したアルバムになっているようにも感じます。
May’n タイアップで新しい出会いをいただいたとしても、毎回そのリンクを大切に音楽を作り続けられているということはアルバムを通して感じられましたね。ハンドルを急に切るのではなく、進化しながら進んできたMay’nストリートの先に『Prismverse』があって、新しい楽曲との出会いがたくさんあっても核となる一番深い部分は変わっていない、自分でもそう思えるアルバムになっているとも思います。
――最後に。May’nストリートの先に20周年も見えてきた今の心境は?
May’n 「20周年」については、続けさせていただいたことへの感謝の気持ちでいっぱいです。10周年のときは実感があまりなくて、「知らないことはまだまだたくさんあるのに、こんな大きな節目をなんで迎えるんだろう?」という意味で焦りがあったんです。だけど今は、ちゃんと音楽を続けてきたという自信もあるし、May’nが届けていきたい音楽を力強く言葉にできるし。もちろん、悩んだり迷ったりもするけど、「誰に何を言われてもMay’nが進む道はこれ、というプライドも自分の中に持っていられるのが今だな」という感じですね。
●リリース情報
『Prismverse』
発売中
【CD+Blu-ray盤(CD+Blu-ray)】

品番:XNDD-00018/B
価格:¥6,600(税込)
【通常盤(CD)】

品番:XNDD-00019
価格:¥3,300(税込)
<CD>
1. To the Prismverse
作詞:May’n 作曲・編曲:D&H(PURPLE NIGHT)
2. LIES GOES ON
作詞:May’n、古屋 真 作曲・編曲:JUVENILE、TeddyLoid
3. GLORY
作詞:May’n 作曲:Vell 編曲:加藤裕介
4. あはっててっぺんっ
作詞:May’n、大石昌良 作曲・編曲:大石昌良、やしきん
5. シキザクラ
作詞・作曲・編曲:くじら
6. オレンジ
作詞・作曲:May’n 編曲:今井了介 Sound produce:今井了介
7. Follow Your Fantasy
作詞:古屋 真、Lynne Hobday 作曲・編曲:加藤裕介
8. 蒼の鼓動
作詞・作曲:草野華余子 編曲:草野華余子、eba
9. 破鏡重縁
作詞・作曲:May’n 編曲:加藤裕介
10. ハッピーエンド、
作詞: May’n 作曲:草野華余子 編曲:半田翼
11. カラフルスコープ
作詞:May’n 作曲:May’n、加藤裕介 編曲:加藤裕介
<Blu-ray>
「オレンジ」Music Video
「あはっててっぺんっ」Music Video
「LIES GOES ON」Music Video
May’n Special Concert 2023「May’n Xmas」(2023年12月24日開催) LIVE映像
●ライブ情報
May’n ASIA TOUR 2024「Prismverse」
2月10日(土) 開場17:00/開演17:30
会場:SUPERNOVA KAWASAKI(神奈川)
2月11日(日) 開演16:30/開演17:00
会場:SUPERNOVA KAWASAKI(神奈川)
2月18日(日) 開場17:00/開演17:30
会場:LIVE ROXY SHIZUOKA(静岡)
2月23日(金・祝)開場17:00/開演17:30
会場:RENSA(宮城)
2月25日(日) 開演16:00/開演16:30
会場:ペニーレーン24(北海道)
3月2日(土)開演16:45/開演17:30
会場:GORILLA HALL(大阪)
3月3日(日)開場17:00/開演17:30
会場:LIVE VANQUISH(広島)
3月10日(日)開場17:00/開演18:00
会場:Zepp New Taipei(台北)
3月16日(土)開演16:30/開演17:00
会場:HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1(埼玉)
3月31日(日)開演16:00/開演16:30
会場:DRUM LOGOS(福岡)
4月11日(木)開場18:00/開演19:00
会場: Zepp Shinjuku (東京)
4月19日(金)開場18:15/開演19:00
会場: ダイアモンドホール(愛知)
関連リンク
May’n オフィシャルサイト
http://mayn.jp/
May’n レーベルサイト
https://www.digitaldouble.co.jp/artists/mayn
May’n X(旧Twitter)
https://twitter.com/mayn_tw
May’n STAFF X(旧Twitter)
https://twitter.com/MaynStaff
May’n 公式YouTube
https://www.youtube.com/user/MaynOfficial
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