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REPORT

2024.02.06

蕾が咲き、大きな目標への一歩目を踏み出した日―― 岡咲美保“Miho Okasaki 1st LIVE 2024 ~キラメキブルーム~ supported by animelo”レポート

蕾が咲き、大きな目標への一歩目を踏み出した日―― 岡咲美保“Miho Okasaki 1st LIVE 2024 ~キラメキブルーム~ supported by animelo”レポート

1月27日、声優・アーティストの岡咲美保が1stワンマンライブ“Miho Okasaki 1st LIVE 2024 ~キラメキブルーム~ supported by animelo”を関内ホール 大ホールにて開催。ソロデビューから2年強を経ての初ワンマンは、持ち歌全曲を生バンドを背負って披露する大きな挑戦に。だが彼女は、様々な活動を積み重ねたなかで作ってきた“大切な居場所”の中でのびのびとパフォーマンスを繰り広げ、大充実のワンマンライブを作り上げた。

PHOTOGRAPHY  BY 五十嵐和則(WISH)・石井 健
TEXT BY 須永兼次

視覚・聴覚の両面で魅了した、アッパーチューン中心の前半戦

開演の時を迎え場内が暗転すると、音源よりも延長された「ハピネス」のイントロの演奏とともに、ステージの全貌を隠していた暗幕がゆっくり上昇。その先のステージ中央には、ピンクのラブリーな衣装を身にまとった岡咲が堂々立ち、その「ハピネス」を歌い始める。頭サビ明け、まずは満面の笑みで「来てくれてありがとー!」のメッセージを彼女のイメージカラー・イエローのペンライトの輝きが埋め尽くす客席へと届けると、笑顔そのままにみずみずしくキュートな歌声で早くも場内をハッピーで満たしていく。そんなデビューシングルに続いて「ペタルズ」のイントロが流れた瞬間、関内ホールはさらに沸きに沸く。歌声とダンスのキュートさをさらに増しつつ、後方や2階席に至るまで会場中にくまなく手を振り、ファンともコミュニケーションを取りながら笑顔の花を咲かせていく岡咲。大きな声援を一身に受けながらのステージを、自身も心から楽しんでいることがうかがえる。さらにもう1曲、「MY SPIRAL」もダンスとともにキュートさ強めのステージを展開し、場内のボルテージを爆上げ。サビでは岡咲が掲げた右腕の動きに合わせて、客席でもイエローのペンライトがぐるぐる。2サビではその客席とも視線を交わしながら自身もステージを駆けつつ腕を回してステージを楽しみ、スタートダッシュを決めた。

MCパートに移っても笑顔を満開に咲かせながらトークを展開する岡咲。イエローの灯りが埋め尽くす光景を「感動なんですけど!」と、喜びを隠さない。そして序盤から踊る曲を並べたことに触れたうえで、「こんなもんじゃないんで♪」とちょっぴりいたずらっぽく予告すると、ここからもラブリーさが生きるナンバーを3曲連続で披露。まずこの衣装がドンピシャな曲「キボウノレシピ」では、歌声・ダンスの両面からとにかくキュートさ増し増しなステージを展開。大サビの最後、ロングトーンが終わった瞬間にもバッチリポーズを決めて魅せきると、続く「好きじゃないよ」ではふんだんに盛り込まれたコール部で大きく響くファンからのコールを受け止めながら、さらに表情豊かな歌声で彩っていく。サビの終盤や2コーラス目序盤では前方へと駆け出してファンとのコミュニケーションも重ねながら歌唱し、ラストのため息も愛らしく決めてみせた。そして「Maybeヒロイン」はただラブリーなだけではなく、1サビラストの「幸せにしてあげる!」のフレーズはファンへの宣言のような、シャウト気味な歌唱に。それもあってだろうか、大サビで拳を突き上げつつ歌う姿は、ファンを先導するかのようにも見えた。

3曲歌唱後のMCでは、岡咲からファンへ「幕が上がって、私がいた以外にもうちょっとびっくりしたことない?」と質問。そう、生バンドを背負ってのライブというのは、事前予告なしのサプライズだったのだ。「美保のことを支え隊」と岡咲が命名したそのメンバーの紹介では、バンドメンバーから口々に客席からの熱量に圧倒されていたことが語られていく。

そんなMC明け1曲目の「ファンタジック♡ファンファーレ」でも、引き続きラブリーさも発揮しつつ、テンポ速めの曲の中でコールを通じて一体感を創出。サビラストの高音をファルセットで美しく飾る岡咲は、楽曲・衣装も相まって、まさにプリンセスそのものだ。さらに、続く「Popping Moments」でもイントロ中に「もっと!」とさらなる盛り上がりを要求。それに応じた高まりを受け止めると、非常に音域の高いサビでも力強くしっかりと、空間を突き抜けていくような歌声を響かせていく。また、中音域での力強さや歌声の伸びも抜群で、アッパーチューンながらも聴かせる部分も充実した仕上がりに。

さて、岡咲が「盛り上がりを試していい?」とファンに問いかけ「先生、宿題を出していました」と続けると、ファンは次の曲を即座に察知。それは、このライブのために制作され予習用動画もUPされていた、「アンビリバボーアンセム」しかない。「本日の主役」たすきをかけて臨んだ岡咲へと、会場中から完璧なコールが響き渡る。それ以降も場内一体となってのぶち上がり曲として完成をみたこの曲は天井知らずで盛り上がり続け、ラストには岡咲もイヤモニを外して、自由に叫ばれる思い思いの愛のコールを受け止めて、満足気な表情をのぞかせていた。

そしてたすきを外し、和のテイストも込められたミドルナンバー「ワラウカドニハ!」へ。歌声とダンスの双方にあでやかさを漂わせながら、麗しく楽曲を彩っていく。サビの後半では、「さくら さくら」のコールとピンクのペンライトが揺れる光景が、関内ホールに一足早い春をもたらす。また、バンド演奏によってダンスロックの色合いがやや濃くなった「バブルス」では、そのサウンドに乗って観客もハッピーに踊らせつつ、ポップかつキュートさにあふれたステージを展開。自身も跳ねながら楽しく1曲をまっとうし、「ありがとっ!」の言葉とともに一旦ステージを降りた。

それからしばしの間バンドタイムが観客を音の世界にたゆたわせていくと、その演奏後、ピアノソロ流れるなかエメラルドグリーンのドレスに衣装チェンジして岡咲が再登場。「ココロトラベル」の頭サビを美しく歌い上げ、ライブ後半の幕開けを飾る。歌声の愛らしさはそのままに、ミドルナンバーならではの温かみや綺麗さをより強く感じるボーカルワークで聴かせていく岡咲。高音部分は美しく、それでいて大サビラストのロングトーンでは力強く、今の彼女が持つ技術を存分に駆使していき、「ライブの後半は聴かせる要素重視」という意志も発信しながらファンを音楽世界へと引き込む。続く「琥珀の心音」でもファルセットも巧みに交えて美しく、しかし大事なポイントではぐっと力強く想いを込めて歌唱。拳を振り上げつつ力強い歌唱を続ける姿やDメロでの気高さと巧みさの両立した歌声には、改めて“先頭に立つ人”という印象があった。

さて、ここでスペシャルゲストとして、KING AMUSEMENT CREATIVE公式キャラクター兼宣伝部長のきんくりんがステージに登場。岡咲も魔法のステッキを手にして、観客に魔法をかけながら一緒に「魔法の言葉」を歌唱することに。カントリー風のナンバーに乗せる岡咲の歌声は、とりわけサビなどの高音部ではとにかく透き通るように美しいもの。ステッキだけでなくその歌声でも、魅了の魔法をかけていく。また、2サビ明け間奏では岡咲の先導で「きんくりん!」コールが響くと、直後のDメロや落ちサビではきんくりんもその場でかわいらしくステップを踏んで観客の声に応えていた。

後奏中にきんくりんが降壇すると、岡咲はステッキを置いて「カレイドスコープ」の歌唱へ。セットに吊るされた万華鏡を思わせる六角形の透明パネルが、ライトに照らされて次々色を変えていく演出も見どころだったこの曲では、音域に加えて彼女自身の初作詞曲ということもあってか、非常にスムーズに言葉が出てきていた印象。特に中音域での、伸びやかさもありながら聴く者を温かく包み込むような歌声はじんわり心に沁み入ってくるもので、岡咲のボーカリストとしての力量を明確に感じさせる曲にもなっていた。

次ページ:武道館ワンマンを“夢”ではなく“目標”だと感じさせる、確固たる表現力

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