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INTERVIEW

2024.02.04

歌声と想いをぶつけ合い、また結ばれる新たな絆――i☆Ris×菊田大介「キセキ-ノ-フィラメント」リリース記念スペシャル対談【i☆Ris公式チャンネル共同企画】

歌声と想いをぶつけ合い、また結ばれる新たな絆――i☆Ris×菊田大介「キセキ-ノ-フィラメント」リリース記念スペシャル対談【i☆Ris公式チャンネル共同企画】

声優とアイドルの活動を両立するハイブリッドユニット・i☆Risが、1月24日(水)に24thシングル「White Lyrical Kingdom /キセキ-ノ-フィラメント」をリリース。今年初夏公開予定の劇場版アニメ「i☆Ris the Movie – Full Energy!! -」を盛り上げるべく立ち上げられた“全力コラボ”の第三弾・第四弾となる楽曲を収録している。今回はそのうち「キセキ-ノ-フィラメント」の作編曲を手掛けた菊田大介(Elements Garden)と、メンバーの山北早紀茜屋日海夏との対談を敢行。それぞれが楽曲や歌に込めた想いや制作における取り組みなどを中心に、様々な話題について語ってもらった。

なお、本対談はYouTubeのi☆Ris公式チャンネルの協力のもと実施。「プロデューサと一緒にFull Energy!!対談」と併せて、ぜひ両方ともチェックしてほしい。

i☆RisチャンネルYouTube:
https://www.youtube.com/channel/UCi6z7BymHrLuUSr9bLK3T-Q

INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次

菊田の想定以上!? ロックなナンバーに思い切り乗せた想い

――まずは、この“全力コラボ”以前には、お互いi☆RisとElements Gardenというものにどんな印象をお持ちだったのかをお聞かせください。

菊田大介 僕は名前も伺っていましたし、デビュー自体も結構大々的にやられていたのを覚えていて。それから色んな曲も聴いていたので、自分の時間の感じ方のせいかもしれませんが「え!?もう10年以上経つんですか!?」とびっくりしました。

――ということは、フレッシュなイメージのようなものが結構強かった?

菊田 そうですね。でも音楽をよくよく聴いてみると、R&Bみたいな曲からポップな曲、少しジャジーな曲まで色んなバリエーションのものを歌われていますし、しかも皆さんがそれぞれに即した歌い方をされているんです。だから今回のコラボを通じて「やっぱり実力がしっかりあるから、こんなに色んなことができるんだなぁ」と思いましたし、本当に“プロフェッショナル集団”なんだなと感じました。

――逆にi☆Risのお二人はいかがですか?

茜屋日海夏 私、昔『Dance with Devils』というアニメに出させていただいていたとき、Elements Gardenさんとガッツリ一緒にお仕事をさせていただいていて。キャラソンも全部エレガさんが作ってくださっていたんですよ。

山北早紀 そうなの!?

茜屋 そう。そのアニメがミュージカルアニメだったのもあるかもしれませんけど、「物語を大事にして曲を作ってくださる」という印象があったんです。今回もまさにその通り歌詞がすごくスッと入ってきたので、それもすごく素敵だなと思いました。

山北 私は、元々は「名前、めっちゃ聞くなぁ!」と思っていて(笑)。で、調べたら自分の青春時代、i☆Risになる前に自分がオタクだった時代の曲を色々やられていたから……“バケモノ軍団”じゃないけど(笑)。

茜屋 “天才集団”みたいな?

山北 そうなの!もう「すごい!」っていう印象でした。

菊田 そうなんだぁ……そう言っていただけると嬉しいです。

茜屋日海夏

茜屋日海夏

――ちなみに山北さんは、菊田さんが携わられた曲ではどんな曲を聴かれていました?

山北 私、水樹奈々さんきっかけで「アニソンを歌いたいな」と思ってアニソン・ボーカルオーディションを受けたところがあったので、その頃カラオケで歌っていた「Silent Bible」とか。あと茅原実里さんの「Paradise Lost」は今でもボイトレで歌っていたりもしますし、『うたの☆プリンスさまっ♪』の曲とか……だから本当に「全部!」です。

山北早紀

山北早紀

――では続いて、「キセキ-ノ-フィラメント」についてお聞きしていきます。この曲のコンセプトはどのように決まって、それを菊田さんがどのように膨らませていったのでしょうか。

菊田 元々「ロック系の強めな曲にしたい」みたいなお話がありました。ほかに“絆”や“仲間”というイメージもあったんですが、そういうキーワードの曲は今までにもたくさんあったでしょうから、表現の仕方について色々考えまして……そのとき“地元の友達”みたいなものが浮かんだんです。地元の友達って、お互いが少し雑じゃないですか?だけど「その雑さが気持ちいい」というか「ちょっと落ち着く」みたいな。そういう居心地の良さみたいなものを表現できたらと思いました。ただ、あまり攻撃的すぎてもそれはそれで違うので、そこはエモさや優しさ、大きな部分など歩んできた10年以上という期間を経て、それを包み込むような余裕があるだろうなとも思ったので、そういう要素もひっくるめて考えていきました。

茜屋 私、今そのお話を聞いて、「あー!」ってすごく腑に落ちたような感じがしています。こういうロック調の曲を最近あまり歌っていなかったので、「このロックな曲って、今の私たちのポジションで歌うのがすごく心地良いなぁ」と思ったんですよ。サウンドも、その“地元の友達の雑な感じ”というのもしっくりきましたし、身内だけで結束せずに外にパーン!と投げかける感じもすごくちょうどよくて。レコーディングではめちゃめちゃ歌いやすかったです。

山北 私、音源をいただいてすぐ覚えられる曲となかなか入ってこない曲に結構二極化してるんですけど、この曲は……11周年ライブの数日後くらいに録ったので、本当に短期間だったんですけど、すーぐ覚えられて。

菊田 本当ですか!?

山北 はい。すごくスーって入ってくるというのももちろんだし、アニメのタイアップ曲で「前に、一直線に!」ということが多かった今までのロック調の曲とは違って、今回はタイアップではないからこそi☆Risのことも汲んで作ってくださったことで……なんだかすごく広がりを感じました。「Wow wo wow」とか、音の使い方とかにもすごく立体音響感があって、入っていきやすかったです。

――その「すぐ覚えられた」というのは、Elements Gardenさんの曲の「メロディが強い」という特徴ならではのように思うのですが。

菊田 よくメロディが強い、というか「難しい」と言われるんですけど、この曲を作るにあたってメロディに関してはいつもよりもシンプルに作っていると思います。複雑さよりも「芯が入っているか」みたいなところのほうが大事だったので。

茜屋 たしかに。

菊田 それは「i☆Risの皆さんなら、このメロディならきっと説得力が出るな」と思ったからなんですよ。10年以上という長い期間やってきてこういう曲を歌われるとなると、シンプルな中にも歌声から歴史を感じるようなものが出るだろうなと思い、シンプル・イズ・ベストみたいな方向でいったかもしれません。逆に、デビューした頃にこういう曲を歌ったとしても、そこまでエモくならなかった気がするんですよね。

山北茜屋 うんうん。

菊田 あと、皆さん声優さんもやられているというのもあるんでしょうけど、表現力がしっかりされている。普通のメロディがあったとしても、ご自身で「こうしよう」ということを考えられる方々だと思うので、「自分がすごく難しくするよりも、皆さんの捉え方で表現してもらったほうがいいんじゃないかな?」みたいな気持ちもあったかもしれません。

――では続いて、レコーディングにお二人がどんなイメージを膨らませて臨まれたのか、お聞きできますか?

茜屋 コールとかもすごくガッツリ入っていたので、「目の前にお客さんがいる!」みたいにライブ会場で歌っているようなイメージで歌いました。しかも、さっきおっしゃられていたようにメロディもエモかったうえに、多分全体的に私たちが一番感情を乗せやすい音域で作ってくださったというのもあって、自然と感情も入っていくというか。歌詞も相まってすごく歌いやすかったんですよ。

菊田 たしかに音域は、もしかしたらレンジ的には普段よりも気持ち低いかもしれないですね。僕自身もより表現しやすいように、歌いやすいところをちょっと狙っていたんですよ。やっぱりライブで歌が披露されたときに、お客さんも含めて皆さんに楽しんでもらいたいので。

山北 私もライブの直後だったのもあって、無理して「“かっこいい”を作ろう!」とかじゃなくて「この11年の生き様をありのまま出せばいいのかなぁ」と思って歌いました。それと、「この曲をライブでやるとなったら、ファンの皆さんに投げかけるのと同時にメンバー同士が向かい合って歌っていそうだな」というイメージもありましたね。例えばサビでは、主線の子の裏でもう1人歌っている子が、普段の“ハモリ”とは違ってツインボーカルみたいな感じでお互い見合って歌う……みたいな。なので、私自身もハモリの部分では、いつもよりも「寄り添う」よりかは「一緒にぶつけ合うぞ!」みたいな感じで。ちょっと“フィラメント意識”みたいな感じで(笑)、歌わせていただきました。

菊田 その“ぶつかり合う”というのが、僕の今回のテーマの1つかもしれません。やっぱり先ほどの「地元の友達」の話じゃないですけど、絆の作り方って色々ありますよね。ちょっとぶつかり合って喧嘩とかもするけど、結局元に戻る……みたいなことの繰り返しで絆が強くなっていくようなところもありますから。

山北 だからぜひライブでも、ちゃんと目を見合わせて歌えたらいいですね。

茜屋 ……いや、あなたが目を見ないんだけど(笑)。

山北 あ、そっか(笑)。

茜屋 でもたしかに、私も5人体制になってから下ハモをやることが増えましたけど、この曲では一緒に歌っている姿が想像できるようなぶつかり合いみたいなものがあったように思います。

山北 しかも今回は、サビでは全員がどこかでハモを歌っているんだよね。それも今までになかったことなんですけど、だからこそその2人の繋がりみたいなものも感じられて、良いんですよ。

菊田 ミックスのチェックを聴かせていただいたときに、「あ、もう素晴らしいな!」と感動して。歌ができてから聴いて「うわー!」と思ったのは久しぶりだったんです。

山北 えー!?

茜屋 わー、嬉しい(笑)。

菊田 もちろん皆さんの歌の上手さが前提としてありますけど、そのうえで歌声に歴史というか、重みが感じられるんですよ。感情の入れ方が素晴らしくて、びっくりでした。

次ページ:ライブ映えとエモさを兼ね備え、いずれはセトリの重要曲に?

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