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REPORT

2024.01.24

fripSideの過去、現在、未来が繋がる――熱狂の一夜となった“fripSide 20th Anniversary Festival 2023 -All Phases Assembled-”をレポート!

fripSideの過去、現在、未来が繋がる――熱狂の一夜となった“fripSide 20th Anniversary Festival 2023 -All Phases Assembled-”をレポート!

あの日残された、声という忘れ物を取り戻しに――fripSide 2nd Phase

ダンサーのパフォーマンス(と八木沼の充電)を10分挟んだあとのアタック映像に記されたのは、これもまたまさかの“fripSide NAO project!”の文字。またしても客席からどよめきと歓喜が入り混じった声が響くなか、ステージ上にはショルダーキーボードを手にした八木沼、そしてうさぎの耳をつけたnaoが登場した。

第1期fripSideの電波ソングなどポップなアプローチを聴かせるプロジェクトであるfripSide NAO project!だが、本日、ここまでの演奏では聴くことのできなかったキュートなサウンドが聴かれ、それがバンドサウンドで鳴らされるのもあって、ただキュートなだけではない骨太な電波とでもいうような独特のサウンドが聴かれたのが印象的だった。ライブとしてはおそらく2008年以来となるパフォーマンスに、MCでも八木沼が「やっとできたね」と感慨深げな表情を見せていた。続く「Wireless Cosmic」で少しチル気味なサウンドに、naoも持ち前のハイトーンをキュートに響かせる。実にハッピーな空間が形成された一方で、fripSide20年の歴史の欠けていた重要なピースをはめこまれたという感慨深い瞬間となった。

これまで数々のフェースがピースとなって20年のパズルにはめられていった。その最後に残されたのは――栄光のfripSide 2nd Phaseだ。アタック映像に大歓声が送られるなか鳴らされたのは、第2期最後のシングルとなった「Leap of faith」のイントロ。そして“最新の第2期”から幕を開けるという構成に感じたのは、どこか不思議な感慨だった。それはまるで2022年4月の続きを見るようで、何か別の世界線にもいるような感覚。それほど南條が2年ぶりにマイクをとったfripSideのステージは、ブランクを感じさせないほどしっくり馴染んでいた。そしてそこに、“あのとき”にはなかった観客の歓声が上乗せされることで、本当の意味で“我々が見たかった第2期fripSide”の光景が目の前に広がっている。それにはどうしても感情的になってしまう瞬間があった。そこから「final phase」の爆音シンセが鳴らされると、観客の歓声はさらに増幅される。南條も力強いボーカルを聴かせながら、観客も一体となったこの瞬間を心から楽しんでいるようだった。

改めてのMCで南條は「お久ぶりでーす」と挨拶。「あのときは声出しができなくて」と2年前のことを思い出しながら、今こうして観客の歓声があるのを「楽しいなあ、ありがとうございます」と語っていた。そこから八木沼が「大切な曲がいっぱいあるんだけど、2期fripSideお送りしていきます」と言って「Love with you」のタイトルコール。客席がピンク色に彩られるなかで、ポップなサウンドに南條のキュートな歌唱を聴かせる。そこから一転、会場が赤く染め上げられ、重厚なストリングスによって「black bullet」の大号令がなされる。火柱があがるなかで、2年前にはなかった観客の“black and red bullet!”のシンガロングが鳴り響く。

まさに圧巻のパフォーマンスだ。そこからMCを挟んで披露されたのは「whitebird」。ピンクから赤、そして今度は白く会場が染まっていくその光景を、八木沼のピアノに乗せて南條が優しく歌い上げる。そこから第2期最後のアルバム『infinite synthesis 6』に収録された「endless voyage」が鳴らされる。これもまた2年前のファイナルツアーを思い出す1曲だ。

そして最後のMCでは最後のブロックであることを南條が告げたあと、八木沼が「回収し忘れとか、みんなの声が聴けなかった曲とか色々とあります」と語ったあと、「レア中のレア曲」と言ってスタートしたのは、まさかの「Alice in Rosso」。2011年のインディーでのアルバム『fripSide PC game compilation vol.1』にも収録されたゴシック風味の異色曲だが、まさかこれをこのタイミングでやるとは……と誰もが驚愕の声をあげるなか、しかし八木沼のパンチの効いたシンセや南條のフレッシュなボーカルと、ここに来て懐かしくも新鮮なパフォーマンスを観ることができた。そこから今度は南條の作詞によるバラード「Answer」へ。ここでの南條の歌唱が素晴らしく、柔らかいサウンドの中で儚い声音を聴かせるのだが、エンディングに向かうにつれてそのエモーションはゆるやかに上昇し、ハープ調のシンセと合わさったラストでの歌は筆舌に尽くしがたい。改めてボーカリスト・南條の凄みを見せた1曲だった。そんな余韻の中で、ゆっくりと南條が歌い出したのは、「infinite synthesis」だ。八木沼と南條の13年、“infinite synthesis”という時代を象徴する壮大な1曲と共に、第2期のステージは幕を閉じた。

20年の集大成、そしてその先へ――fripSide All Phases

第2期のステージが終わり、またしてもアタック映像が流れる。このあとに残されたのは……“fripSide 1st Phase×2nd Phase”のブロック。もちろん歌われるのは、10周年記念ソングである「Decade」だ。

時が10年前に巻き戻るなか、naoと南條による豊かなハーモニーは色褪せない輝きと、あれから10年経ったという感慨にさせる。そこから再びアタック映像が映され、今度は上杉と阿部がそこに加わった“fripSide All Phases”による「double Decades」が披露される。

4人のボーカリストによる、20年を彩る豪華なマイクリレー。特に南條と阿部、naoと上杉と新旧ボーカリストによるハーモニーには目頭が熱くなる。最後は南條と上杉、naoと阿部によるハーモニーを聴かせ、壮大なエンディングを迎えた。そして本編ラストには、第2期の楽曲から絶対的なライブアンセム「when chance strikes」が鳴り響く。naoが歌うこの曲というのも印象的だが、4人のボーカルが、そして観客が一体となった祝祭感たっぷりなムードが会場を包み込むなか、本編はエンディングを迎えた。

その後のアンコールでは、八木沼が4人のボーカリストを迎え入れ、「最後の1曲になるけど、君たちの元気を全部置いていってくれ!」と叫び、この日最後の曲「only my railgun」が鳴らされた。fripSideの、というよりアニソンシーンを代表する不朽のアンセムではあるが、それがこの4人のボーカリストによって歌われるというのは破格だ。20周年というお祭りを締め括るに相応しい1曲だ。誰もが待ち望んだすべてのフェイズの集合、そしてfripSideの偉大なる20年を祝うステージは、こうして幕を閉じたのだった。

最後に八木沼が「みんな、どうでしたか?」と観客に問いかけ、観客も大きな歓声で応えていたが、紆余曲折もあった20年という長い歴史を凝縮したこの日を、一言で表すのは極めて難しい。しかし、この日4時間あまりのステージで立ち続けていた八木沼悟志が持つ類まれなイマジネーションと、それを表現するボーカリストたちの豊かな個性があって、そして彼らが多くのファンと真摯に向き合い続けてきた結果が、この日に祝福感に表れているのだと思う。また、20年という金字塔の先にも、現在もfripSideは前を向いて走り続けている。20年のその先という2024年のfripSideは、我々にどんな夢を見せてくれるのだろうか。気がつけばその時計の針は、すでに本来の方向に動き出しているはずだ。

<セットリスト>
fripSide 20th Anniversary Festival 2023 -All Phases Assembled-
<2024.1.8(mon) ぴあアリーナMM>
~fripSide 1st Phase~
M01:magicaride
M02:never no astray
M03:spiral of despair
M04:sky -version 2008-
M05:save me again -version2023-
M06:Red -reduction division-
M07:come to mind -version 2022-
M08:true etrnity
M09:flower of bravery
~南條愛乃×angela~
M10:sister’s noise
~fripSide 3rd Phase×KATSU(angela)~
M11:LEVEL5 -judgelight-
~fripSide 2nd Phase×angela~
M12:僕は僕であって
M13:The end of escape
~fripSide 3rd Phase~
M14:Invisible Wings
M15:dawn of infinity
M16:an Effect of Fate
M17:more than you know
M18:Insoluble Snow
M19:with a smile(阿部寿世 ソロ曲)
M20:Distance to starry sky(上杉真央 ソロ曲)
M21:The Light of Darkness
M22:Your Way
M23:infinite Resonance
M24:Red Libelation
~fripSide NAO project~
M25:Rabbit Syndrome
M26:Wireless Cosmic
~fripSide 2nd Phase~
M27:Leap of faith
M28:final phase
M29:Love with You
M30:black bullet
M31:whitebird
M32:endless voyage
M33:Alice in Rosso
M34:Answer
M35:infinite synthesis
~fripSide 1st Phase×2nd Phase~
M36:Decade
~fripSide All Phases~
M37:double Decades
M38:when chance strikes
~ENCORE~
EN1:only my railgun

★ライブのセットリストをまとめたSpotify playlist「fripSide 20th Anniversary Festival 2023 -All Phases Assembled-」はこちら


●番組情報
fripSide 20th Anniversary Festival 2023 -All Phases Assembled-
2024年3月放送・配信予定

出演:八木沼悟志、nao、南條愛乃、上杉真央、阿部寿世
ゲスト:angela
収録日:2024年1月8日
収録場所:神奈川 ぴあアリーナMM

番組公式サイト
https://www.wowow.co.jp/music/fripside20th/

関連リンク

fripSide オフィシャルサイト
https://fripside.net/

fripSide オフィシャルサイト(レーベル公式)
https://nbcuni-music.com/fripside/

fripSide オフィシャルX(八木沼悟志)
https://twitter.com/sat_fripSide

fripSide オフィシャルX(上杉真央)
https://twitter.com/maouesugi

fripSide オフィシャルX(阿部寿世)
https://twitter.com/hisayoabe

fripSide オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCp8U4DpexC_DbOrQzjwc7Tw

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