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INTERVIEW

2024.01.24

「Smile day’S presents アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2023 supported by リスアニ!」作曲家:黒須克彦×渡辺 翔×渡辺拓也 スペシャル鼎談

「Smile day’S presents アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2023 supported by リスアニ!」作曲家:黒須克彦×渡辺 翔×渡辺拓也 スペシャル鼎談

作曲の要、強いメロディを生み出すためには?

ーー例えば、演奏であれば楽器をたくさん弾いて練習するなどありそうですが、メロディを強くする、成長させるにはどうしたらいいんでしょうか?

渡辺 翔 皆さん、どういう修練をしているんでしょうね。僕の場合は好きだなと思ったソングライターの癖を全部、一度自分の中に入れる作業をあえてやるんです。その場合は音程とかではなくリズムが一番癖が出るなと思っていて、しかも時代感も出るじゃないですか。それをMIDIで書き起こして、「あ、これは僕はやらないな、これもやらないな」って意識的に確認していく。そのなかで、じゃあ今度の曲はあの人を憑依してみようかなってポロって出してみたり。

渡辺拓也 最近翔くんの曲を何曲かアレンジさせていただいたんですけど、やっぱり毎回メロディがチャレンジしているなというのはすごく伝わってきて、そこはすごいなって思う。

黒須 長いことやっていると、「あ、これ俺っぽいなみたいな」ものが自分でもわかってきていて、それが時には武器にもなるんですけど、マンネリも招くので、あえて自分っぽくないメロとコード進行を1曲の中のどこかに入れようということはやっているかもしれない。

渡辺拓也 音階は12個しかないので、僕は新しいリズムを埋めるようには常に考えているんですね。1曲の中でモチーフとなるリズムをどうにか作ろう、と。最近の作曲なんですけど、リズムを作って、そこにAメロBメロからサビまで、そこに合うリズムを組み込めるようなイメージを持ちながらやっていて。だから、今は音階よりもリズムにこだわってる時期なのかもしれないですね。

渡辺 翔 あと、本当にお久しぶりなBPMで曲を作るときって、勘が戻るまでめっちゃ大変なことがあるんですよね。例えば、久々にBPM120で作るとめっちゃつまんなくなるなみたいなこととかがあって。

渡辺拓也 そう、120や130のBPMで、オケじゃなくてメロディーだけでどれだけ疾走感出せるかとかもよく考えますね。かっこいいオケを作れたら、疾走感って簡単に出ちゃうんですよ。そのなかで、4つ打ちとコードだけでどれだけノれるか、メロディーだけでノせるようにできるか、というのは意識していますね。

渡辺 翔 得意じゃないBPMで練習したほうがいいと思う。クリエイターを目指している人は好きなBPMが絶対あるので、じゃあ180が好きだから90で作ろうとかはダメですけど、120、130あたりとかで試行錯誤していく。

ーーこれほどヒット曲を出しているクリエイターの方々でも、あるいはそれであるからこそ日々の探究は欠かさないわけですね。

渡辺拓也 そういえば皆さん、Synthesizer V(歌声合成ソフトウェア)は使っています?

黒須 いや、まったく使っていないなぁ。

渡辺 翔 Synthesizer Vが話題になってから一度使ってこれやばいなって思っていたけど、意外と僕も使ってない。でも、拓也さんも自分で歌うじゃないですか。

渡辺拓也 男ボーカルのものは自分で歌うけど、女の子ボーカルのものはガンガン使ってる。

渡辺 翔 やっぱりいいですか?

渡辺拓也 うん、1つの考え方としてコライト(共作)に近いなと思っていて。Synthesizer Vって若い子もみんな使っているんですけど、歌い方の癖があって、それで良くなるメロディーがあるの。だからそのボーカリストとコライトして、この歌に導くメロディーもあるなと思っていて。なのでSynthesizer Vを使ってから、メロディーの引き出しが増えてきてる。それを使いこなしてくる子たちがこの先絶対出てくるから、いかにこのソフトと仲良くなれるかも重要かもしれないよね。若手の子たちはボカロとすごく仲良くなった人たちがボカロPとして活動していったように、Synthesizer Vも新しい1個の扉の1つになってくるかもしれない。

渡辺 翔 なるほどなあ。それこそシンセメロで作っていると、連譜系のメロって自分でOK出しづらいことってあるじゃないですか。連譜でいきたいなって思っても、歌詞がまだ思いついてない段階だとしっくりこないな、弱いんじゃないかて思っちゃう。そこを最初から歌ってもらうとOKになることって多いので、確かにありかも。

クリエイターとしても求められる「作曲ペース」とは?

ーー応募してこられる方にはそういった技術にすでに触れている方も多いかもしれませんし、色んなアプローチでの楽曲が応募されてくるかもしれない。ちなみに応募曲数も自由ですけど、普段どれくらいのペースで曲が書けたほうがいい、というのはありますか?

渡辺 翔 そうですね、月に1曲は何か書けたほうが……というかマストですよね。月に6、7曲まではいかなくてもいいかなって気もするんですけど。

渡辺拓也 1週間に1曲書ければ優秀なんじゃないですか?となる、と1ヵ月で4曲。でもそんなに書けない子っていうのは、悩んじゃうからなんですよね。悩んだときは絶対に手を止めちゃダメです。最後まで吐き出し続けて、50点の曲でもいいから吐き出さないと次に進めない。その日までの自分は50点だからしょうがないって振り切って、明日もう一回吐き出さないと。

渡辺 翔 たしかに悩んじゃうとペースがどんどん落ちてきて、コンペも出せなくなる。

渡辺拓也 今回のオーディションって曲を作るためのきっかけであって、おかずをもらったような感覚で自分で作りたい曲を書いてほしいですね。例えばコンペで自分の曲が決まらなくても、「こんないい曲書いたのに」って思えるくらいじゃないとね。

渡辺 翔 それがストックになっていくんですよ。皆さん、余ってますよね?それだけコンペで負けてきているんです。

黒須 うん、多分負け越している(笑)。

渡辺拓也 悩んだときに50点でもいいから吐き出した子たちはたくさんいますよね。 でも、100点出せた曲はそのとき選ばれなくても、何年かかってもいつかは世に出てくれる気がしますよね。

ーーあとは曲を書き続けられるメンタリティも重要ですね。

渡辺 翔 コンペに対する姿勢は作家さんによって全然意見が変わってくるので一概には言えないですけど、僕の場合はそこまで入れ込まなくていいよみたいな気持ちですかね。コンペがすべてじゃないから。

渡辺拓也 まず、コンペというものはそうそう決まらないです。

黒須 コンペって決まったらもちろん嬉しいですし、決まらなかったときにはもちろん残念だったという気持ちは持っておかなきゃいけないんですけど、そればっかりになっちゃうと疲れてしまうので、曲を作る数もスピードもある程度期間を決めて、2日とか3日で1曲作ってみるとか。

ーーなるほど。

黒須 僕、曲を作っているのはもちろん自分なんだけど、どこかで「自分の曲だぞ」という意識がなくて。自分が作っても、結局それはそのアーティストの曲なんですよ。自分の手を離れてから時間が経ってから結果として出るので、それを考えると「自分の曲なんだ」というこだわりはそんなに持たないほうが健全なのかなって。そしたら自分の中でイマイチだなって思っても、アーティストが歌ったら化けるかもしれないし、売り出し方によってはヒットするかもしれない。だったらもう1曲を時間内に仕上げて、じゃあ次行くぞっていう感じで切り替えたほうが精神的には健全だし、数にも繋がるのかなと思います。

ーーでは最後に、このオーディションに応募したいと思っている皆さんにメッセージをお願いいたします。

渡辺 翔 今回はアニソンのオーディションですけど、アニメとかに拘らず、作りたいと思った好きな曲を一旦投げていただきたいし、それを聴いてみたいですね。もちろんアニソンをやりたくて作っている方もいると思うんですけど、そこに囚われすぎて頑張ろうとして足が吊っちゃうくらいなら自由に作ってほしい。

黒須 そう考えると、多分応募する方各々のイチ押しの曲を送ってくると思うんですよ。それを聴いたときに、聴いた側がここをアピールしたいんだろうなという想いが伝わるようなものだといいですね。それがメロディなのか、トラックなのか楽器なのか、どこが推しポイントだろうみたいなのが見えたほうがインパクトもあると思うので。「この人はここを特に聴かせたいんだろうな」というのがわかる曲だと、こっちのテンションも上がりそうな気がします。

渡辺拓也 曲数も自由なんですよね?今回のオーディションもコンペも同じようなイメージだと思うんですけど、曲単体でこう勝負するというよりか、ジャブ・ジャブ・ストレートとはワンツーパンチでみたいな波状攻撃で見せて、この曲書いてる人はこの曲も書けるみたいな、その人の深さが垣間見れると、「あ、この人良いね」ってなると思うんですよね。コンペでも同率の2曲があったときに、奥が深い方の曲が人として選ばれると思うので。音楽でmp3同士ではあるものの、あくまでも人と人との仕事だと思うので、その人の深さが見えるようなプレゼンの仕方をしてくれるといいと思います。


●オーディション情報
「アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2023」

<応募資格>
年齢、性別、国籍:不問

<応募部門>
作詞、作曲、編曲

<審査員>
黒須克彦 / 作曲・編曲
渡辺 翔 / 作曲
渡辺拓也 / 作曲・編曲
PA-NON / 作詞
喜介/ 作詞
辻 詩音/ 作詞
甲 克裕 / 音楽ディレクター

<応募方法>
オンラインによる応募となります。
下記応募フォームより必要事項を記入のうえ、ご応募ください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdHd1tRGOfEmrBztoO4J3sJmD2qPpueA7zE-6svvtafqfXRvQ/viewform?usp=sf_link

※ 応募フォームにて、写真2枚(①バストアップ(上半身)、②全身 1枚ずつ)とデモ音源もしくは歌詞データをアップロードしてください。
※デモテープ等の郵送での応募はお受けできませんのでご了承ください。

<募集期間>
2023年12月22日(金)〜2024年2月29日(木)23:59

<応募上の注意>
・審査結果は通過者のみにご連絡させていただきます。
・審査状況や選考結果に関するお問い合わせには一切応じておりません。
・オーディション参加費、選考費、またその後にかかる費用は一切ありません。
(ただし、審査会場までの交通費は各自ご負担ください)
・未成年の場合は保護者の承諾が必要です。
・お送りいただいた応募資料ならびに個人情報は選考以外の目的で使用することはありません。

関連リンク

「アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2023」公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/smile_audition

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