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REPORT

2024.01.17

愛に満ちた、最高のお祭り騒ぎーー。ZAQ LIVE “KURUIZAQ2023”ライブレポート

愛に満ちた、最高のお祭り騒ぎーー。ZAQ LIVE “KURUIZAQ2023”ライブレポート

4年振りにZAQがライブハウスで咲き乱れた。 “一番痩せるカオスなセトリ”で定評のある宴『KURUIZAQ』であったが、『-ver.2019』を最後に開催されることがなく、ワンマンライブ自体も2022年にデビュー10周年記念ライブ『ZAQPOT』以来となるZAQ。だが2023年の駆け込みとなる12月29日、新宿BLAZEで『KURUIZAQ 2023』が催された。数々のアニソン、楽曲提供、そして10周年を刻み込むアルバム『ZAQPOT』でシンガーソングライターとしての実力を見せつけていたが、楽しませるライブアーティストとしても非凡な才能を有すると知らしめたZAQ。そんな彼女が主催した、最高に盛り上がったパーティについて振り返る。

TEXT BY 清水耕司 PHOTOGRAPHY BY “SUGI” Yuya Sugiura

ピアノ弾き語りに遠藤ゆりかの新録ボイス、意表を突いたライブスタート

会場が暗転し、ライブのスタートを感じ取ったフロアから期待の拍手が生まれるが、ステージ上に現れた一つの影がキーボードの前に座り、ピアノの早弾きで特徴的なイントロを奏で出すと会場からはどよめきが。軽やかに鍵盤を流れる指先、高音域を走り続けるボーカル。「hopeness」をエモーショナルに弾き語り、観客たち釘付けにする。続けて、ZAQの才能が存分に込められたノンタイアップ曲「ANTHEM」も弾き語りで始める。「しっとりと進行してまいります」とMCを入れつつ、「Woh Woh」の合いの手もレクチャー。ファンたちの声が響きわたり、実際以上に会場全体が広くなったように感じる中、ZAQのライブを支えるバンド「ZAQ JAPAN」のメンバー(Bass・Bandmaster:黒須克彦、Guitar:馬場一人、Drums:かどしゅんたろう、Keyboard:野崎洋一)も持ち場に着き、Aメロからはバンド曲へと様変わりする。会場のクラップを浴びながら気持ち良く歌うZAQは、2番を終えたところでキーボードを離れてステージ中央へ。ギャザーもレースもたっぷりのパフスリーブな白いドレスには黒のウエストラインから黒のレースが垂れ下がり。ダブルお団子にエクステをつけ、目元にはストーンというカワ強王女的なヘアスタイル&メイク。そんな艶やかなZAQが、見惚れている会場を強気で煽る様はいいギャップを生んでいた。

スタートダッシュを決めたZAQは「最初から君たち、トバシてるねー」と声をかけたあと、「4年ぶりのKURUIZAQは、四つ打ちBPM200くらいのイケイケ曲が来ると思っただろ!」と出だしから観客を欺いたことに対して自画自賛。そんな言葉を会場も満面の笑顔で迎え入れる。「KURUIZAQ」についてZAQは、「一番痩せるライブ」で「カオス」なセトリと紹介したあと、デビューからの10年は「自分の音楽を知ってもらいたい10年」だったがこれからは「みんなと一緒に楽しむための10年」にすると告げ、この夜が最高の忘年会となることを宣言した。ここでZAQが、「推しを推してるときの胸の高鳴りを忘れないでいることが大事」「推しはいつか消えるかもしれない」と口にするが、不穏な空気感に慌てて「私はしぶとい!」と注釈を入れる。実は、引退した遠藤ゆりかをフィーチャリングした楽曲「行きたいイベント重なりすぎてコンプできないオタク葬送曲」への前振りだった。「ZAQの音楽で盛り上がっている自分が好きだ、今日盛り上がったあたし素敵だったな、と思って帰ってもらいたい!!」と愛を投げかけたあと、ZAQは「私もみんなと一緒にイベント楽しみたぁーい!」の叫びから両手を突き上げ、跳ね始める。ヲタ心をくすぐる楽曲に観客は一心不乱に盛り上がるが、途中、歌詞の「KURUIZAQの日、会場はあの新宿BLAZE」、そして曲間で遠藤ゆりかが差し込む台詞までもがこの日のライブ仕様であることに気づき、さらにヒートアップする。リリースから7年、遠藤ゆりかの引退から5年を経て新録ボイスでのアップデートに遭遇できるとはまさかまさかの年末プレゼントだった。そこからの「ライブを忘れたオタクに捧げる聖譚曲 feat.内田真礼」でfeaturing楽曲2連発をかますZAQは、表情を七変化させながら感情豊かに歌うと、フロアもケチャを激しく浴びせる。そしてサビでは互いに掲げた指を回し続けた。

続いて流れてきたキラキラSE。早くも「Sparkling Daydream」の登場を察した観客は雄叫びを上げ、ZAQの名刺的代表曲に対して声の限りに喜びを表現する。対するZAQも赤いライトが瞬く中で明るく歌い上げるが、まさかの1番で終了。不燃焼気味になるかと思いきや、すぐに投下された「I wanna falling love」のコーラスという燃料に観客はひと息つく暇もない。「VOICE」もワンコーラスで終え、短い合間にギターとベースが持ち替える。その前でZAQは「前半から覚悟していけ!」と決起を促すと、「Seven Doors」、間奏から口笛でつないでの「Last Proof」とワンコーラス×4曲リレーを完成させた。

ここで一旦暗転。ライトが付くとZAQはエレキギター/ムスタングを手にしていた。次々と、集まったファンの心を射抜き続けるように仕掛けてくるZAQ。だが、ZAQ自身が口にしたようにまだ「前半の前半」。たぎった客も「これが準備運動ー!」とレスを飛ばす。エレキギターを手にしたZAQは「見慣れないものを持っております」から「。……ZIGZAG」と曲名紹介を果たし、イントロのギターリフを弾き始めた。その姿も歌詞も曲もファンに対する想いも歌声もすべてが真っ直ぐだった。次には長く温めてきた楽曲「Coward」をライブ初披露。ドラムとベースの低音が曲の“生”を加速させ、ZAQは女性が持つ力強さを表現しながら歌い続ける。だが、歌パートが終わるとアウトロが残る中、ZAQは下手の舞台袖へと走り去った。ZAQ JAPANがインターミッションとしてインストゥルメンタルのエレクトロポップを演奏し続ける。SEや青い光が漂う中、ピアノやエレキギターやドラムのソロが響く。エレガントな時間だったが、これもZAQが持つ多彩な一面を思わせる。

演奏が終わると、それまでとは一転、エッジの利いた服装でZAQが再登場。ビーズやスパンコールが散りばめられた黒のデニムジャケットの背中には「39」の文字。ボトムはサルエルパンツに黒のブーツを合わせ、ストリート系ながらラグジュアリーな姿は誰もがイメージするZAQだった。そこからラテンのリズムが心地良い「Dance In the Game」へ。メロディの高低を素早く行き来するボーカルを養分に、ZAQとフロアは汗を飛び散らせながら踊りあかした。狂乱の時間が過ぎたあと、ZAQはなぜかZAQ JAPANに退場を促し、「皆さんに重要な、大切なお知らせがあります!」の言葉。そして2024年3月9日、ZAQの日に『ZAQの日 Vol.4®』を開催することを発表した。「この®はリベンジのRです」、つまり「流行り病(=コロナ禍)でとんでしまったセルフカバーライブ!」であった。このグッドニュースに会場からは快哉が巻き上がった。さらに、提供曲の多さから「年明けにセトリ会議をしません?」とファンに対して提案がなされ、今後の動きが楽しみにもなる。ただしそのかわり、この夜は「セルフカバーはございません!」との通告も。だが、ここまでの内容で十二分に元は取れたファンにとっては無問題だった。

ここでZAQ JAPANを帰した理由について、「Sparkling Daydream」の前に作った「すごく懐かしい曲」をやるためと説明。「漆黒に躍る弧濁覇王節」の合いの手を自ら書きつらねたスケッチブックを持ち、スタンドマイクの前に立つと、カラオケで歌唱。タイミング良く、合いの手が書かれたページを巧みにファンに見せていき、ZAQはめくり芸の才能までも発揮した。続いて、体をくねらせながら「深淵に舞う戦慄謝肉祭」をパフォーマンスし、2度目のワンコーラスメドレーをコミカルな声質でキュートに愛らしく歌い終える。すると、空気を一変させる「割レル慟哭」へ。ライブ序盤に話した、「みんなの負担の方が大きい」との言葉通り、観客を休ませない。打ち込みサウンドでもフロアの熱を決して下げないボーカルは疾走感の塊となり、フロアを駆け巡った。

歌い終えると、「最後までこのテンションでついてきれくれますか? でも一人じゃ寂しいのでみんな呼びます! ZAQ JAPAN!!」とZAQはバンドメンバーを召喚。各メンバーを紹介したあと、「ZIGZAG」で披露したギターをマスターするために「茅原実里さん経由で連絡先を聞いて」馬場に教えを乞うたこと、最後のリハまで弾けなくて誰もが不安を感じる中で馬場だけが「大丈夫です」と言い切ってみんなを安心させたこと、そのおかげで本番では無事成功したことを教えてくれた。ギターに挑戦した理由については、「成功の反対は何もやらないこと」だと伝えたいという想いからだとか。

これぞライブ、という充実感を生み出したのは互いの愛

小休止を終え、「ほぼノンストップでございます!」というライブ後半戦に入る。「超特急ZAQ号、乗ってくれますか!?」「一緒に狂い咲こぉーぜ!」というZAQの声にフロアは急速再点火、キュートな声でハードにロックする「KURUIZAQ」に要所要所で「Hey!」と強く声を出していく。そして、イントロを聴いた瞬間に会場が歓声で震えた「Serendipity」では、誰もがAメロに聴き入り、Bメロで「オイ!」と声を挙げながらヘッドバンキングし、サビのジャンプは最高到達点を見せた。一方ZAQも、絆を確かめるようにフロアにマイクを向け、ファンが伸ばした手に自身の手のひらを合わせる真似を見せる。転調からのラスサビでボーカルが天を突き、会場がその歌声を支えたあとには、ZAQが「アオッ!」と雄叫びを上げ、「みんな飛ぶぞ、1、2、3、4!」と声をかける。ゲーム『荒野のコトブキ飛行隊 大空のテイクオフガールズ!』主題歌で、「ソラノネ」のカップリング曲としてリリースされた「カゼノワ」だ。「オイ! オイ!」のイントロ、クラップを埋めるAメロ、大きくワイパーしたくなる横揺れメロディのサビ、身体がパンケチャを求める落ちサビと、ZAQ曲の中でも一体感を味わわせてくれる魅力では天下一品、ファンからも人気の隠れた名曲だ。キュートな「アリガト!」で曲を締めると間髪入れずにドラムが16ビートを刻む。ZAQから「それじゃみんなでOh Yeah!っていきますよ」と宣告を受けたフロア。だが、その言葉通り、サビでZAQの「3、2、1!」に対して従順な「Oh Yeah!」を応酬、ZAQファンとしての矜持を見せた。曲終わりのスーパーロングトーンで聴く者を痺れさせて「メクラマス」を挟むと、スピードとパワーで観客を圧倒しながら引っ張る「イノチノアカシ」につなぎ、そのラストから止まらずすぐさま「ASEED」へ。激しいロックナンバーが続く中、ベース横で笑みを浮かべながら歌っているZAQは、前半と変わらずにステージ上を動き回り、ライブを楽しんでいた。ラップパートに突入する前には「みんな疲れてないよね?」から「3、2、1、C’mon!!」と先導し、ファンに何度目かのヘッドバンキングを。「Wow Wow」で声を枯らし、手が痛くなるほどにクラップするファンは、体力的に辺獄へ足を踏み入れているはずが 精神的には昇天の境地にいるような表情でZAQへ愛をぶつけていた。声を挙げ、身体を動かし、LoveもHateも全てを吹き飛ばすように感情を爆発させる、ZAQのライブはそんなライブならではの魅力を実感できる場だと毎回痛感する。愛を受け取る側のZAQも超笑顔でクラップを合わせ、ラストには手を天に伸ばし、「もっと光を!!」と叫んで「BRAVER」へなだれ込んだ。観客たちも、声出し禁止期間の分もとり返すように声の限りを尽くして「光を もっと光を」のコーラスを響かせる。続くラストソングではギターの馬場とベースの黒須もステージ前方に出陣し、演奏と表情で会場をさらにさらに煽っていく。ヘッドバンキング直後であってもこれが最後、しかもポップでノリノリな「絶好調UNLIMITED」と来ればもはや別腹だ。ファンたちはアイドルライブばりの「オッ! オッ!」「フッフー!」を混ぜ合わせ、「ゼッコーチョーッ!!」と声を出す。ZAQも、衰えを知らないパワフルな歌声と表現力で走り続ける。ZAQ JAPANメンバーにも「ギターッ!」「キーボードッ!」「ドラムッ!」と次々とソロを要求、と思えばフロアを指差し、場を完全に支配するZAQ。一転、落ちサビでは心からの感謝と幸福感を込めた表情で「僕が今この瞬間を楽しんでる 君がこの場所にいる」の歌詞を歌い上げた。「アリガトーゴザイマシタ!!」から両手を突き上げ、「飛ぶぞ!」と声を挙げ、BLAZEにいた者は最後まで心も身体も一つに宙へ飛び出した。

去ったZAQの背中を追いかけるように、すぐ打ち始められた拍手。リードしようと誰かが「アンコール」の声を上げるが、ここまでの激戦を物語るかのようにその声は完全に潰れていた。すると会場全体から「アンコール!」の声が巻き上がる。

再登場したZAQは、「みんなすごいね、ついてこれたね。今回こそは救護班が必要なんじゃないかと思ってたけど」と称賛の声を与えると、ライブグッズを次々掲げながら淡々と紹介。時間が惜しいとばかりにアンコール1曲目として、ファンも待ちわびていた新曲「マイナーピース」の名を告げる。第1期からつないできた末にたどり着いた、『ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season』OP主題歌だ。ハイハットのカウントから始まった曲は、「カーストルーム」「Dance In The Game」同様、耳に残る始まりと高速で動くメロディがアグレッシブ。ファルセットと地声を自在に行き来するZAQの歌声が、高速のまま駆け抜け、聴く者の心をつかんだまま終わった。

正真正銘、2023年の最後を彩る曲にZAQが選んだのは、本編同様にみんなが楽しく踊れるノンタイアップ楽曲「One Way Road!!」。ZAQが「声は」「歌を」「夢は」と歌うと、「聴こえる」「歌える」「見られる」とレスポンスを捧げるフロア。間奏では、ステージ下のファンに対してZAQは体を屈ませ、最後の時間をギリギリまで楽しむように目線を低くしながら目と目を合わせていた。楽曲終わりは、2度目となる会場全体でのジャンプ。がっちりと心と心が結び付いたライブを締めるにふさわしいシーンだった。

歌い終え、充実感に満ちた顔を見せるZAQ。その口から、「ZAQはみんながいればこれからも大丈夫だなってあらためて思いました!」と感謝の声が飛び出した。最後はZAQ JAPANをステージ前方に呼び寄せ、「いっぱしのシンガーソングライターっぽく」会場と共に写真を撮ることに。自身にとって初体験となる記念撮影を「ZAQちゃん、天才!」の掛け声でメモリアルな夜をカメラに収めた。

ところが、会場が明るくなっても気持ちが収まらないフロアから去る者はおらず、再び「アンコール」の声が。本人もまさか「Wアンコールがもらえるとは」と驚きの表情でZAQがステージに戻ると、「言い忘れていた」という言葉で別れを告げる。「自分の子供たち(=楽曲)」をファンが笑顔で迎えてくれるから「自分の音楽が生きていると感じられる」と。ステージの上下から互いに「アリガトー!」を交わし合い、アーティストとファンが互いにもてなし合う饗宴は幕を下ろした。ZAQは前夜、着がえ後の衣装となったデニムジャケットに自ら大量のビーズを接着、「マイナーピース」の予約特典としてCDにはサイン書き、とファンのための内職に精を込めていた。そんなZAQだからこそ、会場に集まったすべての人が心の底から「ライブは楽しい」を共有できる時間となった。「KURUIZAQ 2023」、それはZAQからファンへ、ファンからZAQへの愛に満ちた、最高のお祭り騒ぎだった。

ZAQ LIVE “KURUIZAQ2023” SETLIS
2023年12月29日(金)新宿BLAZE

M1 hopeness
M2 ANTHEM
M3 行きたいイベント重なりすぎてコンプできないオタク葬送曲feat.遠藤ゆりか
M4 ライブを忘れたオタクに捧げる聖譚曲 feat.内田真礼
ワンコーラスメドレー① Sparkling Daydream~VOICE
ワンコーラスメドレー② Seven DoorsLast ProofSeven Doors
M7 ZIGZAG
M8 Coward
M9 Dance In the Game
ワンコーラスメドレー③ 漆黒に躍る弧濁覇王節~深淵に舞う戦慄謝肉祭
M11 割レル慟哭
M12 KURUIZAQ
M13 Serendipity
M14 カゼノワ
M15 メクラマス
M16 イノチノアカシ
M17 ASEED
M18 BRAVER
M19 絶好調UNLIMITED

ENCORE
E1 マイナーピース
E2 One Way Road!!

セットリストプレイリスト配信中
https://open.spotify.com/playlist/50bydSOfAseJOVLZFzB8Jj?si=35cd5404685e4335


●ライブ情報
「ZAQの日vol.4®️」
2024年3月9日(土)
時間:開場16:00/開演17:00
会場:BASE GRANBELL

主催:CAT entertainment株式会社
企画・制作:CAT entertainment株式会社 / 株式会社HANDYMAN
制作協力:株式会社F.M.F
後援:株式会社バンダイナムコミュージックライブ

チケット情報
前売りチケット
席種:オールスタンディング
料金:7,000円(税込)※1Drink別途必要
※二次先行販売スケジュールは間もなく発表予定

関連リンク

ZAQオフィシャルサイト
http://zaqzaqzaq.jp/

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