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2024.01.11

angela、デビュー20周年ライブツアー“angela Live Tour 2023 「Welcome!」”ファイナル公演でKATSUが“復KATSU”!!

angela、デビュー20周年ライブツアー“angela Live Tour 2023 「Welcome!」”ファイナル公演でKATSUが“復KATSU”!!

それはあまりにも感動的なフィナーレだった。ニューアルバム『Welcome!』ツアー開始直前に発表されたKATSU(g)の命に関わる重病と療養。それに伴い、angela史上で初めてフロントの2人が並び立たない形で進行してきた国内外8公演。そのツアーファイナルである東京・豊洲PITのアンコールという最後の最後のタイミングで、見事にKATSUがステージに舞い戻ってきたのだった。温かくも熱い拍手と喝采に包まれる会場。涙で歌声にならないatsuko。そこに響きわたるぢぇらっ子たちの大合唱……。現場の模様をお届けする。

PHOTOGRAPHY BY 釘野孝宏
TEXT BY 日詰明嘉

スタートからatsukoの熱量は最高潮!

開演前の豊洲PITにはビッグバンドのSEが流れ、ツアーの幕もトタン風にしつらえている。どこか新曲の『Welcome!』や『晴れのちハレルヤ!』のモチーフを感じさせるなか、ミュージシャン陣がパフォーマンスをしながら入場してくる様に、angela年末恒例のライブ「大サーカス」を想像してしまう。そこへ紅白の衣装に身を包んだatsukoが登場し、「ツアーファイナルへWelcome!」と一声。この日の幕を開けた。最初に観客の度肝を抜いたのは、KATSUの登場だった。といっても、この時点で姿を見せたのは等身大パネルの方。天井から吊るされて降りてきたうえに、ギターの部分のLEDが点灯し、楽曲に合わせて背後から黒子が動かすという演出も加わり、そこに居ずしても存在感を放つエンターテイナーぶりだ。ピースフルな最新曲に続いては、一気に20年の時を遡るメジャーデビュー曲「明日へのbrilliant road」。オーディエンスのクラップや間奏における歓声、シンガロングの熱量の高さはKATSUに届けと言わんばかりだ。その後のセットリストも新旧曲や様々なタイプの主題歌を交えて組み立てられ、どのタイミングで知ったファンも受け入れる「Welcome!」な構成だ。

MCはatsukoだけで進行するという、ここでも従来にはなかった展開をするが、ツアー中に蓄えたネタとリズムを発揮し、等身大パネルを「薄っぺらいKATSUさん」と笑いに変える安定したようすを見せ、カスタネットを片手に賑やかに歌う「アロハTraveling」へ。世界各国の音楽性を1つに凝縮した激しい展開の楽曲にライブで対応しつつ、ステージ上を左右に動き回るatsuko。パネルのKATSUと背中合わせをする光景も見られた。そこから雰囲気をキリッとシリアスなモードに変えた「AYAKASHI」では、リズム隊の厚く太い音に乗せ、体を折って頭を振ってハイトーンシャウト。蹴り上げのアクションを見せるなどアグレッシブな姿にオーディエンスのシンガロングも熱く轟く。そこからまた空気を一変させて「これ、夏じゃないの?」と、軽快なナンバー「全力☆Summer! 」へ。間奏における恒例のオーディエンスシャウトは会場を「ツアーファイナル」と「豊洲PIT」に分け、タオル回しも含めた参加型の楽曲を盛り上げた。

atsuko自ら「自慢納め」と前置きして紹介したのは、ギネス世界記録™の認定証。これは『蒼穹のファフナー』関連楽曲34曲が「同じアーティストにより歌われたアニメーションフランチャイズの歌曲の最多数」として認定されたもの。6月に広島で開催された作品イベントで認定されて以降、海外公演も含め様々な場所でお披露目をしてきたが、東京ではこれが初。大きな拍手に包まれつつ、来年の「『ファフナー』20周年」に向けての期待をにじませた。そんな『ファフナー』の歌のゾーンは、1月にリリースされた最新曲『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』の主題歌「Start again」から。途中のハプニングをエンターテインメントに転換しつつも、美しいライティングのもとatsukoの節回しをじっくりと堪能できる壮大なバラードを聴かせた。続く「イグジスト」ではアグレッシブなベースにキリリとした歌声を乗せていく。下から上に煽るビームと、歌い上げる声のシンクロが絶妙で、ドラマチックに見せていく。アウトロと繋げてドロップした「叫べ」も力強く、メンバーとともに頭を振って熱唱するatsuko。曲中にはギターソロもあり、これは同期音として出力しているのだが、KATSUは不在の存在感を掻き立てる。「叫べない時代を超えて叫べる私たちへ。これが、これが生きるってことだライブだ!」と間奏中にシャウトするatsuko。まさに魂の叫びをこの曲に込めたパフォーマンスだ。続いてアコースティックギターを手にしたatsukoは「立って弾くほうがミュージシャンっぽいじゃん?」と発言し、「今でも…」を弾き語る。今年、リアレンジしてリリースされたこの楽曲だが、元々はインディーズ時代に作られた楽曲。そうした背景を踏まえて聴くと、当時の気分を色濃く残した歌詞が染み入ってくる。続くシリアスなバラードの「Alone」でもアコギを披露しスポットに照らされた後、マニピュレーションで繋ぎ、再び「ファフソン」の「DEAD OR ALIVE」を投下。疾走曲を体を折ってシャウトし、コールアンドレスポンスを経て、高らかに歌い上げた。

スペシャルゲスト・蒼井翔太が登場!

『「叫べ」を叫べるようになった』と、ライブの実感を噛み締めるatsukoは、この日のスペシャルゲスト・蒼井翔太を呼び込む。蒼井はぢぇらっ子たちに自己紹介をするとともにパネルのKATSUにも挨拶をする律儀な姿勢を見せる。当然、12月にリリースされたばかりの両者のコラボ曲を……と思いきや、蒼井の「BAD END」(TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』EDテーマ)をatsukoとデュエット。この予想外の展開に、イントロが流れた瞬間に蒼井のファンと思しき女性たちが黄色い歓声を上げる。1番ではコーラス部分をatsukoが歌い2番では交代する形だったが、驚くべきことに2人の声域に違いがなく展開されていく。アグレッシブな楽曲でボルテージを上げると、歌い終えた直後に蒼井は「楽しい!」と、心の叫びを露わにする。そして満を持して、2組のコラボ曲「晴れのちハレルヤ!」をライブで初披露する。リズミカルな楽曲に会場のクラップが乗り、ステージ上でも手振りを揃える多幸感溢れる空気が会場を支配する。オペラティックに高らかに歌い上げる王子様のような蒼井に、astukoは柔らかく受ける歌声で合わせ、見事なコラボを披露。蒼井は最後の「幸せのkissを」部分はライブでも音源同様にジオルド役としての声を覗かせ、存分にオーディエンスを楽しませた。そして、返歌とばかりに、『はめフラ』楽曲から、angelaの「乙女のルートはひとつじゃない!」を蒼井とともにデュエットする。先ほどと同様、Bメロで入ってくる蒼井の声の高さはangelaの曲として溶け込み、普段の蒼井の曲にはない歌い回しを披露。コーラスパートでは元曲の凛々しい部分を支え、2番で担当した本線では爽やかにシャウトを響かせる。コールアンドレスポンスもかっこ良く決め、温かい拍手に送られてステージを後にした。

本編最後のゾーンでは「KINGS」をドロップ。「Big Wave」におけるお馴染みの振付を丁寧に行ない、じっくりと聴かせてからエモく歌い上げ、合唱まで行なう参加型の楽曲で会場を1つにした。2023年リリースの新曲「RECONNECTION」ではアグレッシブな和風サウンドに乗せ、こちらもコールアンドレスポンスを繰り返す。ぢぇらっ子たちによる応援の熱は増していくばかりだ。それに対してさらに火を焚べるかのようにatsukoは「次の曲は1曲中ずっとジャンプで」と求め、「アンダンテに恋をして!」でライブのハイライトを演出していく。手拍子に包まれて舞踏会のように賑やかに楽曲を展開させ、高らかに歌い上げる。2番に入るとKATSUのパネルを含めてフロントの4人がステージを駆け巡り、多幸感に溢れた光景も。終盤に用いられた「歓喜の歌」のモチーフが年末らしいエンディングらしさを漂わせ、ラストの「Shangri-La ~THE BEYOND~」へ。青いライト一色に染まり、オーディエンスの全力の応援に押され、落ちサビの大きなシンガロングに会場が震える。最後はみんなの気持ちを1つにしたジャンプで本編を締め括った。

次ページ:「おかえり!」KATSUがステージに――!

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