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INTERVIEW

2024.01.10

水樹奈々、TVアニメ『SHAMAN KING FLOWERS』OPテーマ「Turn the World」をデジタルリリース!「ハッピーな1年だった」と語る2023年を振り返る。

水樹奈々、TVアニメ『SHAMAN KING FLOWERS』OPテーマ「Turn the World」をデジタルリリース!「ハッピーな1年だった」と語る2023年を振り返る。

昨年夏のツアーで久々に声出しライブを解禁。阪神甲子園球場で行われた「クライマックスシリーズ セ ファイナルステージ」で国歌独唱も担うなど、2023年も全力で走り続けた水樹奈々。昨年12月24日にTVアニメ『SHAMAN KING FLOWERS』OPテーマ「Turn the World」をデジタルリリースした。声優デビューから間もない23年前に出会った作品『シャーマンキング』から、21年放送の新作TVアニメ『SHAMAN KING』、今回その続編となる『SHAMAN KING FLOWERS』に再び出演し、主題歌を歌うということで思い入れの強さも並々ならぬものがある模様。自ら作詞にも参加した今回の楽曲への想いとは――?また、様々な出来事があった2023年も振り返ってもらった。

INTERVIEW BY 北野 創 TEXT BY 金子光晴

原作者からの約20年越しの想いを知る

――まずは新曲について伺いたいのですが、今回の新曲「Turn the World」は水樹さんと縁が深いTVアニメ『SHAMAN KING FLOWERS』OPテーマですね。まず『FLOWERS』の制作のお話を聞いてどう思われましたか?

水樹奈々 嬉しかったです!『SHAMAN KING』の続編で、次世代のシャーマンたちが活躍する物語がTVアニメで描かれて、しかも(水樹が演じる)玉村たまお役も続投。また、たまおを演じる機会が20年以上の時を経てやってくるなんて想像もしていなかったので、本当に嬉しかったです。

――『SHAMAN KING』シリーズ全体にはどんな想いがありましたか?

水樹 『シャーマンキング』(2000年放送版のアニメ)はデビューして間もない頃で、そうそうたる先輩方の中、本当に私がここにいていいのだろうかと、震えながらアフレコスタジオに行っていたことを今でも鮮明に思い出します。その時に見た先輩方のかっこいい背中や、何度もリテイクで苦戦したこと、アフレコ後の食事会で先輩方から色々なアドバイスをいただいたことなど、大きな学びがたくさんある作品なので、とても思い入れ深いです。

――しかも2021年から放送された完全新作アニメーション『SHAMAN KING』では、たまおを物語の完結まで演じ切れたんですよね。

水樹 それもすごく嬉しかったです。たまおも彼女なりの戦いを重ねて成長していて。しかも、(その後の物語を描いた『SHAMAN KING FLOWERS』では)修業はもちろん、闇落ちなど色んな経験を経て(笑)、強力なシャーマンに!(麻倉)葉様と(恐山)アンナ様のいないふんばり温泉を守り、その2人の子供である(麻倉)花の育ての親となっている彼女の姿を見たときは衝撃的でしたし、いつかアニメ化されたらいいなと思っていたので、本当に嬉しかったです!

――実際、『SHAMAN KING FLOWERS』のアフレコでは、たまおの成長をどのように受け止めながら演じられましたか?

水樹 キャラクターを再構築する必要がありました。ただ大人になっただけでなく、彼女の中で大きな心境の変化があったので、核となる部分の肉付けを豊かにできたらなと。でも、『SHAMAN KING』で最後までたまおを演じ切ったことによって、その移行や進化はスムーズにできたと感じています。彼女はシャーマンとして未熟で、ずっと修験者見習いでしたが、なんとか葉様たちの力になりたいという気持ちは人一倍強かったと思うんです。そしていろいろな戦いを経て少しずつ前へ進んでいった先に、様々な理不尽にぶつかり、真面目がゆえに一度爆発しちゃったんだろうなと(笑)。その間のストーリーは描かれていないので、想像で埋めるしかないのですが、色んな出来事で心を折られたことがあったと思うんです。ちょっと引っ込み思案な女の子だからこそ、一度解放したことによってスッキリして(笑)、すべてを寛容な心で受け止められる仏のような領域に達したのかなと。なので(麻倉)幹久さんが彼女を修験者見習いとして育てていたのは、たぶん彼女に素質があることを見抜いていたからだと思うんです。高いポテンシャルがあったけれど、「私なんて」と自分を抑圧していたせいで本来の力を発揮できずにいた。しかし、それがバーンと解き放たれた。

――グレてしまった学生時代を経て(笑)。

水樹 そうです、それを経て(笑)。本来の力に目覚め、自分の使命を全うするためにそこにいるという肝の据わった彼女を演じられたらと。実はもう『FLOWERS』は最終話まで録り終わっていて。たまおの成長した姿を見ていただけたら嬉しいです。ちなみに『SHAMAN KING』のBlu-ray BOX 4の特典CDに「のったれ玉神輿!」という演歌のキャラソンがあるのですが、こちらは『FLOWERS』のアフレコが始まる前に録ったんです。どういう気持ちで歌えばいいのか最初は悩みました(笑)。しかしあの曲はふんばり温泉のPRソングなので、もうノリノリで入り込んで歌うのがいいのではと、あの形になりました(笑)。

――『FLOWERS』ではたまおが演歌歌手としてデビューもしていますものね。水樹さんのバックボーンの1つが演歌なので、歌うのも楽しかったんじゃないですか?

水樹 楽しかったです!武井(宏之)先生に「なぜ演歌なんですか?」と聞いたところ、「23年前にみんなで食事をした時に水樹さんが昔、演歌を歌っていたというのを聞いて、いつかキャラソンとかで演歌を歌ったら面白いんじゃないかと思ったんです」とおっしゃっていて!そのお気持ちが、とても嬉しかったです!!

ブロックごとに様々な色を持つ楽曲

――アニメのOPテーマ「Turn the World」は作品のどんな要素を落とし込んで作られた楽曲なんでしょうか?

水樹 次世代のシャーマンたちのお話ということで、前作「Get up! Shout!」(TVアニメ『SHAMAN KING』第2弾OPテーマ)とは切り口の違う曲にしたいなと思いました。前作のようなロックテイストでというリクエストはあったのですが、監督から「水樹さんチームにお任せします」というありがたいお言葉をいただき、直感で「これだ!」というものにしようと。今回も楽曲はコンペだったんです。たくさんの作家さんから曲をいただいて、その中から決めたのですが、このサカノウエヨースケさんの曲にひと聴き惚れしました。まさに求めていた、少し斜に構えて素直になれず、目の前で起こることに一喜一憂してもがいているような様子が音から感じ取れる作品だったので、主人公の麻倉 花の心情をしっかり表現できるのではないかと。

――花の斜に構えた感じ、よくわかります。

水樹 ひねくれてるんですよね(笑)。素直じゃないというのがポイントで、反骨精神が出ていて、ひと癖ある曲がいいなと思っていたんです。歌詞も“青さ”がほしいなと思い、青い男心を書かせたらピカイチのヨシダタクミさん(saji)に、ぜひ思春期の割り切れない気持ちを表現してもらいたいとお願いしました。私もヨシダさんが書かれたところにエッセンスを足して、共同制作をさせていただいた形です。

――まず、サカノウエさんの曲について伺いたいんですけど、直近でサカノウエさんが書かれた「Sugar Doughnuts」もわりと素直じゃない曲調でしたよね。サカノウエさんのそういう作風に惹かれるところがありますか?

水樹 そうですね。ギャップに萌えてしまうタイプなので(笑)。かわいく見せて、歌ってみたら息継ぎが少ないっ!めっちゃスパルタ!みたいな。サカノウエさんはそういう曲が多いです(笑)。

――「Turn the World」の素直じゃないと感じられたポイントを聞いてみたいです。

水樹 畳みかけていくような構成ではありますが、「Sugar Doughnuts」ほど息継ぎはシビアではありません(笑)。しかしAメロ、Bメロ、サビとブロックごとに場面がどんどん切り替わっていくので、1曲を通して物語を構成しつつも、それぞれのブロックごとに個性を色濃く出してニュアンスを付けないと成立しない曲なんです。全体を通して表情を作るだけでは、歌が流れてしまってハートにこないんですよ。そこが素直じゃないと思います(笑)。でも、ブロックごとに完結させてしまうと、今度は全体で聴いた時にちぐはぐになってしまう。なので、「Sugar Doughnuts」のときのような大変さではなくて、今回は表現としてのバリエーションが求められる難しさがありました。フィギュアスケートのように技術点と芸術点があるとすれば、芸術点のほうが高い曲です(笑)。

――ブロックごとに異なる色を持つ楽曲ですが、歌詞もそういったところを意識して作られましたか?

水樹 ヨシダさんも私もボーカリストなので、メッセージや構成はもちろんですが、メロディとのハマりをすごく大事にしていて。特にこの曲は同じ符割りが繰り返される展開が随所に出てくるので、歌っていてノリがよく、耳障りも心地良く伝わりやすい言葉を意識して構成しています。ヨシダさんも私も主題歌を担当させていただく時には、アニメの世界観に寄り添いつつも、アニメを知らない人が聴いても楽曲として成立するバランスで作りたいというのが共通認識で。かなりディスカッションしてレコーディング当日まで細かい部分を直していました。

――ヨシダさんもsajiとして『SHAMAN KING』の第3弾EDテーマ「ハヅキ」を担当されていて、作品に対する愛も理解も深い方ですものね。

水樹 そうなんです。なので、やりとりはとてもスムーズでした。ヨシダさんからの提案だった「禍福糾纆(かふくきゅうぼく/禍福はあざなえる縄の如し)」というすごく難しい言葉も入っていますが、思春期の少年が主人公ということで、基本的には、なるべくストレートな表現で行こうと。でも(麻倉 花の)ひねくれているところは出したい(笑)。素直になれないだけで本当はピュアな心を持っているいい子なので、それを色々な形で表現したいと思ったんです。妙に大人ぶりたいお年頃だったりするので(笑)、ストレートな表現だけじゃない部分も織り交ぜてみたり。アニメ第1廻の花は、本当に悪ガキという感じで(笑)。でも、色んな経験を経て少しずつ変わっていくので、この曲の歌詞が徐々にシンクロしてくると思います。

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