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REPORT

2023.12.29

FLOW、念願の“NARUTO縛り”で『NARUTO-ナルト-』への想いを歌で届ける!“FLOW THE CARNIVAL 2023 ~NARUTO縛り~”ライブレポート

FLOW、念願の“NARUTO縛り”で『NARUTO-ナルト-』への想いを歌で届ける!“FLOW THE CARNIVAL 2023 ~NARUTO縛り~”ライブレポート

2023年のFLOWはデビュー20周年を迎え、記念すべき20周年ライブでは豪華ゲストを迎えて幕張メッセ国際展示場で“FLOW 20th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE 2023 ~アニメ縛りフェスティバル~”を開催。さらにアニメ放送20周年を迎えた戦友『NARUTO-ナルト-』の主題歌をカバーしたアルバム『FLOW THE COVER ~NARUTO縛り~』をリリース。Jポップ、Jロックのバンドとしても稀有の存在感で音楽シーンに燦然と輝く標を打ち込んだ。その集大成にして、2023年のライブ納めとなる“FLOW THE CARNIVAL 2023 ~NARUTO縛り~”の12月14日・KT Zepp Yokohamaツアーファイナル公演の模様をリポートする。

※TAKEとKEIGOによる“FLOW THE CARNIVAL 2023 ~NARUTO縛り~”アフターインタビューはこちら

PHOTOGRAPHY BY “SUGI” Yuya Sugiura
TEXT BY えびさわなち

『NARUTO-ナルト-』を日本全国へ、そして世界中へ、直接届けてください

2023年、デビュー20周年を迎えたFLOW。そしてアニメ放送開始20周年を迎えたアニメ『NARUTO-ナルト-』。FLOWにとって初めてのアニメタイアップとなった「GO!!!」はそんな“同期”の『NARUTO-ナルト-』へ向けたものだった。あれから19年の時を経て、数多くのアニメ作品とタッグを組み、アニメタイアップ曲だけで構成されたベストアルバムのリリース、アニメ主題歌だけでセットリストを組んだライブを国内外で開催、とFLOWの快進撃は日本を飛び出し、世界へ。そんな彼らの心に常に掲げられているのが、アニメ『NARUTO-ナルト-』を制作してきた伊達勇登監督の言葉だった。

「僕たちは命をかけてアニメを作って、放送に載せて届けることはできるけれど、でも君たちは音楽とライブを通じて『NARUTO-ナルト-』の魅力を世界中で響かせることで、直接、届けることができる。これからも世界中に『NARUTO-ナルト-』を届けてください」

伊達監督がその言葉をFLOWに投げかけたときの、5人の真剣な表情は忘れられない。『NARUTO-ナルト-』への感謝と熱い想いを込めたカバーアルバム『FLOW THE COVER ~NARUTO縛り~』を作り上げ、互いにとって記念すべき2023年にリリースをしたFLOWは、その楽曲を従えて、『NARUTO-ナルト-』の主題歌だけで構成するライブツアーを敢行した。チケットの価格は「7610円」。そう、“ナルト”である。12月6日に大阪、12月13日、14日に横浜で開催されたこのスペシャルなライブ。国内外でのライブ活動に明け暮れてきたFLOWの、2023年を締め括ったのは、そんな『NARUTO-ナルト-』への愛いっぱいのライブだった。

今日は一緒に、デカい『NARUTO-ナルト-』愛を叫びましょう!

『FLOW THE COVER ~NARUTO縛り~』収録曲のMVを撮影したのは兵庫県の淡路島にある「NARUTO×BORUTO忍里」ニジゲンノモリ。木の葉の里そのままに里を見渡す火影岩の前で演奏をしたFLOWだったが、カバーアルバムのジャケットがFLOW5人の顔になった火影岩ならぬFLOW岩がデザインされていたことも話題となった。そのFLOW岩が後方に掲げられたステージを見つめ、開演を待つオーディエンス。フロアには歴代『NARUTO-ナルト-』の主題歌が流れていた。電気が消えると終末の谷を吹き抜ける風の音に導かれ、木の葉の里へと誘うようにSEが響く。雄大な音はいつしか和太鼓と勇ましいかけ声、笛の音のナルトファンには耳馴染みある旋律に。大きく揺れるオーディエンスの影の奥、ステージの上にFLOWの5人が登場。最初の曲はなんとアニメ『NARUTO-ナルト-』の劇伴曲、「NARUTOのテーマ」だ。高梨康治率いる刃-yaiba-の和楽器と共に響く演奏が印象的な1曲で、“FLOW THE CARNIVAL 2023~NARUTO縛り~”の幕は開けた。

「いくぞ!!横浜ぁぁぁ!」とKEIGOの掛け声に鳴り出すイントロに大歓声が沸く。ASIAN KUNG-FU GENERATIONSの「遥か彼方」で、「中忍試験編」を彩った1曲。波乱だらけの試験での、ナルトたちの叫びのように響くアクセントの強いビートと疾風のギターリフと共に“生き急いで”“搾り取って!”と上がった歌声はフロアの声と共に大きな声の塊となって会場を席捲していく。伸びやかな歌声のあとに続いたのは重厚に轟くイントロ。APPゲーム「NARUTO×BORUTO 忍者TRIBES」のテーマ曲「Break it down」だ。スマホで、里の仲間と共に戦いを繰り広げてきた手に汗握るゲームの熱気のように、高く掲げられた拳が激しいビートに合わせて熱を生み、襲い掛かるような圧倒的なヘビーロックにフロアの熱はぐんぐんと上昇。会場全体に生まれるグルーヴは序盤から既に螺旋丸のような勢いを見せた。シャンシャンシャンと鳴るIWASAKIのシンバルでのカウントで始まったのはORANGE RANGEの「ビバ★ロック」だ。自来也の登場、そして師を得たナルトの修行といったアニメ『NARUTO-ナルト-』初期のストーリーのエンディングを飾っていたナンバーで、おおらかでピースフルなメロディが笑顔を自然と生む1曲だ。“Oh Yeah!”と大きく手を広げて、高らかに歌う会場の声とKEIGO、KOHSHIの声が1つになっていく。GOT’Sのつまびくビートにオーディエンスはステップを踏み、楽しんでいる様が見えた。

 

 

「さぁ、実現できましたよ!“NARUTO縛り”が!」とKEIGOの声に会場から歓喜の歓声が届くと、「皆さん、『NARUTO-ナルト-』愛していますかー?」とKEIGO。「今日は俺らとみんなで、デカい『NARUTO-ナルト-』愛のぶつけ合いなので、よろしくお願いしますよ!」と続けると、大きな拍手が沸く。2023年のライブ収めだからこそ、余力を残さず出し切ろうというバンドの意欲と、それを受け止めようとするオ-ディエンスの熱が充満したままライブは「Re:member」へ。オリジナルストーリーへと突入していた物語に勢いをつけた1曲は、ナルトと仲間たちの任務中の様子やそれぞれの個性を見せ、結束を固めていくシーズンだったが、FLOWにとっても怪我で離脱していたKEIGOがまたバンドに合流し、メンバーが1つになった際の楽曲でもあり、互いの想いが重なる、そんな曲。オーディエンスと“Wow Wow”と声を重ね、日々の中で強くなる想いを歌い上げた。続いたのは「SUMMER FREAK」。『NARUTO-ナルト-疾風伝』の始まるタイミングでそれまでの物語を再放送した“少年篇”のオープニングだったこの曲は、夏のギラギラ太陽をそのサウンドからも感じさせるアッパーチューン。海に繰り出したナルトたちの姿が印象的だったOP映像にも負けない、12月の横浜を真夏の空間にしたFLOWは、そのまま『NARUTO-ナルト-』シリーズの最後のシーズンのOPテーマ「ユラユラ」を響かせる。女性ボーカルを要するHearts Growの伸びやかな歌声をKEIGOとKOHSHIのハイトーンで響かせる。TAKEが紡ぐ軽快なギターフレーズも、その爽やかなメロディを放っていくと、オーディエンスも共に歌う。どのシーズンであろうとも『NARUTO-ナルト-』の歌が愛されている証のような景色だった。そんな爽やかな1曲から間髪入れずにスクラッチの音が鳴り、「Hero’s Come Back!!」が響く。nobodyknows+が歌っていたこの曲は『NARUTO-ナルト-疾風伝』の始まりを高らかに歌い上げたナンバー。当時5MC1DJで色鮮やかなラップで畳みかけていたこの曲をKEIGOとKOHSHIもラップでかき鳴らす。ビートが印象的な生々しいサウンドが特徴的だったこの曲を、バンドの音と2MCで放つと、続けてライブは2MC1DJのHOME MADE家族「流れ星~Shooting Star~」へ。こちらも『NARUTO-ナルト-疾風伝』最初のシリーズのEDテーマだ。青年になったナルトの、少し大人びた表情を思わせた曲を、まさにナルトへ向けて語りかけるように優しく歌うKEIGOとKOHSHIの柔らかなハーモニーが会場を包み込んだ。

 

「今回、グッズがだいぶオフィシャル感があるよね。『NARUTO-ナルト-』コラボ、みたいな。色んな人のお力添えによって実現したグッズです」と巻物の形をしたタオルをはじめ、ステージから見える景色のなかにも視界に飛び込んでくるグッズを指さしながら笑顔を見せたKOHSHI。「今日は当然、“NARUTO縛り”と銘打っていますので、カバーアルバムの曲は全曲やります」とKEIGOも意気込みを聞かせる。そしてここで、大阪、そして横浜初日にもゲスト出演したダイアナ・ガーネットを呼び込む。かわいらしい声で「みんな~!How are you?」と客席へ声をかけるダイアナにフロアは「I’m fine thank you!!」と応える。ライブ前にフロアに流れていた主題歌を使用したBGMの中にも彼女が歌う「Spinning World」が流れていた、と話すダイアナにフロアのオーディエンスも拍手。「FLOWとはナル友」で“我愛羅推し”だという彼女のアニメでの好きなシーンは「再不斬と白のシーン」、そして「サスケが初めてナルトを認めた場面」なのだとか。そんなダイアナとFLOWが共に歌うのはいきものがかりの「ブルーバード」だ。終末の谷の激闘でサスケの奪還に失敗したナルトの周囲に新たに蠢きだす敵の影を感じさせ、人気を博したオープニングをダイアナとKEIGO、KOHSHIの3人のユニゾンで力強く歌い上げる。抒情的かつ焦燥感滲むサウンドをIWASAKI、GOT’S、そしてTAKEが紡ぎ出すと「Oi!Oi!」とフロアからも声が上がり、青白い炎のような熱が会場を染めていった。ダイアナとの歌に続いたのは、「ブルーバード」の次のシーズンのOP主題歌であり、「シカマル疾風伝」とも呼ばれる、アスマの、そしてシカマルたち第十班の死闘を見守り、シマカルたちの背を押してきた井上ジョーの「CLOSER」だ。KOHSHIが、KEIGOが想いを重ねる。爽やかながらもドラマチックな歌声が優しいメッセージと共にフロアへと広がっていく。ステージへ向けて力強く突き上げられた拳は、同じく、熱い想いが重ねられているのだと感じさせた。

 

ステージからIWASAKI、GOT’S、TAKEが下がり、ボーカルの2人が残る。センターに置かれたセットに腰を掛けると、ストリングスの音色が響き、美しい旋律の上に2人の歌声が乗り、響く「Sign」。自来也を失ったナルトに寄り添い続け、世界中で愛されるこの曲をPiano Ballad verで聴かせる。KOHSHIが歌い出した瞬間、歓声が上がり、そこからはじっと聴き入るオーディエンス。その姿は、この曲がどれだけ愛されているのかの証だった。楽器隊がステージに戻り、続いて響いたのは「燈」。「ライブスペクタクル『NARUTO-ナルト-』」で「うずまきナルト物語」から「忍界大戦、開戦」、「忍びの生きる道」と公演イメージソングとして物語を彩った楽曲だ。舞台上で戦いきったキャストが最後に歌うこの曲は、ナルトの想いを、忍びたちの想いが込められており、KEIGOとKOHSHIの歌声からは舞台で見た彼らの熱が蘇るようだった。

 

 

「『NARUTO-ナルト-』は僕らが初めてタッグを組んだアニメ作品で、『NARUTO-ナルト-』がきっかけで色んな作品とのコラボがやれるようになったと思っていますし、世界を広げてくれたと思っています。思い返してみたら『NARUTO-ナルト-』はTVアニメのテーマソングだけでも5曲、舞台の曲も歌わせてもらって。バンドの節目、節目でタッグを組ませてもらっている曲も多くて、背中を押してもらったなと思うし、初めて海外に行ったときにも、誰がFLOWを知っているのか、誰が見てくれるのか、不安しかなかったのに、行ってみたらアメリカの皆さんが『GO!!!』を熱唱してくれるんですよ。そのときにもナルトが“お前ら、大丈夫だから。自信もってやれよ”って背中を叩いてくれたと思っています。自分たちは、ナルトを戦友だと思っています。いつも一緒に走ってくれて、時には背中を押してくれた、そんな存在だと思っています。改めて作ってくれた皆さん、『NARUTO-ナルト-』を愛してくれた皆さん、本当にありがとうございます」と想いを語ったKEIGO。ナルトへの感謝を込めて、戦友ナルトへ、と歌ったのは「光追いかけて」。「ライブスペクタクル『NARUTO-ナルト-』」の初代イメージソングとして作られたこの曲もまた、舞台のラストにキャストが観客と共に歌ったナンバー。ここで描かれる光。FLOWにとってそれはきっとナルトだった。いつしかFLOWの背後のFLOW岩を見つめる、少年時代の、青年時代の、そして七代目火影のナルトの背中が浮かび上がり、FLOWとナルト、共に歩んできた時間を感じさせた。そしてナルトを愛するオーディエンスとの絆も。歌声が上がり、高く腕が挙げられ、ナルトの背中の前で会場の想いが1つになっていった。

次ページ:これからも“一本のライブ”を共に作ろう。FLOWがオーディエンスと交わした約束。

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