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INTERVIEW

2023.12.25

2度目のワンマンを経て、多彩な表現で歌い上げたニューシングル「S9aiR」リリース!SennaRinが語る“多様性”。

2度目のワンマンを経て、多彩な表現で歌い上げたニューシングル「S9aiR」リリース!SennaRinが語る“多様性”。

澤野弘之によるプロデュースで昨年デビューを果たした若きシンガー・SennaRinが、およそ1年ぶりとなるニューシングル「S9aiR(スクエア)」をリリースした。今年も澤野弘之のライブや海外でのイベント出演、そして自身2度目となるワンマンライブでその実力を遺憾なく発揮してきた彼女が本作で示したコンセプトは、“多面性”。様々な人格を有するようなボーカリゼーションが印象的な楽曲について、また待望の“リスアニ!LIVE”出演も控える2024年の展望などじっくりと聞いた。

INTERVIEW BY TEXT BY 澄川龍一 

ライブでも新しい挑戦はどんどんしていきたい

――ニューシングル「S9aiR」のお話の前に、まずは今年10月7日に行われた2ndワンマン“Qv”についてのお話を。1stワンマン以来、丸1年ぶりとなったワンマンですが、今年に入っても国内外の様々なイベントに出演されるなど、精力的なライブ活動がありましたが、それを経てのワンマンはどんなお気持ちで臨まれましたか?

SennaRin 去年の1stワンマンは色んな国で出演したどのライブよりも一番緊張していました。去年は夏にかけてサウジアラビアやカナダに行かせていただいて、国立競技場含め様々な場所で歌わせていただいたのですが、気負うみたいものではなく、ワクワクに近い緊張感は強くありました。でもワンマンライブはやっぱり私が主人公で、私が歌わなければ始まらないし、すべて私に責任があるというか。最初から最後まで私が皆さんを楽しませないと、というプレッシャーみたいなものは強く感じていて。でも歌い始めた瞬間に、皆さんが私の歌をあたたかく聴いてくださってるのがわかってすごく安心しましたし、1曲1曲を楽しみながら歌えました。それが経験としてあったので、今年のワンマンライブは去年より緊張することはなく、いい空間をお届けしたいというワクワク感のほうが強いライブになりました。

――たしかに「最果て」と共に始まったライブ序盤は、曲のノリの良さもあってすごく楽しそうに歌われている印象でした。ステージの構造上、お客さんとの距離も近く、よく顔も見えていたのかなと。

SennaRin 今回は最前列の方が握手できるくらいの近さだったので、本当に1人1人の顔がよく見えました。

――お客さんの聴き方の変化も印象的でしたよね。ノリのいい序盤から、中盤のアコースティックセットからはうっとり聴き入っているように見えて。

SennaRin そうですね。それはひしひしと感じました。

――バックを支える田辺トシノさん(b、key)と伊藤ハルトシさん(g、chelo)の演奏も力になった?

SennaRin 大きかったですね。今まで歌ってきた楽曲も、ハルトシさんと田辺さんの演奏によって少し変わった形でお届けできました。今回のアコースティックパートはリハーサルでも一度も同じ演奏はなかったので、そのときの1回しか聴けないノリがありました。

――そしてライブの最後の「melt」では、初となるピアノ弾き語りも経験されました。あそこではやはり緊張は……。

SennaRin さすがにしました(笑)。本番1ヵ月前に澤野さんから「弾き語りしたらかっこいいと思う」と言われて、毎日練習しました。練習の時点では足も動かないし、弾いていて本番を想像しただけで「震える……」みたいな緊張感がすごかったです(笑)。

――そうした新しい試みも多くあったライブはその先のキャリアにも活きていきそうですね。

SennaRin そうですね。今回はコンセプトとして新しい挑戦をどんどんしていきたいというのがあったので、弾き語りをしようと言われたときに「そんなことできない!」みたいな反応はもちろんなくて、「このタイミングでやったらかっこいい!」と思いましたし、挑戦するワクワクがあって楽しみではありました。今後もこういった挑戦はしていきたいというのはずっとあります。

「私の人格、いくつ登場させているんだろう?」

――さて、そのライブでも披露されたニューシングル「S9aiR」についてお伺いします。Rinさんが歌詞(cAnON.との共作)を書く前に、澤野さんから楽曲をもらったときの感想はいかがでしたか?

SennaRin 楽曲をいただいた時点で音はもうほぼ今の形になっていて、いたるところに色んな音が散りばめられているなと思い、楽曲から歌詞を膨らませました。イメージは、シルバーや白い宇宙船の中でぷかぷかと浮いていて、クレイジーな音楽を聴いている女の子、みたいな。そこから歌詞のテーマはどうしようか考え、遊び心がある楽曲なので歌も歌詞も遊び心がある引っ掛けのある感じにしたいなと思ったので、1人が持つ“多面性”というところにフォーカスを当てて書いてきました。

――まさに多面性というコンセプトは、先の”Qv(立方体)”というライブのタイトルにもあるように、ここ最近のRinさんのテーマにもなっているのかなと。

SennaRin 私自身が熱血系ではないので、「こうしたい!」みたいな前のめりでいくという歌詞は書けなくて。熱量はあるんだけど熱血系ではない、「私はこう思っているんだよね」って少し冷静な温度感で歌詞は書いていけたらいいなと思っています。それに対して色んな受け取り方で噛み砕いてほしいなというのが今までの歌詞の書き方でしたし、今後もそうしていくんだと思います。

――そうしたテーマのなかで、Rinさんのボーカルも実に多彩な歌声を聴くことができます。レコーディングはいかがでしたか?

SennaRin 「私の人格をいくつ登場させているんだろう?」というくらい声色を変えてレコーディングをしていきました。澤野さんから最初に「色んなニュアンスで歌ってみて」という提案をいただいて、一行ずつ人格を変えて歌っているので、聴いて楽しい感じになっていると思います。

――それこそ矢継ぎ早に現れるさま様な人格を、どうレコーディングしているのかなと。

SennaRin 澤野さんから「少し違う感じで歌ってみて」と言われ、その場で歌っていく。あと、今までのレコーディングもそうですけど、言葉尻の温度感というのがあって、例えば“いや騙されたフリして”というのも「いや騙されたフリして……」というニュアンスをつけるんですけど、そこの言葉の温度感みたいなのも感覚で受け取りながらやっていきました。

――計算して人格を入れ込むというより、その場の感覚で表情がどんどん変わっていくと。それをこなすのもすごいなと。

SennaRin とにかく感覚勝負です。なので、張り詰めた空気のなか時間をかけてやったというわけではないんですよね。まず1回歌って、そこから変化をつけて、全体を歌って終わるという感じです。

――もちろん自分で歌詞を書くうえで感覚がすでに入っていることもあるかと思いますが、現場で決まっていくことが多いと。

SennaRin はい。とても楽しいレコーディングでした。

――いやすごい。簡単な曲ではないし、そこで細かいニュアンスを作っていくスピード感といいますか、改めてそのポテンシャルが伺えました。

SennaRin いえいえ(笑)。ブレスも普段はだいたい感覚でいくんですけど、「これはさすがにブレスの位置を決めなきゃ歌えない!」と思って、さすがに歌詞にメモしました。“Keep in mind that”と言うフレーズの前でブレスをしているんですけど、ここでブレスを入れなければ他でする場所がないんです。そこで一気にグッと吸い込んで。カラオケで歌っていただくとわかると思うんですけど、本当にないです(笑)。その1回も「フッ」くらいのブレスです。よく、歌いながら成長する楽曲っていいますけど、この楽曲は言ってしまえば、レコーディングのときに歌えていたかって言われると、「どうなんだろう……?」っていうくらい。

――それこそレコーディング後のワンマンライブでも初披露しましたが、そのときはいかがでしたか?

SennaRin すごく楽しかったです。前回のワンマンで「最果て」を初披露したときもそうだったのですが、アドレナリンの出方が桁違いなんですよ。聴いた方がいないという状況で新曲を歌うのはもうすごいアドレナリンで、ニュアンスをどんどん変えるというのも相まって本当に楽しかったですね。コロコロ気持ちが変わっていくのも自分で感じながら、歌うのは楽しかったですね。だから歌っているときは楽しいだけ。澤野さんの楽曲は、イントロからアウトロまで全部がかっこいいので、歌っている私もそうなんですけど、やっぱり聴いているほうもイントロから引き込まれるような楽曲が多いんじゃないかなと思います。だから最初からアドレナリンが出ますね。

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