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2023.12.16

なすなかにしの漫才&ライブ、BRADIOからの粋なサプライズ、スピラ・スピカの煌めくステージ、奇跡のようなイベントに! “スピラ・スピカ presents 『星見ヶ丘 vol.3』”神奈川公演レポート

なすなかにしの漫才&ライブ、BRADIOからの粋なサプライズ、スピラ・スピカの煌めくステージ、奇跡のようなイベントに! “スピラ・スピカ presents 『星見ヶ丘 vol.3』”神奈川公演レポート

今年の8月8日にメジャー・デビュー5周年を迎え、当日には新曲「私の物語」を配信と、ますます輝かしい光を放つスピラ・スピカが、11月に“スピラ・スピカ presents 『星見ヶ丘 vol.3』”を全3ヵ所で開催した。

本イベントはスピラ・スピカが好きなアーティストを呼び、対バン形式でライブを行う自主企画。vol.1(2018年)ではfhánaを、vol.2ではナナヲアカリをと、個性豊かな面々を迎えて行われてきた。そして、約4年振り、新星・スピラ・スピカとしては初となる“星見ヶ丘”はツアー形式に。静岡公演にはシクラメン、大阪公演には斉藤朱夏を。ファイナルとなる神奈川公演には、BRADIOなすなかにしを迎えてと、さながら異種格闘技戦のようなラインナップに。そして、そこにはコロナ禍を明けた今だからこその声いっぱいのドリームスケープが広がっていた。本稿では、最終日、11月24日(金)神奈川・CLUB CITTA’の模様をお届する。幹葉からの動画メッセージもお見逃しなきよう!

PHOTOGRAPHY BY 浜野カズシ
TEXT BY 逆井マリ

ライブハウスに伸びる花道に驚く“アーティスト”なすなかにし

CLUB CITTA’の中央に花道が広がる光景を見たのは、筆者は初めてであった。その花道の周りを観客がぐるっと取り囲む。メインステージの花道手前にはマイクが2本並ぶことから、一発目はなすなかにしの登場なのか?と思わせつつも、まずはカジュアルな格好でスピラ・スピカの幹葉が登場。自分の企画にもかかわらず、腰を低めに駆け足で登場し「なすなかにしさんが登場すると思った皆さん、すみません!」と早々に謝るのがなんだか幹葉らしい。そんな幹葉とは対照的に、登場からフロアからは大歓声が湧いた。

「幹葉です!“スピラ・スピカ presents 『星見ヶ丘 vol.3』”神奈川公演、川崎CLUB CITTA’へようこそ!今回の自主企画は、私の大好きな、尊敬しているアーティストの方々をお呼びして、対バン形式で、みんなで一緒に楽しい人生を作っていく日です。神奈川公演は2組のアーティストが出演してくれます!」

BRADIOのことは「とってもかっこいい、ファンキーなお兄さん」と紹介。お笑いコンビ・なすなかにしの2人=那須晃行、中西茂樹については、「アーティスト」として招いたことをアピールする。そして、幹葉とはBS11番組「なすなかにしのゲームキングダム」でもお馴染みの関係性だ。加えて「お二人に出てもらえるなら、漫才も見たい!」とのことで、漫才が見られることも示唆。

「こんなスリーマンを見られることはなかなかないですから!我々アーティストは皆さんのことを100%楽しませるつもりですが、みんなの力も必要です!みんな楽しむ準備できてますか!?」とアジテートして、なすなかにしの2人をステージに呼び込んだ。

幹葉と入れ替わりにステージに現れたなすなかにしは、「すごい、こんな感じなんだ!」と普段の現場とは違う光景に驚いた様子を見せる。「まずこれ、なに?」と目の前の花道を指さして笑いを誘いつつ、「幹葉ちゃんがね、長く喋っていたので持ち時間はだいぶ減ったんですけど」(那須)、「長く喋ってたね。なすなか、すぐ呼ぶからね!って言ってたのに!」(中西)とトークに弾みをつけていく。一方、「俺らはあくまで前座ですから」と恐縮した様子で話すと、客席から「待ってたよ~!」という声が上がり、「待ってたの、お父さん1人だけやで!」「誰も待ってないから!」とツッコミを投げかけ、客席から笑いが起こる。

そして「こんな機会をいただけてありがたいです。今日は楽しませていただきたいなと思っています!」と、早速漫才へ。漫才のタイトルは「会場に響け!〜笑いとシンフォニー〜」、「ダサいな!」とすぐさま那須。音楽ネタや、老眼を笑いの種に変えた「3つの動作」など、芸歴23年目を迎えた彼らならではの軽妙なマシンガントークで観客の笑いを誘った。「今日はアーティストとして呼ばれているわけだからそろそろ歌おうか」と切り出すと、観客からは期待を込めた拍手が。

「我々が帰ればBRADIOさんが登場しますから。じゃあ、お聞きください」と、2人の代表的な持ち曲「あずさ2号」のカバーをお届け。実はこの曲は幹葉のリクエストだったそう。2人の歌声は“さすが”の一言でありながらも、不意打ちのワイパーやハモりに客席からは笑いも起きていた。

歌い終えると、「せっかくなので幹葉ちゃんを呼んでもよろしいですか?」と、幹葉がステージへ。普段から2人の漫才を劇場に見に行っているという幹葉。今回のネタは初めて見たとのことで、笑いが止まらなかったとも伝えた(ちなみに、幹葉のイチオシのネタは「ダイナマイト奥さん」だそう)。「2人と一緒にステージに立てるなんて夢のよう」と感慨を口にすると「こちらこそ!」となすなかにし。ただの“対バン”ではなく、お互いのステージに立ってコラボレーションする時間があるというのも“星見ヶ丘”ならではの醍醐味。

なかなか止まらないトークになんとか一区切りをつけつつ、キーボーディストの重永亮介を招き、トリプルボーカルで「世界中の誰よりきっと」をカバー。オレンジ色の柔らかなライトがステージを照らすなか、客席からは自然とクラップが起こる。ラスサビでグッと溜めてからの“いつでも”のユニゾンでは、互いに目を合わせつつ笑顔を見せた。最後は「なすなかにしと!」「幹葉と、重永亮介と!」「みんなでした!それではまた!」と挨拶。明るい余韻が残るなか、BRADIOへの出番を繋ぐSEが、坂本 九の名曲「見上げてごらん夜の星を」と、結束バンドの「星座になれたら」だったことも付け加えたい。時代もジャンルも違う2曲であるが、“星見ヶ丘”という場所にピッタリなセレクトだった。

BRADIOがまさかの“新曲”披露!?

ステージチェンジ後、スーツ姿で勢いよく飛び出してきたのはモンスターファンクバンドであり、新世代のソウルロックスター、BRADIO。TVアニメ『デス・パレード』主題歌「Flyers」、SFコメディ時代劇ドラマ「大江戸スチームパンク」主題歌「幸せのシャナナ」と、極上のファンクネスで客席をダンスホールへと変貌させてみせた。

ファルセットを交えながら歌う、アフロヘアーが特徴的なフロントマン真行寺貴秋は、「最高です!“星見ヶ丘 vol.3”、呼んでくれてありがとう!」と感謝を述べつつも「なすなかにしさんと幹葉ちゃんのあとでMCはやりづらい!(笑)」と苦笑い。

幹葉と仲良くなったのは今年、幹葉のラジオ番組「笑顔モリモリらじお☆彡」(FM横浜)にゲスト出演したことがきっかけ。幹葉のことは普段“ミッキー”と呼んでいるそうで、「まあ、仲良くなるよね。仲良くならない人いる?本当に素敵でファンキーなソウルを持っている女性だなって」と語った。そして、「今日は初めましての人もいると思いますが、皆さんを“パーティの向こう側”へ連れて行こうと思います!」と宣言し、TVアニメ『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』OPテーマ「ファンファーレ」から「真っ赤なカーチェイス」と、新旧問わず代表曲を惜しみなく畳み掛けてみせたのだった。

さて、予定通りいくと、次のブロックは実はBRADIOの「新曲」のはずだった。結論から述べると、これは幹葉への粋なサプライズだったのである。

ここで内側の事情を少し。なすなかにしが触れていた「セットリスト」の中身を実は私たちも事前に見ていたのだが、驚いたのがBRADIOのセットリストに「新曲」という文字が踊っていたこと。幹葉も同じ気持ちでセットリストを見ていたはずだ。勝手な想像ではあるが「BRADIOさんの新曲楽しみ~!どんな曲なんやろか?」などと胸を弾ませながらステージを見つめていたに違いない。しかしこのブロックに入る前のMCで語られたのは、スピラ・スピカへのリスペクトの念だった。そして……。

「スピラ・スピカにどんな曲があるんだろう?と、色々調べていたんです。ここ数日、私の心にぐさっと刺さった、励まされた曲がありまして。リスペクトを込めて、カバーをさせていいただければと」と、スピラ・スピカの新曲「私の物語」をアコースティックでカバー。“一人だって 独りじゃない 君にも見てて欲しい魔法なんかなくても叶えてみせるから”とビブラートを効かせて歌い、幹葉のボーカルとはまた違った物語を聴かせてみせる。続いて持ってきたのは、メジャー1stシングルの「LA PA PARADISE」。“ 雨あがりの夜空の星を”という歌詞が入っているこの曲を「私の物語」のカバーの直後に持ってきたのも、“星見ヶ丘”という場所ならではの、粋な演出なのではないだろうか。

ここで本日の主役をステージに呼び込むものの、大号泣の幹葉。当日は詳しく言及されていなかったが、前述のようなストーリーがあったために、涙を流すのも無理はない。「本当にありがとうございます」と伝え、なんとか涙を引っ込め「せっかくなので、元気いっぱいな、ファンキーなナンバーを一緒にやろうかなと」と、繰り出されたのは「Back To The Funk」!感動のあまりずっと泣いていた幹葉だったが、歌となればきりっと歌い手の表情へと変わり、大山 聡一(Gt.)、酒井 亮輔(Bs.)と横一列になって笑顔でステップを踏む。花道では真行寺に負けないほどのキレのあるセクシーなダンスを見せつつ、“上海、London、NY どこ行ったってKeep on! ”を“星見ヶ丘最高!”に変えて叫んだ。

そんな幹葉のあまりのパワフルさに、彼女がステージを去ったあと「本当にリスペクトしかない。ライブ中にこういうこと言うもんじゃないけど、ちょっと疲れた」と真行寺。最後に披露されたのは鉄板ナンバー「スパイシーマドンナ」。歌詞はオトナっぽい内容ではあるものの「スパイシーマドンナ」という言葉は、ある意味、幹葉にピッタリかもしれない。ホットに、クールに、軽やかにと様々な表情を見せつつ「サンキューサンキュー!音楽って素晴らしい、ありがとう!」と叫んで、ステージをあとにしたBRADIOであった。

次ページ:スピスピはノンストップで4曲を披露!

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